イカットの島 / バリ島に暮す / 風に吹かれながら

バリ島ウブドの小路は手工芸にあふれています。バリヒンドゥーの信仰に息づく暮らしに触れながら手織りの時を楽しみたい。

バリ島で購入した糸で織る

2013年05月27日 | おりひめ手織機 で織りを楽しむ
写真   黒と黄の敷物
      織り糸は日本から綿、絹、麻、など温かな気候に合わせて細い糸を多少準備
      してきましたが今回はバリ島で購入した織り糸で織ってみました。
      数年前に糸がどこで手にはいるのかウブドにあるイカットの品物を扱っている
      お店に聞きまわったことがあります。クルンクンのパサ―ル内にあるということで行ってみました。
       今回、ソンケットの織りを教わったワヤンさんに聞いてコマンさんに案内してもらうと同じパサールでした。
       綿がほとんどで色や太さの種類はあまり多くなく化学染料のようでした。ひとたば売りで10かせあり、
       ひとかせが25グラムほどです。綿の黒糸でひとたばが65,000ルピア(約650円)でした。

写真 かせから糸玉にした黒糸
      クルンクン パサール内 (Klungkung Pasar)
       ショップ名 Nyoman  Arki  Tel / 081916614946
                         Wayan Astiti Tel / 081236142435  (2011年に紺色購入)     
       私が持ってきている筬は15羽、20羽、30羽だけです。購入した黒糸は細く経糸には
      できませんでした。上諏訪の講習の残糸20/3が手元にありましたので30 羽の筬を使い
       1羽に2本通し、黒糸は2本どりで緯糸にしました。30羽筬の丸羽ははじめてです。
       おりひめ手織機の綜絖はセパレータという薄いプラスチックに3か所の穴があいてあります。
       1綜絖に90本ほどがセットされていますので4綜絖で360本となります。これ以上必要な時はセパレータを
       補充します。今回の織りは20センチ幅で360本の経糸の数でしたのでぎりぎりでした。

写真  機の後ろから見たセパレータ

       織りの企画 Handweaver’s Pattern Directoryから32ページ
        幅20センチ、長さ100センチ
      経糸 30羽(丸羽=1羽に2本)
       約6寸なので 30×6×2=360本
       整経 100+16(ふさ分)+70(ロス分)=186センチ
       踏み木の3→2→1→4の繰り返しを1センチ織った後に1→2で1パターン

ソンケットを織る 1

2013年05月25日 | バリ島伝統織物ソンケット/腰機

写真1 バリ伝統織物ソンケットを織る(黄色の模様の部分、3センチほどで3時間かかりました)

ソンケット (Sonket) を織るクルンクン県トジャン村 (Desa Tojan) のワヤンさんに会いに12日に再訪しました。正午から4時まで機織りをしてきました。 先日、インドネシア語の先生から伺っていた「UNDOK」とはバリ語でEndek と言いバリ伝統の緯絣のイカット(インドネシア語)織りのことだとわかりました。ワヤンさんの織りは三方のふちに浮き織りの模様をいれるソンケットでした。(バリ語とインドネシア語ともソンケット)
結婚式に着るサロンの上につけたり男の人の頭巾、ウダンなどに使われます。 模様のデザインは別に考える人がいてデザインを買うそうです。ワヤンさんは10歳から見よう見まねで織りを覚えたそうです。昔は機を織る人は村にもたくさんいたそうですが今では少なくなったとのこと。クルンクン県やウブドから買い付けの人がきて直接売るということで村の市場に出回らないみたいです。幅60センチ、長さ150センチぐらいのソンケットで経糸の準備に5日ほどかかり、月に4枚~5枚しか織れないそうです。準備してくれた経糸は1080羽の筬(スラット)で1羽に上糸と下糸をいれるので2160本の多さです。

写真2 竹で作ってある筬、1080の数字が書きいれてある
浮き織りの部分は細い竹で模様の数だけ何本も経糸にセット(糸綜コウ)してあり、とても根気が必要な作業です。機は地機で手前の男巻き棒(アピッ)の両端と腰の後ろに当てる太い棒(ポール)の両端をひもでつなぎます。両足を伸ばし下の方の木に足をあててつっぱり経糸にテンションをかけます。
平織りの地糸の開口の前に経糸の上糸と下糸を分けます。高機の足踏みで綜コウを変えるのと違い手順がなかなかわからないまま時間がきてしまいました。2011年にシドゥメン村でソンケット織りの体験をしていましたが覚えていないのにがっかりです。ワヤンさん宅にまた行く予定です。

写真3 小さな薄い板に巻きつけた赤糸・黄糸で浮き織りの模様を織る。織っている面は裏になる。

コマンさん 3

2013年05月20日 | 暮し
                    写真 バリ中西部の棚田

          コマンさんの村(Banjar Kangin Desa Tohpati)にはバンジャールが4つとスバックがひとつあるそうです。
          地域共同体のパンジャールは約100世帯で営まれています。まさにゆりかごから墓場まで
、         先進国でいう福祉政策が相互扶助の精神で連綿と続けられていることに驚きます。
          税金という形で集められ各行政区に再配分されるのではない仕組みがバンジャール
          なのではと感心します。
          コマンさんも忙しい仕事の合間に足繁く村に戻りバンジャール (結婚して始めて成員) の青年会の集会に
          でかけていきます。次の世代となる青年同士が集い地域社会のルールを学びあっているように思えます。

          田んぼの水利管理のための水利組合スバックはひとつです。バリ島の川の地形は高低差があるので
          川から水は引けず、上流の湧水から用水が整備されています。その水を公平に
          分配するのがスバックです。
          村の東と西の道をはさんで稲の神デヴィ・スリを祭るお寺があり、水門は東西で切り替えるそうです。
          東の田んぼで水を使う時は西ではピーナッツの栽培、西の田んぼで使う時は東では
          ピーナッツというぐあいです。
          田んぼを持つ人がスバックの成員なので、バンジャールの成員とは一致しないそうです。
          紀元前5世紀ぐらいから稲作や青銅などをもった民族の中国南部から南への移動が
          あったと考えられています。          
          中国南部、ヴェトナム北部が発祥地ともいわれるドンソン文化 (青銅器文化)の影響が
          バリ島にも存在しています。ガムラン楽器の青銅もそうでしょう。ぺジェン村には直径1,5メートル、
          高さ2メートルの青銅製の銅鼓が保存されています。
          このように稲作の歴史はとても長くバリ島の棚田の美しさは人の手が作り上げてきたことを想像すると
          その長い年月に気が遠くなります。
          そして公正に水を分け合ってきた人びとの知恵に学ばされます。自給自足の島、それがバリです。

コマンさん 2

2013年05月13日 | 暮し
                         写真 コマンさん

          バリ・ヒンドゥーにはカースト制(階級制度)がありコマンさんの家はスードラのカーストに属しています。          
          名前のコマンは3番目に生まれたということです。
          1番目がワヤンwayan,プトゥputu、ガディgadeの中からいずれかを選びます。
          2番目はカディkadek、マディmade、ナガァnengah。3番目はニョマンnyoman、コマンkomang、コミンkoming。          
          4番目はクゥトゥトゥkututのひとつです。5番目は一番目に戻ります。(男性はi女性はniが前につきます。)          
          ですから名前を呼んでもワヤンさんはたくさんいるので、私たちは髪の長いワヤンさんとか、身体の大きい          
          ワヤンさんとか言っています。バリ・ヒンドゥでは子孫に生まれ変わると信じられています。
          個人の主張よりも命のくさりのひとつなのかもしれません。




インドネシア語の先生

2013年05月11日 | 暮し
                 写真 未完成なホームスティ

          毎週、土曜日にインドネシア語を勉強しています。先生は、数年前近くのスパの受付で働いて
          いた人で当時は昼間働き、夜間に日本語学校へ通っていたコマンさんです。
          とてもガンバリ屋で実家はTohpati村の農家です。お姉さんはホテルで働いていて学費の援助を
          してくれていました。こちらの家族の絆の強さを感じます。2年ぶりに再会しました。

          現在はクタのホテルでの仕事と日本語を教えているそうです。早速、一週間に一度の
          インドネシア語の勉強をお願いしました。先日、彼の実家に伺いました。コマンさんが
          手入れをしているお庭はかわいい花にあふれていて心地よい空間です。
          将来のホームステイ用の家も途中まで出来ていました。農家では食べていけても、
          お金はそれほど得られません。あと数年、町で働いてホームステイの家を完成させる計画です。
          村を離れ働き、夢の実現に向けて着実に歩いている姿勢に感心します。

          コマンさんの紹介でUNDOKという伝統的な織り物を織っている人に会いました。
          5月12日に織り方を教わりに行く予定です。ソンケットに似た浮き織りのようでした。
          今から楽しみです。