平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

塩水が燃える?

2007年05月31日 | エネルギー問題
http://news.livedoor.com/article/detail/3180867/http://news.livedoor.com/article/detail/3180867/より

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フロリダのサニベル島に住むJohn Kanziusはガン治療のためのラジオ波発生装置をテストしていたら、この装置によって塩水がろうそくのように火をともすことを偶然発見したとのこと。

この装置があれば水をガソリンに代わる新たなエネルギー源として利用できる可能性があるため、期待が集まっているようです。

詳細は以下から。
Fla. Man Invents Machine To Turn Water Into Fire - News Story - WPBF West Palm Beach

装置のテストとして試験管に塩水を満たしたものとペーパータオルをセットし、スイッチを入れたところ突然ペーパータオルが発火。今度はペーパータオル無しで同じようにセットしてみたら、水に火がついたそうです。

炎の温度は華氏3000度(摂氏約1649度)に達するとのことで、これを利用したエンジンの実験も行っていて、Kanziusはこの発明で世界のエネルギー問題解決される日が来ることを望むと述べたそうです。
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これはアメリカのいくつかテレビ局でも放映され、その映像が動画投稿サイトYouTubeにアップされています。(上記のサイトから行けます)

癌の治療法の一つとして、放射線治療があります。癌になったカンジアスさんは、電波でも同じ効果があるのではないかと考え、自分でラジオ波を発生させる装置を作り、それで癌を治したそうです。

そのラジオ波を塩水に照射し、火をつけたところ、燃えだしたというのです。

塩水が燃えるなんてすぐには信じられない話で、もちろん、水の中に何か可燃性の物質を紛れ込ませたインチキの可能性もありますが、ほかの科学者が装置を検査してみれば、真偽はすぐに判明します。

塩水を燃やすことは十分に可能です。

どんな人でも、小学校か中学校で塩水を電気分解する実験をしたことがあるでしょう。水はH2Oで、水素原子と酸素原子の結合分子です。これに電解物質である塩を加えて電気を通すと、水素分子と酸素分子に分解することができます。水素を集めて火をつければ、もちろん燃えます。

カンジアスさんの装置は、電波によって塩水を電気分解したものと思われます。

問題は、その電波の発生に要するエネルギーと、発生した水素を燃やすことによって得られるエネルギーのどちらが大きいか、ということです。もし、入力した電気よりも大きなエネルギー出力を得られたら、これは現在の石油や原子力に代わる安価でクリーンなエネルギー源が発見されたことになります。塩水は世界中にありますからね。ぜひ科学者によって検証してもらいたいものです。

原発問題のその後(3)

2006年03月27日 | エネルギー問題
〇佐賀県、プルサーマルに同意
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準国産エネルギー基盤整う
 佐賀県の古川康知事と玄海町の寺田司町長は二十六日、九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)3号機のプルサーマル計画について正式に同意し、同社の松尾新吾社長に対して古川知事が事前了解書を交付した。同日午前に会談した二階俊博経済産業相による安全確保の確約を受け判断。九電は平成二十二年度にも、プルサーマル発電の国内初導入に動きだす。
 古川知事は二階経産相と玄海町役場での会談で、「安全確保に万全を期してほしい」と要請したのに対し、二階経産相は「全力を尽くして努力する」と応じた。古川知事は二月、MOX燃料使用による原子炉の状態などを検討し、国の厳格な監督と九電の適正な管理で「安全性は確保される」との見解を示していた。
 九電の計画を受け入れた古川知事は二十六日、「大臣に来てもらったことは、何より安心という大きな意味があった」と述べた。安全に対する国の明確な意思表明が地元を安心させ、国は原子力政策の基本とする核燃料サイクルの実現に一歩を踏み出せた。使用済み核燃料からプルトニウムやウランを取り出しても使える原発がなければ無意味であり、「余分なプルトニウムを持たない」とする国際公約が損なわれる恐れもあっただけに今回の同意の意味は大きい。
 核燃サイクルの中核と期待された高速増殖炉は「もんじゅ」の事故で中断し、実用化のめどは立っていない。それに代わるプルサーマルは、当面の要と位置づけられた。九電以外でも、四国電力が国の原子力安全委員会から計画を妥当とする答申を得ているほか、中部電力も国に許可申請を提出、中国電力も地元に対して正式に実施を表明した。凍結状態のプルサーマル計画は昨年来、一気に動き始めている。
 核燃サイクルのもう一方の要の日本原燃再処理工場(青森県六ケ所村)も、事実上の試運転にあたる最終試験入りの了承を近く地元から得られる見通し。九電が発注する燃料は当面、海外で再処理したプルトニウムを使うが、平成二十四年度から日本原燃再処理工場のものの使用も始まる。玄海原発で消費されるプルトニウムはわずかでも、エネルギー資源に乏しいわが国に“準国産エネルギー”の基盤が整う。
 今後の焦点は、多数の原発を保有する東京電力、関西電力の動向だ。両社は不祥事や事故の影響でプルサーマル計画導入の見通しが立たず、二十二年度までに十六-十八基で導入する全体計画に影を落とす。今回の合意は、「他の地点でも進捗(しんちょく)がみられるよう各社が一致協力し、全力を挙げて取り組んでいく」(勝俣恒久・電気事業連合会会長)と流れを変える契機になると期待される。(高橋俊一)
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【用語解説】プルサーマル計画
 プルサーマルという言葉は造語で、プルトニウムと一般的な原発(軽水炉)であるサーマルリアクターを組み合わせた。原発の使用済み核燃料から燃え残ったプルトニウムとウランを回収し、混合酸化物(MOX)燃料に加工して原発の燃料として再利用すること。MOX燃料のプルトニウム含有比率は4-9%と小さいが、既存の軽水炉で利用できる。すでにフランスやドイツなどで商用化が進んでいる。日本でも日本原子力発電の敦賀原発1号機(福井県)、関西電力の美浜原発1号機(福井県)で合計6体のMOX燃料を使い、試験的に実施されたことがある。
(産経新聞) - 3月27日2時40分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060327-00000000-san-bus_all

佐賀県は当初からプルサーマルを受けいれる姿勢でしたから、この決定は予想されていました。

ヨーロッパ諸国はすでにプルサーマルを実施していますから、プルサーマルそれ自体はある程度確立された技術だと思います。しかし、プルサーマルが実施されても、エネルギー問題の根本的解決にはつながりませんし、それどころか、「再処理+プルサーマル」によって、直接処分よりもコストが増え、電気料金が高くなる可能性があります。

プルサーマルの大きな目的は、エネルギー問題の解決というよりも、「〔原爆の原料になる〕余分なプルトニウムを持たない」とする国際公約を守ることのようです。

しかし、「多数の原発を保有する東京電力、関西電力の動向だ。両社は不祥事や事故の影響でプルサーマル計画導入の見通しが立た」ないときに、六ヶ所村の再処理施設を稼働すると、ますます使いきれないプルトニウムが増え続けることになります。手順が逆ではないでしょうか。

新聞はそういうことも含めて報道してもらいたいものです。

原発問題のその後(1)

2006年03月24日 | エネルギー問題
3月7日に「六ヶ所村」を一応書き終えてから、原発関係のニュースがたくさん飛び込んできました。

〇制御棒が破損
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 原子炉内の核分裂にブレーキをかける「制御棒」のひび割れが各地の原発で見つかり、判明しただけで原発6基で計46件に上ることが11日、経済産業省原子力安全・保安院のまとめで分かった。これほど多くのひび割れが見つかったのは世界でも例がないという。事業者側は「制御棒が折れることはなく、機能に問題もない」と強調しているが、保安院は「(安全かどうか)判断できない」として事態を重視、本格的な調査に乗り出した。
 制御棒は、核分裂を引き起こす中性子を吸収し、核分裂を制御する役割がある。ひび割れが見つかったものは、中性子の吸収能力が高いハフニウム板を使用していた。
 東京電力は今年1月、福島第1原発6号機で、使用しているハフニウム型制御棒17本のうち9本に破損が見つかったことを公表。これを受けて保安院は全国の電力会社に点検を指示した。
 その結果、同型の制御棒は、東京、東北、中部、日本原電の4電力の沸騰水型軽水炉23基で計382本使われていたが、151本を目視点検した結果、新たに同3号機でも5本のひび割れが見つかった。また、東京電力柏崎刈羽原発と中部電力浜岡原発などの使用済み制御棒にも32本のひび割れがあり、総本数は46本となった。今後、さらに増える可能性がある。
 このうち、2本はステンレス製のカバーがめくれ上がり、スムーズに出し入れできないものだった。ひび割れは最長12センチで、1本で40カ所以上のものもあった。制御棒は中性子を吸収するともろくなり、5サイクル(運転期間が5年余り)が交換の目安とされるが、4サイクルでひび割れが生じたケースもあった。
 保安院防災課の市村知也・事故故障対策室長は「なぜこれほど大量のひび割れが生じたのか試料分析で解明している。来月までにはっきりさせたい」と話している。
 原子力資料情報室の上沢千尋さんは「未点検なまま運転中の原発が12基もあり問題だ」と話している。【中村牧生】
 ■ことば(制御棒) 原子炉出力を制御するために、燃料集合体の間にくまなく挿入される棒または板状の物質。中性子を吸収しやすい素材(ボロン、カーバイド、ハフニウムなど)でできており、制御棒を抜き差しすることで、核反応を調整する。原子炉を緊急に停止する時にはすべての制御棒が挿入される。
(毎日新聞) - 3月12日3時8分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060312-00000008-mai-soci

制御棒の中には、破損がひどくて、動かなくなったものもあるといいます。これは重大な事故です。制御棒が正常に働かなければ、原発が暴走を起こす危険性があります。その行き着く先は、20年前に起こったチェルノブイリです。日本の原発はどうしてこんなにトラブルが多いのでしょうか。事故原因を徹底的に究明しなければなりません。


〇ところが発表に偽りあり
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 東京電力福島第一原発3号機(福島県大熊町)の制御棒のカバーにひびが入り、一部がはがれ落ちた問題で、東電は20日、新たに原子炉内で金属片1個を回収したと発表した。
 東電は今月7日、破片はすべて回収したと発表していたが、これを訂正。あらためて調べた結果、「さらに少なくとも破片2個が残っている」として、炉内の調査を続けていることを明らかにした。「確認作業が不十分だった。不手際で大変申し訳ない」としている。
 東電によると今月10日、原子炉そばの貯蔵プールで縦約1センチ、横約4センチのステンレス片を発見。制御棒カバーの一部と判明した。再度、カバーの欠落個所と照合した結果、2カ所で欠落。まだ計約0・4グラムの破片が未発見であることが分かった。
(共同通信) - 3月20日21時49分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060320-00000231-kyodo-soci

東電がわざと隠蔽したのかどうかはわかりませんが、そういう印象を与えかねません。今までもそういう隠蔽が度々あったので、原発に対する不信が高まったのです。事故に関しては、できるだけ迅速にかつ正直に報告しなければ、国民、とくに近隣住民の信頼を得ることはできません。


〇こんな不備もありました
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 原子力安全・保安院は16日、中部電力が提出した浜岡原発1号機(沸騰水型、出力54万キロワット)の高経年化技術評価等報告書の内容に不備な点があり「中電から内容修正の申し入れがあった」と発表した。
 中電は同日、変更報告書を提出したが、同院は「必要に応じ再度立ち入り検査を実施する」としている。
 中電によると、主な修正内容は(1)評価対象選定の際、機器のグループ分けで材質などを間違え一部で適切な評価ができなかった(2)部品の経年劣化を調べる際、一部機器での部品分割の見直しが必要(3)技術評価の際の計算ミス(4)配管などの名称の不統一、誤記、記載漏れ――など。同院は「本質的かつ大量の内容修正」と指摘したうえで、中電に対し同報告書を改めて総点検するよう求めていた。
 営業運転から30年経過する原発は国の規則に基づき、長期運転による機能変化などを調べ安全運転のための今後10年間の保全計画をまとめた「高経年化技術評価等報告書」を経済産業省に提出する。中電は1月31日に提出。2月13日から同院が立ち入り検査した。【舟津進】
3月17日朝刊
(毎日新聞) - 3月17日11時1分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060317-00000003-mailo-l22

こんないい加減なことでは、原発への信頼感が失われます。










(9)六ヶ所村の世界平和の祈り

2006年03月07日 | エネルギー問題
六ヶ所村(9)

石油もガスも原子力も、現在の主要なエネルギー源はすべて環境に多大の負荷をかけます。原子力は二酸化炭素こそ排出しませんが、放射性廃棄物はいまだ未解決の問題です。バイオマスや風力や太陽光などの自然エネルギーは、いまだ既存のエネルギーに取って代われるだけのエネルギー源にはなりえていません。そういう中で、原子力も利用も、一種の「つなぎ」としてやむをえないと私は考えています。しかし、原子力を人類のエネルギー問題解決の切り札と見なすことはできません。核のゴミは未来の人類に大きなツケを残すことになります。私は基本的には、六ヶ所村の再処理施設の稼働はまだ必要ないと思っています。

私は2004年に下北半島に行ったことがあります。旅行の主要な目的は霊場・恐山の浄めでしたが、その帰途に六ヶ所村にも立ち寄りました。再処理施設の広大な敷地は厳重な壁で取り囲まれていました。とある場所に車を止め、敷地の近くに歩み寄り、数名の仲間とともに世界平和と地球の平和を祈りました。一行の中に霊視能力のある方がいて、私たちが祈っていると、敷地からもくもくと濃い黒雲が立ち昇ったといいます。何度も何度も印を組み、祈り続けているうちに、ようやく黒雲は晴れました。

その黒雲は、再処理施設から吐き出される放射能を象徴していたのでしょう。

現在、六ヶ所村の再処理施設に世界平和の祈りのメンバーが勤めています。その方は、これまで長年、広島で世界平和の祈りを祈ってきたのですが、仕事の関係で六ヶ所村に出向になったのです。原爆の被爆地から六ヶ所村へというのは、なんとも不思議なめぐりあわせですが、これも偶然ではないのでしょう。そういう方が六ヶ所村で毎日、世界平和の祈りを捧げてくださっているということは、本当にありがたく、心強いことです。

最新の科学理論によると、宇宙空間には無尽蔵のエネルギーが秘められているといいます。それを取りだし、利用することができれば、人類のエネルギー問題は解決できます。現在の地球の危機を解決するには、究極的には科学の飛躍的な発展が起こらなければなりません。人類はこれまで驚くほどの科学的な進歩を遂げてきたのですから、それも不可能ではないでしょう。ただし、新しい科学は、物質レベルのみの科学ではなく、意識や霊性の次元を含み込んだ科学になると言われています。そのような科学が現実化するまで、私たちは世界平和の祈りを祈って、人類の集合意識の中に愛と調和の光を放射し続けていかなければならないと思います。


(8)再処理のコスト

2006年03月06日 | エネルギー問題
六ヶ所村(8)

原子力発電は商業発電です。これまで原子力が利用されてきたのも、原子力が水力や石油に比べてコストが安いからです。

各種の発電のコスト比較
http://www.iae.or.jp/energyinfo/energydata/data1012.html

ところが、再処理をすると、直接処分よりもコストが高くなることが判明しました。総合エネルギー調査会・原子力部会作業部会がコスト比較のデータを作成していながら、それを公表しなかったのです。
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/statement/2004_17.html

ここでも、日本の政治・行政につきものの隠蔽体質がかいま見られます。

アメリカの試算でもやはり再処理のほうが高くなると計算されています。
http://homepage3.nifty.com/radioactivewastes/jastjj/page_2/article_4.htm

再処理は、希少なウラン資源をできるだけ長く使うために行なわれるはずです。しかし、再処理しても、発電に使用できるプルトニウムはせいぜい3割程度増えるだけだといいます。
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/kouen/kanazawa.pdf

この程度では、エネルギー資源問題の根本的解決にはなりません。利用効率を3割程度、高めるために、膨大な資金を投入し、消費者に今まで以上に高い電気を買わせ、環境に大きな負荷まで与えてまで、再処理をする必要があるのかどうか、疑問のあるところです。

ウランを半永久的なエネルギー資源として利用するためには、どうしてもウランの99.3%を占めるウラン238を効率よく燃焼させる高速増殖炉を実現しなければなりませんが、これがはたして実現できるのかどうか、よくわかりません。

原子力大国のフランスでさえも、高速増殖炉建設の意欲が低下して、計画が見直されています。その理由は、

(1)技術的困難さ。
(2)高速増殖炉が軽水炉に比較して高くつく。
(3)世界的に核軍縮が進む中、むしろ余剰プルトニウムの処理が問題になっていて、高速増殖炉によって更にプルトニウムを増殖させる必要がなくなった。

という3点であるようです。
http://mext-atm.jst.go.jp/atomica/03010505_1.html

しかし、ロシア、インド、中国のように、現在でも高速増殖炉の研究を続けている国があり、日本も開発を断念していません。

高速増殖炉のことはさておき、プルトニウムが余っていて、地元の反対のためにそれをプルサーマルでどう消化するかの見通しも立たない段階で、しかもコストが割高で、エネルギーの自立にもつながらないというのに、はたして余剰プルトニウムを増やす再処理を急いで開始する必要があるのか、非常に疑問です。まず、現有のプルトニウムをきちんと消化する見通しを立ててからでも遅くないと思います。

このままでは、再処理でプルトニウムが増えるからプルサーマルをしなければならない、という本末転倒の事態になりかねません。六ヶ所村を理由に、原発の地元にプルサーマルを迫る、というやり方です。本来、プルトニウムの増加がいやならば、再処理をしなければいいだけです。

繰り返しますが、再処理+プルサーマルによって、電気料金が下がるという見通しはありません。むしろ電気料金は高くなると見られています。

ダムでも高速道路でも、いったん計画が作成され、それを実施するシステムができあがると、それに事業を依存する政府機構、官僚、企業、研究者、労働者が生まれ、その事業が役目を終え、もはや必要なくなっても、それをなかなか中断できないという日本の悪しき慣習が、ここでも作用しているような感じがします。


(7)再処理施設からの放射能

2006年03月04日 | エネルギー問題
六ヶ所村(7)

ウラン燃料は、小さなペレット(粒)として金属でできた燃料棒の中に詰められています。この燃料棒を原子炉の中で「燃やす」わけですが、燃料棒そのものは燃えてなくなるわけではありません。ウランが核分裂を起こしてエネルギーを発したあとには、燃料棒の中には燃え残りのカスが残ります。それが核のゴミ、放射性廃棄物です。

核のゴミを燃料棒のまま地中などに埋めるのを「直接処分」といいます。

これに対して、燃料棒を剪断(せんだん)して、中の放射性廃棄物を取り出し、それを化学処理してプルトニウムを抽出するのが「再処理」です。再処理の際には、金属棒の中に封入されていた放射性廃棄物が環境と広く接触することになります。

グリーンピースは以下のように警告しています。
http://www.greenpeace.or.jp/campaign/nuclear/documents/criradrepo1.pdf

・再処理工場は、原発とは桁違いの量の放射能を、海中や大気中に垂れ流す。
・ヨーロッパの再処理工場の周辺では、放射能による農産物や水産物の汚染が生じている。
・ヨーロッパの再処理工場の周辺では、子供たちの間に白血病が増えている。
・ヨーロッパの経験からすると、低レベルの放射線による被曝は、これまで考えられていた以上に危険である可能性がある。

原子炉は、チェルノブイリのような大事故を起こさないかぎり、それほど大量の放射能を周囲にまき散らすわけではありません。ところが、再処理工場は原子炉以上の放射能を周囲に排出する可能性があります。再処理の過程で、ヨウ素129、トリチウム、炭素14、クリプトン85などの放射性物質が、水中や大気中に放出されます。とくに、クリプトン85という放射性ガスは、六ヶ所村の再処理工場を1年間運転すると、チェルノブイリ原発事故の10倍もつくられるとグリーンピースは計算しています。

理論的にはこれらの放射性物質を完全に回収することも可能だとは思われますが、それを行なうと、コストが膨大になります。そのため、事業者が「合理的」でないと判断すれば、放射性物質は環境中に放出されます。「合理的」とは「商業的に見合う」という意味であって、「無害」という意味ではありません。

(6)玄海原発3号機でプルサーマル開始か

2006年03月03日 | エネルギー問題
六ヶ所村(6)

そういう中で、2月7日、全国に先駆けて、佐賀県がプルサーマルに同意する姿勢を見せました。佐賀新聞の記事より――

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 九州電力が玄海原発3号機(東松浦郡玄海町)で導入予定のプルサーマル計画について、古川康知事は7日、「安全性は確保される」とする見解を発表した。県は、計画の賛否の判断の前提に安全性を挙げていた。玄海町は近く同意する見通しで、県も3月末までに正式に同意するとみられ、全国で初めての同計画の実施がほぼ確実になった。
 
 県庁で記者会見した古川知事は、原子炉の制御性や混合酸化物(MOX)燃料の使用実績などに加え、地震やテロの可能性を含めた8項目の安全性に関する論点を県庁内で検討した結果、「国による厳格な規制、監督と九電の適正な安全管理を前提に、安全性は確保されるという結論に達した」と述べた。

 理由として「国の原子力安全・保安院と原子力安全委員会によるダブルチェックで安全とされた」ことに加え、九電の安全管理も「適切で良好な体制にある」とし、「総合的に検証した」と説明した。

 プルサーマル計画は、九電が2010年度の導入を目指して04年5月、県と玄海町に安全協定に基づく事前了解願を提出。安全審査を行った国は「計画は妥当」として、昨年9月に実施を許可。残る手続きは、玄海町と県の了解判断になっていた。

 県は、国や九電に続いて昨年12月、公開討論会を開催。この際、古川知事は「安全性の理解は深まった」と容認に向かう姿勢を示していた。

 古川知事は、玄海町の意向や、2月県議会での論議などを経て最終判断する考えだが、同町議会は既に導入を前提として地域振興策の協議に入っていることなどから、3月末までに知事が同意する可能性が高まった。

 一方、県民の間では、同計画への不安がぬぐい去られておらず、安全性に疑問を抱く市民団体などの反対運動が活発になりそうだ。

 プルサーマルは、国が核燃料サイクル政策の柱として推進。先行していた東京電力や関西電力ではトラブル隠しや事故で中断している。(坂田)
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http://www.saga-s.co.jp/pub/hodo/genkai/index.htm

この記事にもありますが、行政側と住民側では、プルサーマルの安全性への評価が違います。地元ではプルサーマルへの反対運動も起こっていますが、プルサーマルができないと、プルトニウムがたまり続けるので、国としてはどんなことをしてもプルサーマルを後押しするでしょう。

玄海原発が立地する唐津市では、プルサーマルの安全性について、2005年12月25日に公開討論会が開かれました。
http://www.saga-s.co.jp/pub/hodo/genkai/news/2005/051226.htm

・MOX燃料の特性
・事故時の影響範囲
・使用済みMOX燃料の処理

の3点について、賛否両論がまとめられています。これを読みますと、プルサーマルの安全性については専門の学者の間でも意見が一致しないようですので、素人には判断しようがありません。

今年になって佐賀県は以下のような理由で、「プルサーマルの安全性は確保される」という結論を出しました。

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 玄海原発のプルサーマル計画で、県は賛否の議論が分かれる論点について考えを示し、「安全性は確保される」と結論づけた。県の主な見解をまとめた。
 
<制御棒の利きが悪くなり原子炉を安全に停止できないのではないか>
 MOX燃料を使用した場合、制御棒の原子炉停止能力が低下することは確かだが、安全審査の基準を満たしており、原子炉を安全に停止できると理解できる。中性子を吸収するホウ素の濃度を上げることで調整でき、ウラン燃料使用時と同等の停止能力を持つことが確認されている。

<MOX燃料は核分裂生成ガス放出率が高く、内圧が高まって破損しやすいのではないか>
 核分裂生成ガス放出量が増えることを考えて、初めからガス加圧量を減らしており、燃料棒の内圧は基準を満たす。実験結果でも、燃料破損を特に考える必要はないことが確認されている。

<海外での実績よりプルトニウム濃度や燃焼度が高く危険ではないか>
 国内外の実験や安全解析に基づいて、玄海原発で計画されているプルトニウム濃度や燃焼度での特性を考慮し、安全解析が行われている。

<事故時の影響範囲が広がるのではないか>
 プルトニウムは気体になりにくく、原発には放射性物質を閉じこめる何重もの壁があるので、プルトニウムが外部に放出されることはほとんど考えられない。原発外への影響はウラン燃料と比べて差はないものと理解できる。

<テロの可能性が高まるのではないか>
 プルサーマルを実施することで警備体制や施設構造が変わるものではなく、攻撃される可能性が大きく増加するとは考えにくい。攻撃を想定した「県国民保護計画」を作成しており、万一の事態に対しても対応体制を整備していく。
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http://www.saga-s.co.jp/pub/hodo/genkai/index.htm

すでにプルサーマルが行なわれている西欧諸国では、これまで重大な事故は起こっていませんから、日本の原発が西欧諸国並みあるいはそれ以上に安全であるという前提があれば、プルサーマルそれ自体は、通常の原発と比べてそれほど危険(ナトリウムを使う高速増殖炉ほどの)ではないとは言えると思います。

ただし、プルサーマルのリスクが通常の原発とそれほど大きな違いがないとしても、再処理施設には原発とは違った危険性があると言われています。

(5)たまり続けるプルトニウム

2006年03月02日 | エネルギー問題
六ヶ所村(5)

プルトニウムは原爆にも転用できます。プルトニウムを大量に保有する国は、核兵器を製造する潜在能力を有することになります。日本は、使用済み核燃料を英仏で再処理してもらって、プルトニウムを受け取っています。日本は潜在的核兵器大国なのです。

プルサーマルは発電が目的であると同時に、プルトニウムを減らすためという側面もあります。現在、日本は、43.1トン(海外37.4トン、国内5.7トン)のプルトニウムを保有しているといいます。
http://www.gensuikin.org/rokkasho/060127.htm

六ヶ所村の再処理がスタートすれば、ますますプルトニウムが増えていきます。再処理しても、プルトニウムを消費する見通しが立たなければ、何にもなりません。

電力会社は今年になってようやくプルトニウムの消費計画を発表しました。2006年1月6日の産経新聞の記事より――

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 原発を運転する電力10社と原発計画を持つ電源開発の計11社は6日、全国12カ所以上の計16―18基の原発で、年間最大で計6.5トンのプルトニウムを消費するとした初の国産プルトニウム利用計画を公表した。開始時期は、「2012年度以降」としただけで特定されなかった。

 プルサーマル計画の現状をおおむねなぞった内容で、プルトニウムを使い切る計画と言えるかどうか、妥当性を確認する国の原子力委員会の判断が注目される。

 青森県六ケ所村の日本原燃再処理工場で今年春にも使用済み核燃料からプルトニウムが抽出されるのを前に、原子力委員会が公表を求めていた。

 日本原燃は早ければ2005年度中に試験運転として九州電力の使用済み核燃料で再処理を開始し、06年度と合わせて約1.6トンのプルトニウムを抽出。フル稼働すれば年間4トン強のプルトニウムが生産される。

 各電力は、日本原燃が六ケ所村に計画中の工場でプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料に加工、プルサーマルに使う。電気事業連合会は、年間5.5―6.5トンを消費し、海外保有分の約30トンも15年程度で燃やせるとしている。

 東京電力だけは原発名を挙げなかったが、トラブル隠しを受けて地元了解を白紙撤回した各自治体が、原発名を明示しないよう強く求めたのに配慮したとみられる。また、美浜原発死傷事故で計画が中断した関西電力は従来計画の原発名をそのまま表記した。

 地元に事前了解などを申し入れていない北海道、東北、北陸各電力はそれぞれ泊原発(北海道)、女川原発(宮城県)、志賀原発(石川県)としたが号機は未定。日本原子力発電は敦賀2号機(福井県)と東海第2原発(茨城県)を挙げた。具体的な計画が進んでいるのは中部電力浜岡4号機(静岡県)と中国電力島根2号機(松江市)、四国電力伊方3号機(愛媛県)、九州電力玄海3号機(佐賀県)、電源開発大間原発(青森県)。(共同)
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http://www.sankei.co.jp/news/060106/kei082.htm

2012年からは、六ヶ所村で年4トンのプルトニウムが生産され、年間5.5―6.5トン消費するというのです。この計画の通りにいけば、プルトニウムはたしかに減っていきます。

「プルトニウムを使い切る計画と言えるかどうか、妥当性を確認する国の原子力委員会の判断が注目される」と産経新聞は書きましたが、1月24日、原子力委員会は、わずか2回のヒアリングと1回の審議で、電気事業連合会等から出されていた「六ヶ所再処理工場で回収されるプルトニウムの利用計画について」を「利用の透明性向上の観点から妥当である」と認めました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060124-00000096-kyodo-soci

ところが、「16―18基の原発」とうたってはいますが、どこの原発でプルサーマルを行なうのか、まだ見通しが立っていないのです。とくに東電は、トラブル隠しのために地元(新潟県、福島県)の賛同がまったく得られていません。

はじめから再処理とプルサーマルありきということで、話が進んでいるという印象を禁じえません。



(4)プルサーマル

2006年02月25日 | エネルギー問題
六ヶ所村(4)

プルサーマルについて、原子力安全白書は、次のように説明しています。

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 軽水炉におけるプルトニウム利用(プルサーマル)に係る安全技術については、原子炉内の全燃料に対するMOX燃料の割合が1/3程度までは、既に述べたように、これまでのウラン燃料に係る安全技術をベースとして科学的、技術的知見が蓄積されてきており、その技術的基盤は十分に整っていると考えられます。また、改良型沸騰水型原子炉では、全燃料をMOX燃料とした場合にも、現在の安全設計・評価手法を使って原子炉における安全を確保することができるという検討結果が得られています。
 プルトニウムを軽水炉内で利用することは新しいことではなく、現在稼働中の軽水炉で得られるエネルギーのおよそ3分の1は、実は、プルトニウムからのものです。ウラン燃料が原子炉の中で核分裂を起こしエネルギーを生産するとともに、その一部がプルトニウムに変換され、変換されたプルトニウムがまた核分裂を起こしてエネルギーを生産しているからです。プルトニウムを初めから軽水炉の燃料として使うものがプルサーマルですが、プルサーマルと現在のウラン燃料利用との違いは、従って、最初からプルトニウムを燃料の中に入れてあることと、プルサーマルの方がプルトニウムの混合割合が高いことです。
 このプルサーマル技術には長年にわたる国際的な経験があります。そのような経験にも示されていますが、プルトニウムとウランの原子炉燃料としての特性に違いはあるものの、決定的な違いではありません。
 しかしながら、実際の設計に当たっては、燃料中心温度や制御棒の原子炉停止余裕等について、計算値の不確かさを見込みつつ安全余裕をとることが必要になります。具体的には、設計値・運転制限値・管理値の設定が規制値を満足する上で十分な余裕があることや、海外での実績や実験結果を活用するなどにより、設計における計算方法の信頼性等を事前に確認することが必要です。また、より一層の安全確保のため、引き続きMOX燃料の利用についてデータ収集を図ることが有効と考えています。
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http://www.nsc.go.jp/hakusyo/hakusyo13/15.htm

「このプルサーマル技術には長年にわたる国際的な経験があります」とあるように、ヨーロッパでは1960年代からすでにプルサーマルが行なわれています。プルサーマルを行なっている原子炉が重大な事故を起こしたという話は聞いていません。プルサーマルは高速増殖炉ほどの技術的困難さはないと考えられます。

しかし、日本では、プルサーマルに対する反対が根強い状況です。そもそも原発そのものに対する不安がある中で、MOXという今までとは異なった燃料が使われるのですから、その不安がよけいに高まるのは自然です。日本の原発ではたびたびトラブルが起こる上に、その情報公開が不十分です。不十分というよりも、情報隠しさえ行なわれたことがあります。これでは、地元住民がプルサーマルを受けいれがたいのも当然だと思われます。


(3)熱中性子と高速中性子

2006年02月24日 | エネルギー問題
六ヶ所村(3)

プルサーマル(plutonium thermal use)というのは、和製英語なのだそうです。

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熱中性子(thermal neutron)によりプルトニウムを燃焼させることを指す。もんじゅのような高速増殖炉では高速中性子によってプルトニウムが燃焼させられるが、軽水炉では熱中性子によって反応することから、このような名称が作られた(和製英語)。
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Wikipediaより

※インターネットを検索してみると、海外のサイトでも「plutonium thermal use」という語が見出されます。

プルトニウムを核分裂させるためには中性子がぶつからなければなりませんが、中性子は、その速度によって熱中性子と高速中性子に分けられるのだそうです。

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 核分裂によって発生した中性子は高いエネルギーを持ち平均秒速2万キロメートルで走る。これを高速中性子と呼ぶ。軽水炉などでは水などの減速材でこの高速中性子を平均秒速2.2キロメートルくらいまで減速させU-235の核分裂を起こしやすくする。速度を遅くした中性子を熱中性子と呼び、この熱中性子により核分裂連鎖反応を起こさせる原子炉を熱中性子炉という。現在、実用化されている原子炉(発電炉)はほとんど熱中性子炉である。
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原子力百科事典より
http://mext-atm.jst.go.jp/atomica/dic_0642_01.html

これに対して、高速中性子を利用した原子炉が高速増殖炉です。

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高速増殖炉(こうそくぞうしょくろ Fast Breeder Reactor:FBR)とは、核分裂で発生した中性子を減速せずに次の分裂に入る方式を言う。 通常の原子炉における燃料転換率は1未満であるが、高速増殖炉においては、燃料転換率(燃料増殖率)1.4を実現している。

使用前のMOX燃料には、燃料となるプルトニウム239と微量ウラン235、および核分裂を起こさないウラン238とが含まれている。高速増殖炉は、このうちのウラン238をプルトニウム239に転換するのに適した原子炉で、プルトニウムの燃焼による発電をしながらにして、燃料を使用前以上に増やすことが出来るという画期的な原子炉である。

核分裂反応に必要な中性子は、熱中性子というエネルギーの低い中性子で、通常の原子炉では減速材を用いて高速中性子のエネルギーを落として熱中性子に変える。一方プルトニウム239に転換するのに必要なのは高速中性子である。ゆえに、高速増殖炉では減速材を用いずに、高速中性子を増やすことでプルトニウム239への燃料転換率を高めている。
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Wikipediaより

核燃料には、核分裂を起こさないウラン238が含まれていますが、高速増殖炉では、高速中性子がウラン238を高い比率でプルトニウムに変換するので、消費したプルトニウムよりももっと多くのプルトニウムを作る(増殖させる)ことになります。

しかし、高速増殖炉には大きな技術的困難さがあります。

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しかし、冷却材である金属ナトリウムの管理に高い技術が必要であること、通常の原子炉よりも費用がかかる事、現在開発中の炉の多くが何らかの事故を起こしていることなど、経済性や安全面から開発を断念する国が後を絶たない。日本でも、高速増殖炉原型炉もんじゅでナトリウム漏洩があって以来、高速増殖炉開発および、プルサーマル計画は中断されたままである。 また、ウラン燃料は、ウラン235の半減期が約7億年と長く、通常状態において殆ど放射線を出さない一方、プルトニウムを含む燃料は、プルトニウム239の半減期が約2万4千年とウラン235と比較して非常に短いことから放射能が極めて強いこと、あるいはプルトニウムの海上輸送そのものに対する反発の声が高まっているため、高速増殖炉の開発は一層困難な状況である。
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Wikipediaより

高速増殖炉の開発を目指していた原子力大国のフランスでさえ、高速増殖炉を断念しています。日本でも高速増殖炉「もんじゅ」はトラブル続きでした。そこで、高速増殖炉の代わりにプルサーマルが計画されているわけです。

(2)ウランとプルトニウム

2006年02月23日 | エネルギー問題
六ヶ所村(2)

E=mc2というアインシュタインの相対性理論が示しているように、質量とエネルギーは相互転換可能です。原子核が分裂する際に、質量の一部がエネルギーに転化します。原子力発電は、ウランやプルトニウムの核分裂を利用します。

ウランには、ウラン235とウラン238という2種類の同位体があります。このうち、核分裂を起こすのは、ウラン235です。しかし、自然界にはウラン235は0.7%しか存在せず、残りの99.3%は核分裂を起こさないウラン238です。

「軽水型」と呼ばれる原子炉では、ウラン235が多く含まれる「濃縮ウラン」が燃料として使用されます。これは、ウラン235の比率を3~4%まで高めたものです。濃縮作業の過程で、ウラン235の比率が自然界の0.7%より低いウラン部分が副産物として発生しますが、これを「劣化ウラン」といいます。砲弾に用いると貫通力が強いので、対戦車砲弾などに使われます。湾岸戦争や最近のイラク戦争では劣化ウラン弾が大量に使われました。

ウラン235が核分裂する際に中性子が放出され、その中性子がウラン235に当たると、そのウラン235も核分裂を起こし、中性子を発生します。次々と起こる核分裂を連鎖反応といいます。それが一気に進むと原爆ですが、中性子をコントロールして徐々に核分裂を起こさせるのが原子炉です。

原爆の場合は、ウラン235の純度を100%近くに高めてあります。原爆と原子力発電では、ウラン235の純度がまったく違います。

核分裂を起こさないウラン238に中性子が当たると、何段階かの変化をへて、プルトニウムという物質ができますが、これは核分裂を起こします。これも原爆や原子力発電の原料になります。

自然界にはウラン235は少なく、ウラン238のほうが圧倒的に多いので、ウラン235だけを使っていては、ウラン資源がすぐに枯渇します。そこで、ウラン238から生まれたプルトニウムも原子力発電に利用することが考えられました。ちなみに、現在、世界に存在する核兵器の大部分は、プルトニウムが利用されています。

再処理の目的は、いったん使用した核燃料の中から、燃え残りのプルトニウムを抽出し、それを核燃料として再利用することです。プルトニウムを核燃料として利用するためには、現在の技術では、それをウラン235に混ぜてMOXという材料にし、それを「燃やし」ます。これを「プルサーマル」といいます。


六ヶ所村(1)

2006年02月21日 | エネルギー問題
気象異変の原因は、二酸化炭素=CO2の増加による地球温暖化だと言われています。京都議定書(1997年)は、温室効果ガスの排出量を先進国全体で、1990年を基準にして、2012年までに5%削減することを目指しています。

※京都議定書については2005年2月18日、9月8日にも書いています。

CO2は、石油、ガス、石炭などの化石燃料を燃焼させるところから生じます。化石燃料の使用をやめ、別のエネルギー源を開発すれば、CO2を減らすことができます。そのために、風力、地熱、太陽光、バイオマスなどの新エネルギーの開発が進められていますが、いずれもまだ石油やガスに代わるほどのエネルギー源にはなりえていません。

現在、日本をはじめ世界の工業国で、石油に次ぐエネルギー源になっているのが、原子力です。日本では、総発電量の約30%が原子力発電です。フランスでは総電力における原子力発電の比率は75%にのぼります。原子力発電がなくなったら、先進国の電気に依存した便利な生活は成り立たなくなります。

もし原子力をすべてやめて、その分を化石燃料で代替すれば、膨大な量のCO2が発生します。むしろ、できるだけ原子力発電を増やし、化石燃料の使用を抑制したほうが、その分だけCO2を減らすことができ、地球環境にとってプラスだ、と考える人もいます。ガイア仮説の提唱者で、環境保護運動に熱心なジェームズ・ラブロック博士などもその一人です。

ただし原発には、放射性廃棄物、いわゆる核のゴミが発生します。現在のところ、これを安全に処理する方法はありません。せいぜい地中深くに貯蔵することができるだけです。原発を稼働させれば、どんどん核のゴミが増えていきます。環境循環型ではない原子力は、決して望ましいエネルギー形態ではありません。

また、チェルノブイリのような重大な事故が起こると、大規模な環境汚染が引き起こされる危険性もあります。とくに、地震多発国である日本では、大地震の際に原発が破壊され、放射能が環境に放出される恐れがあります。とくに心配されているのが、東海地震の直撃を受けるかもしれない御前崎市にある中部電力の浜岡原発です。浜岡原発は老朽化が進み、またコンクリートの強度にも問題があると言われています。もし放射能が漏れると、偏西風に乗って首都圏にまで到達すると予測されています。

※浜岡原発の危険性について http://www.stop-hamaoka.com/
※最近、中部電力は浜岡原発1号、2号機の停止を3年間延長することを発表しました。
http://www.chuden.co.jp/corpo/publicity/press2006/0127_2.html

ドイツは、環境重視の「緑の党」が連立政権に参加し、これまで脱原発を進めていましたが、最近は、やはり原発なしではエネルギーが不足するということで、脱原発政策を見直しはじめているようです。

原発から出た核のゴミを再処理すれば、そこからプルトニウムを取り出すことができます。プルトニウムはウランと同じ核分裂物質なので、これを原発に利用することが可能です。広島に落とされた原爆はウラン型爆弾であり、長崎に落とされた原爆はプルトニウム型爆弾でした。プルトニウムを原子炉の中で「燃やす」ことができれば、その分だけウランの使用を減らすことができます。

この再処理を日本は今までイギリスとフランスに委託していましたが、それを国内でも行なうために作られたのが、青森県六ヶ所村の再処理施設です。