狂牛病(BSE)と狂鹿病(CWD) (12)
1月24日の新聞に小さく出た記事です。
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農水省は23日、北海道別海町の農場で死んだ乳牛1頭を牛海綿状脳症(BSE)と確定診断したと発表した。国内の感染牛は22頭目。肉や内臓などは焼却処分されるため市場には出回らない。
農水省などによると、5歳4カ月の雌のホルスタインで、20日に死んだという。感染源の恐れがあるとされる肉骨粉が餌として禁止される前の2000年9月に生まれた。北海道は飼料などを分析して感染ルートを調べる。
21日に道内の検査機関で実施した1次検査で疑陽性となり、2次検査でも陽性だった。(共同通信) - 1月23日22時46分更新
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昔なら一面トップに出るようなニュースですが、今では慣れっこになってベタ記事扱いです。
22頭目のBSE牛とは、アメリカの10倍ですね。日本でBSEが蔓延しているのか、アメリカでBSEが隠蔽されているのか。
アメリカでは、牛の肉骨粉が豚や鶏の飼料として今でも使われています。牛の肉骨粉を利用するかぎり、その肉骨粉が製造工場などの汚染で、牛に投与される危険性(これを「交差汚染」といいます)が残ります。
これに対して日本では、牛の肉骨粉の利用は2001年に全面禁止されましたが、豚や鶏の肉骨粉は、プリオンを含まないとして、今でも豚や鶏の飼料として使われています。(豚や鶏が共食いさせられるわけで、これも問題がないわけではありません)
記事の牛は2000年9月生まれですから、肉骨粉を食べた可能性はあります。しかし、日本の21頭のBSE牛の飼育状況を調べてみると、肉骨粉がすべての原因とは考えられません。BSEのもう一つの原因ではないかと疑われているのが代用乳です。
代用乳というのは、生後7日から約1カ月間、子牛に与えられる人工乳です。脱脂粉乳、動物性油脂、 動物の血漿タンパクなどが調合されています。なぜこのような人工乳を飲ませるかというと、
・母乳(牛乳)は人間用に販売する。
・子牛を早く肥育させる。
という二つの理由からです。
この代用乳の中に含まれている動物性油脂は、先に説明した「レンダリング」によって得られます。現在のところ、油脂そのものがBSEを引き起こすとは考えられていません。しかし、油脂の原料が牛である場合、そしてその牛がBSEであった場合、プリオンが油脂に混入する可能性はないのでしょうか?
この連載(4)の毎日新聞の記事にもありましたが、日本で見つかったBSE牛が飲んでいた「ミルフードAスーパー」という代用乳には、アメリカから輸入した材料が使われていました。それには「豚の血しょう」と「牛の油脂」が含まれていました。そのどちらか、あるいは両方がBSEを引き起こした可能性があります。
同じ記事によりますと、「群馬県宮城村で見つかった国内3頭目の感染牛には「ミルフードAスーパー」は与えられていなかったが、同工場〔科学飼料研究所高崎工場〕で製造された、豚の血しょうたんぱく入りの別の代用乳を飲んでいた」こともわかっています。「豚の血しょうたんぱく」だけでもBSEを引き起こすのでしょうか? それとも、豚の血漿に牛の血漿が混入していたのでしょうか?
血漿タンパクは、牛の血を材料とするものと、豚の血を材料とするものがありますが、どちらにしても、草食動物である牛の子に、牛または豚の血を飲ませているわけです。明らかに自然の摂理を逸脱していますから、そういう成分を含んだ代用乳を飲まされた牛がBSEになる可能性は否定できません。
日本で発生したBSEは、代用乳が原因の可能性が高いのです。以下は昨年12月段階での情報です――
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全農(全国農業協同組合連合会)とその最大組織である「ホクレン」がBSE汚染代用乳(生後直ぐの子牛に与えられる人工乳)を製造・販売し、これが日本のBSE発生の原因だったとの疑惑が強まっている。
これまで厚労省は、英国から輸入された感染牛に由来する肉骨粉による配合飼料への交差汚染が発生源の可能性が高いとして、肉骨粉を原因に仕立て上げてきた。しかし、肉骨粉全面禁止後に生まれ飼育された牛の感染が確認されるなど肉骨粉原因説は大きく後退し、あらためて代用乳原因説が浮上してきた。
日本政府は、日本でのBSE感染経路の解明に蓋をしたまま全頭検査を緩和して、さらに危険な米国産牛肉解禁に踏み切ろうとしている。発生源として敢えて否定されてきた代用乳をめぐる業界団体と農水省の動きを検証する。隠蔽体質に汚染された農水省は市民の命を守るという気などさらさらない。
表は、これまで確認された感染牛の出生・飼育県と出生年月日・生後月齢だ。これに感染源と疑われる代用乳(ミルフードA・ピュアミルクH他)の使用状況を書き加えたものだ。この表から読み取れることは三点。
1 国内でこれまで発見された二〇頭のうち一三頭の誕生が、一九九五年一二月から九六年八月に集中しており、2 これらは、問題の代用乳を一様に摂食している。3 しかしほとんどの感染牛に肉骨粉は与えられていない。
この表を見る限り日本のBSEは、「科学飼料研究所高崎工場」(全農子会社)製造の代用乳によって発生したと考えるのが当然だったのだ。もともとBSEは仔牛の時に感染しやすいと言われており、多くの生産者は、当初から代用乳を疑ってもいたのだから。
しかし「BSE疫学調査報告書」(二〇〇三年九月)は、「代用乳使用とBSE発生は関係があるとはいえない」と結論した。この時点で七頭の感染牛が確認され、その七頭ともが同じ代用乳を給与されていたにもかかわらずである。
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http://www.jimmin.com/doc/0443.htm
こういう代用乳で育て、へたり牛が続出しているアメリカで、BSE牛がわずか2~3頭というのは、本当におかしな数字です。
成牛に対する肉骨粉の投与もやめなければなりませんが、代用乳に動物性油脂や血漿を混入することもやめなければなりません。
1月24日の新聞に小さく出た記事です。
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農水省は23日、北海道別海町の農場で死んだ乳牛1頭を牛海綿状脳症(BSE)と確定診断したと発表した。国内の感染牛は22頭目。肉や内臓などは焼却処分されるため市場には出回らない。
農水省などによると、5歳4カ月の雌のホルスタインで、20日に死んだという。感染源の恐れがあるとされる肉骨粉が餌として禁止される前の2000年9月に生まれた。北海道は飼料などを分析して感染ルートを調べる。
21日に道内の検査機関で実施した1次検査で疑陽性となり、2次検査でも陽性だった。(共同通信) - 1月23日22時46分更新
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昔なら一面トップに出るようなニュースですが、今では慣れっこになってベタ記事扱いです。
22頭目のBSE牛とは、アメリカの10倍ですね。日本でBSEが蔓延しているのか、アメリカでBSEが隠蔽されているのか。
アメリカでは、牛の肉骨粉が豚や鶏の飼料として今でも使われています。牛の肉骨粉を利用するかぎり、その肉骨粉が製造工場などの汚染で、牛に投与される危険性(これを「交差汚染」といいます)が残ります。
これに対して日本では、牛の肉骨粉の利用は2001年に全面禁止されましたが、豚や鶏の肉骨粉は、プリオンを含まないとして、今でも豚や鶏の飼料として使われています。(豚や鶏が共食いさせられるわけで、これも問題がないわけではありません)
記事の牛は2000年9月生まれですから、肉骨粉を食べた可能性はあります。しかし、日本の21頭のBSE牛の飼育状況を調べてみると、肉骨粉がすべての原因とは考えられません。BSEのもう一つの原因ではないかと疑われているのが代用乳です。
代用乳というのは、生後7日から約1カ月間、子牛に与えられる人工乳です。脱脂粉乳、動物性油脂、 動物の血漿タンパクなどが調合されています。なぜこのような人工乳を飲ませるかというと、
・母乳(牛乳)は人間用に販売する。
・子牛を早く肥育させる。
という二つの理由からです。
この代用乳の中に含まれている動物性油脂は、先に説明した「レンダリング」によって得られます。現在のところ、油脂そのものがBSEを引き起こすとは考えられていません。しかし、油脂の原料が牛である場合、そしてその牛がBSEであった場合、プリオンが油脂に混入する可能性はないのでしょうか?
この連載(4)の毎日新聞の記事にもありましたが、日本で見つかったBSE牛が飲んでいた「ミルフードAスーパー」という代用乳には、アメリカから輸入した材料が使われていました。それには「豚の血しょう」と「牛の油脂」が含まれていました。そのどちらか、あるいは両方がBSEを引き起こした可能性があります。
同じ記事によりますと、「群馬県宮城村で見つかった国内3頭目の感染牛には「ミルフードAスーパー」は与えられていなかったが、同工場〔科学飼料研究所高崎工場〕で製造された、豚の血しょうたんぱく入りの別の代用乳を飲んでいた」こともわかっています。「豚の血しょうたんぱく」だけでもBSEを引き起こすのでしょうか? それとも、豚の血漿に牛の血漿が混入していたのでしょうか?
血漿タンパクは、牛の血を材料とするものと、豚の血を材料とするものがありますが、どちらにしても、草食動物である牛の子に、牛または豚の血を飲ませているわけです。明らかに自然の摂理を逸脱していますから、そういう成分を含んだ代用乳を飲まされた牛がBSEになる可能性は否定できません。
日本で発生したBSEは、代用乳が原因の可能性が高いのです。以下は昨年12月段階での情報です――
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全農(全国農業協同組合連合会)とその最大組織である「ホクレン」がBSE汚染代用乳(生後直ぐの子牛に与えられる人工乳)を製造・販売し、これが日本のBSE発生の原因だったとの疑惑が強まっている。
これまで厚労省は、英国から輸入された感染牛に由来する肉骨粉による配合飼料への交差汚染が発生源の可能性が高いとして、肉骨粉を原因に仕立て上げてきた。しかし、肉骨粉全面禁止後に生まれ飼育された牛の感染が確認されるなど肉骨粉原因説は大きく後退し、あらためて代用乳原因説が浮上してきた。
日本政府は、日本でのBSE感染経路の解明に蓋をしたまま全頭検査を緩和して、さらに危険な米国産牛肉解禁に踏み切ろうとしている。発生源として敢えて否定されてきた代用乳をめぐる業界団体と農水省の動きを検証する。隠蔽体質に汚染された農水省は市民の命を守るという気などさらさらない。
表は、これまで確認された感染牛の出生・飼育県と出生年月日・生後月齢だ。これに感染源と疑われる代用乳(ミルフードA・ピュアミルクH他)の使用状況を書き加えたものだ。この表から読み取れることは三点。
1 国内でこれまで発見された二〇頭のうち一三頭の誕生が、一九九五年一二月から九六年八月に集中しており、2 これらは、問題の代用乳を一様に摂食している。3 しかしほとんどの感染牛に肉骨粉は与えられていない。
この表を見る限り日本のBSEは、「科学飼料研究所高崎工場」(全農子会社)製造の代用乳によって発生したと考えるのが当然だったのだ。もともとBSEは仔牛の時に感染しやすいと言われており、多くの生産者は、当初から代用乳を疑ってもいたのだから。
しかし「BSE疫学調査報告書」(二〇〇三年九月)は、「代用乳使用とBSE発生は関係があるとはいえない」と結論した。この時点で七頭の感染牛が確認され、その七頭ともが同じ代用乳を給与されていたにもかかわらずである。
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http://www.jimmin.com/doc/0443.htm
こういう代用乳で育て、へたり牛が続出しているアメリカで、BSE牛がわずか2~3頭というのは、本当におかしな数字です。
成牛に対する肉骨粉の投与もやめなければなりませんが、代用乳に動物性油脂や血漿を混入することもやめなければなりません。