平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

(6)玄海原発3号機でプルサーマル開始か

2006年03月03日 | エネルギー問題
六ヶ所村(6)

そういう中で、2月7日、全国に先駆けて、佐賀県がプルサーマルに同意する姿勢を見せました。佐賀新聞の記事より――

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 九州電力が玄海原発3号機(東松浦郡玄海町)で導入予定のプルサーマル計画について、古川康知事は7日、「安全性は確保される」とする見解を発表した。県は、計画の賛否の判断の前提に安全性を挙げていた。玄海町は近く同意する見通しで、県も3月末までに正式に同意するとみられ、全国で初めての同計画の実施がほぼ確実になった。
 
 県庁で記者会見した古川知事は、原子炉の制御性や混合酸化物(MOX)燃料の使用実績などに加え、地震やテロの可能性を含めた8項目の安全性に関する論点を県庁内で検討した結果、「国による厳格な規制、監督と九電の適正な安全管理を前提に、安全性は確保されるという結論に達した」と述べた。

 理由として「国の原子力安全・保安院と原子力安全委員会によるダブルチェックで安全とされた」ことに加え、九電の安全管理も「適切で良好な体制にある」とし、「総合的に検証した」と説明した。

 プルサーマル計画は、九電が2010年度の導入を目指して04年5月、県と玄海町に安全協定に基づく事前了解願を提出。安全審査を行った国は「計画は妥当」として、昨年9月に実施を許可。残る手続きは、玄海町と県の了解判断になっていた。

 県は、国や九電に続いて昨年12月、公開討論会を開催。この際、古川知事は「安全性の理解は深まった」と容認に向かう姿勢を示していた。

 古川知事は、玄海町の意向や、2月県議会での論議などを経て最終判断する考えだが、同町議会は既に導入を前提として地域振興策の協議に入っていることなどから、3月末までに知事が同意する可能性が高まった。

 一方、県民の間では、同計画への不安がぬぐい去られておらず、安全性に疑問を抱く市民団体などの反対運動が活発になりそうだ。

 プルサーマルは、国が核燃料サイクル政策の柱として推進。先行していた東京電力や関西電力ではトラブル隠しや事故で中断している。(坂田)
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http://www.saga-s.co.jp/pub/hodo/genkai/index.htm

この記事にもありますが、行政側と住民側では、プルサーマルの安全性への評価が違います。地元ではプルサーマルへの反対運動も起こっていますが、プルサーマルができないと、プルトニウムがたまり続けるので、国としてはどんなことをしてもプルサーマルを後押しするでしょう。

玄海原発が立地する唐津市では、プルサーマルの安全性について、2005年12月25日に公開討論会が開かれました。
http://www.saga-s.co.jp/pub/hodo/genkai/news/2005/051226.htm

・MOX燃料の特性
・事故時の影響範囲
・使用済みMOX燃料の処理

の3点について、賛否両論がまとめられています。これを読みますと、プルサーマルの安全性については専門の学者の間でも意見が一致しないようですので、素人には判断しようがありません。

今年になって佐賀県は以下のような理由で、「プルサーマルの安全性は確保される」という結論を出しました。

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 玄海原発のプルサーマル計画で、県は賛否の議論が分かれる論点について考えを示し、「安全性は確保される」と結論づけた。県の主な見解をまとめた。
 
<制御棒の利きが悪くなり原子炉を安全に停止できないのではないか>
 MOX燃料を使用した場合、制御棒の原子炉停止能力が低下することは確かだが、安全審査の基準を満たしており、原子炉を安全に停止できると理解できる。中性子を吸収するホウ素の濃度を上げることで調整でき、ウラン燃料使用時と同等の停止能力を持つことが確認されている。

<MOX燃料は核分裂生成ガス放出率が高く、内圧が高まって破損しやすいのではないか>
 核分裂生成ガス放出量が増えることを考えて、初めからガス加圧量を減らしており、燃料棒の内圧は基準を満たす。実験結果でも、燃料破損を特に考える必要はないことが確認されている。

<海外での実績よりプルトニウム濃度や燃焼度が高く危険ではないか>
 国内外の実験や安全解析に基づいて、玄海原発で計画されているプルトニウム濃度や燃焼度での特性を考慮し、安全解析が行われている。

<事故時の影響範囲が広がるのではないか>
 プルトニウムは気体になりにくく、原発には放射性物質を閉じこめる何重もの壁があるので、プルトニウムが外部に放出されることはほとんど考えられない。原発外への影響はウラン燃料と比べて差はないものと理解できる。

<テロの可能性が高まるのではないか>
 プルサーマルを実施することで警備体制や施設構造が変わるものではなく、攻撃される可能性が大きく増加するとは考えにくい。攻撃を想定した「県国民保護計画」を作成しており、万一の事態に対しても対応体制を整備していく。
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http://www.saga-s.co.jp/pub/hodo/genkai/index.htm

すでにプルサーマルが行なわれている西欧諸国では、これまで重大な事故は起こっていませんから、日本の原発が西欧諸国並みあるいはそれ以上に安全であるという前提があれば、プルサーマルそれ自体は、通常の原発と比べてそれほど危険(ナトリウムを使う高速増殖炉ほどの)ではないとは言えると思います。

ただし、プルサーマルのリスクが通常の原発とそれほど大きな違いがないとしても、再処理施設には原発とは違った危険性があると言われています。