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今現在、アマゾンの本の売り上げランキング1位は、青木新門『納棺夫日記』(文春文庫)だ。言うまでもなく、今年のアカデミー賞外国語映画賞を受賞した映画「おくりびと」の原作、ということで、映画共々、大変な人気になってるらしい。
僕はアカデミー賞のニュースを聞いた時、そうそう確かこのテーマを扱った本がウチにあったよなぁ・・・って探したところ、ありましたありました熊田紺也『死体とご遺体 夫婦湯灌師と4000体の出会い』(平凡社新書、06.4)って本が。
映画では納棺になってるけど、この本では湯灌。湯灌とは「死体を洗い、化粧を施し、仏衣を着せて旅立ちのための“ご遺体”にする儀式」のこと。
著者はバブル崩壊による会社倒産、多額の借金を抱えて、仕事を転々として、在宅入浴サービスを経て、葬儀社の湯灌サービスに身を投じる。理由は“介護サービスより格段に身入りが良い”というものだった。
で、この本は、葬儀社で経験を積み、独立。夫婦二人三脚でビジネスを成功させていくという内容なんだけど、そういうビジネスライクな動機で身を投じた著者が、洗体や遺体の修復の技術というものではなく、遺族とのコミュニケーションそれを超えた癒し、遺族との一体感を感じることになり、仕事により深く入っていくことになるプロセスが描かれていて、実に面白い。
湯灌そのものは、葬儀社から依頼を受けて行うものなのだそうだけど、ウチのオヤジの時は、そういう記憶は一切ない。臨終の時は配達してて、死に目には会えなかったから、どうだったかお袋に聞いてみたけど、記憶にないという。
この本によれば、病院で亡くなった時は、看護婦がアルコールを浸したガーゼで遺体を拭いたりしてるそうで、病院内で完結していたらしい。
この著者が一番辛いのは、幼い子どもであるという。悲嘆に暮れ、動くことも出来ない両親を前に、悲しみを堪えてプロとしての仕事をこなし、湯灌そのものは、奥さんに任せる。母となるべくして生まれてきた女性の方が、遺族の癒やされ方が違うというのだ。
遺族は、泣きながら奥さんに話しかけてくる。話さなければいたたまれない心情の中で、少しづつ遺族の心のケアをもするという湯灌の仕事。改めて読み返してみて、映画を観たくなってきたね。
当然、この本にも先達の仕事として、『納棺夫日記』も参考文献に載っていて、本文中にもたびたび引用されています。
↓『納棺夫日記』を読んだ、読んでみようか、って思った方はワンクリックお願いします。
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