平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

サイパン島ご訪問ご出発にあたっての天皇陛下のおことば

2005年06月29日 | Weblog
宮内庁のHPより 

終戦60年に当たり,サイパン島を訪問いたします。

 サイパン島は第一次世界大戦後,国際連盟の下で,日本の委任統治領になり,沖縄県民を始めとする多くの人々が島に渡り,島民と共にさとうきび栽培や製糖業に携わるなど,豊かな暮らしを目指して発展してきました。しかし先の大戦によりこの平和な島の姿は大きく変わりました。昭和19年6月15日には米軍が上陸し,孤立していた日本軍との間に,二十日以上にわたり戦闘が続きました。61年前の今日も,島では壮絶な戦いが続けられていました。食料や水もなく,負傷に対する手当てもない所で戦った人々のことを思うとき,心が痛みます。亡くなった日本人は5万5千人に及び,その中には子供を含む1万2千人の一般の人々がありました。同時に,この戦いにおいて,米軍も3千5百人近くの戦死者を出したこと,また,いたいけな幼児を含む9百人を超える島民が戦闘の犠牲となったことも決して忘れてはならないと思います。

 私どもは10年前,終戦50年に当たり先の大戦で特に大きな災禍を受けた東京,広島,長崎,沖縄の慰霊の施設を巡拝し,戦没者をしのび,尽きることのない悲しみと共に過ごしてきた遺族に思いを致しました。また,その前年には小笠原を訪れ,硫黄島において厳しい戦闘の果てに玉砕した人々をしのびました。

 この度,海外の地において,改めて,先の大戦によって命を失ったすべての人々を追悼し,遺族の歩んできた苦難の道をしのび,世界の平和を祈りたいと思います。
 私ども皆が,今日の我が国が,このような多くの人々の犠牲の上に築かれていることを,これからも常に心して歩んでいきたいものと思います。

 終わりに,この訪問に当たり,尽力された内閣総理大臣始め我が国の関係者,また,この度の私どもの訪問を受け入れるべく力を尽くされた米国並びに北マリアナ諸島の関係者に深く感謝いたします。

ラズロ著『叡智の海・宇宙』の天外伺郎氏による書評

2005年06月18日 | Weblog
 相変わらず猛烈な忙しさが続いていて、なかなかブログに戻れません。あしからず。

 これも少し前の話になりますが、朝日新聞5月29日の読書欄に、天外伺郎氏によるラズロ著『叡智の海・宇宙』(日本教文社)の書評が載りましたので、その一部をご紹介いたします。

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 古代インド哲学には、宇宙の森羅万象から人間の想念にいたるまで、ありとあらゆることが記録されているといわれる「アカシック・レコード」という概念があるが、本書のすごいところはそれを、科学的視点から説明していることだ。・・・

 最新の物理学によれば、真空は単なる空虚ではなく、莫大なエネルギーを秘めている。著者は、そこにあらゆる事象や想念が、歪みとして痕跡を残しており、宇宙はそれを通じて瞬時に影響しあう、密結合されたひとつの実体だと説く。この仮説により、宇宙論の謎、量子力学の謎、生物学の謎、意識研究の謎のすべてが氷解すると述べている。

 私自身も、瞑想を通じて神秘体験になじんでいる。いままでボームの仮説を紹介しながら、神秘と科学を統合する本を書いてきた。しかしながら、ボームの仮説も物理学の世界では受け入れられておらず、著者(ラズロ博士のこと)も私も、物理学者ではないから書ける、という面は否定できない。ともに、厳密な意味での科学的仮説というよりは、科学的ロマンと呼ぶのがふさわしいだろう。しかしながら内心では、頭の固い物理学者たちを尻目に、このロマンが着々と証明され、科学の主流になる日を確信している。
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 「アカシャ」というのはサンスクリット語で、漢語では「虚空」と訳されています。この言葉が、ラズロ博士の使うような「アカシック・レコード」=「記録の場」という意味で使われ出したのは、19世紀になって神智学や人智学が登場してからのことだと思います。

 参考:3月27日の投稿

 この本は、本年度の日本図書館協会選定図書に指定されたそうです。


閃き体験

2005年06月08日 | Weblog
 6月7日に「閃き体験が意味するもの」という講演を聞いてきました。講師は、ノートルダム清心女子大学教授で心理学の専門家、濱野恵一先生です。

 人間の心というのは、脳が生み出す働きではなく、別次元にある波動であって、脳はそれをキャッチし、具現化しているにすぎない、というようなお話でした。

 その中で面白かった話題をいくつか紹介します。

*大リーグ最後の4割打者テッド・ウィリアムス
「体調が絶好調の時は、集中力もよいので、投手がボールを投げた瞬間に、その球種がわかるのですよ。ホームプレートまでの半分の距離にボールが達した時に、その投球が自分の手元に来るまでに、どのような球筋を通って変化してくるかが分かるのです。」

 ピッチャーから打者まで、ボールは平均0.5秒で到達します。時速140キロ台の速球になると0.5秒以下です。どんな打者でも、ボールが手元に来てからバットを始動させては間に合いません。ボールがホームプレートまでの半分の位置に来たところで動き出さなければなりません。ということは、未来の球筋を予測して打っているわけです。テッド・ウィリアムスは未来の球筋を予見できたわけです。

 イチローにはぜひ4割を達成してもらいたいですが、現在の成績では今年は少し難しい感じですね。

*タイガー・ウッズ
「強い集中力でゴルフをしている時は、絶対にいつもチャンピオンになりました。そのような状態にある時、すべてが純粋で、びっくりするほど鮮明に見えてきました。丁度集中の『心の繭』の中に入り込んだような感じになります。」

 ヨーロッパの試合で、ウッズは最後の18番ホールで、350ヤードという超人的な一打を打って逆転優勝したのですが、そのときこの「心の繭」状態にあったそうです。ゴルフの打撃など一瞬で終わってしまいますが、そのときは、時間が非常にゆっくりと流れ、それがいわば5分にも10分にも感じられたようです。そのゆったりとした流れの中で、自分の動きのすべてを把握し、理想的なフォームで打てたそうです。

 極限にまで心身の錬磨を究めたスポーツ選手は、たしかに不思議な心的状態に入り、信じられないような結果を出します。王選手や長嶋選手は、打撃好調な時には、ボールが止まって見えたそうです。

 昔の武芸の達人もそうだったのでしょうね。合氣道の開祖・植芝盛平先生は、ピストルの弾の弾筋が見えたといいます。

 イチローにしても松井秀喜にしても、昔の日本の武芸者の雰囲気を感じます。五井先生は王選手のファンで、「過去世で剣の達人だった」とおっしゃっていました。また、植芝先生は剣聖・塚原卜伝の生まれ変わりだともおっしゃっていました。

 ウッズの「心の繭」という言い方はとても面白いし、私にもその感じがなんとなく分かります。自分の内部に集中して、外部の波動にまったく邪魔されない、といった感じは私も時々体験しております。


平原綾香さんのインタビュー

2005年06月06日 | Weblog
 しばらく前になりますが、5月26日の毎日新聞夕刊に、歌手・平原綾香さんのインタビューが出ていました。以下にその一部を紹介いたします。

■どうしてホルストの曲を歌おうと思ったのか。
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 大学の授業であの曲を初めて聴いた時、迷わずに心を決めた。誰が何と言おうと、この曲は私が歌おうと。
 あのころの私は自分がどうなっていくのか不安でいっぱいだった。世界に目を向ければ、米国同時多発テロの後で、世の中は悲しいニュースで満ちていた。この曲なら、私の思いを乗せて人々に届けられる気がしたんです。時代がこの曲を求めてる、という確信もありました。
 でも実際に歌い始めて、「歌に出合って人生が変わりました」とか「救われました」という反響が届いた時は、あまりの責任の重さにちょっと怖くなってしまいました。母にも言われました。「あなたには社会的責任がある。発言や歌に影響される人たちがいっぱいいるんだから、責任を持っておやりなさい」って。
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■新作「Eternally」と福知山線の事故に関連して。
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一緒に今回作詞をしてくれた作詞家の松井五郎さんの言葉を思い出しました。「人の思いっていうのは永遠に消えない。肉体に限りはあっても、人間の生きた証しは絶対に消えないんだ」って。
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■将来の夢。
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結婚・・・・じゃないですもんねえ(笑い)。世界平和? これは大きすぎますし。でも、平和が一番ですよ。うん。
何より周りの人が幸せであること。それから、音楽を死ぬまで続けられたら、本当に幸せです。
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とてもしっかりした考えの持ち主で、「ジュピター」に感じた高い霊性の歌手であることを再確認してうれしく思いました。今後の活躍を期待します。


ヨハネ・パウロ二世(2005年5月号)

2005年06月05日 | バックナンバー
仕事のほうも一段落しましたので、これからまた少しずつ投稿したいと思います。
まずはバックナンバーから。

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 ローマ法王ヨハネ・パウロ二世が四月二日に八四歳で逝去した。歴代のローマ法王の中でも、最も偉大な法王ではなかったかと思われる。彼が成し遂げた偉業の数々をあげてみよう。

 共産主義の終焉――一九七八年に法王に選出されたヨハネ・パウロ二世はポーランド人で、四五五年ぶりの非イタリア人法王であった。カトリック国ポーランドは、自国出身の法王に熱狂した。当時、共産主義に支配されていた東欧圏で、共産党の一党独裁を最初に揺るがせたのは、ポーランドの独立自主労働組合「連帯」であった。一九八九年から始まった一連の東欧革命の背後には、カトリック教会の支援があった。ヨハネ・パウロ二世は、ゴルバチョフと並んで、共産主義を終焉させた立役者として、歴史にその名が刻まれるであろう。

 無限なる赦し――法王は一九八一年、イスラム教徒トルコ人に銃撃されたが、のちに犯人を訪問し、彼を赦した。犯人は、法王の愛と赦しに改心し、その犯行が共産圏の指示によるものであったことを自白した。

 科学界との和解――一九九二年には、一七世紀に地動説を唱えて教会から破門されていたガリレオ・ガリレイの破門を解いた。法王は進化論も認めた。

 過去の謝罪――長い歴史を持ち、世俗的権力とも結びついてきたカトリック教会は、過去において数々の過ちも犯してきたが、ヨハネ・パウロ二世はそれらを率直に認め、勇気をもって謝罪した。二〇〇〇年三月に法王は、キリスト教会の分裂、十字軍、異端審問、魔女裁判、反ユダヤ主義、先住民族への侮辱などに関する教会や信者の責任を認め、神に対し赦しを請うた。そしてその直後には、さらにイスラエルを訪問し、ユダヤ人に謝罪するとともに、イスラエルとパレスチナの和解を訴えた。
 非戦の訴え――法王は、湾岸戦争やイラク攻撃など、アメリカの武力攻撃を批判し、国際紛争を対話によって解決することを訴えた。

 異宗教間対話――諸宗教との対話を進め、世界平和のために宗教が協力することを求めた。二〇〇二年一月にはアッシジで、法王出席のもと、世界の諸宗教の代表が集まって世界平和を祈る集いが開かれた。

 法王の葬儀にイスラム圏からも数多くの宗教者、政治家が参列したことは、十字軍を謝罪し、宗教間の対話を進めた法王への敬意の表われである。しかしながら、ヨハネ・パウロ二世が希求した諸宗教の和解と協力は、いまだその端緒についたばかりである。カトリック教会だけではなく、世界中の宗教が、ヨハネ・パウロ二世が切り拓いた道を歩むように努力しなければならないのである。