平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

(7)再処理施設からの放射能

2006年03月04日 | エネルギー問題
六ヶ所村(7)

ウラン燃料は、小さなペレット(粒)として金属でできた燃料棒の中に詰められています。この燃料棒を原子炉の中で「燃やす」わけですが、燃料棒そのものは燃えてなくなるわけではありません。ウランが核分裂を起こしてエネルギーを発したあとには、燃料棒の中には燃え残りのカスが残ります。それが核のゴミ、放射性廃棄物です。

核のゴミを燃料棒のまま地中などに埋めるのを「直接処分」といいます。

これに対して、燃料棒を剪断(せんだん)して、中の放射性廃棄物を取り出し、それを化学処理してプルトニウムを抽出するのが「再処理」です。再処理の際には、金属棒の中に封入されていた放射性廃棄物が環境と広く接触することになります。

グリーンピースは以下のように警告しています。
http://www.greenpeace.or.jp/campaign/nuclear/documents/criradrepo1.pdf

・再処理工場は、原発とは桁違いの量の放射能を、海中や大気中に垂れ流す。
・ヨーロッパの再処理工場の周辺では、放射能による農産物や水産物の汚染が生じている。
・ヨーロッパの再処理工場の周辺では、子供たちの間に白血病が増えている。
・ヨーロッパの経験からすると、低レベルの放射線による被曝は、これまで考えられていた以上に危険である可能性がある。

原子炉は、チェルノブイリのような大事故を起こさないかぎり、それほど大量の放射能を周囲にまき散らすわけではありません。ところが、再処理工場は原子炉以上の放射能を周囲に排出する可能性があります。再処理の過程で、ヨウ素129、トリチウム、炭素14、クリプトン85などの放射性物質が、水中や大気中に放出されます。とくに、クリプトン85という放射性ガスは、六ヶ所村の再処理工場を1年間運転すると、チェルノブイリ原発事故の10倍もつくられるとグリーンピースは計算しています。

理論的にはこれらの放射性物質を完全に回収することも可能だとは思われますが、それを行なうと、コストが膨大になります。そのため、事業者が「合理的」でないと判断すれば、放射性物質は環境中に放出されます。「合理的」とは「商業的に見合う」という意味であって、「無害」という意味ではありません。

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