イカットの島 / バリ島に暮す / 風に吹かれながら

バリ島ウブドの小路は手工芸にあふれています。バリヒンドゥーの信仰に息づく暮らしに触れながら手織りの時を楽しみたい。

田んぼに囲まれて

2013年06月24日 | 暮し

一年中、バリ島では黄色の稲穂やまだ植えたばかりの青々とした稲などが
混在してあちこちで見られます。
田んぼに囲まれたロスメンなので田んぼの様子を観察してみたいと
定期的に写真におさめてみました。(ロスメン前とその隣の田んぼ)
田んぼの近くには稲の女神デウィ・スリを祭るお寺があります。
デウィ・スリはバリ島独自の信仰です。

 バリ島が独自の高い宗教文化を発展させ保持し続けられるのは
 その豊かな米の生産力が人びとを守り、支えているからだといわれています。
 (出典 STORY LINES by I Nyoman Tantrayana)

もうひとつの名前はデウィ・チリと言い、稲を刈る田んぼには稲の茎を束ねた人形を作ります。
写真 稲刈りを待つ田んぼの脇に作られていたデウィ・チリ

二つの暦を持つバリ島ですが稲が実るまでの210日を一年としたのがウク暦です。
1970年代に生育期間が短い新品種が導入されたそうで二期作が可能になりました。
稲刈りと田植えがあちこちで同時に見られるのは新しい風景だそうです。
写真の田んぼの田植えは3月24日で6月13日に刈り入れがありました。
刈り入れは大勢の人が雇われて一気に済ませてしまいます。
刈り取った先から束にして振り上げ、打ち付けて穂を落としていきます。
5~6回で全て落ちるのかと思いますが残った束はそのまま山になっていきます。
ロスメンのカディさんの話では稲を買い付ける人が雇うそうです。
田んぼの持ち主が刈り入れをして市場に売りに行くと思っていましたが米を扱う
商人に売っていることに驚きです。観光エリアのウブド周辺のやり方ではなさそうで
ギャニャ―ルでも同じだそうです。刈り取り後はあひるを放して落ち穂を食べてもらいます。
毎日、行列で田んぼに出勤するあひるを見るのは楽しみです。100羽ぐらいが
右から左へと動きまわり、ひとつの田んぼが終わると次の田んぼに向かいます。
指示するあひるがいて動いたり休んだり同時の動きをするが不思議です。
ある日突然に、小さなあひるたちに替っていました。バイクに乗せられ大きく育ったあひるが
市場に売られていくのを見た時に謎がとけました。市場では肉として売られていました。
循環している日常を感じます。農作業は朝早くにしているのでしょうか日中は
あまり見かけません。雑草もあちこちに出ていました。
田んぼには少なくなりましたがホタルもやってきます。鎌倉の小町通りのような
にぎやかなモンキーフォーレスト通りから10分たらずで田舎の風景に出会えるのが
ウブドの魅力でしょうか。刈り入れが終わり次の田植えまでしばらく田んぼもお休みです。
次がいつなのか楽しみながら待ちましょう。

           写真  田んぼの移り変わり  

ソンケットを織る 5 (手織りの工程)

2013年06月17日 | バリ島伝統織物ソンケット/腰機
     写真 シドゥメン村でのソンケット織り体験の作品 (2011年体験)
 
6-5 地糸の緯糸を織る
ゴーンクデを上げて右からブリダを差し込み、下糸を上に入れかえる。ブリダではたく。
ブリダを立てて開口する。筬の手前に地糸の緯糸を通す。ブリダではたく
写真 ブリダではたく 

上糸を上げて開口、はたく、緯糸の地糸、はたく、経糸を閉口して色糸で浮き織り、
下糸を上げて開口、はたく、緯糸の地糸、はたく、経糸を閉口して色糸で浮き織り、
途中でモチーフの切り替えがはいる。これを繰り返します。
写真 糸の流れと織りの道具

ひと通りの流れを思い出しながら書いてみました。正確かどうか自信はありませんが
とりあえず記録してみました。

午後1時から6時までの講習でした。途中、整経での間違いがあり筬に通せず
時間をロスして残念ながら織る時間はわずかでした。

かつてはDesa Tojan 村内でも各家で織られていたソンケットですが今では10人足らずだそうです。
時間が長くかかる織りよりも賃金労働の方が割がよいのでしょう。今回は
仕事としている機を使わせて頂きました。その間ワヤンさんは自分の織りが出来ません。
体験の織りの続きをワヤンさんに仕上げてもらい講習代を含めて、希望通りの
500,000ルピア(約5000円)を支払いました。高いのか安いのかは問題ではなく、作り手
との直売は途中のマージンが無く、作り手にとって適正な価格での取引につながるのではないかと思いました。

ソンケットを織る 4 (手織りの工程)

2013年06月13日 | バリ島伝統織物ソンケット/腰機
6-3 地糸の緯糸を織る。
左手にゴーンクンダン(上糸の糸綜絖)と右手にゴーンクデ(下糸の糸綜絖)を持って
前後に動かし、糸を分け合う。左手でゴーンクンダンを持ち上げ糸の間に
ブンブガンを右から差し込み、上糸と下糸とに分ける。
  写真 たけひごの模様とソロッグ。右からブンブガンを差し込んでいる

ブリダBlida (片側をまるめてある厚く重い木。筬ではたかずブリダではたく)を
右から差し込み筬の外側を強くトントンとはたく。立てて開口する。筬の手前に
トゥンダで地糸の緯糸を通して織る。ブリダではたく。ブンブガンとブリダを右側に抜く。
  写真 右から細い竹で浮き出たモチーフ、ソロッグ、ブンブガン、ゴーンクンダンとゴーンクデ、立てたブリダ、筬、色糸 

6-4モチーフを織る
色糸をモチーフどおりに通す。
  写真 右から立てているソロッグとゴーンクンダンとゴーンクデ、筬、浮いた間に色糸を通している

色糸は2本取りで5回(デザインで異なる)往復したら次のたけひごの上にソロッグを
差し込みモチーフを変える。
    写真 ソロッグとブンブガンを差し込んでいる

エンディック(緯絣)を買いにギャニャールまで

2013年06月10日 | 織りの旅/海外
 写真 買ってきたエンディック

カディ若奥さんの実家はギャニャールで、お母さんはパサールでお花の供物を作って売っています。
カディさんに頼んでギャニャールまでエンディックを買いに行きました。バイクの後ろに乗せてもらい、ウブドから40分ほどです。ギャニャールの街中に入る手前にカディさんの知り合いの店にも寄りました。
ギャニャールは観光地のウブドと違い食べ物も日用品も地元価格で気に入りました。パサール内は小さな店舗がひしめきあっていて迷路のようです。製品化する前の様々な布が並ぶ中、ソンケットもエンデックも少なく感じました。エンディックに似せたプリントやミシンで刺繍してソンケットに似せているのもあります。私は現代的なデザインではなく昔のデザインで値段もお手ごろなのを探しました。
100センチ幅の長さ200センチでカディさんが価格交渉をしてくれて140,000~150,000ルピアでした。
カディさんも娘さんのサロン用を購入、こちらは模様が細かく染めのずれが少なく倍の値段です。
仕入れ先はお店の話ではシドゥメンかクルンクンの2か所だけだそうです。クルンクンのGelgelにもあるとカディさんから聞き、行ってみるつもりです。

      
写真 VIDYA Busana 店内 と
   ギャニャール パサールの店内 

ソンケットを織る 3 (手織りの工程)

2013年06月09日 | バリ島伝統織物ソンケット/腰機
                 写真 糸綜絖を持ち上げてブンブガンを差し込んでいるワヤンさん。

5. 経糸のモチーフの準備
浮き織りのモチーフはひとつひとつ糸綜絖されています。
糸綜絖を持ち上げブンブガンを通して開口する。たけひごを通し
浮きの部分を上糸と下糸とに分けてモチ―フを移す。全て終えたら手前のたけひごを奥に動かしておく。

  写真  移しおえたモチーフ(経糸に通したたけひごで模様が見える)


6. 織り始める
6-1 まずは地糸の緯糸を織る。地糸はプレティンPleting (子管) に巻いて
トゥンダTundak (シャトル) に入れて織る。
  写真 左がトゥンダ

6-2 モチーフを織る
モチーフのところにきたらソロッグ (経糸をモチーフごとに上と下に分ける板) を
たけひごの上に添わせながら右側から差し込む。(シドゥメン村ではたけひごに
移す作業は無く直接、モチーフの糸綜絖を上げてソロッグを差し込み、立てて
糸を浮かせ色糸を通していました。)
ソロッグを立て、浮いた箇所に色糸(薄い板または紙にまいておく)を通す。
始めに黄色の糸を入れる。次に赤糸を入れる。赤糸は黄色の糸の上を通す。
    写真 色糸を通す
織りは裏側が上になるので表は黄色の糸の模様と赤糸の模様となる。 
  写真 左が裏、右が表