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バリ島ウブドの小路は手工芸にあふれています。バリヒンドゥーの信仰に息づく暮らしに触れながら手織りの時を楽しみたい。

唐古・鍵考古学ミュージアムに行ってきました

2022年06月15日 | 腰機(弥生原始機)輪状式 / in Yamato / 2022年
唐古・鍵遺跡は二上山にも近く、石器の材料となるサヌカイトは二上山北麓で採れます。3万年前ごろの旧石器時代には二上山ふもとで奈良県最古の人類が表れ、石器の制作が始まっています。縄文時代には土器も作られ人々の暮らしは連綿と続いていました。
弥生時代でもサヌカイトは利用され、唐古・鍵のムラで石剣や石槍の完成品に仕上げられていました。
唐古・鍵遺跡は奈良盆地のほぼ中央にあり初瀬川と寺川に挟まれた弥生時代の集落で、面積は42ha。
遺跡からはムラを囲む環濠、竪穴住居、井戸、青銅器の
工房跡、機織りの部品(糸巻、糸をよる道具、布送具、
緯打具)、針、麻縄などが出土しています。

「輪状式原始機の研究 東村純子」の発表された論文に布送具の類例の一覧表があり、弥生前期(2点)、弥生後期(1点)
とあり、本物を見たくて早速考古資料が展示されている「唐古・鍵考古学ミュージアム」に行ってきました。

側面に凹凸の加工がある布送具。2材で1組。
出土した布送具の図(論文よりコピー)




緯打具(刀杼)と糸巻

縫い針

右側の建物が「唐古・鍵考古学ミュージアム」
ちょうど田植えの時期でした。



川の高低差を利用した水耕稲作は弥生前期には既にあり、後に広大な平野は穀倉地帯と発展していきます。勢力争いも増したであろうと想像出来、この辺りが古墳時代に続く地であってもおかしくはありません。ヤマト統一の象徴でもある銅鏡を作る鏡作りの中心地でもあり、三神二獣鏡が所蔵されている鏡作神社など五社が今でもあります。

機織り技術も大陸から伝わってきました。
腰と足を使ってタテ糸を引っ張る、輪状式整経の腰機は原始的であり、歴史は紀元前にまでさかのぼると吉本忍氏は書かれています。中国雲南省、李家山遺跡・石さい山遺跡に最古の機織りの像が出土、紀元前2世紀頃のものと見られるそうです。

李家山遺跡の腰機の像



腰機はブータンの織りに触れたのが始めてで、バリ島ではYouTubeなど見ながら自己流で織っていました。古代ヤマトの地で再び織ることになるとは不思議なご縁です。

戦いのない共同体の縄文時代から弥生時代へと移るさまを想像し、遺跡を辿っています。


参考
奈良県香芝市二上山博物館
(旧石器文化を紹介する石の博物館)
唐古・鍵考古学ミュージアム
タテとヨコ 色とかたちのフィールドワーク 吉本忍
輪状式原始機の研究 東村純子




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