本州ではここだけといわれる珍しいハマジンチョウ(浜沈丁)の花を見に三重県南伊勢町を訪ねました。
日本ではここ五ケ所湾に浮かぶ獅子島のほかは、九州五島列島、天草下島、鹿児島県の一部に自生するだけの希少種です。
ハマジンチョウの名は、浜に咲くジンチョウゲに似た花ということでしょうが、類縁的には全く異なり、花には香りはありません。ハマジンチョウ(浜沈丁)、学名 Myoporum bontioides は新エングラー体系ではシソ目に、クロンキスト体系ではゴマノハグサ目に含まれ、APG植物分類体系では、独立の科とせずゴマノハグサ科に含めています。
南日本から中国南部、インドシナ半島に分布する常緑低木で、塩沼やマングローブに自生する塩生植物で、成長しても高さ1-2mほどの低木で、枝はよく分かれて繁茂し、互生する葉は、長さ6-12cm・幅2-3.5cmとやや細長くて厚く。鮮やかな緑色で光沢があります。
花期は1-3月で、花は葉のわきに1-3個まとまって開き、直径2-3cmほどで薄紫色、花弁は漏斗状で先端が5裂します。雄蕊4本と雌蕊1本があり、花弁の内側に紫色の小さな斑点が散在します。
果実は先が尖った球形で、数個の種子があり、果皮はコルク質で水に浮き易く、海流を介して分布を広げます。
日本の中での隔離分布となっている獅子島のハマジンチョウは、当地の漁夫による移植説もありますが、黒潮による漂流説が有力なようです。
獅子島のハマジンチョウ
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