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千里の道も一歩から

感染性胃腸炎流行の兆し

2015年11月30日 | 医療情報

毎年11月~2月は嘔吐、下痢を訴える感染性胃腸炎が流行します。

クリニックでも11月に入ってから、小児、成人ともに胃腸症状の患者さんがかなり増えてきています。

感染性胃腸炎の代表的な原因ウイルスと言えば、「ノロウイルス」ですね。

同級生の野呂(ノロ)という名前のDrが、毎年ノロが悪者扱いでなんとなく嫌だぁ~と言っていたのをこの時期になるといつも思い出します

今年は新型ノロウイルスが大流行の兆しと報道されています

ノロウイルスには大きく分けて5つの遺伝子型があり、Gにローマ数字のⅠ~Ⅴを付けてGⅠ~GⅤと名づけられ、さらに遺伝子型で細かく分類されています。

これまで流行していたのはGⅡ4型という型が中心でしたが、今年は昨年川崎市で発見されたGⅡ17型という新たな型が全国的に増えてきているようです。

この新型が増えて感染が拡大しても、対症療法のみなので基本的には毎年のノロウイルス対策と変わりません。

ノロウイルスはわずか10~100個のウイルスが口に入っても感染してしまい、下痢や嘔吐物の処理中に空中に浮遊したものを吸い込んでも感染してしまう程感染力が強いウイルスです。

予防は手洗いが基本ですが、石鹸と流水で手洗いをしアルコール消毒してもノロウイルスを完全に死滅することは出来ないと言われています。

しかし出来る限り頻回に手洗いを行うことで、ある程度の予防効果は期待できるようなので、新型ノロウイルスの大流行に備えてこの冬は手が荒れるかもしれませんが、いつも以上にしっかりと手洗いしましょう

11月は気温が高めと言われていましたが、クリニックでも11月なのに夏カゼの代表的な疾患である手足口病がまだ多かったことから、今年は冬の感染症の到来が遅いことを実感しました


日本脳炎ワクチン

2015年11月25日 | ワクチン全般

日本脳炎ワクチンについても接種する必要がありますか?と時々聞かれることがあります。

日本脳炎という感染症が過去の病気で、さらに2005年にワクチンによる後遺症で定期接種がストップしていた期間があったことなどが理由かと思われます。

   

日本脳炎ってどういう病気なのか知ってますか?

日本脳炎は、蚊を介し日本脳炎ウイルスに感染して発生するおそろしい~病気なんです

日本脳炎ウイルスに感染した場合、およそ1000人に1人が日本脳炎を発症し、突然の高熱、頭痛、嘔吐などで発病し、意識障害や麻痺などの神経系の障害を引き起こします。

発症した人の20~40%が死亡し、生存者の45~70%に精神・神経障害などの後遺症が残ってしまうと言われています。

特別な治療法はなく対称療法のみ

予防の中心は蚊の対策と予防接種です。特に日本脳炎予防のためにはワクチンが有効なことはすでに証明されて います。

近年の日本脳炎患者の解析より、ほとんどの日本脳炎患者は予防接種を受けていなかったことが判明しているとのこと

今年9月に千葉県内で1990年以来25年ぶりの日本脳炎患者が確認されたという報告がありました。

日本では九州など西日本の病気という印象もありましたが、関東でも発症し、さらに患者さんがまだ0歳児であったということもショッキングなものでした。

世界では小児を中心に年間5万人が発症し、およそ1万人が死亡していますが、最近10年間の日本国内の患者報告数は年間数件から10件程度となっています。

しかし国内でも発症者はゼロではないということを覚えておく必要があります。(1950年代は国内でも年間数千人いたようです)

2010年から製造法方法の異なるワクチンでの定期接種(積極的勧奨)が再開されています。

標準的なワクチンスケジュールは...

1期接種:初回接種については3歳~4歳の期間に6~28日までの間隔をおいて2回、追加接種については2回目の接種を行ってから概ね1年を経過した時期に1回の接種

2期接種:9歳~10歳までの期間に1回の接種

となっていますが、生後6か月以上であれば3歳未満でも接種可能です

0歳児の日本脳炎発症報告を受けて、今後日本脳炎ワクチンの「標準接種時期」も再検討の余地がありそうです


未来の医療

2015年11月16日 | 医療情報

秋は学会や講演会が多い時期で、平日の夜や休日に出席するため、なかなか体力維持のための運動をする暇もないのが残念です

週末は江戸川医学会へ参加してきました

今年で33回目の歴史あるこの会は江戸川区医師会が主催し、土曜日の午後は区民の方々への特別講演、日曜日は地域の病院の先生方が症例などの発表や討論を行い、最後は最新の話題を含んだ学術講演が行われます。

2日間出席すると、自分の専門の小児科以外の情報が満載でお腹いっぱいに

   

土曜日の区民向けの講演は、昨年同様認知症に関する話題でした。

今年も多くの区民の方々が認知症の話題に興味を持って参加されていたのが印象的でした

明日は我が身、と自分も居眠りしないよに講演を聞いて認知症についてしっかりお勉強させて頂きました。

日曜日の医療関係者による一般演題の発表は、地域の医学会とは思えないほどの活気あるもので、江戸川区の医療に携わる先生方の熱意が沸々と伝わってきてとても刺激を受けました

最後の〆は東大病院で行われている「ダビンチ手術」について!

これは簡単に言えば、人が離れた場所で機械で操作して、遠隔操作されたロボットが人を手術するというものです

人間以上に正確に行える上に、食道疾患では手術の傷が断然小さく済むため、患者さんの回復も早いなどのメリットがあるとのことですが、保険適応外で300万円以上の費用がかかるようです。

自動車の自動運転開発と同様、医療もロボット化が進んでいることを実感しました

いずれはあらゆる事をロボットが行うようになる日が来るのもそう遠くはなさそうです。

小児科での赤ちゃんの採血、点滴、鼻汁吸引なんかもロボットにお願いする日もくるかもしれまんせね


臨時休診のお知らせ

2015年11月10日 | クリニック情報

臨時休診のお知らせ 

11月12日(木) 午後

内科、小児科ともにクリニックは都合により臨時休診となります。

皆様にはご不便をお掛け致しますがお間違えないようお願い致します。

先週末は、最寄駅の一之江駅西口にて秋の「イルミネーションミュージックねぶた祭り」が行われました。

今年で第8回ですが、いつもは仕事の帰り途中に足を止めて昼間のイベントしか見たことがありませんでした

今年はインフルエンザ予防接種の臨時接種を午後から夕方にかけて行っていたため、ねぶたがクリニック前の夜の通りを太鼓を叩きながら通っていく雄大な姿が見学出来ました


ワクチン不足早い解決を!

2015年11月07日 | 医療情報

つい先日、インフルエンザによる学級閉鎖が小岩地区で報告されています

例年通りなら一時的な局所的流行と思われますが、昨年は11月には流行のピークが来ていたことを思い出すと油断は出来ませんね

なるべく早めにインフルエンザワクチンの接種を済ませておきましょう!

化血研(一般社団法人化学及血清療法研究所)が製造するインフルエンザワクチンは、承認書と製造実態の齟齬があり厚労省への報告が適切に行われていないことから出荷を自粛していましたが、インフルエンザの発生の予防及びまん延の防止を推進する観点から出荷が認められ、なんとか供給不足を避けられました。

しかし、その他にも4種混合ワクチン(破傷風、百日咳、ジフテリア、ポリオ)、日本脳炎ワクチン、B型肝炎ワクチンなども化血研が製造するものに関しては出荷自粛が行われています。

とりわけ在庫欠品が深刻なものは乳幼児が定期接種する4種混合ワクチンです。

インフルエンザワクチン同様、早く出荷が認められ供給再開して欲しいと願うばかりです

おたふくかぜワクチンも10月以降全国的に欠品が続いており、希望者への接種が滞っています。さらにMRワクチン(麻しん、風しん)も一部メーカーの回収により入手し難い状況となっています。

このような今秋のワクチン不足が診療にも多少なりとも影響を及ぼしているため、メーカー側の迅速な対応が望まれます