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先日、理系ブログとして著名な幻影随想さんに<
「ビタミンAがなければ、リンゴを食べればいいじゃない」byヴァンダナ・シヴァ>というエントリーが公開され、「ヴァンダナ・シヴァの発言内容も、それをもてはやす側の視野の狭さも、はっきり言って反吐が出そうなくらいひどいもの」という強い批判がなされていて、いささかびっくり。
ヴァンダナ・シヴァ氏はインド出身の環境活動家(哲学者、フェミニストとかいろんな肩書があるんだけど、それは置いとく)で、
緑の革命に代表される中央集権的な開発への批判、伝統的な農業の擁護、その延長としてのバイオテクノロジーに対する批判的な研究者としてよく知られているし、反GMの立場に立つ、日本の生協の創立記念講演に来日するなど日本との縁も深い人。
書棚を漁ってみたら、『緑の革命とその暴力』、『生物多様性の危機』といった本が出てきて、反グローバリズムという点では、僕にとっては一定共感してた人物だったんだけどねぇ・・・トンデモなの、彼女?
リンク先のエントリーはかなりの長文なので、多くは略すけど、彼女が発言したのは、遺伝子組み換え技術を使い、ビタミンA含有率が高いゴールデンライスを開発したことに対して、それが「飢餓に苦しむ子どもたちを救うことにはならない、りんごを食べれば良いこと」と批判したという部分。
それが何でトンデモないかというと、りんごではビタミンAを摂れない、そもそも貧困層は食べることに精一杯で米を主食としているアジア地域では、主食でビタミンを補充できることは大変有効で、彼女はそれを無視している、要は
「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」というのと何ら変わりはないということ。さらには、企業の食糧支配、種子支配を彼女は批判してるんだけど、“ゴールデンライスの特許は無償公開されている”という事実をどう見るのか・・・とまぁ、簡単に言えばそんなところ。
ううむ。でエントリーはさらに続くんだけど、仮に遺伝子組み換え技術を追放したところで、バイオ企業は研究の主軸を遺伝子組み換え作物から、従来の品種改良技術の延長線上にある新たな育種技術=ゲノム育種へとシフトさせていて、そうした代替え手段によって、資本力のないところは品種改良から手を引き、より資本力のある巨大企業の寡占化が進みつつある、というのですね。
つまり、偏狭な反GM運動は、ゴールデンライスのような命を救う可能性を封じた上に、彼らの忌み嫌う多国籍企業の農業支配に結果的に手を貸している、という彼らにとって壊滅的な批判がされているわけです。
管理人の黒影さんはこう結論付けます。
「すくなくとも、あと10年経てばゲノム育種による新品種が台頭し、反遺伝子組換えという立ち位置は反多国籍アグリのスタンスとしては無意味なものと化します。
そのとき彼らはどうするのか?
F1品種を否定し、緑の革命を否定し、遺伝子組換え技術を否定し、そしてまた新たな技術を否定するのでは何の進歩もありません。それは単に技術の進歩から目を逸らしているだけです。いい加減、彼らは技術を自分のものとして取り込み利用することを覚えるべきでしょう」
↓遺伝子組換え技術の可能性について改めて考えてみよう、という方はワンクリックお願いします。
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