平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

脳内汚染(2)

2006年03月31日 | 最近読んだ本や雑誌から
子供の特徴の一つは、模倣性です。子供は大人のすることを模倣して成長していきます。言葉をおぼえるのも模倣によってです。大人の模倣なしには子供は人間になれません。

動物に育てられた子供という事例があります。ある年齢まで動物に育てられた子供は、その後いくら言葉や人間の習慣を教えても、人間的な社会生活を送ることができません。子供時代の模倣がどれほど決定的かということを示しています。

私の子供は3~4歳ころ、水泳教室に通っていました。水泳教室では子供たちを水に慣れさせるために、最初に水のかけっこ遊びをしました。私の子供はこれが楽しくてしかたなかったようです。ところが、公園で砂遊びをしているときも、近くの水道でバケツに水を汲んできて、それを友達にかけようとしたのです。その当時の本人にはイジメの気持ちすらありませんから、これは水泳教室でやっていた楽しい遊びを公園でもやろうとしただけにすぎないのでしょう。

しかし、水のかけ方が下手で、水はいつでも相手にかからないで、自分にかかってしまったので(まわりの大人は大笑いでした)、そのうちやめてしまいました。水着の水泳教室と普段着の公園は違う、ということを体験で学んだのです。

ともかく、私の子供は水泳教室の遊びを公園で真似したわけです。

映像情報も子供の模倣を誘発します。やはり私の子供が同じくらいの年齢の頃です。母親がたまたま、畳の部屋ですわって、テレビをつけたまま編み物をしていたら、突然、うしろから本で殴られたといいます。どうしてそんなことをするの、と尋ねると、テレビを指さしました。そこでは、「ドリフターズの全員集合」というお笑い番組をやっていました。この番組では、よく相手をたたいたり、ひどい目に遭わせて笑いを取っていました。子供がそういう番組の真似をしたことは明らかでした。

何年か前に、キムタクがテレビのドラマで「バタフライナイフ」(ジャックナイフ)を持ったことから、バタフライナイフが青少年の間で大流行したことがありました。自分が憧れたり尊敬したりする人を、青少年は模倣します。

こういう実例を見ると、映像情報が子供や青少年に大きな影響を与えることは自明です。

私たちの家庭では、テレビが日々様々な映像情報をもたらしています。そういう情報が子供たちの心に何らかの影響を及ぼしていることは、否定できない事実です。それが、残虐でどぎつい内容であれば、それは知らず知らずのうちに子供たちの心に傷を与える可能性があります。

現在の世界には戦争や犯罪や事故などの悲惨な出来事があふれていますから、どんな人でも、それらに目をつぶって、明るく楽しく美しい情報や映像だけに取り巻かれて生きてゆくことはできません。否応なしに嫌なニュースや悲惨な映像も飛び込んできます。ただし、大人は、否定的な情報に接しても、それを消化し、乗り越えていく力と知恵を持っています。しかし、幼い子供は、それを受動的に受けいれてしまう部分が大きいと思われます。