狂牛病(BSE)と狂鹿病(CWD) (14)
1月30日の中川昭一農水相の、「米国産牛肉の輸入再開前に、約束した事前の現地調査を行なっていなかった」、という発言はあきれるはてるものでした。
米国産牛肉が安全かどうかは、現地調査をしてから初めて結論が出せるはずです。そして、事実、政府は事前調査することを閣議決定していたのです。ところが、閣議決定に違犯して、輸入を再開してから調査団を送ったというのです。これでは何のための調査かわかりません。
要するに、小泉政権としては、ブッシュ大統領に言われて、輸入再開という結論が先にあって、あとは形だけの手続きをして、国民に適当に言い訳をしたかったわけですが、その形式的手続きすら、前後関係が入れ違っているほど杜撰なものであったわけです。
時系列順に書いてみます。
・2005年10月31日
第34回食品安全委員会プリオン専門調査会開催。調査会は、「BSE発生で禁止された米国、カナダ産牛肉の輸入について、再開を容認する答申案をまとめることを了承した」。
http://www.sasayama.or.jp/wordpress/?p=488
・11月16日
ブッシュ大統領が来日し、小泉首相と会談。米国産牛肉の輸入再開を要請。
・12月8日
食品安全委員会が輸入再開を認める答申を出す。ただし、
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北米産牛肉の安全性をめぐり、内閣府の独立機関である食品安全委員会・プリオン専門調査会の12人の専門委員のうち、半数近くが諮問の仕方や米国での輸入条件順守の実効性について、疑問や不安を抱いたまま、輸入再開を容認する結論を出していたことが共同通信社の聞き取り調査で7日、分かった。
「生後20カ月以下で危険部位を除けば日本とリスクが同等か」という限定された諮問内容に対し「都合よく結論ありきの議論をさせられている」(品川森一委員=動物衛生研究所プリオン病研究センター長)との批判もあった。
安全性を左右する危険部位の除去など、諮問の対象外である米国の安全対策への不安が専門委員の間にも強いことが浮かび上がった形で、禁輸解除に踏み出す政府は米国の安全対策の監視という「重い責任」を負うことになる。
食品安全委は8日に答申を提出し、政府は12日にも輸入解禁を決める。
(共同通信) - 12月7日23時10分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051207-00000326-kyodo-bus_all
・12月12日
政府は、事前調査を前提に輸入再開を正式決定。
・12月13日
調査団、アメリカとカナダで現地調査を開始。
・12月15日
厚生労働省と農水省が説明会。
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北米産牛肉の輸入再開決定についての説明会を厚生労働省と農林水産省が15日、東京都内で開き「米国、カナダに輸入条件をきちんと守らせるよう取り組んでいく」などとして、集まった消費者、食肉業者ら約500人に理解を求めた。会場からは「食品表示が不十分」などの不安の声が出された。
説明会では冒頭、厚労省の担当者が輸入再開決定について「食品安全委員会が、一定の条件を満たした場合の北米産牛肉と国内産では、安全性の差は非常に小さいと評価したため、輸入禁止措置を継続する科学的根拠がなくなり、輸入を認めることが適当と判断した」と説明した。
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051215-00000216-kyodo-soci
・12月16日
米国産牛肉、日本に到着。
・12月24日
調査団、帰国。
・2006年1月19日
第35回食品安全委員会、政府の手続きに危惧を表明。
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食品安全委員会の専門調査会が19日開かれ、米国とカナダでの査察前に、牛肉輸入が再開されたことに対して疑問の声が相次いだ。吉川座長は「再開前に両省が米国に行って見てきて、それから再開だと思う」と発言。寺田雅昭・食品安全委員長も「これでは国民が牛肉(の安全性)について耳を貸さなくなる」と批判した。
(毎日新聞) - 1月19日22時4分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060119-00000144-mai-soci
・1月20日
小泉首相が1月20日の第164回国会の施政方針演説で、
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昨年12月、科学的知見を踏まえ、アメリカ産牛肉の輸入を再開しました。消費者の視点に立って、食の安全と安心を確保してまいります。
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http://www.kantei.go.jp/jp/koizumispeech/2006/01/20sisei.html
と述べる。その数時間後、輸入牛肉から背骨が見つかる。
昨年12月15日の政府説明会で、厚生省の担当者が、「食品安全委員会が、一定の条件を満たした場合の北米産牛肉と国内産では、安全性の差は非常に小さいと評価したため、輸入禁止措置を継続する科学的根拠がなくなり、輸入を認めることが適当と判断した」と説明していますが、調査団は、アメリカ食肉業界が「一定の条件を満たし」ているかどうかをチェックするのが、その任務でした。
政府は当然、調査団の報告を受けてから輸入再開を正式決定すべきでしたが、それすらもしないで、輸入再開してしまったわけです。悪質としか言いようがありません。
それどころか、12月16日に米国産牛肉が日本に到着したということは、12月12日よりもだいぶ前に、日本への輸出が準備されていたことを示しています。輸出再開という結論が先にあり、あとはただの見せかけのアリバイづくりであったわけです。
しかも、この調査たるや、まともな調査ではなかったことは週刊文春にも出ていましたが、最近、多くの読者を集めている「きっこの日記」でその実態が暴露されています。
http://www3.diary.ne.jp/user/338790/ 1月31日
必読です。
1月30日の中川昭一農水相の、「米国産牛肉の輸入再開前に、約束した事前の現地調査を行なっていなかった」、という発言はあきれるはてるものでした。
米国産牛肉が安全かどうかは、現地調査をしてから初めて結論が出せるはずです。そして、事実、政府は事前調査することを閣議決定していたのです。ところが、閣議決定に違犯して、輸入を再開してから調査団を送ったというのです。これでは何のための調査かわかりません。
要するに、小泉政権としては、ブッシュ大統領に言われて、輸入再開という結論が先にあって、あとは形だけの手続きをして、国民に適当に言い訳をしたかったわけですが、その形式的手続きすら、前後関係が入れ違っているほど杜撰なものであったわけです。
時系列順に書いてみます。
・2005年10月31日
第34回食品安全委員会プリオン専門調査会開催。調査会は、「BSE発生で禁止された米国、カナダ産牛肉の輸入について、再開を容認する答申案をまとめることを了承した」。
http://www.sasayama.or.jp/wordpress/?p=488
・11月16日
ブッシュ大統領が来日し、小泉首相と会談。米国産牛肉の輸入再開を要請。
・12月8日
食品安全委員会が輸入再開を認める答申を出す。ただし、
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北米産牛肉の安全性をめぐり、内閣府の独立機関である食品安全委員会・プリオン専門調査会の12人の専門委員のうち、半数近くが諮問の仕方や米国での輸入条件順守の実効性について、疑問や不安を抱いたまま、輸入再開を容認する結論を出していたことが共同通信社の聞き取り調査で7日、分かった。
「生後20カ月以下で危険部位を除けば日本とリスクが同等か」という限定された諮問内容に対し「都合よく結論ありきの議論をさせられている」(品川森一委員=動物衛生研究所プリオン病研究センター長)との批判もあった。
安全性を左右する危険部位の除去など、諮問の対象外である米国の安全対策への不安が専門委員の間にも強いことが浮かび上がった形で、禁輸解除に踏み出す政府は米国の安全対策の監視という「重い責任」を負うことになる。
食品安全委は8日に答申を提出し、政府は12日にも輸入解禁を決める。
(共同通信) - 12月7日23時10分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051207-00000326-kyodo-bus_all
・12月12日
政府は、事前調査を前提に輸入再開を正式決定。
・12月13日
調査団、アメリカとカナダで現地調査を開始。
・12月15日
厚生労働省と農水省が説明会。
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北米産牛肉の輸入再開決定についての説明会を厚生労働省と農林水産省が15日、東京都内で開き「米国、カナダに輸入条件をきちんと守らせるよう取り組んでいく」などとして、集まった消費者、食肉業者ら約500人に理解を求めた。会場からは「食品表示が不十分」などの不安の声が出された。
説明会では冒頭、厚労省の担当者が輸入再開決定について「食品安全委員会が、一定の条件を満たした場合の北米産牛肉と国内産では、安全性の差は非常に小さいと評価したため、輸入禁止措置を継続する科学的根拠がなくなり、輸入を認めることが適当と判断した」と説明した。
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051215-00000216-kyodo-soci
・12月16日
米国産牛肉、日本に到着。
・12月24日
調査団、帰国。
・2006年1月19日
第35回食品安全委員会、政府の手続きに危惧を表明。
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食品安全委員会の専門調査会が19日開かれ、米国とカナダでの査察前に、牛肉輸入が再開されたことに対して疑問の声が相次いだ。吉川座長は「再開前に両省が米国に行って見てきて、それから再開だと思う」と発言。寺田雅昭・食品安全委員長も「これでは国民が牛肉(の安全性)について耳を貸さなくなる」と批判した。
(毎日新聞) - 1月19日22時4分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060119-00000144-mai-soci
・1月20日
小泉首相が1月20日の第164回国会の施政方針演説で、
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昨年12月、科学的知見を踏まえ、アメリカ産牛肉の輸入を再開しました。消費者の視点に立って、食の安全と安心を確保してまいります。
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http://www.kantei.go.jp/jp/koizumispeech/2006/01/20sisei.html
と述べる。その数時間後、輸入牛肉から背骨が見つかる。
昨年12月15日の政府説明会で、厚生省の担当者が、「食品安全委員会が、一定の条件を満たした場合の北米産牛肉と国内産では、安全性の差は非常に小さいと評価したため、輸入禁止措置を継続する科学的根拠がなくなり、輸入を認めることが適当と判断した」と説明していますが、調査団は、アメリカ食肉業界が「一定の条件を満たし」ているかどうかをチェックするのが、その任務でした。
政府は当然、調査団の報告を受けてから輸入再開を正式決定すべきでしたが、それすらもしないで、輸入再開してしまったわけです。悪質としか言いようがありません。
それどころか、12月16日に米国産牛肉が日本に到着したということは、12月12日よりもだいぶ前に、日本への輸出が準備されていたことを示しています。輸出再開という結論が先にあり、あとはただの見せかけのアリバイづくりであったわけです。
しかも、この調査たるや、まともな調査ではなかったことは週刊文春にも出ていましたが、最近、多くの読者を集めている「きっこの日記」でその実態が暴露されています。
http://www3.diary.ne.jp/user/338790/ 1月31日
必読です。