平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

(5)たまり続けるプルトニウム

2006年03月02日 | エネルギー問題
六ヶ所村(5)

プルトニウムは原爆にも転用できます。プルトニウムを大量に保有する国は、核兵器を製造する潜在能力を有することになります。日本は、使用済み核燃料を英仏で再処理してもらって、プルトニウムを受け取っています。日本は潜在的核兵器大国なのです。

プルサーマルは発電が目的であると同時に、プルトニウムを減らすためという側面もあります。現在、日本は、43.1トン(海外37.4トン、国内5.7トン)のプルトニウムを保有しているといいます。
http://www.gensuikin.org/rokkasho/060127.htm

六ヶ所村の再処理がスタートすれば、ますますプルトニウムが増えていきます。再処理しても、プルトニウムを消費する見通しが立たなければ、何にもなりません。

電力会社は今年になってようやくプルトニウムの消費計画を発表しました。2006年1月6日の産経新聞の記事より――

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 原発を運転する電力10社と原発計画を持つ電源開発の計11社は6日、全国12カ所以上の計16―18基の原発で、年間最大で計6.5トンのプルトニウムを消費するとした初の国産プルトニウム利用計画を公表した。開始時期は、「2012年度以降」としただけで特定されなかった。

 プルサーマル計画の現状をおおむねなぞった内容で、プルトニウムを使い切る計画と言えるかどうか、妥当性を確認する国の原子力委員会の判断が注目される。

 青森県六ケ所村の日本原燃再処理工場で今年春にも使用済み核燃料からプルトニウムが抽出されるのを前に、原子力委員会が公表を求めていた。

 日本原燃は早ければ2005年度中に試験運転として九州電力の使用済み核燃料で再処理を開始し、06年度と合わせて約1.6トンのプルトニウムを抽出。フル稼働すれば年間4トン強のプルトニウムが生産される。

 各電力は、日本原燃が六ケ所村に計画中の工場でプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料に加工、プルサーマルに使う。電気事業連合会は、年間5.5―6.5トンを消費し、海外保有分の約30トンも15年程度で燃やせるとしている。

 東京電力だけは原発名を挙げなかったが、トラブル隠しを受けて地元了解を白紙撤回した各自治体が、原発名を明示しないよう強く求めたのに配慮したとみられる。また、美浜原発死傷事故で計画が中断した関西電力は従来計画の原発名をそのまま表記した。

 地元に事前了解などを申し入れていない北海道、東北、北陸各電力はそれぞれ泊原発(北海道)、女川原発(宮城県)、志賀原発(石川県)としたが号機は未定。日本原子力発電は敦賀2号機(福井県)と東海第2原発(茨城県)を挙げた。具体的な計画が進んでいるのは中部電力浜岡4号機(静岡県)と中国電力島根2号機(松江市)、四国電力伊方3号機(愛媛県)、九州電力玄海3号機(佐賀県)、電源開発大間原発(青森県)。(共同)
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http://www.sankei.co.jp/news/060106/kei082.htm

2012年からは、六ヶ所村で年4トンのプルトニウムが生産され、年間5.5―6.5トン消費するというのです。この計画の通りにいけば、プルトニウムはたしかに減っていきます。

「プルトニウムを使い切る計画と言えるかどうか、妥当性を確認する国の原子力委員会の判断が注目される」と産経新聞は書きましたが、1月24日、原子力委員会は、わずか2回のヒアリングと1回の審議で、電気事業連合会等から出されていた「六ヶ所再処理工場で回収されるプルトニウムの利用計画について」を「利用の透明性向上の観点から妥当である」と認めました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060124-00000096-kyodo-soci

ところが、「16―18基の原発」とうたってはいますが、どこの原発でプルサーマルを行なうのか、まだ見通しが立っていないのです。とくに東電は、トラブル隠しのために地元(新潟県、福島県)の賛同がまったく得られていません。

はじめから再処理とプルサーマルありきということで、話が進んでいるという印象を禁じえません。