平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

BSE問題のその後(1)

2006年03月17日 | 食の安全
このブログで狂牛病について最後の投稿をしたのは2月11日ですが、それから1カ月あまりの間に、この話題に関して非常に多くのニュースが報じられました。以下に、目についたものをあげておきます。

〇2月8日、へたり牛も食肉化
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 【ワシントン8日共同】米農務省の監察官事務所による牛海綿状脳症(BSE)対策に関する2005年監査報告書で、食肉処理施設12カ所の一部から、原因不明で歩行困難の牛計20頭が食肉処理されていたことが7日、分かった。施設では処理前に牛が歩行可能かどうかを確かめる目視検査も十分実施されていなかった。
 米国でのBSE対策の信頼性があらためて揺らぐのは確実。特定危険部位の混入問題で再停止した米国産牛肉の対日輸出の再開時期に影響を与える可能性もある。
 牛が正常に歩けない状態はBSE感染の兆候ともされ、米政府は国内で初めてBSE感染牛が見つかった直後の03年12月、食用にすることを全面禁止している。
(共同通信) - 2月8日18時30分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060208-00000207-kyodo-int

※「全面禁止」というのは名目だけ。へたり牛を食肉化しなければ、業者は損します。損失補填の制度がなければ、今後もヤミでへたり牛が食肉化されつづけるはずです。


〇2月15日、メキシコ産もリスク評価
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 内閣府食品安全委員会の寺田雅昭委員長は15日の衆院予算委員会で、メキシコ、チリ、中国産牛肉の牛海綿状脳症(BSE)の危険性(リスク)評価について「企画専門調査会で議論し、やるべしとなり、重要な問題と認識している」と述べ、リスク評価に取り組む考えを明らかにした。
 BSEの発生に伴い、2003年12月に米国産牛肉の輸入が停止した後、メキシコやチリ産牛肉の輸入が急増。05年にはメキシコ産は前年比約3・8倍の約6700トン、チリ産は4・4倍の約2900トンに膨らんでいる。中国産は約4割減の27トンだった。
(共同通信) - 2月15日21時4分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060215-00000246-kyodo-bus_all

※「メキシコ産牛肉」と言われているものは、アメリカ産牛肉の迂回輸入の疑惑が指摘されています。

 「リスク評価」というのは、どの程度危険かということを評価すること。食品安全委員会は、アメリカ産牛肉は、日本産と同じ程度のリスクだ、として輸入再開を決め、その直後に例の脊柱混入事件が発覚しました。食品安全委員会の「リスク評価」自体がどの程度信用できるのか、それを「評価」する必要がありそう。


〇2月18日、脊柱混入は確信犯?
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 【ワシントン18日共同】日本へ輸出した米国産牛肉に特定危険部位の脊柱(せきちゅう)が混入していた問題で、「子牛肉」は安全であるとの米政府や業者の認識が混入につながった可能性があることが、17日発表の米農務省報告書で浮かび上がってきた。
 報告書によると、今回問題となったのは生後4カ月半未満の子牛肉。米政府は若齢のため牛海綿状脳症(BSE)などの危険性が極めて低いことを前提に、子牛肉を輸出条件適用の対象外とするよう直前まで日本政府へ要求、拒否されていた。
 また、脊柱付きの子牛肉を日本へ輸出したニューヨーク州の業者が昨年7月、いったんは農務省から「子牛肉の専門工場は対日輸出条件の適用対象にならない」との連絡を受けていたことも判明。ジョハンズ農務長官は17日、「子牛肉が対象に最近加えられたことが問題の一因になった」と強調した。
(共同通信) - 2月18日16時44分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060218-00000120-kyodo-bus_all

※以前にも指摘しましたが、現在の検査法でBSEが検出されない、ということと、その牛がBSEでない、ということは同じではありません。4カ月未満の牛でも、BSEに感染している可能性はあります。


〇2月21日、新しい検査法の開発
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 牛海綿状脳症(BSE)検査などに幅広く使われている免疫反応を利用した「エライザ法」での検査を従来の約10分の1の時間でできる方法を、中西一弘岡山大教授(生物工学)と日本学術振興会の熊田陽一博士研究員(同)が開発したと21日、発表した。
 中西教授は「速く、確実に診断できるので、BSE検査への応用を目指したい」と話している。
 エライザ法は、測定対象となる抗原と抗体との反応を酵素を利用して測定する。微量でも分析でき、環境汚染や食品の分析などに使われている。
 中西教授らは、検査に使うプレートの材質を工夫するなどして、従来は数段階に分けて進めた手順を1回の操作で終えるなど効率的な方法を考案した。インスリン濃度などの測定実験で、従来数時間から1日程度かかっていたのが大幅に短縮され、感度も上がったという。
(共同通信) - 2月21日22時28分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060221-00000274-kyodo-soci

※新しい検査法が実用化されると、アメリカからはBSE牛が続出する可能性があります。