平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

(10)へたり牛(ダウナー牛)

2006年01月25日 | 食の安全
狂牛病(BSE)と狂鹿病(CWD) (10)

ライブドア事件の陰に隠れてしまいましたが、BSE問題も広がりを見せています。

中央紙のサイトには出ていないようですが、北海道新聞の2006年1月24日の記事です。

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 【オタワ23日共同】カナダ食品検査局は23日、西部アルバータ州の農場で牛海綿状脳症(BSE)に感染した牛が見つかったと発表した。カナダでの感染牛確認は4例目。
 カナダ産牛肉は、2003年5月のBSE発生で日本への輸入が停止されたが、日本政府は昨年12月、米国産とともに輸入を再開したばかり。今月20日に米国産牛肉に特定危険部位の混入が見つかり同国産牛肉が再度輸入停止された後も、日本のカナダ産の輸入は続いてる。
 感染していたのは6歳の牛。人間の食用や動物の飼料用として流通はしていない。
 2003年12月に米国で初めて確認されたBSE感染牛も、カナダから輸入されていた。
 米政府は03年5月、BSE発生を理由にカナダ産の牛の輸入を停止したが、昨年7月、生後30カ月以下の牛に限って輸入を再開した。
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http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20060124&j=0044&k=200601249484

より詳しい情報は「農業情報研究所」のサイト(私の情報源の一つです)にあります。
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/06012401.htm

これを読みますと、BSEの原因はやはりMBM(肉骨粉)のようです。カナダでは「フィードバン」といって、牛の飼料に哺乳動物蛋白質を利用することを禁止する措置をとっているはずなのですが、「フィードバン」が完全に守られていない可能性があります。

カナダ産牛肉は安全なのでしょうか? 日本政府はどのような検証を行なっているのでしょうか?

肉骨粉に関してカナダよりはるかに規制のゆるいアメリカでは、これまで発見されたBSE牛はわずか2~3頭です。
http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber/preview050816.html

これをもってアメリカは自国の牛肉は安全だ、と主張しておりますが、アメリカはまともなBSE検査をしていないから、見つからないだけなのです。

「田中宇の国際ニュース解説」2004年7月6日より――

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 1980年代にイギリスで狂牛病が大発生して以来、米農務省は「アメリカでは狂牛病は発生していない」と主張し続けてきた。だが、農務省は牛肉業界の圧力を受け、米国の狂牛病検査はごく限られた量しか行われてこなかった。狂牛病の確率が比較的高いと考えられる自力で歩けなくなった牛(へたり牛、ダウナー牛)の数の約1割にあたる年間2万頭前後に対してのみ検査が行われていた。全米で年間にされる3500万頭の牛のうち0・05%しか検査していなかったことになる。

 毎年1000万頭が検査されるEUや、毎年120万頭の全頭が検査される日本に比べ、アメリカは検査に消極的だった。特に、大手の屠場の中には全く検査をしていないところもあり、昨年末に狂牛病の牛が確認された西海岸のワシントン州では、州内700カ所の屠場のうち、検査をしているのは100カ所以下しかなかった。米当局がアメリカで狂牛病が発生していないと主張していたのは、検査対象が非常に少なかったことに起因していた可能性がある。
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http://tanakanews.com/e0706BSE.htm

まともに歩けなくなった牛を「へたり牛」「ダウナー牛」と呼びます。BSEを発症すると、牛は歩けなくなります。つまり、「へたり牛」になります。「へたり牛」すべてがBSEとは限りませんが、BSEの可能性はゼロではありません。アメリカでは「へたり牛」が毎年20万頭くらい出るのですが、その1割の2万頭しか検査されていないのです(それも、どの程度の検査なのか疑問があります)。

足を骨折した牛も歩けないから「へたり牛」ですが、外傷は見ればすぐにわかります。「へたり牛」の大部分は何らかの病気だと思われますが、その中にはBSE牛も含まれているに違いありません。

アメリカでBSE牛が発見される2003年まで、「へたり牛」の肉は食用に使われていました。畜産業者にしてみれば、せっかく子牛を購入し、飼料を与えて育てた牛を、へたったからといって廃棄処分すれば大損になりますから、病気の牛の肉でも売りさばいてお金にしたいわけです。アメリカでは、病気の牛を、ひょっとするとBSEかもしれない牛を、脊柱などの特定危険部位も除去することなく食用に供していたわけです。

それが食用禁止になったのは、アメリカでBSEが見つかった2003年の12月30日です。

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 【ワシントン30日共同】米農務省のベネマン長官は30日、米国初の牛海綿状脳症(BSE)感染牛が確認された問題で(1)「へたり牛」(ダウナーカウ)の食用全面禁止(2)BSE検査の結果が判明する前の販売禁止(3)牛の生産履歴などを迅速に把握するための家畜識別番号(ID)制度の導入-などの追加的な安全対策を発表した。
 また米国のBSE対策について客観的な評価を下してもらうため、専門家で構成する国際的な委員会を設置する方針も明らかにした。
 BSE感染牛の発見からわずか1週間後に現時点で実行可能な対応策を素早く示すことで、牛肉への国民の不安や、国際的な「米国牛離れ」を沈静化する狙いがある。ただ今回の対策で最大輸入国の日本などが輸入禁止の解除に応じるかどうかは不透明だ。
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http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=NGK&PG=STORY&NGID=main&NWID=2003123101000316

日本も2003年まで、米国産へたり牛肉を輸入していたことになります。
http://blog.livedoor.jp/manasan/archives/17603520.html

もし日本が米国産牛肉の輸入を再開するつもりならば、少なくともアメリカの業者が「へたり牛」をきちんと排除しているかどうかを確認しなければなりません。アメリカが「きちんとやっています」と言っても、今回の脊柱混入事件でもわかるように、言葉だけでは信用できません。輸入再開に際して消費者から強い反対の声が出されたのに、日本政府はアメリカの言うことを、たいした検証もしないでよくもそのまま信じましたね。

とくに危険なのは、牛を・解体したあとの「くず肉」の回収です。

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 昔懐かしい手回しの洗濯物搾り機を想像してほしい。これと同じ原理に強力な水圧をプラスして、大掛かりな装置にする。そこに、濡れた洗濯物ではなくされた牛を入れる。

 それが先進的食肉回収システム(AMR)の基本的な仕組みだ。この技術を使い、圧力をかけて、処理後の骨に付着している肉をはがし取る。こうした処理は、かつて自動ナイフを操る作業員によって行なわれ、AMRに比べると効率が悪く危険度は高かった。

 AMR(図)を使えば、肉や骨に手で直接触れるのは機械に入れるときだけで済む。この機械は、肉の付着した骨を約15センチほどの長さに切断し、それを水圧室に入れる。水圧室では肉付きの骨が2本の回転シリンダーに挟まれて押しつぶされる。1本のシリンダーが篩(ふるい)のように肉だけを濾し取り、骨と結合組織を反対側に残す。そこで分離された肉は最後にもう一度、より目の細かい篩に通され、残留していた骨片や軟骨が取り除かれる。

 AMRで回収された肉は通常、ソーセージやタコス用トッピングなど加工肉製品に混ぜられる。
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http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20040121303.html

もちろん、脊柱など特定危険部位も「先進的食肉回収システム」にかけられます。もしその牛がBSEだった場合、プリオンが「AMRで回収された肉」に入り込む可能性があります。牛肉だけではなく、「ソーセージやタコス用トッピングなど加工肉製品」、ハンバーグなどもきわめて危険だと言うことがわかります。

特定危険部位の除去はもちろんのこと徹底しなければなりませんが、こうした「先進的食肉回収システム」も中止しなければなりません。そして、根本的には、肉骨粉や代用乳(後述)といったBSEの原因となる飼育方法を改めなければなりません。


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1 コメント

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新しいエネルギーを食べよう (アイ)
2006-01-26 13:43:01
政府に食の安全を確保するよう強く求めながら、できるだけ牛肉を食べないようにすればよいでしょうね。それでも例えばカレーライスを食べるとそこに牛肉が入っていますから、念のために牛さんに感謝し、食べ物に感謝し、自分の肉体に感謝したらよいでしょう。何も食べないでも生きられる人もいるようです。エネルギー摂取の仕方を変える途上で、これからまず肉食から菜食に移行したらよいでしょう。人類は文明の転機を迎えています。地球のエネルギー状態が根本的に変化しています。地球の新しいエネルギーが集積されつつあり、それが新しい地球として誕生します。古いエネルギーは過ぎ去りつつある地球に属するものです。肉食をするということは古いエネルギーを摂取するということではないでしょうか。従来の動物種が姿を消しつつあるのは、ガイアのために、また人間のために特定のエネルギーを自分たち個々の動物種として現していたのが、もはやその必要がなくなったために姿を消しているのだそうです。人間のエネルギー摂取の仕方も変化する時です。一人一人が自分の食文化を変えて、従来の文明を転換しましょう。それから、ついでに言いますと、新しい地球、新しい文明、新しいエネルギーについての情報がもっと欲しいですね。メディアは古い世界のことばかり伝えていて、来るべき世界についての情報が少ないですが、多くの人がその新しい地球のことを語れば、それはどんどん出て来るでしょう。
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