イカットの島 / バリ島に暮す / 風に吹かれながら

バリ島ウブドの小路は手工芸にあふれています。バリヒンドゥーの信仰に息づく暮らしに触れながら手織りの時を楽しみたい。

おりひめ手織機でソンケット(浮き織り)を試し織り 1

2015年03月17日 | おりひめ手織機 で織りを楽しむ
ソンケット織りを自分の手織り機で挑戦してみたいとシドゥメンの先生に帰り際にお話ししました。
ソンケット織りは経糸の密度が細かく、糸も細いのですが出来上がりはしっかりしています。手持ちの筬目は30羽までなので丸羽にしてみました。織り幅を約20センチにすると30羽の5パターンで150本、2倍で300本の整経となります。
モチーフは山、花、星、道をアレンジしてみました。

万力で固定して、整経しています。



ひと羽に2本づつ入れています。



機の後ろ側に座り、綜絖に通しています。4枚綜絖の平織りなので4.3.2.1と順番に通します。
私は4本を通すごとに糸の先を揃えてクリップで仮止めしています。この時、綜絖の順番や通し忘れがないかチェックもします。
4本づつ束ねて、ちきり(後巻棒)に結んでいきます。
(基本は綜絖に全て通してから、結びます。)
ちきり側から撮っています。

最初の4本



次の4本



ちきりに結びます



ちきり側に巻きとり、男巻き棒(前巻棒)に張りながら結んでいます。男巻側から撮っています。



試し織りです。
経糸と同色の緯糸で平織りを2センチほど織り
いよいよ浮き模様を入れます。一本一本拾うのは密度が細かいので難しい。定規の目盛りを目安にして拾ってみましたが経の目が揃わず止めました。



糸綜絖を作ったらいいのか、でも間に平織りが入るので難しいなどいろいろ考えました。踏み木で開口が変わることを利用してみました。経糸が多少浮くので数え易くなりました。1番を踏み、物差しを挟んでおき、次に3番を踏むと2本づつに分かれます。4本づつ拾えることが出来ました。モチーフの目を拾い、すくい棒を立てて、色糸を通します。閉口して平織りの緯糸を通します。1、3番を踏み色糸を通し、閉口して平織りの繰り返しです。高機でも一往復に時間がかかります。

模様を図におこしました



1番の踏み木を踏んで、定規を入れます。



次に3番を踏むと経糸が分かれて浮くので、拾い易くなります。すくい棒で掬い上げます。



定規を抜きます。



すくい棒を立てて、色糸を通します。



地糸の茶色で平織りを1回織ります。



色糸、平織りの順番で織ります。
織って見えている面は裏側です。



表側



表側を見ると色糸の間に隙間ができるので、次は2本取りで試してみます。



再びソンケット織り (2015年3月)

2015年03月14日 | バリ島伝統織物ソンケット/腰機
今回のシドゥメン小旅行は織りの講習だけが目的でしたので時間がたっぷりありました。1年前の記事に多少加えられたと思います。村ごと、個人の織りかたにも癖があるようです。文章化する作業は疑問の解決に繋がり、整理することが出来ました。

イダ・バグースさんのお話しからシドゥメンはニラルタ高僧の子孫が暮らす村です。かつてはソンケットを織ることが出来るのは王族に限られていたそうです。次第に王族周辺の人々にも伝承され、現在まで代々織り継がれてきました。先生Nengahさんのお話しではシドゥメンのタボラ地区で50人の織り人がいるそうです。農業のかたわらに、又は専業で織っていて、全て仕事です。趣味の織りはありません。
整経やデザインのモチーフを考案し糸そうこうに移す作業も含め分業で、注文してから順番によっては1ヶ月待つこともあるそうです。織り人の多くは近くのシドゥメンの市場で売るそうです。クルンクン、デンパサール、ウブド等の店頭で売られる時はとても高い値段になります。1枚の織りにかかる時間はとても長いのですが織り手にとっては時間給にならしても高くはなく、織りだけでは生活費が得られないのが現状です。タボラ地区では宿泊施設やレストランの働き口があるので、織りをやめてしまう人もいるそうです。仕事が織りだけの時代ではなくなりつつあります。

草木染めで織るNengahさんのソンケットはご自宅での販売のみで市場には出さないそうです。講習中にもお客さんが見えてました。

Nengahさんの作品。藍染めのシルク。





5日間で約10時間の講習でした。ソンケット織りの体験は今回で4回目ですが、やっと理解が出来ました。平織りを閉じ、モチーフの糸を浮かし、色糸を通す。緯糸が浮くので刺繍の様に見えます。

始めの12センチほどからスタートし、中間の黒地5~6センチほどが私の織った部分です。織り幅54センチ、長さ36センチ。残りの部分は先生が終了日までに仕上げて下さいました。下から花、星、山、道のモチーフです。飛び飛びの絵柄は通常一つおきに並べるそうです。絵柄の意味は語学力不足でわかりませんでした。進み具合をみて、中間から絵柄が左右対象となるよう、変更してくれました。たて、よこのどちらを正面にしても良いデザインです。



モチーフの糸そうこうの間違いがわかります。
左右対象となる目がひとつ抜けています。左下の山の絵柄も抜けています。私が講習をお願いしてから日にちが少なく、糸そうこうの作業を急がせてしまったのでしょう。



帰りにクルンクンの市場に寄り、かせの糸と様々な布を見て歩きました。糸の太いイカットや高機のウンデック、グリンシン、ソンケットはガラスケースに入っていました。セレモニーに使うパーツの部分の生地も多く、ミシンが置かれ、その場で縫っています。





コットンのかせの糸を買いました。
2かせ2色。280gでRP.30000 (約300円)でした。
このお店にはシルクや手紡ぎの糸も置いてありました。









再びソンケット織り (織りの手順 2)

2015年03月13日 | バリ島伝統織物ソンケット/腰機
3. 色糸で浮き織り B (右から)
Aと同じ。筬を手前からソロッグ側に動かしてソロッグを起こし立てます。モチーフの糸だけが上に上がり、開口されたところに右から色糸を通していきます。色ごとの浮き糸は左から入れ右手で受け取ります。





4. 地糸で平織り (上糸が上)
手前に筬を引きます。コソコソをして上と下糸を分け合う。上糸そうこう、ゴーンクンダン(Guunkundang)を左手で上げて右からブンブガン(Bungbunggan)を入れます。ゴーンクンダンはブンブガンよりも奥の位置にして、ブンブガン、ゴーングデを合わせます。前後に動かしながら下糸の綾を取ります。上糸が上になり開口されたスペースにブリダを右側から入れて、強くはたきます。



コソコソ(音の響きからの言葉でしょうか)











ブリダを起こし立てて筬をそわせます。開口したスペースに右側からトウンダを通します。筬を手前に戻し、ブリダで強くはたきます。



緯糸の平織りの一往復が終わりました。
ブリダとブンブガンを右側に抜きます。
ブリダを抜く



ブンブガンを抜く



色糸で浮き織りA⇒地糸で平織り(下糸)⇒色糸で浮き織りB⇒地糸で平織り(上糸)を繰り返します。

今回の地糸は2本取り、色糸は3取りでした。
色糸のモチーフは4回往復して、次に替えました。



再びソンケット織り  (織りの手順 1)

2015年03月10日 | バリ島伝統織物ソンケット/腰機
1年ぶりのソンケット織りです。1日2時間で6回の予定です。タブレット版での動画の投稿方法が分からないので、ひとつひとつの動きを織り手の正面から写真に撮りました。文章は織り手側からです。


事前の作業
上糸そうこうの竹を持ち上げ易いように少し太いのに変えています。



上糸そうこうを持ち上げたところ。中筒のブンブガンの上をわたすので、全ての糸を通さず、数本づつまとめています。



モチーフごとに一つ一つ糸そうこうされています。織る前に糸そうこうを椰子の葉脈に移します。




整経はすでに終わっていましたので、織り始めからです。
1. 
モチーフから次のモチーフへ移るところから、スタートです。
経糸には使うモチーフの順番に糸そうこうされていて椰子の葉脈に移し終えているのを1本、手前に引きます。割れている葉脈の先端にソロッグを入れて静かに差し込み、入れ替えます。葉脈は抜きます。(織り手側から写す)



2.  色糸で浮き織り A (左から)
筬 (スラット Surat) を手前からソロッグ側に動かして、ソロッグ(Sorog)を起こし立てます。モチーフの糸だけが上に上がり、開口されたところに左から順に色糸を通していきます。色ごとの浮き糸は右から入れ左手で受け取ります。






織り面は裏になります。織り手側から写す



3.  地糸で平織り (下糸が上)
手前に筬を引きます。
コソコソ (上と下糸を分け合う) をしてから、手前側の下糸そうこう ゴーングデ (Guungade) を左手で上げて、右側からブリダ (Blida) を入れて、強くはたきます。









ブリダを起こし立てて筬をそわせます。開口したスペースに左側からトゥンダ (Tundak) で緯糸を通します。 
<プレティン(Pleting)に地糸を巻き、トウゥンダに入れる>
筬を手前に戻し、ブリダで強くはたきます。





プレティンとトウゥンダ (シャトル )



2回目終了。ほんのわずかな進みです。



先生のお母様の代から30年、使っている機です。










シドゥメンのRumah Tenun (機織りの家)でソンケット織りを学ぶ

2015年03月09日 | 織りの旅/海外
1週間の予定でシドゥメンに行きました。 Rumah Tenun (House of weaving)に泊まりながらソンケット織りを習います。

ひと棟だけのホームステイですが、使いやすくとても落ち着くお部屋です。

先日泊まったGiri Carikを過ぎ5分ほど歩いて左側です。



部屋の入り口



ウェルカムドリンクと果物です。Waniという果物で始めて食べました。白いマンゴーのようです。



洒落たドア止め



間仕切りに織りのモニュメントが。



珍しいインディゴ染めのソンケットが壁を飾っています。
先生の作品です。







裏側



机があるのが嬉しいです。



鮮やかなベッドカバー




洗面台とシャワールーム





ベランダからの風景






先生の Nengah Sukri さんです。小学生の娘さんがいます。近くのワルンで働いていますので、午前中の2時間が織りの講習となります。始めにお手本を見せてくれました。
今回、草木染めの糸は準備出来ないため市場で手に入る糸を使用しています。








Rumah Tenun
Hosts  Nengah Sukri & Ketut Laba (ご主人)
    Jalan Pura Dalem Cepik Sidemen-Karangasem
    BALI 80864 INDONESIA
    +6281916248209 (ご主人の携帯番号)
1泊 (朝食付き)   RP.250000 (一人の場合)
講習代 1時間   RP.70000