ひーさんの散歩道

道には、様々な歴史や文化が息づいている。
歴史に触れ風景に感動し忘れていた何かを探したい。

三輪車の男の子

2009年02月21日 14時17分04秒 | 恐怖実話&不思議
この話は実話です。

仮名(伸一としました。)


伸一の運転するバスは、福島県に入り、会津を見学し県内の温泉に向かっていた。

古い家並みが、昔の街道筋であったことを想像させる。

バスは、温泉街に入った・・・、その中でも代表する大きなホテルへと到着したのである。

伸一は簡単にバスを洗車し宿に入った。

いつものように、トレーナーと白いジャージに着替え、乗務員用にセットされた夕食をレストランの一角で食べた。

話す相手も無く、一人でそそくさと平らげ、その足で大浴場へ向かう。

それが伸一のいつものパターンであった。

それは、殆どの客がこの時間に宴会や食事をしているので、お風呂は貸切状態!

何よりも、一番のんびり出来る時間なのである。

部屋に戻ると、冷蔵庫に持ち込んで冷やして置いた缶ビールを「プシュ」と開け「ゴクゴク」と飲む。

『ン~生き返る~』 伸一はこの瞬間がたまらないのだ!

バックの中から地図を取り出し、明日のルートを確認するが、特に今回は、東北なので難しくもなく、すぐにしまった。

テレビのスイッチを入れ、又ビールを口にした。  テレビは見るわけでも無いのだが、一人で居ると寂しいのでいつも点けっぱなしなのである。


朝早かった伸一は、眠くなり・・・部屋の照明を落としテレビをつけたままベットに潜り込んだ。

するとあっと言う間に睡魔に襲われ、寝入ってしまった。




「カラカラカラ・・・・キー・・・・・カラカラカラ・・・・キーキー」


「カラカラカラ・・・キーキー・・・・カラカラカラ・・・・」



金属のような音で伸一は目を覚ました  『・・・・・ン?』 なんの音だ?



伸一は目を疑った。

小さな子供が三輪車に乗って、部屋の中をグルグル回っている。

その金属音の音源は、三輪車を漕ぐ音だったのだ。

『なんでこんな深夜に・・・・?』

伸一は声を掛けた 『僕! どうしたんだい?こんな遅くに?』

三輪車の男の子は、こちらを見てニコニコと笑っている。

「ハハハハ・・・・・  ハハハハ・・・・・」と笑い声だけが部屋の中に木霊した。

男の子は笑いながら、客室のドアをすり抜けて行った。

『ウオッ!・・・・・・・』



翌朝、伸一はチェックアウトの済に、フロントで従業員に話した。

『このホテルのお坊ちゃまですかねぇ、夜遅くに元気ですねぇ、三輪車に乗って部屋に遊びに来ましたよ。』

「エッ!?」 従業員は不思議そうな顔をしたしたが、すぐに支配人が出てきて、「どうぞ、事務所の方へ」と、伸一を案内した。

「実は数日前、このホテルのお子様と仲のいい子が道路を挟んで向かいに住んでいるのですが、三輪車で遊んでいる時に、交通事故に遭われまして亡くなってしまったのです。」

支配人は、伸一に封筒を差し出した。

『これは?』

「このことは、他言されませんようお願いしたのですが・・・」

ホテルにとっては、変な噂が広がれば、死活問題・・・・封筒には現金が入ってました。

男の子の成仏をお祈り致します。



 
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