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先月30日、フランスの人類学者、クロード・レヴィ・ストロース氏が亡くなった。享年100歳。僕が大学に入った80年代に流行っていたフランスの現代思想の大御所だった人だったけど、その代表的な論客の最後の一人が逝ってしまった(追悼・レヴィ=ストロース 内田樹の研究室)。
体調を崩していたと伝えられてはいたけれど、死の前日には、日本での翻訳者・川田順三氏と電話で話したというから、最後まで頭脳は明晰だったんだろうね。文字通りの大往生。
僕の頭では『親族の基本構造』『構造人類学』『野生の思考』などは理解できなかったけれど、文学的作品とも言える『悲しき熱帯』位かなぁ・・・向き合えたのは。
自分にとって、“死”というのは、遠い先のこととは思ってはいないんだ。長野で言う“ピンピンコロリ”(健康で老後を過ごして、ぽっくり死ぬ)というのが、理想みたいに言われるのに、僕はちょっと違和感を感じるんだよ。
そりゃ、長い間寝たきりで、下の世話をずっとされてさ、家族に介護の負担をかけさせるのは誰だって嫌だ。でもねえ、“年相応に衰えていって、自分の人生を振り返りながら、緩やかに死を受け入れていく”僕は、その方が良いなぁって思ってる。
5年前に長い間欝に苦しんでた僕の同級生が自殺したって話を聞いたんだ。それ以降かな、死生観を意識するようになったのは。肉親だったら、年齢の順番って、あるじゃない?悲しいけど仕方がないってところがあるけど、“同世代の死“というのは受け取り方が違う。
理由はともかく、あぁ、自分もそんなこと意識する年齢になったんだなぁ、って思うよ。
それからだね、いろんな“老いや死“に関する本や、闘病記を読むようになったのは。今も、胸に違和感を感じてるけど、そういう状態が続くと余計にそういうことを意識するね。
この前、カズヒロ君ちに行ってさ、このブログの「管理メニュー」教えとくから、僕が死んだら、告知を頼むって言ったのさ。彼は笑ってたけど、順番は不慮の事故や、癌などに侵されなければ、間違いなく、僕の方が先。
「それもそんな先のことじゃない」って思ってるんだ。冗談じゃなくね。
まぁ、そこまで彼との付き合いが続くかどうかはわからないんだけど。
中島梓さんの『転移』を一昨日読み終わったんだけど、彼女は20年近く、癌と付き合ってきて、膵臓から、肝臓に転移。苦しみながら、最後の9カ月を綴った壮絶な日記。
抗がん剤に苦しむ中、執筆、ピアノライブを最後まで続け、昏睡状態になるその瞬間まで、ノートパソコンに向かう心境っていかばかりか。読んでいて圧倒されてしまうよ。
今日の新聞に作家の井上ひさし氏が肺ガンで、抗がん剤による治療をしているという記事が載ってた。時間をかけて病気に向き合える癌になるのは、果たして、幸か不幸か。そんなことをね、最近、ずっと考えてるんだ。
※<Memento mori>中世ヨーロッパで流行したラテン語の宗教用語で、「死を想え」「死を忘れるな」の意味。
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