平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

脳内汚染(2)

2006年03月31日 | 最近読んだ本や雑誌から
子供の特徴の一つは、模倣性です。子供は大人のすることを模倣して成長していきます。言葉をおぼえるのも模倣によってです。大人の模倣なしには子供は人間になれません。

動物に育てられた子供という事例があります。ある年齢まで動物に育てられた子供は、その後いくら言葉や人間の習慣を教えても、人間的な社会生活を送ることができません。子供時代の模倣がどれほど決定的かということを示しています。

私の子供は3~4歳ころ、水泳教室に通っていました。水泳教室では子供たちを水に慣れさせるために、最初に水のかけっこ遊びをしました。私の子供はこれが楽しくてしかたなかったようです。ところが、公園で砂遊びをしているときも、近くの水道でバケツに水を汲んできて、それを友達にかけようとしたのです。その当時の本人にはイジメの気持ちすらありませんから、これは水泳教室でやっていた楽しい遊びを公園でもやろうとしただけにすぎないのでしょう。

しかし、水のかけ方が下手で、水はいつでも相手にかからないで、自分にかかってしまったので(まわりの大人は大笑いでした)、そのうちやめてしまいました。水着の水泳教室と普段着の公園は違う、ということを体験で学んだのです。

ともかく、私の子供は水泳教室の遊びを公園で真似したわけです。

映像情報も子供の模倣を誘発します。やはり私の子供が同じくらいの年齢の頃です。母親がたまたま、畳の部屋ですわって、テレビをつけたまま編み物をしていたら、突然、うしろから本で殴られたといいます。どうしてそんなことをするの、と尋ねると、テレビを指さしました。そこでは、「ドリフターズの全員集合」というお笑い番組をやっていました。この番組では、よく相手をたたいたり、ひどい目に遭わせて笑いを取っていました。子供がそういう番組の真似をしたことは明らかでした。

何年か前に、キムタクがテレビのドラマで「バタフライナイフ」(ジャックナイフ)を持ったことから、バタフライナイフが青少年の間で大流行したことがありました。自分が憧れたり尊敬したりする人を、青少年は模倣します。

こういう実例を見ると、映像情報が子供や青少年に大きな影響を与えることは自明です。

私たちの家庭では、テレビが日々様々な映像情報をもたらしています。そういう情報が子供たちの心に何らかの影響を及ぼしていることは、否定できない事実です。それが、残虐でどぎつい内容であれば、それは知らず知らずのうちに子供たちの心に傷を与える可能性があります。

現在の世界には戦争や犯罪や事故などの悲惨な出来事があふれていますから、どんな人でも、それらに目をつぶって、明るく楽しく美しい情報や映像だけに取り巻かれて生きてゆくことはできません。否応なしに嫌なニュースや悲惨な映像も飛び込んできます。ただし、大人は、否定的な情報に接しても、それを消化し、乗り越えていく力と知恵を持っています。しかし、幼い子供は、それを受動的に受けいれてしまう部分が大きいと思われます。


脳内汚染(1)

2006年03月30日 | 最近読んだ本や雑誌から
話題の本、岡田尊司さんの『脳内汚染』(文藝春秋社)を読みました。この本は、近年になって、日本やアメリカのような先進国で、以前には見られなかった、青少年や、ときには子供による残虐な犯罪がなぜ頻発するようになったのか、という問題を、映像メディア、とくにゲーム機の普及という面から説明しようという試みです。

文藝春秋社のサイトは、この著作についてこう紹介しています。

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ゲームは虚構と現実を混同させ、中毒性があり、脳の発達を妨げ、犯罪すら引き起こす。脳神経学者が医療少年院から問う警告の書!

ゲームやネットに溺れる子どもたちは、(1)仮想と現実の区別がつかなくなり(2)麻薬と同様の中毒症状を呈し(3)脳の前頭前野の発達を妨げられる――。もっとも無抵抗で、自分を守る術を持たないものたち が、とりわけ強い影響を受け、深刻な被害を蒙っているのである。ゲームやネットは、子ども部屋に侵入した厄介な麻薬なのだ。

医療少年院の勤務医として、若者たちの危機的状況と日々向かい合っている著者が世に問う警告の書。
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http://www.bunshun.co.jp/book_db/html/3/67/84/4163678409.shtml

この本には賛否両論があります。私も読んでいて、納得できる部分もありましたが、やや誇張されているし、論理の展開に疑問を感じた点もありました。しかし、全体として、やはり重要な問題提起をしていることはたしかだと思います。学校の先生方、小さなお子さんたちをお持ちのお父さん、お母さんにはぜひ読んでもらいたい本です。

現代の青少年犯罪を一つの原因だけで説明することはできないでしょう。家庭環境、教育環境、薬物、さらには食事や環境汚染さえも複合的に関わっているのかもしれません。その中にあって、「情報環境」とでもいうべきものが、やはり一つの大きな要因になっていることは否定できないと思います。

本書の短所といえば、その情報環境を唯一最大の原因としている点で、その点において、たしかに単純化と誇張は否定できません。しかし、それも問題提起、社会への警告であると思います。

現代社会には、数十年前には存在しなかった膨大な刺激的情報があふれています。そういう情報が人間の意識と行動に影響を与えないはずはありません。

人間は、動物とは違って、単なる物質的環境の中で生きているのではなく、様々な情報に取り巻かれて生きています。そして、20世紀の後半から、人間は膨大な情報の中で生きるようになっています。まさに「情報化社会」の到来です。

その情報も最初は、左脳が処理する文字情報でしたが、テレビの普及以来、右脳が処理する映像情報にが大量にあふれてきています。その映像情報も、最初は漫画のような絵から、最近の3Dゲーム機のような非常にリアルな映像に進化しています。そういうヴァーチャルな映像情報は、人類が過去数万年の進化の歴史の中で一度も経験したことのないものです。そういう映像情報に日々さらされていたら、人間はどうなるのか、ということを、私たちはあまり深く考えてきませんでした。

脳が完成した大人は、ある程度、主体的に映像情報に接することができます。しかし、まだ脳が未完成の子供が、膨大な映像情報にさらされたらどうなるのでしょうか。しかも、それが暴力的であったり、性的な刺激に満ちていたらどうでしょう。そういう映像にさらされた子供が、そうでない子供と同じに成長するとはとうてい思えません。心に何らかの歪みが生ずるのは当然ではないでしょうか。

それはちょうど、お酒やコーヒーのような嗜好品が、適切にとれば大人にとっては適当なリフレッシュメントになるとしても、肉体が未熟な子供にとっては有害な影響を及ぼすことと似ているのかもしれません。


耐震偽装のその後

2006年03月29日 | Weblog
例のマンションやホテルの耐震偽装問題はどうなったのでしょうか。民主党の偽メール事件の陰に隠れて、ほとんど報道されなくなってしまいました。

マンションの入居者が今でもたいへんな苦しみを味わっていることはもとより、耐震強度が不足する病院や学校がほかにも存在するかもしれないというのに、興味本位にそのときどきの目立つニュースだけを取り上げ、持続的な問題のほうは忘れられているようです。

〇ごみ固形燃料化施設で耐震強度不足
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 姉歯秀次・元1級建築士が構造計算に関与し、耐震強度不足があった御殿場市・小山町広域行政組合のごみ固形燃料化施設「御殿場・小山RDFセンター」。姉歯氏の関与から耐震偽装が疑われたが調査の結果28日、フジタの設計図面作成時の連絡ミスという初歩的なミスが強度不足の原因であることが明らかになった。【鈴木英世】
 ◇市長「共同体に怒り覚える」
 組合管理者の長田開蔵・御殿場市長は「欠陥ともいえる施設を建設した企業体に対し、驚きとともに怒りさえ覚える」と述べた。今回の調査は構造設計書類に姉歯氏の名前があったことから始まった。これについて長田市長は「姉歯氏(の名前)に気がつかなければ欠陥施設のまま運営されていた可能性がある。企業体としてあってはならないこと」と建設したゼネコン、フジタ(東京都渋谷区)を批判した。また、県の建築確認検査で設計図面の耐震強度不足が見逃された点について、副管理者の長田央・小山町長は「県にもある意味責任がある。県も含めて確認の体制を変える必要がある」と述べた。
 ◇補強工事は1カ月で終了
 施設の今後について長田市長は「今すぐに建て直してもらいたい」とした上で「ごみ処理は一時も休むことができず、(同センターは)不可欠の生活施設」として、共同企業体の補強工事申し入れを受け入れ、早急に行うことを明らかにした。工事は筋交いの補強や追加などで、同日午後からごみ受け入れを停止して開始。29日からは通常通りにごみを受け入れる。補強工事は施設を稼働しながら可能で約1カ月で終了するという。
 また組合は、トラブルが相次ぐ同センターを巡り、共同企業体に約82億円の損害賠償を求めて係争中だが、今後の対応について長田市長は「関係者、弁護士と相談して決めたい」と話した。フジタは「復旧に全力を傾けていく」と裁判への言及を避けた。
 ◇「想定範囲超える」、強度不足見逃しを釈明--県
 一方、県は28日、会見し、「構造計算書と、それに基づいて作成する設計図に不一致があった」(酒井章次・建築確認検査室長)と原因を説明した。しかし、「不一致が意図的だったかとの確証はない。現段階では偽装と断定できない」との見解を示した。
 同センターの建築確認は95年に県が行っており、県は姉歯元建築士が関与した掛川市のホテルに続き強度不足を見逃したことになる。県は同センターの強度不足を見ぬけなかったことを認めたうえで、「通常は一致する構造計算の1次設計と2次設計の数値が異なっており、想定範囲を超えていた」と釈明した。
 確認機関としての県の責任については、「国の方針や全国的な係争の動向・結果などを見ながら、確認機関の責任の度合いが明確になった時点で判断したい」と述べた。【増田博樹】

3月29日朝刊
(毎日新聞) - 3月29日11時1分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060329-00000024-mailo-l22

これは意図的な偽装ではないようですが、結果的には耐震強度不足になってしまいました。

また、3月はじめに北海道で、姉歯物件以外にも耐震偽装が行なわれていたことが発覚しました。これは2級の資格しかない建築士が、1級しかできないマンションの設計をしたものです。

この設計士に設計の下請けをやらせていたのは、北電総合設計という設計事務所ですが、その名の通り、この事務所は北海道電力の系列会社です。北電総合設計は、設計士が2級であるということを知りながら、1級しかしてはいけない設計をやらせていました。つまり法令違反の手抜きです。
http://straydog.way-nifty.com/yamaokashunsuke/2006/week10/index.html

北電総合設計は泊原発の設計もしています。泊原発は、札幌から車で西へ2時間半くらいのところにある北海道唯一の原発です。マンション設計で手抜きをした会社は、はたして原発設計で手抜きをしなかったのでしょうか? 

浜岡原発の強度不足は有名です。日本各地の原発の強度ははたして名目どおりなのでしょうか? 原発の問題には、原子力そのものの問題もありますが、建築の手抜きという問題もあるのです。


原発問題のその後(3)

2006年03月27日 | エネルギー問題
〇佐賀県、プルサーマルに同意
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準国産エネルギー基盤整う
 佐賀県の古川康知事と玄海町の寺田司町長は二十六日、九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)3号機のプルサーマル計画について正式に同意し、同社の松尾新吾社長に対して古川知事が事前了解書を交付した。同日午前に会談した二階俊博経済産業相による安全確保の確約を受け判断。九電は平成二十二年度にも、プルサーマル発電の国内初導入に動きだす。
 古川知事は二階経産相と玄海町役場での会談で、「安全確保に万全を期してほしい」と要請したのに対し、二階経産相は「全力を尽くして努力する」と応じた。古川知事は二月、MOX燃料使用による原子炉の状態などを検討し、国の厳格な監督と九電の適正な管理で「安全性は確保される」との見解を示していた。
 九電の計画を受け入れた古川知事は二十六日、「大臣に来てもらったことは、何より安心という大きな意味があった」と述べた。安全に対する国の明確な意思表明が地元を安心させ、国は原子力政策の基本とする核燃料サイクルの実現に一歩を踏み出せた。使用済み核燃料からプルトニウムやウランを取り出しても使える原発がなければ無意味であり、「余分なプルトニウムを持たない」とする国際公約が損なわれる恐れもあっただけに今回の同意の意味は大きい。
 核燃サイクルの中核と期待された高速増殖炉は「もんじゅ」の事故で中断し、実用化のめどは立っていない。それに代わるプルサーマルは、当面の要と位置づけられた。九電以外でも、四国電力が国の原子力安全委員会から計画を妥当とする答申を得ているほか、中部電力も国に許可申請を提出、中国電力も地元に対して正式に実施を表明した。凍結状態のプルサーマル計画は昨年来、一気に動き始めている。
 核燃サイクルのもう一方の要の日本原燃再処理工場(青森県六ケ所村)も、事実上の試運転にあたる最終試験入りの了承を近く地元から得られる見通し。九電が発注する燃料は当面、海外で再処理したプルトニウムを使うが、平成二十四年度から日本原燃再処理工場のものの使用も始まる。玄海原発で消費されるプルトニウムはわずかでも、エネルギー資源に乏しいわが国に“準国産エネルギー”の基盤が整う。
 今後の焦点は、多数の原発を保有する東京電力、関西電力の動向だ。両社は不祥事や事故の影響でプルサーマル計画導入の見通しが立たず、二十二年度までに十六-十八基で導入する全体計画に影を落とす。今回の合意は、「他の地点でも進捗(しんちょく)がみられるよう各社が一致協力し、全力を挙げて取り組んでいく」(勝俣恒久・電気事業連合会会長)と流れを変える契機になると期待される。(高橋俊一)
     ◇
【用語解説】プルサーマル計画
 プルサーマルという言葉は造語で、プルトニウムと一般的な原発(軽水炉)であるサーマルリアクターを組み合わせた。原発の使用済み核燃料から燃え残ったプルトニウムとウランを回収し、混合酸化物(MOX)燃料に加工して原発の燃料として再利用すること。MOX燃料のプルトニウム含有比率は4-9%と小さいが、既存の軽水炉で利用できる。すでにフランスやドイツなどで商用化が進んでいる。日本でも日本原子力発電の敦賀原発1号機(福井県)、関西電力の美浜原発1号機(福井県)で合計6体のMOX燃料を使い、試験的に実施されたことがある。
(産経新聞) - 3月27日2時40分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060327-00000000-san-bus_all

佐賀県は当初からプルサーマルを受けいれる姿勢でしたから、この決定は予想されていました。

ヨーロッパ諸国はすでにプルサーマルを実施していますから、プルサーマルそれ自体はある程度確立された技術だと思います。しかし、プルサーマルが実施されても、エネルギー問題の根本的解決にはつながりませんし、それどころか、「再処理+プルサーマル」によって、直接処分よりもコストが増え、電気料金が高くなる可能性があります。

プルサーマルの大きな目的は、エネルギー問題の解決というよりも、「〔原爆の原料になる〕余分なプルトニウムを持たない」とする国際公約を守ることのようです。

しかし、「多数の原発を保有する東京電力、関西電力の動向だ。両社は不祥事や事故の影響でプルサーマル計画導入の見通しが立た」ないときに、六ヶ所村の再処理施設を稼働すると、ますます使いきれないプルトニウムが増え続けることになります。手順が逆ではないでしょうか。

新聞はそういうことも含めて報道してもらいたいものです。

原発問題のその後(2)

2006年03月25日 | Weblog
〇配管に大きなひび
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 東京電力が福島第二原発3号機(福島県富岡町)の検査で主要配管のひびを溶接の跡と誤認して見逃した問題で、東電は23日、ひびが配管を一周していたとする調査結果をまとめ、経済産業省原子力安全・保安院に報告した。
 保安院によると、原発の主要配管でひびが全周にわたって見つかるのは極めてまれ。保安院は全国の電力会社に、検査で一定の基準を超える影が写った場合はひびがあると評価し、溶接の跡と判断する前に詳細な調査を行うよう指示した。
 東電によると、炉心に冷却水を戻す外径60センチ、厚さ38ミリの配管で、最深部で8・8ミリのひびが一周していた。国の基準を超えており、交換が必要だったという。
 報告で東電は、検査員がひびを溶接の跡と見誤ったと断定。こうした全周のひびは過去に例がなく、検査員が「そういったひびはあり得ない」と思い込んだという。
(共同通信) - 3月23日21時55分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060323-00000277-kyodo-soci

安全確保に対する職員の意識のゆるみが気になります。表面に出てきた事故やミスの背後には、もっと多くのミスが隠れている可能性があるといいます。そういうミスの積み重ねが、いつかは大事故につながることは、飛行機事故の場合と同じです。


〇ノズルの溶接がはずれる
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 中国電力は23日、定期検査中の島根原発2号機(松江市、沸騰水型、出力82万キロワット)で、非常時に原子炉へ冷却水を注ぐ配管出口部分のノズルで、さらに9カ所の溶接が外れている可能性があると発表した。
 2号機ではノズル内部の部品7個が原子炉内に落下、ノズル1カ所で溶接が外れ本来の向きから約60度回転していたことが判明。中国電力は原因や関連を調べている。
 島根原発広報課によると、水中カメラで撮影した映像で、溶接が外れてできたとみられるひびなどが見つかった。ひびが貫通しても冷却水は炉心に注がれるため、冷却機能はあるとしている。
 同様のノズルは、冷却水を注ぐ高圧系と低圧系に計208個あり、異常があった計10個は高圧系9個と低圧系1個。
 ノズルは2002年の定期検査で点検し、異常はなかったという。
(共同通信) - 3月23日21時56分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060323-00000278-kyodo-soci

日本の原発ではどうしてこんなによく小さい事故が起こるのでしょうか。


〇耐震設計に問題あり
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石川県志賀町の北陸電力志賀原発2号機(改良型沸騰水型軽水炉、出力135・8万キロ・ワット)を巡り、周辺住民らが「耐震設計に問題がある」などとして、同社を相手取り運転差し止めを求めた訴訟の判決が24日、金沢地裁であった。

 井戸謙一裁判長は「耐震設計には問題があり、想定を超えた地震によって原発事故が起こり、原告らが被曝(ひばく)する具体的可能性が認められる」として、運転差し止めを命じる判決を言い渡した。北陸電力は判決を不服として控訴し、運転は継続する。

 原発の運転や設置を巡る主な判決は過去に30件あるが、住民側勝訴は、高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の設置許可を無効とした2003年1月の名古屋高裁金沢支部判決(最高裁で原告敗訴)のみ。商業用原発(軽水炉)では今回が初めて。全国の他の54基の商業炉に影響を及ぼしかねない判決となった。

 志賀原発2号機は今月15日に営業運転を開始。裁判では、〈1〉2号機東側を通る「邑知潟(おうちがた)断層帯」(約44キロ・メートル)をどのように評価するか〈2〉国の原子力委員会が1978年に策定し、現在の原発設計の基準となっている「耐震設計審査指針」が地震の危険性を過小評価していないか――が主な争点となった。

 井戸裁判長は、原告で最も遠方の熊本県在住者まで含めて人格権に基づく住民側の差し止め請求権を認めた上で、昨年3月に国の地震調査委員会が「マグニチュード(M)7・6程度の地震が30年以内に起きる可能性は2%」と公表した邑知潟断層帯などに対する同2号機の耐震設計を検討。〈1〉M6・5としている直下地震の想定が小規模過ぎる〈2〉考慮すべき邑知潟断層帯の地震を考慮していない〈3〉昨年8月の宮城地震で、岩盤上の揺れが耐震設計の最大想定を上回り東北電力女川原発全3基が自動停止するなど、原発敷地での地震動を想定する手法に妥当性がない――などの問題点を指摘し、「北陸電力側の想定を超えた地震で事故が起こりうる」とした。

 改良型沸騰水型の安全性については「事故が発生する具体的可能性についての立証が不十分」と住民側の主張を退けた。

 訴訟は、周辺住民ら135人(うち3人死亡)が99年8月に建設差し止めを求めて提訴。昨年4月の試運転開始後、請求内容を運転差し止めに変更した。
(読売新聞) - 3月24日14時37分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060324-00000102-yom-soci

原発裁判といえば、今まで常に電力会社と国側の主張を認める判決ばかりでしたが、この判決は画期的だと言われています。

地震学者の最近の研究により、今まで見つからなかった断層が見つかり、原発が作られた当時に予想されたよりも強い地震が起こる可能性が明らかになった以上、耐震基準の見直しは当然でしょう。これまで強い地震が起こらなかったから、これからも起こらないというのは、誤った推論であることは、阪神淡路大地震の被害を見るまでもありません。地震でによってきな原発事故が起こってからでは遅いのです。裁判がようやく一般人の常識に近づいた、ということでしょう。


〇六ヶ所村で試運転開始
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 青森県の三村申吾知事は23日、日本原燃の児島伊佐美社長と会談し、六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場で予定する試運転(アクティブ試験)をめぐり、品質保証体制の向上をはじめ4項目の実施について確約を得た。三村知事は「真摯(しんし)に答えてくれた」と原燃の姿勢を評価。政府の意向を確認する「核燃料サイクル協議会」の開催日次第で、月内にも知事が同意し試験が開始される可能性が出てきた。

 官房長官や関係閣僚らで構成される協議会の開催は現在、27日を軸に調整中。プルサーマルの実行などについて政府方針を確認できれば、県は一両日のうちに、六ケ所村とともに原燃と結ぶ安全協定案を提示し、協定を締結する見通し。

 ただ、このほか、原燃が国に提出している試験の保安規定の認可、六ケ所村隣接市町村との安全協定締結も必要になる。

 会談で三村知事は(1)教育訓練の徹底を含む品質保証体制の向上(2)試験途中の評価結果を国とともに県にも報告すること(3)放射線の安全理解のための広報広聴活動の強化(4)メンテナンス業務の地元発注など地域振興の推進―の4項目を要望。児島社長は「真摯に取り組んでいく」と、いずれも受け入れた。

 一方、六ケ所村は23日の庁議で、安全協定素案について問題がないことを確認。同意に向けた村内の手続きをほぼ終えた。
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060324-00000003-khk-toh

いよいよ今月中に六ヶ所村の再処理施設が動き出します。青森県の三村申吾知事は、「品質保証体制の向上をはじめ4項目の実施について確約を得た」そうですが、再処理によって生じるプルトニウムの使い道がはっきりしません。各地の原発トラブルで、プルサーマル開始がますます遅れそうなのです。

再処理施設からは、環境中に放射性物質がまき散らされる可能性が指摘されています。青森県は、環境中の放射能を測定し、監視する体制を築いているのでしょうか。


原発問題のその後(1)

2006年03月24日 | エネルギー問題
3月7日に「六ヶ所村」を一応書き終えてから、原発関係のニュースがたくさん飛び込んできました。

〇制御棒が破損
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 原子炉内の核分裂にブレーキをかける「制御棒」のひび割れが各地の原発で見つかり、判明しただけで原発6基で計46件に上ることが11日、経済産業省原子力安全・保安院のまとめで分かった。これほど多くのひび割れが見つかったのは世界でも例がないという。事業者側は「制御棒が折れることはなく、機能に問題もない」と強調しているが、保安院は「(安全かどうか)判断できない」として事態を重視、本格的な調査に乗り出した。
 制御棒は、核分裂を引き起こす中性子を吸収し、核分裂を制御する役割がある。ひび割れが見つかったものは、中性子の吸収能力が高いハフニウム板を使用していた。
 東京電力は今年1月、福島第1原発6号機で、使用しているハフニウム型制御棒17本のうち9本に破損が見つかったことを公表。これを受けて保安院は全国の電力会社に点検を指示した。
 その結果、同型の制御棒は、東京、東北、中部、日本原電の4電力の沸騰水型軽水炉23基で計382本使われていたが、151本を目視点検した結果、新たに同3号機でも5本のひび割れが見つかった。また、東京電力柏崎刈羽原発と中部電力浜岡原発などの使用済み制御棒にも32本のひび割れがあり、総本数は46本となった。今後、さらに増える可能性がある。
 このうち、2本はステンレス製のカバーがめくれ上がり、スムーズに出し入れできないものだった。ひび割れは最長12センチで、1本で40カ所以上のものもあった。制御棒は中性子を吸収するともろくなり、5サイクル(運転期間が5年余り)が交換の目安とされるが、4サイクルでひび割れが生じたケースもあった。
 保安院防災課の市村知也・事故故障対策室長は「なぜこれほど大量のひび割れが生じたのか試料分析で解明している。来月までにはっきりさせたい」と話している。
 原子力資料情報室の上沢千尋さんは「未点検なまま運転中の原発が12基もあり問題だ」と話している。【中村牧生】
 ■ことば(制御棒) 原子炉出力を制御するために、燃料集合体の間にくまなく挿入される棒または板状の物質。中性子を吸収しやすい素材(ボロン、カーバイド、ハフニウムなど)でできており、制御棒を抜き差しすることで、核反応を調整する。原子炉を緊急に停止する時にはすべての制御棒が挿入される。
(毎日新聞) - 3月12日3時8分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060312-00000008-mai-soci

制御棒の中には、破損がひどくて、動かなくなったものもあるといいます。これは重大な事故です。制御棒が正常に働かなければ、原発が暴走を起こす危険性があります。その行き着く先は、20年前に起こったチェルノブイリです。日本の原発はどうしてこんなにトラブルが多いのでしょうか。事故原因を徹底的に究明しなければなりません。


〇ところが発表に偽りあり
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 東京電力福島第一原発3号機(福島県大熊町)の制御棒のカバーにひびが入り、一部がはがれ落ちた問題で、東電は20日、新たに原子炉内で金属片1個を回収したと発表した。
 東電は今月7日、破片はすべて回収したと発表していたが、これを訂正。あらためて調べた結果、「さらに少なくとも破片2個が残っている」として、炉内の調査を続けていることを明らかにした。「確認作業が不十分だった。不手際で大変申し訳ない」としている。
 東電によると今月10日、原子炉そばの貯蔵プールで縦約1センチ、横約4センチのステンレス片を発見。制御棒カバーの一部と判明した。再度、カバーの欠落個所と照合した結果、2カ所で欠落。まだ計約0・4グラムの破片が未発見であることが分かった。
(共同通信) - 3月20日21時49分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060320-00000231-kyodo-soci

東電がわざと隠蔽したのかどうかはわかりませんが、そういう印象を与えかねません。今までもそういう隠蔽が度々あったので、原発に対する不信が高まったのです。事故に関しては、できるだけ迅速にかつ正直に報告しなければ、国民、とくに近隣住民の信頼を得ることはできません。


〇こんな不備もありました
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 原子力安全・保安院は16日、中部電力が提出した浜岡原発1号機(沸騰水型、出力54万キロワット)の高経年化技術評価等報告書の内容に不備な点があり「中電から内容修正の申し入れがあった」と発表した。
 中電は同日、変更報告書を提出したが、同院は「必要に応じ再度立ち入り検査を実施する」としている。
 中電によると、主な修正内容は(1)評価対象選定の際、機器のグループ分けで材質などを間違え一部で適切な評価ができなかった(2)部品の経年劣化を調べる際、一部機器での部品分割の見直しが必要(3)技術評価の際の計算ミス(4)配管などの名称の不統一、誤記、記載漏れ――など。同院は「本質的かつ大量の内容修正」と指摘したうえで、中電に対し同報告書を改めて総点検するよう求めていた。
 営業運転から30年経過する原発は国の規則に基づき、長期運転による機能変化などを調べ安全運転のための今後10年間の保全計画をまとめた「高経年化技術評価等報告書」を経済産業省に提出する。中電は1月31日に提出。2月13日から同院が立ち入り検査した。【舟津進】
3月17日朝刊
(毎日新聞) - 3月17日11時1分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060317-00000003-mailo-l22

こんないい加減なことでは、原発への信頼感が失われます。










WBCでの人知を超えた力

2006年03月22日 | Weblog
ワールド・ベースボール・クラシックの日本の優勝は見事でしたね。

このWBCが、あらゆる面で、アメリカによるアメリカのための催しとして企画された、非常に不公平な行事であったことは、否定できません。ところが、そういう不公平さにもかかわらず、アメリカは2次予選で破れ、日本が優勝してしまいました。

この間、インチキ審判に泣いた日本は、主張すべきことはきちんと主張し、しかしあくまでも紳士的に試合で全力を尽くしました。そのことが、日本人のみならず、アメリカ人や他国の観戦者にも感銘を与えました。

2次予選で2敗もし、自力では準決勝進出の可能性を失った日本が準決勝に進出できたのは、メキシコがアメリカを破ってくれたおかげですが、これはまさに奇跡です。

肉体人間の力にはかぎりがあります。日本の選手がどんなにがんばっても、メキシコにアメリカを破ってもらうことはできません。しかし、誠の心が働けば、そこに奇跡が起こるのです。例の審判がインチキ判定を下したので、メキシコは逆に奮い立つことになりました。正しい心で人事を尽くし誠を貫けば、人知を越えた天佑神助が介入するのでしょう。

それに反し、開催地、日程、予選の組み合わせ、審判にいたるまで、あらゆる面で自国が有利になるように、人知でできるかぎりの事前準備をしたアメリカは、思いもかけず敗れてしまいました。人知を超えた力を無視していたからです。

野球での出来事は、これから世界の政治・経済・軍事についても起こるかもしれません。

東西冷戦が終わったあとの世界は、唯一の超大国アメリカの、アメリカによる、アメリカのための世界になってしまいました。イラクに大量破壊兵器が実際にあろうがなかろうが、アメリカがあると言えばあることにされてしまいました。

アメリカが警察官と裁判所と検察を兼務しているのです。国連も、アメリカの役に立てば利用しますが、邪魔になればあっさり無視します。狂牛病問題でも、自国の勝手な都合を日本に押しつけてきます。

しかし、こういう自分勝手なやりかたが、いつまでも通用するはずはありません。イラクの内戦は泥沼化し、アメリカ兵の戦死者は2000名を超えました。ブッシュ大統領の支持率は下がるばかりです。狂牛病問題でも、アメリカの主張のおかしさが次々と暴露されています。

日本は、正しいことは正しい、間違っていることは間違っている、と自信をもって言いつづけ、世界平和のために必要な政策を誠意をもって貫けば、そこにまさに天佑神助が働くのではないでしょうか。

それは何もアメリカに対してだけではありません。韓国・北朝鮮、中国、ロシアなどの身勝手な近隣諸国に対しても同じではないでしょうか。

これからは、単なる軍事力や経済力を超えた、不可思議な力の働きが感じられる時代になるのではないでしょうか。

国連安保理の常任理事国も、なりたいなりたいといくら陰で動き回っても、なれるものではありません。日本にぜひともなってほしい、と世界中から思われるような国になりさえすれば、否応なしになるはずです。なぜなら、神がそれを援助するからです。

日本がそういう国になるためには、今は隠れている本ものの人物が政治・経済・文化の表舞台に立てるようにならなければなりません。そういう人が一日も早く現われるように、私たちは日本と世界の次元上昇を祈りつづけたいと思います。

BSE問題のその後(3)

2006年03月20日 | Weblog
〇3月17日、長崎県で肉牛がBSE
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 厚生労働省は十七日、長崎県壱岐市で飼育されて同県佐世保市の食肉加工場で処理された肉牛(黒毛和種)一頭が牛海綿状脳症(BSE)に感染していたことを確認した、と発表した。国内二十四例目、九州では二例目。これまでの二十三例はいずれも乳用種(ホルスタイン種)で、肉用種としては国内初。食肉などは焼却処分となるため、同省は「市場への流通はない」としている。

 BSE感染が確認された牛は、壱岐市内の畜産農家で生まれ、繁殖用に飼育されていた十四歳一カ月の雌。今月二日に立つことができなくなり、その状態のまま同九日に子牛を出産。同十三日に食肉用として加工場に搬入された。しかし、BSE対策に基づく佐世保市食肉衛生検査所の一次検査で陽性と判定され、国の二次検査でも陽性と判明。十七日開かれた厚労省の専門家会議で最終的にBSEと診断された。

 今回の牛は過去十頭の子牛を産んでおり、それらが食肉になった可能性はあるが、専門家会議の品川森一座長は「海外でも母子感染例はなく、子牛が感染した可能性は小さい」と指摘。厚労省も「全頭検査を通じ、感染牛は今回のように的確に発見できており、国内の食肉の安全性に対するリスクはない」と話している。

 一方、BSE対策を担当する農林水産省は「国産牛の安全対策はほぼ完成しており、黒毛和種もホルスタイン種も安全性に差はない。消費者の理解も深まっており、冷静に対応してくれるはず」と強調。長崎県などを通じて農家や飼料会社に飼育状況などの聞き取り調査を行い、感染経路の解明を進める方針だ。

 BSE感染経路に関し同省は、過去二十三例のうち七例目までについて、「一九八〇年代に英国から輸入された牛を原料とする肉骨粉か、九〇年以前に輸入されたイタリア産肉骨粉が、飼料工場で牛用飼料に混入した可能性がある」との報告書をまとめている。

 今回のケースは、肉骨粉使用が禁止された二〇〇一年以前に出生し、二十四例の中で最も出生時期が早いことから、厚労省は「禁止される以前に、肉骨粉の混じった餌が与えられていた可能性がある」とみている。
(西日本新聞) - 3月18日2時11分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060318-00000018-nnp-kyu

※この牛は1992年に生まれたことになります。


最後に、

〇ビデオジャーナリストの神保哲生氏のブログより
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 繰り返し指摘してきたことだが、アメリカでは出荷される牛の約1%強に対してしかBSE検査を行っていない。(検査した牛が1年で1年半で約60万頭。1年間の出荷量がだいたい3500万頭。)その検査も歩行困難な牛などのハイリスク・グループを全て対象としているとしているが、実際は抜き打ち検査ではなく、畜産業者の自主申告に基づく。万が一BSE発見となれば、その牧場の出荷する牛が全て売れなくなる可能性もあるため、畜産業者があえて神経症状のある牛を検査に差し出さない可能性は排除できない。いや、差し出さないと考える方が自然ではないか。現在のルールでは、神経症状の見られる牛がそのまま死んでしまえば、検査はしないで済むのだ。
 つまり、アメリカのBSE検査は丸であてにならないと考えるべきで、そのため実際にはかなりの数のBSE感染牛が存在していても、単にそれが顕在化していない可能性が排除できないということだ。その理由の一つとして、アメリカではまだ飼料規制が不十分で、反芻動物の肉骨粉を反芻動物にあげることは法律で禁止されているが、反芻動物の肉骨粉を豚や鶏の飼料とすることは法的に何ら問題はない。
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http://www.jimbo.tv/BSE/000245.php

※つまり、アメリカではどうやら、BSEではないと見られる健康な牛のみが検査され、BSEの疑いがあるへたり牛は検査されていない可能性が高いのです。これで、これまで見つかったBSE牛がわずか3頭という数字の謎が解けました。

BSE問題のその後(2)

2006年03月19日 | 食の安全
〇3月10日、米農務省の食肉検査官はコンピューターゲームがお好き
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 【ワシントン10日時事】米農務省の食肉検査官が勤務中にコンピューターゲームをしたり、検査対象の食肉処理会社から肉製品の提供を受けるなど、「不適切な行為」をしていたことが10日、同省監査局(OIG)の報告書で明らかになった。BSE(牛海綿状脳症)の危険部位が米国産牛肉に混入した問題に続き、米国の検査態勢のずさんさを示す例として注目される。 
(時事通信) - 3月11日13時0分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060311-00000039-jij-int

※日本政府は、こういう検査官の検査を信用するのでしょうか?


〇3月13日、香港でも骨のついた牛肉
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 【北京=吉田健一】香港政府は13日までに、米食肉大手スイフト・ビーフ社(本社コロラド州)の食肉処理工場から輸入した牛肉に、BSE(牛海綿状脳症)感染防止のため輸入を禁じている骨が混入していたとして、同社からの牛肉の輸入を当面停止すると発表した。

 同工場は、日本が米国産牛肉の輸入再開を決定した昨年12月に、農水省と厚生労働省が特定危険部位の除去など対日輸出条件が守られているかどうか査察した11施設に含まれており、農水省などは「適切に行われている」との判断を公表していた。今回、米国の管理体制のずさんさが明らかになったが、日本の査察も不十分との批判が出るのは必至だ。

 香港の食物環境衛生署によると、香港国際空港の食物検疫担当官が10日夜、同社からの製品に骨が交じっているのを見つけた。香港は、米国でBSE感染牛が見つかった2003年12月以降、米国産牛肉の輸入を全面的に停止していたが、昨年12月、生後30か月以下の牛で、脳など特定危険部位を除去した骨なし肉に限って輸入を再開していた。

          ◇

 米国産牛肉の問題について、農水省の石原次官は13日、記者会見で「(骨の混入が)特例なのか、構造的なのかが一番の焦点で、事実を調べて考えていく必要がある」と述べ、米国に問いただしていく姿勢を示した。
(読売新聞) - 3月14日3時7分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060313-00000115-yom-bus_all

※アメリカの杜撰さはいつでも同じ。そんなことにはもう驚きません。
 問題なのは、スイフト・ビーフ社が、農水省と厚生労働省が査察して、「適切に行われている」と評価した施設であったこと。日本のお役人の視察旅行は税金の無駄づかいであったわけです。誰か責任を取った関係者はいたのでしょうか? この無責任体制で日本の食の安全が守れるのでしょうか?
 「特例なのか、構造的なのかが一番の焦点で、事実を調べて考えていく必要がある」そうです。アメリカでこれだけ事件が連続して起きているのですから、構造的問題であるに決まっているでしょう。「事実を調べて考え」た結果、どういう行動を取るのか、注目いたしましょう。


〇3月13日、アメリカで3頭目のBSE牛
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 【ワシントン13日青木忠興】米農務省は十三日、米国で新たに見つかった牛海綿状脳症(BSE)感染の疑いがある牛について、追加検査の結果、陽性の反応だったと発表した。米国内でBSE感染牛が確認されたのは三例目。感染牛は南部アラバマ州で飼育され、十歳以上である可能性が高いという。

 日本は昨年十二月に米国産牛肉の輸入を再開したが、今年一月に特定危険部位の混入が見つかったため、再び輸入を停止している。

 米農務省動植物検疫所のクリフォード獣医師は会見で「今回の感染牛確認が輸入再開交渉に影響を与えるとは思わない」と述べ、米国の検査態勢が十分機能しており、米国産牛肉は安全だと強調した。農務省は問題の牛が十日の簡易検査で陽性だったため、アイオワ州の研究所で追加検査を実施。ウエスタンブロットと呼ばれる検査法で陽性を確認した。国際標準である免疫組織化学法(IHC)の検査結果はまだ出ていない。

 感染牛がアラバマ州の農場で飼育されたのは一年未満。農務省は生まれた場所など過去の経緯を調査している。米国内では二〇〇三年十二月と〇五年六月に感染牛が見つかった。
(西日本新聞) - 3月15日2時9分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060315-00000017-nnp-kyu

※今でも肉骨粉が使われているアメリカで3頭目のBSE牛。肉骨粉をやめた日本で20数頭。あまりにも不思議な数字です。


〇3月15日、国内で23頭目のBSE牛
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厚生労働省は15日、北海道上川管内中川町で飼育されていた5歳8カ月の乳牛がBSE(牛海綿状脳症)に感染していたと発表した。国内でBSE感染が確認された牛は23頭目。 
(時事通信) - 3月15日21時1分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060315-00000168-jij-soci

※日本でこれだけBSE感染牛が出ているのに、なぜ感染源が特定できないのでしょう? 代用乳が問題だということは、ほぼわかっているはずなのに。農水省は原因を特定する気がないのでは?


BSE問題のその後(1)

2006年03月17日 | 食の安全
このブログで狂牛病について最後の投稿をしたのは2月11日ですが、それから1カ月あまりの間に、この話題に関して非常に多くのニュースが報じられました。以下に、目についたものをあげておきます。

〇2月8日、へたり牛も食肉化
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 【ワシントン8日共同】米農務省の監察官事務所による牛海綿状脳症(BSE)対策に関する2005年監査報告書で、食肉処理施設12カ所の一部から、原因不明で歩行困難の牛計20頭が食肉処理されていたことが7日、分かった。施設では処理前に牛が歩行可能かどうかを確かめる目視検査も十分実施されていなかった。
 米国でのBSE対策の信頼性があらためて揺らぐのは確実。特定危険部位の混入問題で再停止した米国産牛肉の対日輸出の再開時期に影響を与える可能性もある。
 牛が正常に歩けない状態はBSE感染の兆候ともされ、米政府は国内で初めてBSE感染牛が見つかった直後の03年12月、食用にすることを全面禁止している。
(共同通信) - 2月8日18時30分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060208-00000207-kyodo-int

※「全面禁止」というのは名目だけ。へたり牛を食肉化しなければ、業者は損します。損失補填の制度がなければ、今後もヤミでへたり牛が食肉化されつづけるはずです。


〇2月15日、メキシコ産もリスク評価
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 内閣府食品安全委員会の寺田雅昭委員長は15日の衆院予算委員会で、メキシコ、チリ、中国産牛肉の牛海綿状脳症(BSE)の危険性(リスク)評価について「企画専門調査会で議論し、やるべしとなり、重要な問題と認識している」と述べ、リスク評価に取り組む考えを明らかにした。
 BSEの発生に伴い、2003年12月に米国産牛肉の輸入が停止した後、メキシコやチリ産牛肉の輸入が急増。05年にはメキシコ産は前年比約3・8倍の約6700トン、チリ産は4・4倍の約2900トンに膨らんでいる。中国産は約4割減の27トンだった。
(共同通信) - 2月15日21時4分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060215-00000246-kyodo-bus_all

※「メキシコ産牛肉」と言われているものは、アメリカ産牛肉の迂回輸入の疑惑が指摘されています。

 「リスク評価」というのは、どの程度危険かということを評価すること。食品安全委員会は、アメリカ産牛肉は、日本産と同じ程度のリスクだ、として輸入再開を決め、その直後に例の脊柱混入事件が発覚しました。食品安全委員会の「リスク評価」自体がどの程度信用できるのか、それを「評価」する必要がありそう。


〇2月18日、脊柱混入は確信犯?
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 【ワシントン18日共同】日本へ輸出した米国産牛肉に特定危険部位の脊柱(せきちゅう)が混入していた問題で、「子牛肉」は安全であるとの米政府や業者の認識が混入につながった可能性があることが、17日発表の米農務省報告書で浮かび上がってきた。
 報告書によると、今回問題となったのは生後4カ月半未満の子牛肉。米政府は若齢のため牛海綿状脳症(BSE)などの危険性が極めて低いことを前提に、子牛肉を輸出条件適用の対象外とするよう直前まで日本政府へ要求、拒否されていた。
 また、脊柱付きの子牛肉を日本へ輸出したニューヨーク州の業者が昨年7月、いったんは農務省から「子牛肉の専門工場は対日輸出条件の適用対象にならない」との連絡を受けていたことも判明。ジョハンズ農務長官は17日、「子牛肉が対象に最近加えられたことが問題の一因になった」と強調した。
(共同通信) - 2月18日16時44分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060218-00000120-kyodo-bus_all

※以前にも指摘しましたが、現在の検査法でBSEが検出されない、ということと、その牛がBSEでない、ということは同じではありません。4カ月未満の牛でも、BSEに感染している可能性はあります。


〇2月21日、新しい検査法の開発
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 牛海綿状脳症(BSE)検査などに幅広く使われている免疫反応を利用した「エライザ法」での検査を従来の約10分の1の時間でできる方法を、中西一弘岡山大教授(生物工学)と日本学術振興会の熊田陽一博士研究員(同)が開発したと21日、発表した。
 中西教授は「速く、確実に診断できるので、BSE検査への応用を目指したい」と話している。
 エライザ法は、測定対象となる抗原と抗体との反応を酵素を利用して測定する。微量でも分析でき、環境汚染や食品の分析などに使われている。
 中西教授らは、検査に使うプレートの材質を工夫するなどして、従来は数段階に分けて進めた手順を1回の操作で終えるなど効率的な方法を考案した。インスリン濃度などの測定実験で、従来数時間から1日程度かかっていたのが大幅に短縮され、感度も上がったという。
(共同通信) - 2月21日22時28分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060221-00000274-kyodo-soci

※新しい検査法が実用化されると、アメリカからはBSE牛が続出する可能性があります。


皇太子殿下、メキシコの「世界水フォーラム」にご出席

2006年03月15日 | Weblog
皇太子殿下は本日3月15日、第4回世界水フォーラムに出席なさるために、メキシコに出発なさいました。

3月10日の毎日新聞より――

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 皇太子さまは10日、第4回世界水フォーラム出席などのため15日からメキシコを訪問するのを前に、東京・元赤坂の東宮御所で記者会見した。「環境問題の中で水問題が占めるウエートは極めて高く、今後も水を巡る問題になんらかの形でかかわることができれば幸いと思っています」と抱負を語った。

 皇太子さまは、フォーラムの全体会合で「江戸と水運」をテーマに基調講演をする予定。単独の訪問には「雅子自身も大変残念に思っています」としたうえで「外国に行けるようになる機会が早く来ることを心から願っております」と病状回復に期待を寄せた。

 15日に出発し、メキシコ訪問後、カナダ・バンクーバーに立ち寄り、21日に帰国する予定。
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http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/koushitsu/news/20060311k0000m040046000c.html

3月15日の共同通信――

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 皇太子さまは15日午後、第4回世界水フォーラムの開会式出席などのため、メキシコへ向け羽田から政府専用機で出発される。カナダに立ち寄った後、21日に帰国する。
 皇太子さまのメキシコ訪問は1992年以来3度目。雅子さまの同行も検討されたが、療養中の体調を考慮して見送られた。
 世界水フォーラムは現地時間の16日(日本時間17日)からメキシコ市で開催。皇太子さまは開会式であいさつするほか、同17日(同18日)には「江戸と水運」をテーマに基調講演する。海外の国際会議で基調講演するのは初めて。
 国際親善も訪問目的で、フォックス大統領と会うほか、ユカタン半島にあるマヤ文明のウシュマル遺跡でピラミッドを見学。
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060315-00000023-kyodo-soci

皇太子様は、2003年3月に京都で開かれた第3回世界水フォーラムにも出席され、「京都と地方を結ぶ水の道」という講演を行なっております。


オックスフォード大学に留学なさった殿下は、そのときの研究を「The Thames as Highway(交通路としてのテムズ川)」としてまとめられています。生物学という自然科学を研究なさった昭和天皇や今上陛下とは違って、皇太子様は人文科学に関心がおありです。

しかし、今回の記者会見のお言葉によると、「環境問題としての水問題」にも関心をお持ちになり始めているようです。世界的に進む水の汚染のことを考えると、皇太子様にはこの方面への関心をより深めていただき、自然保護のために発言していただければ、たいへんありがたいと思います。

なお、この世界水フォーラムにあわせて、メキシコ・シティーで、南米と北米の先住民族によって、水に感謝する儀式が開かれます。

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>      水と生命に敬意を表するための伝統的なダンス

>  水を祝福するためのホピ族-アステカ族によるダンス・セレモニー

>            3月16日(木)正午
>      メキシコ・シティのチャプルテペック公園内
>            人類学博物館そばにて
>=================================

>メヒカ族、オトミ族、テオティワカン族、ケツァルコアトルの生誕地アマ
>トランのダンサーたち、マサワ族の女性たち、テノチティトラン(メキシ
>コ・シティー)の伝統的なダンスのグループによって儀式が行われ、その
>中で、ホピ族の走者たちが迎えられることになっています。ホピ族の走者
>たちは、第4回世界水フォーラムに向けて、“水と生命に対する敬意”と
>いうメッセージを運んできてくれます。

>ホピ族の人々は、世界中から水を集めて、ランとともにメキシコに持って
>きてくれます。この水は、儀式の中で、メキシコにおける水の守り手であ
>る先住民族の女性たちに手渡されます。

>=================================
>        水と生命に対して敬意を表するために
>        さまざまな文化の人々が一堂に会する

>            3月16日(木)に
>      チャプルテペック公園(CHAPULTEPEC PARK)にて

>      アステカ族のダンスは午前11時に始まります。
>         水のセレモニーは正午に始まります。
>    チャルチウィトリクエ女神(Chalchihuitlicue)の前にて

> (訳注:チャルチウィトリクエとはアステカの神話における水の女神)
>=================================
http://www.tekio.net/hopi.html

江本勝さんもこの儀式に参加するそうです。



たくさんの人と一体感

2006年03月13日 | Weblog
Kさんの体験3です。

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 今年(H17)の二月に法友が情緒不安定のため入院しました。毎日電話が掛って来て、いろいろな悩み事を訴えて来ます。その法友はしっかりしていて、五井先生のテープを聞いたり、白光誌や五井先生の本を読んでいます。

 或る時、電話が掛かって来て、話し中に、大きな声がするので、テレビの声かと思いましたが、精神病院ですので、大きな声でわめく人、怒鳴っている人、喧嘩している人などで騒がしいので、電話の声がよく聞きとれない程です。

 話が終って受話器をおいた時、法友の体の正面ではなく、側面を中心から縦に二つに分けた前半分は、消えてゆく姿の話をボチョボチョ、後半分よりは凄い迫力のひびき波動が伝わって来たのを感じた瞬間、あゝあの人は神だ、わめいている人も神だ、怒鳴っている人も神だ、みんな神だ、と思えたのです。と同時に、心の底から相手に対する強い尊敬の念が湧き上がって来て、法友に流れていきました。

 相手に通じたと思った時、大きな何かの中で、相手とパッと一体になりました。怒鳴った人、わめいた人、喧嘩していた人、もっとたくさんの人と一体になった感じでした。

 今は私の左の胸のところに一緒にいます。

 人類即神也とはこういう感じでしょうか?

 有難い体験でした。
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すべての人の中に神性を見るというのは、理屈をこえた体験であることがわかります。



みな輝いていた

2006年03月12日 | 最近読んだ本や雑誌から
「神人」に掲載されたKさんの体験の続きです。

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 今年(H17)の春頃、何気ない気楽な想いでおりました時、ふと今迄の生活を思い出しました。

 主人との過去世の業生を消すために、子供を連れて毎晩逃げて歩いたこと、その時のつらかったこと、泣いたこと。でもあの時、泣きながらの私は輝いていたんだ、悲しんでいた私は輝いていたんだ、野宿して困っていた時も輝いていたんだ。あの時もあの時も輝いていた、という想いが心の底から湧いてきました。

 今生に赤子として誕生した時も、輝いていた、と思えた時、遠いはるか昔、親神様から生命を分けられた分霊分生命が、何千生かけての生れ変りの人生の一齣一齣の、業生の中を浮き沈みながら輝きつづけた輝きが、今の私につながってここに存在している。ずうーとつながった一筋の光を、確かに受け取りました、という感じです。

 想いがいろいろと出ますが、掴まえなければ通ってゆくんですね。
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ということは、私たちも、今の現象の状態がどうであれ、みな光り輝いた存在である、ということです。Kさんの言葉に深く感動いたします。




腰の激痛を超える

2006年03月11日 | 最近読んだ本や雑誌から
高橋英雄さんの個人誌「神人」30号(2006年2月号)に、Kさんが素晴らしい体験記を書いていましたので、ここに紹介いたします。

Kさんは白光の古い会員で、現在、お年は80歳を超えていると思います。とくに目立つところもない、ごく普通のおばさんですが、祈りと印一筋でこういう心境に到達できるということを、身をもって証明しています。3つのお話がありますが、今日はその第1です。

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腰の激痛の中で

 私は一年程前(H16年秋)腰痛のため、身動き一つ出来なくなりました。一人で暮しておりますので、動かなけれぱならず、世界平和の祈りを祈り、五井先生をお呼びしながら、ちょっと体を動かしても激痛のため、体がふるえてきまして、祈りも五井先生も思えなくなって、たずヒーヒーと悲鳴をあげながら、床の上を這っていました。

 途中ふと気がつきますと、床の上を1㎝ぐらい浮き上った所を這っていました。床の上は明るくて、オレンジ色のような黄色のような感じでした。

 その時、私は光の上を這っているんだ、神様の掌の上で這っていたんだ、と思った時、自分自身は痛んでいないんだ、私は痛んでいないんだ、という強い想いが湧いて来ました。体がスゥーと軽くなり、心が明るくなり、ルンルンとした朗らかな気分になりました。

 さっきの痛みはどうしたのかしら? と思って見廻たしたら、私の体に入ってこられないで、皮膚のあたりで、一生懸命という感じで痛んでいました。
 その痛みも、突きさすような痛みではなく、霜の中で痛んでいるような痛み方でした。痛んでいたのは、消えゆく姿の想念だけが痛んでいるので、自分自身は侵されることはないのだ、ということをしっかりと教えられました。

 まだ立つことが出来ないで這いましたが、明るくルンルンとした心と霞の中の痛みが、別々のところから一緒に上ってくるのがわかりました。

 今もいろいろと想いが出ておりますが、大分気にならなくなって、肩の力も抜けて有難いと思っております。



ペンドゥラム

2006年03月08日 | Weblog
「シェルドレイクの仮説」を解説したサイエンスライターの喰代(ほおじろ)栄一さんが、「ペンドゥラム」という概念を紹介しています。

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「ペンドゥラム」とは、人が集まって同じ思いで活動を始めると形成される「エネルギー情報体」です。ロシアのベストセラー作家バディム・ゼランドが『リアリティー・トランサーフィング』という本で述べたものです。私の本『幸せの進化形』第5章では、サラリーマンが疲れているわけを「会社というエネルギー情報体にサラリーマンが自分のエネルギーを吸い取られるからだ」と述べました。
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http://blog.mag2.com/m/log/0000017531

「ペンドゥラム」というのはおそらくpendulumと書くのでしょうが、これは「時計の振り子」という意味です。この用語の背後にあるのは、振り子が一つの方向に振れるように、情報が一種のエネルギーとなって人間を一つの方向に向ける、という観念だと思います。

喰代さんは以下のようにペンドゥラムの具体例をあげています。

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考えてみると、私たちのまわりには恐ろしい「ペンドゥラム」がたくさん存在しています。たとえば、風邪をひいて熱が出たら抗生物質や解熱剤を飲ませようと働きかける「ペンドゥラム」です。熱が出るのは自然の治癒反応で、水分を取ってゆっくりと2、3日休めば、たいていの風邪は治ります。しかし、休んでいられない状況が生まれ、私たちは病院に行けばすぐ手に入る抗生物質や解熱剤に頼ろうとします。私たちの社会が作り上げたそういう「ペンドゥラム」の誘導のまま、私たちはそのとおりの行動をしてしまうのです。
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従来の用語を使えば、ペンドゥラムとは社会的固定観念ということになるでしょう。固定観念というと、人間の心の中にあるように感じられますが、ペンドゥラムという用語は、それが一種のエネルギーとして世界の中で活動している、というニュアンスがあるように思われます。

経験的には、このようなペンドゥラムは、特定の場所と結びついているように感じられます。病院には病院の、盛り場には盛り場の、大学には大学の、百貨店には百貨店の「エネルギー情報体」が漂っています。そして、そのペンドゥラムが否定的なものであったり、不調和なものであったりすると、その場に身を置くと、こちらの体まで重くなります。

それに対して、体が軽くなり、心が晴れ晴れとするような場があります。真の聖地というのは、そういうプラスのペンドゥラムの場所なのでしょう。私にとって、そういうポジティブなペンドゥラムに満ちた場は、言うまでもなく富士聖地です。

この場を訪れた人は誰でも、そこに充満した光明のペンドゥラムを感じることができるでしょう。