平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

原発問題のその後(2)

2006年03月25日 | Weblog
〇配管に大きなひび
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 東京電力が福島第二原発3号機(福島県富岡町)の検査で主要配管のひびを溶接の跡と誤認して見逃した問題で、東電は23日、ひびが配管を一周していたとする調査結果をまとめ、経済産業省原子力安全・保安院に報告した。
 保安院によると、原発の主要配管でひびが全周にわたって見つかるのは極めてまれ。保安院は全国の電力会社に、検査で一定の基準を超える影が写った場合はひびがあると評価し、溶接の跡と判断する前に詳細な調査を行うよう指示した。
 東電によると、炉心に冷却水を戻す外径60センチ、厚さ38ミリの配管で、最深部で8・8ミリのひびが一周していた。国の基準を超えており、交換が必要だったという。
 報告で東電は、検査員がひびを溶接の跡と見誤ったと断定。こうした全周のひびは過去に例がなく、検査員が「そういったひびはあり得ない」と思い込んだという。
(共同通信) - 3月23日21時55分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060323-00000277-kyodo-soci

安全確保に対する職員の意識のゆるみが気になります。表面に出てきた事故やミスの背後には、もっと多くのミスが隠れている可能性があるといいます。そういうミスの積み重ねが、いつかは大事故につながることは、飛行機事故の場合と同じです。


〇ノズルの溶接がはずれる
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 中国電力は23日、定期検査中の島根原発2号機(松江市、沸騰水型、出力82万キロワット)で、非常時に原子炉へ冷却水を注ぐ配管出口部分のノズルで、さらに9カ所の溶接が外れている可能性があると発表した。
 2号機ではノズル内部の部品7個が原子炉内に落下、ノズル1カ所で溶接が外れ本来の向きから約60度回転していたことが判明。中国電力は原因や関連を調べている。
 島根原発広報課によると、水中カメラで撮影した映像で、溶接が外れてできたとみられるひびなどが見つかった。ひびが貫通しても冷却水は炉心に注がれるため、冷却機能はあるとしている。
 同様のノズルは、冷却水を注ぐ高圧系と低圧系に計208個あり、異常があった計10個は高圧系9個と低圧系1個。
 ノズルは2002年の定期検査で点検し、異常はなかったという。
(共同通信) - 3月23日21時56分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060323-00000278-kyodo-soci

日本の原発ではどうしてこんなによく小さい事故が起こるのでしょうか。


〇耐震設計に問題あり
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石川県志賀町の北陸電力志賀原発2号機(改良型沸騰水型軽水炉、出力135・8万キロ・ワット)を巡り、周辺住民らが「耐震設計に問題がある」などとして、同社を相手取り運転差し止めを求めた訴訟の判決が24日、金沢地裁であった。

 井戸謙一裁判長は「耐震設計には問題があり、想定を超えた地震によって原発事故が起こり、原告らが被曝(ひばく)する具体的可能性が認められる」として、運転差し止めを命じる判決を言い渡した。北陸電力は判決を不服として控訴し、運転は継続する。

 原発の運転や設置を巡る主な判決は過去に30件あるが、住民側勝訴は、高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の設置許可を無効とした2003年1月の名古屋高裁金沢支部判決(最高裁で原告敗訴)のみ。商業用原発(軽水炉)では今回が初めて。全国の他の54基の商業炉に影響を及ぼしかねない判決となった。

 志賀原発2号機は今月15日に営業運転を開始。裁判では、〈1〉2号機東側を通る「邑知潟(おうちがた)断層帯」(約44キロ・メートル)をどのように評価するか〈2〉国の原子力委員会が1978年に策定し、現在の原発設計の基準となっている「耐震設計審査指針」が地震の危険性を過小評価していないか――が主な争点となった。

 井戸裁判長は、原告で最も遠方の熊本県在住者まで含めて人格権に基づく住民側の差し止め請求権を認めた上で、昨年3月に国の地震調査委員会が「マグニチュード(M)7・6程度の地震が30年以内に起きる可能性は2%」と公表した邑知潟断層帯などに対する同2号機の耐震設計を検討。〈1〉M6・5としている直下地震の想定が小規模過ぎる〈2〉考慮すべき邑知潟断層帯の地震を考慮していない〈3〉昨年8月の宮城地震で、岩盤上の揺れが耐震設計の最大想定を上回り東北電力女川原発全3基が自動停止するなど、原発敷地での地震動を想定する手法に妥当性がない――などの問題点を指摘し、「北陸電力側の想定を超えた地震で事故が起こりうる」とした。

 改良型沸騰水型の安全性については「事故が発生する具体的可能性についての立証が不十分」と住民側の主張を退けた。

 訴訟は、周辺住民ら135人(うち3人死亡)が99年8月に建設差し止めを求めて提訴。昨年4月の試運転開始後、請求内容を運転差し止めに変更した。
(読売新聞) - 3月24日14時37分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060324-00000102-yom-soci

原発裁判といえば、今まで常に電力会社と国側の主張を認める判決ばかりでしたが、この判決は画期的だと言われています。

地震学者の最近の研究により、今まで見つからなかった断層が見つかり、原発が作られた当時に予想されたよりも強い地震が起こる可能性が明らかになった以上、耐震基準の見直しは当然でしょう。これまで強い地震が起こらなかったから、これからも起こらないというのは、誤った推論であることは、阪神淡路大地震の被害を見るまでもありません。地震でによってきな原発事故が起こってからでは遅いのです。裁判がようやく一般人の常識に近づいた、ということでしょう。


〇六ヶ所村で試運転開始
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 青森県の三村申吾知事は23日、日本原燃の児島伊佐美社長と会談し、六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場で予定する試運転(アクティブ試験)をめぐり、品質保証体制の向上をはじめ4項目の実施について確約を得た。三村知事は「真摯(しんし)に答えてくれた」と原燃の姿勢を評価。政府の意向を確認する「核燃料サイクル協議会」の開催日次第で、月内にも知事が同意し試験が開始される可能性が出てきた。

 官房長官や関係閣僚らで構成される協議会の開催は現在、27日を軸に調整中。プルサーマルの実行などについて政府方針を確認できれば、県は一両日のうちに、六ケ所村とともに原燃と結ぶ安全協定案を提示し、協定を締結する見通し。

 ただ、このほか、原燃が国に提出している試験の保安規定の認可、六ケ所村隣接市町村との安全協定締結も必要になる。

 会談で三村知事は(1)教育訓練の徹底を含む品質保証体制の向上(2)試験途中の評価結果を国とともに県にも報告すること(3)放射線の安全理解のための広報広聴活動の強化(4)メンテナンス業務の地元発注など地域振興の推進―の4項目を要望。児島社長は「真摯に取り組んでいく」と、いずれも受け入れた。

 一方、六ケ所村は23日の庁議で、安全協定素案について問題がないことを確認。同意に向けた村内の手続きをほぼ終えた。
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060324-00000003-khk-toh

いよいよ今月中に六ヶ所村の再処理施設が動き出します。青森県の三村申吾知事は、「品質保証体制の向上をはじめ4項目の実施について確約を得た」そうですが、再処理によって生じるプルトニウムの使い道がはっきりしません。各地の原発トラブルで、プルサーマル開始がますます遅れそうなのです。

再処理施設からは、環境中に放射性物質がまき散らされる可能性が指摘されています。青森県は、環境中の放射能を測定し、監視する体制を築いているのでしょうか。