平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

プリオン説は本当か

2006年05月08日 | 食の安全
狂牛病(BSE)の原因は異常プリオンである、というのが今日の一般的な学説です。しかし、これは本当に正しいのか、と疑問を呈しているのが、青山学院大学理工学部教授の福岡伸一先生です。青山先生は講談社ブルーバックスから出ている『プリオン説は本当か?』という本で、狂牛病のプリオン原因説を検証しています。

感染したあとに特定の臓器(特定危険部位)で病変が増殖すること、潜伏期の長さが違う複数の病原体「株」があることから、狂牛病の原因としては当初、学界ではウイルス説が唱えられました。

しかし、

(1)過去、多くの研究者が必死で病原体となる細菌やウイルスを探したが、見つけることができなかった。

(2)病原体に感染すると、通常、炎症や発熱といった免疫反応が起こるはずだが、狂牛病の場合にはそれが起こらない。感染すると血液中には特異抗体が産出されるはずだが、それも検出できない。

(3)潜伏期間が異常に長い。

これらはウイルス説ではうまく説明できません。

そこに、スタンリー・プルシナーという学者が、狂牛病の原因は、異常プリオンタンパク質であるという革命的な説を唱えたのです。

この説は当初、学界の反発を受けましたが、徐々に、これを裏づける実験データが集まりはじめました。

・この病気にかかった脳にはたしかに異常プリオンが蓄積している。

・異常プリオンを含んだ組織をすりつぶして、健康な動物に投与すると、同じ病気になる。

・プリオンタンパク質を作れないように遺伝子操作したマウスは、この病気にかからない。

しかし、福岡先生は、狂牛病の原因がウイルスの場合でも、そのウィルスがある一定の特性をそなえていれば、同じ実験データが得られる可能性があることを論証しています。つまり、異常プリオンは、狂牛病の原因ではなく、結果である可能性も否定できないというのです。

その場合、プリオンが蓄積されている「特定危険部位」の除去という現在とられている処置は、人間への狂牛病の伝染を防ぐ上で不十分だということになる、と福岡先生は警告します。なぜなら、病原体は特定危険部位に多く蓄積されることはたしかだとしても、リンパ細胞を通して、その他の部位にも存在している可能性があるからです。

福岡先生は、ウィルス説を検証する実験を開始しているとのことです。

狂牛病の原因はまだはっきりしませんが、人間の命に関わる問題については、原因が明確ではなくても、怪しいものは使用しないという「予防原則」で対処したほうが賢明です。たとえば、水俣病は当初からチッソの工場排水が原因であると疑われましたが、国は科学的な根拠がはっきりしないということで、工場排水の規制をせず、被害を拡大させてしまいました。日本におけるエイズの原因になった血液製剤についても同じことが起こりました。アスベストについても同じです。

危険かもしれない、とわかった時点で早めに対処すれば、被害は最小限に抑えられたはずですが、「科学的な証拠がまだない」という理屈で、対応が先延ばしにされたのです。

チッソの排水を放置したのも、血液製剤を規制しなかったのも、背後には経済的利益を重視する大企業と政界・官界との癒着がありました。日本政府が、食肉業界の利益しか考えないアメリカの理不尽な牛肉輸入再開の要求に屈服しないことを望みます。





BSE問題のその後(2)

2006年03月19日 | 食の安全
〇3月10日、米農務省の食肉検査官はコンピューターゲームがお好き
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 【ワシントン10日時事】米農務省の食肉検査官が勤務中にコンピューターゲームをしたり、検査対象の食肉処理会社から肉製品の提供を受けるなど、「不適切な行為」をしていたことが10日、同省監査局(OIG)の報告書で明らかになった。BSE(牛海綿状脳症)の危険部位が米国産牛肉に混入した問題に続き、米国の検査態勢のずさんさを示す例として注目される。 
(時事通信) - 3月11日13時0分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060311-00000039-jij-int

※日本政府は、こういう検査官の検査を信用するのでしょうか?


〇3月13日、香港でも骨のついた牛肉
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 【北京=吉田健一】香港政府は13日までに、米食肉大手スイフト・ビーフ社(本社コロラド州)の食肉処理工場から輸入した牛肉に、BSE(牛海綿状脳症)感染防止のため輸入を禁じている骨が混入していたとして、同社からの牛肉の輸入を当面停止すると発表した。

 同工場は、日本が米国産牛肉の輸入再開を決定した昨年12月に、農水省と厚生労働省が特定危険部位の除去など対日輸出条件が守られているかどうか査察した11施設に含まれており、農水省などは「適切に行われている」との判断を公表していた。今回、米国の管理体制のずさんさが明らかになったが、日本の査察も不十分との批判が出るのは必至だ。

 香港の食物環境衛生署によると、香港国際空港の食物検疫担当官が10日夜、同社からの製品に骨が交じっているのを見つけた。香港は、米国でBSE感染牛が見つかった2003年12月以降、米国産牛肉の輸入を全面的に停止していたが、昨年12月、生後30か月以下の牛で、脳など特定危険部位を除去した骨なし肉に限って輸入を再開していた。

          ◇

 米国産牛肉の問題について、農水省の石原次官は13日、記者会見で「(骨の混入が)特例なのか、構造的なのかが一番の焦点で、事実を調べて考えていく必要がある」と述べ、米国に問いただしていく姿勢を示した。
(読売新聞) - 3月14日3時7分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060313-00000115-yom-bus_all

※アメリカの杜撰さはいつでも同じ。そんなことにはもう驚きません。
 問題なのは、スイフト・ビーフ社が、農水省と厚生労働省が査察して、「適切に行われている」と評価した施設であったこと。日本のお役人の視察旅行は税金の無駄づかいであったわけです。誰か責任を取った関係者はいたのでしょうか? この無責任体制で日本の食の安全が守れるのでしょうか?
 「特例なのか、構造的なのかが一番の焦点で、事実を調べて考えていく必要がある」そうです。アメリカでこれだけ事件が連続して起きているのですから、構造的問題であるに決まっているでしょう。「事実を調べて考え」た結果、どういう行動を取るのか、注目いたしましょう。


〇3月13日、アメリカで3頭目のBSE牛
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 【ワシントン13日青木忠興】米農務省は十三日、米国で新たに見つかった牛海綿状脳症(BSE)感染の疑いがある牛について、追加検査の結果、陽性の反応だったと発表した。米国内でBSE感染牛が確認されたのは三例目。感染牛は南部アラバマ州で飼育され、十歳以上である可能性が高いという。

 日本は昨年十二月に米国産牛肉の輸入を再開したが、今年一月に特定危険部位の混入が見つかったため、再び輸入を停止している。

 米農務省動植物検疫所のクリフォード獣医師は会見で「今回の感染牛確認が輸入再開交渉に影響を与えるとは思わない」と述べ、米国の検査態勢が十分機能しており、米国産牛肉は安全だと強調した。農務省は問題の牛が十日の簡易検査で陽性だったため、アイオワ州の研究所で追加検査を実施。ウエスタンブロットと呼ばれる検査法で陽性を確認した。国際標準である免疫組織化学法(IHC)の検査結果はまだ出ていない。

 感染牛がアラバマ州の農場で飼育されたのは一年未満。農務省は生まれた場所など過去の経緯を調査している。米国内では二〇〇三年十二月と〇五年六月に感染牛が見つかった。
(西日本新聞) - 3月15日2時9分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060315-00000017-nnp-kyu

※今でも肉骨粉が使われているアメリカで3頭目のBSE牛。肉骨粉をやめた日本で20数頭。あまりにも不思議な数字です。


〇3月15日、国内で23頭目のBSE牛
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厚生労働省は15日、北海道上川管内中川町で飼育されていた5歳8カ月の乳牛がBSE(牛海綿状脳症)に感染していたと発表した。国内でBSE感染が確認された牛は23頭目。 
(時事通信) - 3月15日21時1分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060315-00000168-jij-soci

※日本でこれだけBSE感染牛が出ているのに、なぜ感染源が特定できないのでしょう? 代用乳が問題だということは、ほぼわかっているはずなのに。農水省は原因を特定する気がないのでは?


BSE問題のその後(1)

2006年03月17日 | 食の安全
このブログで狂牛病について最後の投稿をしたのは2月11日ですが、それから1カ月あまりの間に、この話題に関して非常に多くのニュースが報じられました。以下に、目についたものをあげておきます。

〇2月8日、へたり牛も食肉化
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 【ワシントン8日共同】米農務省の監察官事務所による牛海綿状脳症(BSE)対策に関する2005年監査報告書で、食肉処理施設12カ所の一部から、原因不明で歩行困難の牛計20頭が食肉処理されていたことが7日、分かった。施設では処理前に牛が歩行可能かどうかを確かめる目視検査も十分実施されていなかった。
 米国でのBSE対策の信頼性があらためて揺らぐのは確実。特定危険部位の混入問題で再停止した米国産牛肉の対日輸出の再開時期に影響を与える可能性もある。
 牛が正常に歩けない状態はBSE感染の兆候ともされ、米政府は国内で初めてBSE感染牛が見つかった直後の03年12月、食用にすることを全面禁止している。
(共同通信) - 2月8日18時30分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060208-00000207-kyodo-int

※「全面禁止」というのは名目だけ。へたり牛を食肉化しなければ、業者は損します。損失補填の制度がなければ、今後もヤミでへたり牛が食肉化されつづけるはずです。


〇2月15日、メキシコ産もリスク評価
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 内閣府食品安全委員会の寺田雅昭委員長は15日の衆院予算委員会で、メキシコ、チリ、中国産牛肉の牛海綿状脳症(BSE)の危険性(リスク)評価について「企画専門調査会で議論し、やるべしとなり、重要な問題と認識している」と述べ、リスク評価に取り組む考えを明らかにした。
 BSEの発生に伴い、2003年12月に米国産牛肉の輸入が停止した後、メキシコやチリ産牛肉の輸入が急増。05年にはメキシコ産は前年比約3・8倍の約6700トン、チリ産は4・4倍の約2900トンに膨らんでいる。中国産は約4割減の27トンだった。
(共同通信) - 2月15日21時4分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060215-00000246-kyodo-bus_all

※「メキシコ産牛肉」と言われているものは、アメリカ産牛肉の迂回輸入の疑惑が指摘されています。

 「リスク評価」というのは、どの程度危険かということを評価すること。食品安全委員会は、アメリカ産牛肉は、日本産と同じ程度のリスクだ、として輸入再開を決め、その直後に例の脊柱混入事件が発覚しました。食品安全委員会の「リスク評価」自体がどの程度信用できるのか、それを「評価」する必要がありそう。


〇2月18日、脊柱混入は確信犯?
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 【ワシントン18日共同】日本へ輸出した米国産牛肉に特定危険部位の脊柱(せきちゅう)が混入していた問題で、「子牛肉」は安全であるとの米政府や業者の認識が混入につながった可能性があることが、17日発表の米農務省報告書で浮かび上がってきた。
 報告書によると、今回問題となったのは生後4カ月半未満の子牛肉。米政府は若齢のため牛海綿状脳症(BSE)などの危険性が極めて低いことを前提に、子牛肉を輸出条件適用の対象外とするよう直前まで日本政府へ要求、拒否されていた。
 また、脊柱付きの子牛肉を日本へ輸出したニューヨーク州の業者が昨年7月、いったんは農務省から「子牛肉の専門工場は対日輸出条件の適用対象にならない」との連絡を受けていたことも判明。ジョハンズ農務長官は17日、「子牛肉が対象に最近加えられたことが問題の一因になった」と強調した。
(共同通信) - 2月18日16時44分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060218-00000120-kyodo-bus_all

※以前にも指摘しましたが、現在の検査法でBSEが検出されない、ということと、その牛がBSEでない、ということは同じではありません。4カ月未満の牛でも、BSEに感染している可能性はあります。


〇2月21日、新しい検査法の開発
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 牛海綿状脳症(BSE)検査などに幅広く使われている免疫反応を利用した「エライザ法」での検査を従来の約10分の1の時間でできる方法を、中西一弘岡山大教授(生物工学)と日本学術振興会の熊田陽一博士研究員(同)が開発したと21日、発表した。
 中西教授は「速く、確実に診断できるので、BSE検査への応用を目指したい」と話している。
 エライザ法は、測定対象となる抗原と抗体との反応を酵素を利用して測定する。微量でも分析でき、環境汚染や食品の分析などに使われている。
 中西教授らは、検査に使うプレートの材質を工夫するなどして、従来は数段階に分けて進めた手順を1回の操作で終えるなど効率的な方法を考案した。インスリン濃度などの測定実験で、従来数時間から1日程度かかっていたのが大幅に短縮され、感度も上がったという。
(共同通信) - 2月21日22時28分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060221-00000274-kyodo-soci

※新しい検査法が実用化されると、アメリカからはBSE牛が続出する可能性があります。


(21)一人一人の選択によって

2006年02月11日 | 食の安全
狂牛病(BSE)と狂鹿病(CWD) (21)

ニュースのリンクだけにしておきますが、アメリカでは今でも、BSE感染の疑いがある「へたり牛」が食肉化されています。

<BSE>へたり牛20頭が食肉処理 米農務省対策監査
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060209-00000003-mai-bus_all

これだって、ほんの一部にすぎません。

BSE問題の根本にあるのは、強欲な人類の異常な家畜飼育方法です。そして、この問題は牛肉だけにとどまらず、はてしなく広がっています。

米国産牛肉は、輸入再開されても買わなければいいだけですが、加工食品でははたしてどんな肉が使われているのかわかりません。メキシコ産と言われている牛肉は、どこへ流れているのでしょう? 自分は牛肉は食べていないと思っていても、牛由来の様々な成分がカレールーやスープやスナック菓子やカップラーメンやインスタント食品や薬品のカプセルや医療品などに幅広く使われています。野菜やお米にも農薬が使われています。汚染された食品をいっさい口にしないというのは、現代ではおそらく、絶食でもしないかぎり無理だろうと思います。食べるときは、人間のために命を捧げてくれている動植物に心から感謝して食べましょう。

アメリカに比較すれば、日本の状況はまだ安全なほうです。そういう状況を外圧に負けて変えてはいけないと思います。この国の政治家が、日本国民の方を向いているのか、別の方向を見ているのか、しっかり見定めて、次回の選挙の判断材料としましょう。

私がこの連載を書いたのは、食べ物の世界に起こっている、自然の摂理に反した出来事を一人でも多くの方が知り、このままではいけない、という認識を持っていただくためです。一人の意識は何らかの形で世界に影響を与えます。(このブログで「ラズロ博士」で検索してください)

お釈迦様は人間の苦の原因を無明=無知に見ました。そして正しい見解を持つことが大切だと教えました。しかし、現在までの世界は、正しい見解を持とうにも持ちえない、虚構の情報が支配する世界でした。

「今まで人類の多くは、それらの虚構をあたかも真実のように思い込み、信じ込み、それら虚構にエネルギーを与えつづけてきた。おかげで、それらはあたかも真実であるかの如く、人類一人一人の心の中に刻み込まれていったのである。そして人類一人一人はそれらの虚構に踊らされ、縛られ、翻弄され、苦しめられ、痛めつけられてきた」(白光誌、2006年2月号)

情報を制する者が世界を制します。これまで情報は常に一握りの権力者の手に握られてきました。権力者は自分に都合のよい虚構の情報しか表に出しません。真実を伝えようとする個人は、圧倒的な権力の前に沈黙を強いられてきました。しかし、インターネットは権力者による情報独占に風穴を開けました。

インターネットの世界には、おかしな情報があふれていますが、多くの石ころの中には光る玉も混じっています。

人類は、いつまでも無知なまま、サイコパスの指導者や大企業、真実を隠蔽し、虚構の情報で洗脳しているマスコミの言うがままになっていてはいけません。

たとえ日常生活の買い物といったわずかなことでも、自分のできる範囲でなるべく正しい選択をするように努力すべきです。その積み重ねが、狂牛肉を食材にしても恬として恥じない企業を市場から退場させていくのです。

どういう企業が問題かというと、まず、この連載の最初に紹介した「米国産牛肉全面的早期輸入再開を求める会」に入っている企業です。一覧はここです。
http://kaikin.jp/gaiyou.php

その中でも、外食産業の集まりである「社団法人日本フードサービス協会」に入っている企業は、「きっこの日記」によると、ここから検索できます。
http://page.freett.com/banc/jf_list.html

「きっこの日記」2006年1月5日
http://www3.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=338790&log=20060105

中にはコーヒー会社のような牛肉とは無関係な企業もありますが、外食するときの参考にはなるでしょう。

これをもちまして、「狂牛病(BSE)と狂鹿病(CWD)」は一応、終わりとさせていただきます。



(20)『週刊文春』の米国産牛肉の記事(2)

2006年02月09日 | 食の安全
狂牛病(BSE)と狂鹿病(CWD) (20)

『週刊文春』2006年2月9日号の記事から。題は「アメリカ牛「メキシコ迂回」疑惑」。

・アメリカでは、年間百万人以上が、牛肉によりサルモネラ菌やO-157の食中毒を起こし、500人以上が死んでいる。日本では食中毒の死者は年間2名程度。

・米国農務省が実施した調査で、2000トン以上の給食用挽肉がサルモネラ菌に汚染されていることが発覚してから、ようやく規制がかけられることになった。

・汚染肉が見つかっても、企業は罪に問われない。

・アメリカには、「正当な科学的根拠なしに農産物を批判することを禁止する」という「農産物名誉毀損法」という州法がある。農場が多いコロラド州では、これに違犯すると、民法ではなく、刑法で処罰される。

・山田正彦議員の調査によると、アメリカからメキシコへ30カ月以上の牛や内臓がノーチェックで輸出されている。

・米国産牛肉が輸入禁止になる2003年末まで、メキシコから日本への牛肉の輸入はゼロに近かった。ところが、その後2年間で急激にメキシコからの輸入が増えている。

・米国からメキシコへの牛肉の輸出が、この2年間で10万トン近く増えている。

・糖蜜飼育に関しては以前に引用したので、省略。

・メキシコ産牛肉に関しては、原産地証明に欠陥がある。

・メキシコでは糖蜜飼育は行なわれていないのに、メキシコ産糖蜜飼育牛が日本に輸入されている。

・メキシコは養豚は盛んだが、牛肉は輸出できるほど多く生産していない。

・米国産牛肉がカナダを経由して日本に入ってくる可能性もある。

・アメリカでは日本で禁止されている合成ホルモン剤も使われているが、日本政府は残留基準値を設定して認めている。これは矛盾。

・アメリカでは、殺虫・殺菌のために、豚、鶏、牛の肉への放射線の照射が認められている(食中毒が多いため)。放射線が未知の物質をつくり出し、発ガンの危険性も指摘されている。

・人間に対しては年間900トンの抗生物質が使われているが、家畜に対しては1万2千トンの抗生物質が使われている。

・アメリカの食中毒は、抗生物質の過剰使用による耐性菌の蔓延がその一因と見られている。

「農産物名誉毀損法」には驚きましたね。こうメモしてきますと、日本もさることながら、アメリカ国民の健康が本当に懸念されます。アメリカ人がまず自国の実態を知ることが先決です。

(19)映画『ザ・コーポレーション』

2006年02月07日 | 食の安全
狂牛病(BSE)と狂鹿病(CWD) (19)

最近話題の映画『ザ・コーポレーション』は、グローバル企業の反社会的・反環境的行動を描いています。この映画は、ポジラックの製造元モンサント社の問題も取り上げています。

映画の「イントロダクション」より――

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最近日本でも話題になった、企業買収の際に問われる「株式会社は誰の物か?」という議論、法令を破り連続する企業の不祥事の「原因」、そして郵便事業の「民営化の是非」といった問題の答えを導いてくれるのがこの『ザ・コーポレーション』です。

『ザ・コーポレーション』はカナダのマーク・アクバー、ジェニファー・アボットの共同監督により、ジョエル・ベイカンの「ザ・コーポレーション:わたしたちの社会は「企業」に支配されている」(早川書房)を原作として製作された長篇ドキュメンタリーです。

本作は、2004年サンダンス映画祭で上映され観客賞を受賞したのを始め、2005年カナダ・アカデミー賞の最優秀ドキュメンタリーを含め全世界の映画祭で25個の賞を受賞、そのうち10個が観客賞を受賞しています。またニューヨークでロングラン上映されたのを始め、世界各国で草の根的に上映され、多くの観客の支持を集めてきました。

株式会社の誕生から、政治システムを超えてグローバル化している企業の正体を描き、現在の企業を一人の人格として精神分析を行うと完璧な“サイコパス(人格障害)”であるという診断結果のもと、すべては利益のために働く機関としての企業の、様々な症例を分析します。

マイケル・ムーア監督、ノーム・チョムスキーMIT教授を始めとする総勢40人の証言や発言を基に構成された『ザ・コーポレーション』は、グローバル化された資本主義社会を生き抜くために必見の“サバイバル・シネマ”です。
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http://www.uplink.co.jp/corporation/story.php

サイコパスとは?

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精神病質者の意。
現在サイコパスという言葉は無く、反社会性人格障害(APD)と変更されている。
サイコパスの特徴は極端に自己中心的で、慢性的な嘘つきで後悔や罪悪感が無く、冷淡で共感が無い。
加えて自分の行動に責任が取れない。
他人への思いやりがない
人間関係を維持できない
他人への配慮に無関心
利益のために嘘を続ける
罪の意識がない
社会規範や法に従えない
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こういう人は、今の世の中に大勢いるようですね。とくに政治家や大企業のトップや有名人の中に。私たちは連日テレビでそういう人たちの姿や言行を目にしています。そういう「反社会性人格障害」者が現在の世界を支配しているのですから、世界がよくなるわけがありません。

モンサント社もサイコパスの大企業です。

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アメリカ、モンサント社が1993年から販売を始めた、遺伝子組み換え牛成長ホルモン薬品rBGH(商品名:ポジラック)。代謝作用が高まり、搾乳量が増えるが、乳腺炎のリスクを高めるため、牛乳への膿汁混入が問題となる。また、抗生物質が食物連鎖で人体に及ぼす影響、乳ガンや大腸ガンの発生を危惧する声もある。フォックス・テレビのスティーヴ・ウィルソンとジェーン・エイカーは、ポジラック問題を取材した番組を制作したが、放送直前に会社側から虚偽の内容への変更を命じられた。「モンサント社からは“放送したらフォックスは重大な影響を受ける”との文書がきました。そして全米一多くのテレビ局を所有するフォックスは、広告収入減を恐れたのです」エイカーとウィルソンは解雇され、その後、内部告発者保護法に基づきフロリダで訴訟を起こした。結果、エイカーは42万5千ドルを勝ち取ったが、フォックスは上訴した。判決は法律倫理に基づいた判断によって覆され、彼女は勝訴金を失った。
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http://www.uplink.co.jp/corporation/log/000887.php

アメリカの裁判所もサイコパスにおかされているようです。

広告収入に依存する民放テレビは、サイコパス大企業の利益に反する番組を流すことはできません。マスメディアもサイコパスにおかされています。それはアメリカでも日本でも同じです。

これまでこのブログで取り上げてきた、レンダリング、肉骨粉、鶏糞・糖蜜飼育、牛の解体処理、へたり牛、狂鹿病、、成長ホルモン、ヤコブ病の集団発生、などの問題を映像で見せられたら、日本人は誰一人として米国産牛肉を食べたいとは思わないでしょう。しかし、NHKをはじめ民放も、こま切れの情報は発しますが、そういう本格的な番組をいまだ作っていません。

NHKですら、いまだに狂牛病問題の番組を制作・放映していないのは、政界・財界からの圧力のためでしょう。

現在のNHKには多くの問題があり、改革が必要なことは当然ですが、広告収入に頼らず、政治的な圧力から自由な公共放送はやはり必要だと思います。そういうことを考えた上で、NHKの改革について考えるべきでしょう。

(18)成長ホルモン

2006年02月06日 | 食の安全
狂牛病(BSE)と狂鹿病(CWD) (18)

牛が乳腺炎などの病気になぜなるかというと、不自然な飼育方法のためです。

ピーター・ローベンハイムの『私の牛がハンバーガーになるまで』(日本教文社)という本には、次のように書かれているそうです。「BSE&食と感染症 つぶやきブログ」(この連載の情報源の一つです)より――

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酪農牛が置かれている今日の生活環境を考え合わせれば、乳房炎は当然なるべくしてなっている病気と言っていいだろう。酪農家養成講座に参加した時、獣医師はこう説明した。”自然界で暮らす牛はめったに乳房炎にはかかりません。牛は本来食餌の場所と排便の場所が異なるため、乾いた地面の草を食べているからです。乳房炎にかかりやすい状況を作っているのは人為的な生活環境、牛舎へのつめ込みや排便の仕方なのです”。・・・”抗生物質を繰り返し投与しても効き目が現れない慢性乳房炎であれば、牛を早急に処分することが肝心です”と言っていた。
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http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/d/20051111

不自然な飼育方法が乳腺炎の一因です。さらに、現在の牛のかなり多くは成長ホルモンを投与されていますが、成長ホルモンによって乳牛が乳腺炎にかかる比率がさらに高くなるそうです。Hotwiredの2003年9月16日の記事から――

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 組換え牛ソマトトロピン(rBST)とも呼ばれるポジラックは、すでに供給過剰になっている市場にさらに牛乳を供給するだけであり、酪農家の収入は減る一方だという生産者の声もある。しかしモンサント社は、ポジラックを使えば牛の乳量を増やせるので、農家はそれによって低迷から抜け出せると主張する。(中略)
 米農務省(USDA)は、米国の酪農家の約17%がrBSTを使用し、投与されている乳牛は全体の32%にあたると発表した(PDFファイル)。その大半が、乳牛を数千頭単位で飼っている大規模農家だという。
 ポジラックは、牛が乳を分泌するときに出す成長ホルモンから分離した遺伝子で作られている。この遺伝子を大腸菌に注入し、容器内で急速に培養する。これを牛に注射すると、牛が毎日出す乳の量が増えるだけでなく、乳を出す期間も長くなる。農家によると、乳を出す期間が延びるのは平均30日ほどだが、もっと長くなる場合もあるという。1155日間も乳を出しつづけた例もある。ポジラックを投与された牛の大半は、投与されなかった牛よりも約25%乳量が増えている。(中略)
 小規模農場がrBSTを使わないのは、時間とコストがかかるという理由のほかに、ホルモンが牛に及ぼす副作用を嫌っているからだ。カナダ保健省が1999年に出した報告書は、rBSTを投与した牛は乳腺炎にかかる率が最大25%増加し、それによって牛の体細胞、すなわち膿が牛乳に混じる確率も高くなることを示している。
 この調査はまた、rBSTにより牛の不妊症が18%、四肢の運動障害が最大50%増加すると報告している。このデータに基づき、カナダ当局はrBSTを認可しなかった。
 欧州連合(EU)15ヵ国、オーストラリア、ニュージーランド、ノルウェーも同じ理由でrBSTを認めていない。認可しているのはブラジル、南アフリカ、パキスタン、米国など19ヵ国だ。
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http://hotwired.goo.ne.jp/news/culture/story/20030918205.html

ポジラックという成長ホルモンを製造・販売しているのはモンサントという会社ですが、この会社は、害虫が食べると死んでしまったり、除草剤にも枯れないという、遺伝子組み換えの大豆やトウモロコシを製造・販売している会社です。モンサント社は、成長ホルモンを使っていないアメリカの酪農家が、自社製の牛乳に「人工ホルモン不使用」と書くことは「不当表示」だとして、それを禁止させようとしています。(上記Hotwiredの記事)

それが不当表示だというのであれば、「有機栽培」とか「遺伝子組み換え大豆不使用」とか「米国産牛肉不使用」いう表示も「不当表示」ということになります。

ポジラックは牛の成長ホルモンを遺伝子工学で製造したものです。成長ホルモンを使うと、牛に様々な障害が起こります。とくに牛が乳腺炎を起こしやすくなり、膿が牛乳に混入する危険性があります。また、牛が急速に成長するので、大量の濃厚飼料を与えなければなりません。そこに肉骨粉が必要になります。肉骨粉を与えていると、BSEの危険が生まれます。BSE牛が乳腺炎になると、そこにプリオンが蓄積され、牛乳にプリオンが含まれる可能性もあります。「成長ホルモン+肉骨粉」という組み合わせは、きわめて危険ということになります。

家畜にはポジラック以外の抗生物質や人工ホルモンが使用されていますが、これも重大な問題なのです。牛肉に残留した薬剤が、発ガンなど人体に悪影響を及ぼす懸念があります。EUやオーストラリアは、アメリカが成長ホルモンを使っているので、アメリカからの牛肉を輸入禁止にしています。「グローバル・スタンダード」が大好きな日本は、世界の趨勢に準じてなぜ同じ措置をしないのでしょうか。



(17)炎症部位にプリオン

2006年02月04日 | 食の安全
狂牛病(BSE)と狂鹿病(CWD) (17)

最初に昨日のニュースから――

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【ワシントン2日時事】米農務省監査局(OIG)は2日、米国のBSE(牛海綿状脳症)対策の柱である脳や脊髄(せきずい)など特定危険部位除去の検査態勢について、「調査対象の12施設のうち9施設で適当かどうか判定できなかった」とする監査報告書を発表した。
 日本は特定危険部位に指定している脊柱(せきちゅう)の混入を受けて米国産牛肉の輸入を1月20日から再停止している。ジョハンズ農務長官は牛肉処理の安全性を強調しているが、「身内」の監査局からの報告で日本で米国の検査態勢に対する不安が高まりそうだ。 (時事通信) - 2月3日15時1分更新
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アメリカ自身が、自国の検査態勢が杜撰だ、と認めているわけです。ジョハンズ氏は嘘をついていたことになります。

さて(15)で、炎症を起こした羊の乳腺にプリオンが見つかったことを述べました。炎症を起こすと、その場所にプリオンが蓄積される生体メカニズムがあるようです。やはり農業情報研究所のサイトから――

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 BSE、vCJD等の海綿状脳症を引き起こすとされる異常プリオン蛋白質は、典型的には神経組織・リンパ組織に蓄積する。我々は、これが蓄積するのは脳・脊髄や一定の免疫組織などだから、仮に牛がBSEに感染していても、これら特定危険部位(SRM)と呼ばれる組織を食べなければ病気が移ることはない、牛肉は食べても安全だなどと信じ込まされている。これを胡散臭くさせる知見がまったくなかったわけではない。最近、日本でも高齢感染牛の末梢神経組織への蓄積が発見されたばかりだ。肉を含むほかの部位だって安全とはいえないのではないかという懸念はあった。この懸念をさらに高めるような新たな研究が発表された(Adriano Aguzzi et al,Chronic Lymphocytic Inflammation Specifies the Organ Tropism of Prions,Science:express,05.1.20)。 

 この研究を発表したのは、03年、vCJDで亡くなった人の筋肉に微量の異常プリオン蛋白質を検出、感染動物の肉もこれを含む可能性を示唆した病理学者・Adriano Aguzziを含むスイス・チューリッヒ大学病院、英国・神経病研究所、米国・エール大学医学校の国際研究チームである。腎臓、膵臓、肝臓の五つの炎症を持つマウスに異常プリオンを投与し、すべてのケースで、これら異常プリオン蛋白質が蓄積されるはずのない器官にそれが蓄積することを発見した。研究者は、その理由は確かではないが、免疫反応が関係していると見る。慢性的リンパ球炎症がこの蓄積を可能にしたと言う。器官に炎症があれば免疫システムが病気と闘うためのリンパ球と呼ばれる血液細胞を生産する。これらの細胞がリンフォトキシンなる物質を生産、正常な細胞を異常プリオン複製が可能な細胞に変える反応の引き金になるのではないか。リンフォトキシン受容体を欠くマウスでは炎症を起こした器官に異常プリオンは見つからなかった。

 これはマウスで確認されたことだが、牛についても同様なことが考えられる。もしそうだとすると、感染牛のこれら組織は食べられないことになる。悪いことに、これらの組織では脳よりも先に異常プリオン蛋白質の蓄積が始まった。従って、現在の脳を対象とするBSEスクリーニング検査では、このような形で異常プリオン蛋白質を既に多量に蓄積しているかもしれない牛を発見できないことになる。 
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http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/05012101.htm

現在は、BSE牛でも、特定危険部位を取り除けば、その他の牛肉部分は安全、と言われてきました。しかし、炎症を持った牛は、炎症部にもプリオンが蓄積される可能性があるというのです。それどころか、現在のように脳を検査してもわからない、というのです。それでは、いくら脊柱を取り除いても、その牛肉が安全ということにはなりません。ところがアメリカでは、へたり牛まで食用にされていたのです。



(16)『週刊文春』が伝える米国食肉処理場の実態

2006年02月03日 | 食の安全
狂牛病(BSE)と狂鹿病(CWD) (16)

先週発売の2006年2月2日の『週刊文春』の記事から紹介します。(現在発売中の2月9日号にも米国産牛肉が、メキシコ産としていつわって輸入されている疑惑についての記事がありますが、これについては1月19日の投稿で触れています。)

タイトルは「検査は骨抜き、アメリカ牛は背骨付き」です。

・カリフォルニア州の大手精肉工場を訪れたジャーナリストの椎名玲氏によると、従業員の大半が英語が理解できず、作業を教育するシステムもない。手を切るなどの事故が多発している。チェーンソーでカットするとき、脊髄の髄液が肉に飛び散ることがある。機械でぎりぎりまで肉をそぎ落とすので、危険部位の神経組織が混じる可能性がある。

・昨年6月、デンバーを視察した山田正彦議員によると、月齢チェックは、18歳に満たない女性従業員が、6秒に1頭で流れてくるつるされた牛肉を目で判断している。除去すべき部位を知らない従業員も多い。

・昨年12月の日本側調査団は、orbit(見て回る)しただけで、inspection(査察)していない。米農務省は日本側に〔都合のいい場所の〕見学しか許していない。

・EUは成長ホルモン剤の使用を理由に、1999年から米国産牛肉の輸入を一切禁止している。(※この問題についてはあとで取り上げます)

・オーストラリアの食肉工場では、輸入国のロシア、中国、マレーシア、グアテマラは1年ごとに、米国は2年ごとに、本国政府の検査官が来て監視している。日本は一度も来たことがない。

・EUは北海道産のホタテを輸入禁止にしたが、EUの検査官が抜き打ち検査をしたときに、工場にカモメが飛び込んできて、糞を落としたから。買い手が生産者に厳しい注文をつけるのは当然。

1月23日に私は、「現在、徹底しなければならないのは、全頭検査ではなく、20ヶ月以下の牛も含めて、特定危険部位の完全な除去なのです」と書きましたが、これは撤回させていただきます。作業中に「脊髄の髄液が肉に飛び散る」のであれば、特定危険部位でない肉でも、プリオンに汚染されている可能性があるからです。

極端な言い方ですが、今日では牛肉はフグと同じような食べ物になりつつあるのかもしれません。フグをさばくためには、それなりの訓練を受けたフグ調理師の資格が必要です。ところがアメリカでは、資格のない素人がフグ(牛)をさばいているようなものです。フグ毒はすぐに判明しますが、狂牛肉がヤコブ病になって現われるには潜伏期間があります。

日本の食料の自給率はカロリーベースで40%にすぎません。60%は海外からの輸入です。それが大甘の検査で日本人の口に入っているのです。牛肉だけの問題ではありません。


(15)母子感染と水平感染

2006年02月02日 | 食の安全
狂牛病(BSE)と狂鹿病(CWD) (15)

羊のプリオン病スクレイピーの名称は、scrape(こする)に由来します。この病気にかかると、羊が体にかゆみを覚え、体を木や柵などにこすりつけるからだそうです。

羊の間ではスクレイピーが母子感染、水平感染するようです。

農業情報研究所のサイトより――

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 英国政府実験農場で、狂牛病(BSE)に感染させた羊が生んだ子羊のBSE感染が確認された(S. J. Bellworthy et al.,Natural transmission of BSE between sheep within an experimental flock,Veterinary Record, 2005 157-7;http://veterinaryrecord.bvapublications.com/cgi/reprint/157/7/206)。これは、自然の条件の下で(羊にBSE感染物質を食べさせる、あるいは接種する実験によってではなく)、BSEが羊の間で伝達することを初めて実証したものだ。

 政府の獣医試験機関研究者は、BSE感染物質5mgを食べさせた2頭の雌羊が生んだ子羊が、出生から546日後、扁桃に感染の兆候を示した後に死んだことを明らかにした。母羊たちは、出産時には病気の症候を示さなかったが、その後、それぞれ73日、198日後に発症した。子羊は母親の子宮のなかで感染したのか、出生の直前または直後に感染したのかはわからない。出産時に出る分泌液を通してか、別のルートでの感染も考えられる。ただ、いままでのところ、外見上感染していない他の羊(つまり母親)から病気が移った可能性が非常に高いという。

 これまで疑いはあった(牛のBSE発生率は、感染牛の子において僅かながら高い)ものの確証はなかった母子感染、あるいは水平感染の可能性が示されたわけだ。

 ということは、羊群のなかにBSE感染羊が存在した(する)とすれば、羊のBSEが広く拡散している(拡散する)可能性があるということだ。羊や山羊では、BSE感染性を持つ部位は牛より広範囲に広がっており、大容量での実験的感染では血液やリンパ組織にも感染性が認められている。従って、感染羊1頭のがもつ危険性は、牛1頭よりもはるかに大きい。もし羊のBSEが拡散しているとすれば、人間のBSE感染リスクは大きく膨らむだろう。
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http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/05081801.htm

羊の母子感染、水平感染のメカニズムはまだ正確にはわかっていませんが、鹿のCWDも同じメカニズムで母子感染、水平感染するものと思われます。

母子感染の原因として疑われるのは、母乳からの感染です。同じく農業情報研究所のサイトより――

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 研究者は100万頭以上の羊がいるサルジニア島に渡り、遺伝的にスクレイピーに罹りやすい261頭の羊を分析した。そのうち7頭はスクレイピーに罹っており、4頭は乳腺に炎症をもっていた。これら4頭のすべての乳腺に異常プリオン蛋白質が発見され、他の羊では発見されなかった。ネイチャー・ニュースは、これは感染動物の乳に異常プリオン蛋白質が存在する可能性を示唆すると言う。

 この研究では、乳自体は分析が難しく、異常プリオン蛋白質を発見できなかったが、Adriano Aguzzは発見されると予想している。彼は、「異常プリオン蛋白質が乳中に存在しないということはありそうにない」と言う。バンクーバー・ブリティッシュ・コロンビア大学のプリオン研究者であるNeil Cashmanもこれを恐れており、人々はBSEの牛の乳に異常プリオン蛋白質がないかどうか調べてきたが発見されていない、「しかし、乳腺に炎症をもつBSEの牛については調べてこなかった」と言う。

 もしも乳中に異常プリオン蛋白質が存在するとすれば、異常プリオン蛋白質に汚染された牛肉だけでなく、汚染牛乳の消費により人間がBSEの人間版である変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)になるのではないかという懸念が生じる。Cashman氏は、「これは深刻な問題を提起する」と言う。
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http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/05110401.htm

スクレイピー羊の乳腺の中にプリオンがあれば、母乳の中にもそれが含まれている可能性があります。「異常プリオン蛋白質が乳中に存在しないということはありそうにない」。スクレイピー羊の母乳にプリオンが存在するとすれば、BSE牛の乳、すなわち牛乳にもプリオンが含まれる可能性が出てきます。日本で見つかった大部分のBSE牛は、雌のホルスタイン種、すなわち乳牛です。牛肉を食べなければ安全、ということにはなりません。まさに「これは深刻な問題を提起する」と言わざるをえません。


(14)米国産牛肉輸入再開の「事前の現地調査」の実態

2006年01月31日 | 食の安全
狂牛病(BSE)と狂鹿病(CWD) (14)

1月30日の中川昭一農水相の、「米国産牛肉の輸入再開前に、約束した事前の現地調査を行なっていなかった」、という発言はあきれるはてるものでした。

米国産牛肉が安全かどうかは、現地調査をしてから初めて結論が出せるはずです。そして、事実、政府は事前調査することを閣議決定していたのです。ところが、閣議決定に違犯して、輸入を再開してから調査団を送ったというのです。これでは何のための調査かわかりません。

要するに、小泉政権としては、ブッシュ大統領に言われて、輸入再開という結論が先にあって、あとは形だけの手続きをして、国民に適当に言い訳をしたかったわけですが、その形式的手続きすら、前後関係が入れ違っているほど杜撰なものであったわけです。

時系列順に書いてみます。

・2005年10月31日
 第34回食品安全委員会プリオン専門調査会開催。調査会は、「BSE発生で禁止された米国、カナダ産牛肉の輸入について、再開を容認する答申案をまとめることを了承した」。
http://www.sasayama.or.jp/wordpress/?p=488

・11月16日
 ブッシュ大統領が来日し、小泉首相と会談。米国産牛肉の輸入再開を要請。

・12月8日
 食品安全委員会が輸入再開を認める答申を出す。ただし、
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 北米産牛肉の安全性をめぐり、内閣府の独立機関である食品安全委員会・プリオン専門調査会の12人の専門委員のうち、半数近くが諮問の仕方や米国での輸入条件順守の実効性について、疑問や不安を抱いたまま、輸入再開を容認する結論を出していたことが共同通信社の聞き取り調査で7日、分かった。
 「生後20カ月以下で危険部位を除けば日本とリスクが同等か」という限定された諮問内容に対し「都合よく結論ありきの議論をさせられている」(品川森一委員=動物衛生研究所プリオン病研究センター長)との批判もあった。
 安全性を左右する危険部位の除去など、諮問の対象外である米国の安全対策への不安が専門委員の間にも強いことが浮かび上がった形で、禁輸解除に踏み出す政府は米国の安全対策の監視という「重い責任」を負うことになる。
 食品安全委は8日に答申を提出し、政府は12日にも輸入解禁を決める。
(共同通信) - 12月7日23時10分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051207-00000326-kyodo-bus_all

・12月12日
 政府は、事前調査を前提に輸入再開を正式決定。

・12月13日
 調査団、アメリカとカナダで現地調査を開始。

・12月15日
 厚生労働省と農水省が説明会。
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 北米産牛肉の輸入再開決定についての説明会を厚生労働省と農林水産省が15日、東京都内で開き「米国、カナダに輸入条件をきちんと守らせるよう取り組んでいく」などとして、集まった消費者、食肉業者ら約500人に理解を求めた。会場からは「食品表示が不十分」などの不安の声が出された。
 説明会では冒頭、厚労省の担当者が輸入再開決定について「食品安全委員会が、一定の条件を満たした場合の北米産牛肉と国内産では、安全性の差は非常に小さいと評価したため、輸入禁止措置を継続する科学的根拠がなくなり、輸入を認めることが適当と判断した」と説明した。
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051215-00000216-kyodo-soci

・12月16日
 米国産牛肉、日本に到着。

・12月24日
 調査団、帰国。

・2006年1月19日
 第35回食品安全委員会、政府の手続きに危惧を表明。
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 食品安全委員会の専門調査会が19日開かれ、米国とカナダでの査察前に、牛肉輸入が再開されたことに対して疑問の声が相次いだ。吉川座長は「再開前に両省が米国に行って見てきて、それから再開だと思う」と発言。寺田雅昭・食品安全委員長も「これでは国民が牛肉(の安全性)について耳を貸さなくなる」と批判した。
(毎日新聞) - 1月19日22時4分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060119-00000144-mai-soci

・1月20日
 小泉首相が1月20日の第164回国会の施政方針演説で、
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 昨年12月、科学的知見を踏まえ、アメリカ産牛肉の輸入を再開しました。消費者の視点に立って、食の安全と安心を確保してまいります。
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http://www.kantei.go.jp/jp/koizumispeech/2006/01/20sisei.html
と述べる。その数時間後、輸入牛肉から背骨が見つかる。

昨年12月15日の政府説明会で、厚生省の担当者が、「食品安全委員会が、一定の条件を満たした場合の北米産牛肉と国内産では、安全性の差は非常に小さいと評価したため、輸入禁止措置を継続する科学的根拠がなくなり、輸入を認めることが適当と判断した」と説明していますが、調査団は、アメリカ食肉業界が「一定の条件を満たし」ているかどうかをチェックするのが、その任務でした。

政府は当然、調査団の報告を受けてから輸入再開を正式決定すべきでしたが、それすらもしないで、輸入再開してしまったわけです。悪質としか言いようがありません。

それどころか、12月16日に米国産牛肉が日本に到着したということは、12月12日よりもだいぶ前に、日本への輸出が準備されていたことを示しています。輸出再開という結論が先にあり、あとはただの見せかけのアリバイづくりであったわけです。

しかも、この調査たるや、まともな調査ではなかったことは週刊文春にも出ていましたが、最近、多くの読者を集めている「きっこの日記」でその実態が暴露されています。

http://www3.diary.ne.jp/user/338790/ 1月31日

必読です。

(13)狂鹿病(CWD)とは

2006年01月30日 | 食の安全
狂牛病(BSE)と狂鹿病(CWD) (13)

プリオンによる病気は牛だけではありません。羊にスクレイピーというプリオン病があることはすでによく知られています。

いま北米の鹿の間に、慢性消耗病(Chronic wasting disease: CWD)という病気がはやっています。この病気については、以下のサイトがわかりやすく説明しています。

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CWDはこんな病気

 CWDにかかったシカは、体重が減り、〈同じところを繰り返し歩行する、他の動物に無関心となる、頭部や耳がうなだれる、軽い運動失調を呈する、両足を広げて立つなどの行動の異常が見られる〉(杉山)。このような症状は数日間で終わることもあれば、1年以上続くこともあるのだが、〈末期には、過剰な飲水と排尿が見られ〉〈嚥下困難、過剰流涎あるいは異物の吸入により誤嚥性肺炎を引き起こ〉(杉山)して、最後には死んでしまう。
 発症するのはおもに成獣で、雄雌にかかわらず感染する。

原因は「プリオン」

 症状を見ただけではCWDと断定はできない。解剖して脳を調べる必要があるのだ。診断の決め手は、〈神経細胞および神経網の空胞変性と〉〈異常型プリオン蛋白質の検出〉(杉山)である。
 この異常型プリオン蛋白質が原因になって起きる病気は「プリオン病」と呼ばれ、牛のBSE(狂牛病)や、人間のクロイツフェルト・ヤコブ病もこの「プリオン病」の一種である。
 このプリオン、生半可な消毒や滅菌が効かない。煮沸くらいでは死んでくれないのである。〈死体の処理および汚染器具等の汚染処理の最も確実な方法は、完全焼却である〉(杉山)。

感染環

 BSEでは、異常型プリオン入りの濃厚飼料(肉骨粉の疑いが強い)を食べた牛が次々に犠牲になったが、シカのCWDでは、プリオンを直接食べなくても感染が進むらしい。〈これまでに捕獲・飼育されたエルクにおいて水平感染が観察されており(中略)自然界でもこのような感染経路が成立していると推定される〉(杉山)。水平感染とは、はじめ健康でも病人(シカ)と一緒にいるだけで同じ病気にかかってしまうことをいう。
 そしてやっぱり、異常型プリオンを口にしてもシカはCWDに感染する。プリオンは〈中枢神経系以外の組織にも存在する〉(杉山)ので、雌ジカの後産などとして〈体外に排出され土壌、牧草などに付着し〉〈CWDの感染源となる可能性は高い〉(杉山)。
 とはいえ、〈感染経路についての詳細もまだ完全には解明されていない〉(杉山)。

人に感染るの?

 世界保健機関は〈これまでにCWDがヒトに感染したという証拠はないと結論づけている〉(杉山)。でも〈リスクを完全に否定できないことから、北米の公衆衛生および野生動物管理に関わる機関は、ハンター、食肉業者、剥製業者などにCWDについての注意を喚起している〉(杉山)。
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http://www.yezodeer.com/newsletter/cwdreview.html

この病気が注目されたのは、鹿の肉を食べたハンターの中に、ヤコブ病になる人が多く出たからです。

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 牛海綿状脳症(BSE)や人のクロイツフェルト・ヤコブ病に似たシカ類の病気、「慢性消耗病」(CWD)の恐怖が米国で広がりつつある。
 英科学誌ニューサイエンティストによると、米国で3人のハンターが最近、ヤコブ病にかかり死亡。このうち2人がワシントン州の同じ町の友人同士だったことが判明。“CWD感染”の疑いが浮上した。
 通常、ヤコブ病は100万人に1人というまれな発生率。今回の調査結果は、汚染されたシカ肉を食べたという証拠がないとして、「CWDとは無関係」の結論を出したという。
 米国では一昨年、シカ類にCWD発生が確認され、農務省が緊急事態を宣言。その後、感染は拡大し、厚生省が人への感染の可能性を調べている。実際に感染するかどうかは不明だが、各国は米国産のシカ肉の輸入を禁止している。
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http://kk.kyodo.co.jp/iryo/news/0506usa.html

現在では鹿肉によってヤコブ病になった人は、26名に及ぶという情報があります。

アメリカでは牛肉によるヤコブ病が1人しかいないのに、それよりも食べる人がはるかに少ない鹿肉では26人だというのです。あまりにもおかしな数字です。

CWDは、BSEと同じく、プリオンによって引き起こされますが、その起源は人間にあると考えられます。

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 最初の発生は1960年代後半にさかのぼる。米国コロラド州の養鹿場のミュールジカに衰弱死する疾病が発生し、CWDと命名された。本病は当時、人工飼育によるストレスと栄養素の欠乏によるものと思われていたが、1977年に狂牛病と同様の病変を示す「海綿状脳症」であることが判明した。1980年代には養鹿場および野生のエルク(アカシカ)でも発生が認められ、野生のミュールジカとオジロジカにも拡大した。
 カナダのサスカチュワン州の狩猟牧場では1977年、米国サウスダコタより輸入されたエルクでの発生が確認され、カナダも発生地域となった。CWDの現在の発生地域は、米国コロラド、モンタナ、ネブラスカ、オクラホマ、サウスダコタおよびカナダ、サスカチュワンのエルクの養鹿場である。
 野生ジカ(ミュールジカ、オジロジカ、エルク)での発生は、コロラド州東北部とワイオミング州南東部に限局していたが、最近カナダでも野生ジカでの発生が報告された。
 コロラドおよびワイオミングでの10年間の狩猟されたシカについてのCWDの陽性率は、エルク1.1%(1992~1996年、337例) エルクを除くシカ類で0~5.9%、平均2.5%(1983~1996年、6878例) であった。また、同地域の別の統計によるとミュールジカの発生率は4.9%(4.1~5.7)で オジロジカの2.1%およびエルクの0.5%よりも有意に高い値を示した。しかし、流行地以外の300例の調査では、すべて陰性であった。
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http://www.yezodeer.com/cwd/cwdreport.html

CWDは最初は飼育鹿に発生し、それが野生鹿にも広まっていったことがわかります。特定の地域の野生鹿の感染率が異常に高いことが気になります。

同じサイトは、さらにこう解説しています。

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 米国におけるCWDが何から感染したかは不明である。養鹿場で海綿状脳症の動物の肉骨粉を含む牛用飼料の給与も可能性として考えられるが、証明はされていない。野生シカでの流行については、その原因は何ら解明されていない。しかし、羊のスクレーピーでは生後間もない子羊が母羊から感染することが知られており、CWDの母子感染も否定できない。また、シカからシカへの水平感染の可能性も否定できない。
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飼育鹿の発病の原因は、やはり養鹿場でのプリオンを含んだ肉骨粉の投与だと思われます。

しかし、野生鹿にもCWDが発生しているのはなぜでしょう? 野生鹿をおびき寄せるために、ハンターが肉骨粉入りのエサをまいたと言われています。それを食べた鹿がCWDになることは理解できますが、それだけにしては感染率が高すぎます。上記サイトはさらに母子感染と水平感染の可能性を指摘していました。

母子感染が起こるとしたら、その原因の最大の可能性は母乳にあると考えられます。つまり、プリオンが母乳から子に伝えられるわけです。


(12)代用乳

2006年01月29日 | 食の安全
狂牛病(BSE)と狂鹿病(CWD) (12)

1月24日の新聞に小さく出た記事です。

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 農水省は23日、北海道別海町の農場で死んだ乳牛1頭を牛海綿状脳症(BSE)と確定診断したと発表した。国内の感染牛は22頭目。肉や内臓などは焼却処分されるため市場には出回らない。
 農水省などによると、5歳4カ月の雌のホルスタインで、20日に死んだという。感染源の恐れがあるとされる肉骨粉が餌として禁止される前の2000年9月に生まれた。北海道は飼料などを分析して感染ルートを調べる。
 21日に道内の検査機関で実施した1次検査で疑陽性となり、2次検査でも陽性だった。(共同通信) - 1月23日22時46分更新
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昔なら一面トップに出るようなニュースですが、今では慣れっこになってベタ記事扱いです。

22頭目のBSE牛とは、アメリカの10倍ですね。日本でBSEが蔓延しているのか、アメリカでBSEが隠蔽されているのか。

アメリカでは、牛の肉骨粉が豚や鶏の飼料として今でも使われています。牛の肉骨粉を利用するかぎり、その肉骨粉が製造工場などの汚染で、牛に投与される危険性(これを「交差汚染」といいます)が残ります。

これに対して日本では、牛の肉骨粉の利用は2001年に全面禁止されましたが、豚や鶏の肉骨粉は、プリオンを含まないとして、今でも豚や鶏の飼料として使われています。(豚や鶏が共食いさせられるわけで、これも問題がないわけではありません)

記事の牛は2000年9月生まれですから、肉骨粉を食べた可能性はあります。しかし、日本の21頭のBSE牛の飼育状況を調べてみると、肉骨粉がすべての原因とは考えられません。BSEのもう一つの原因ではないかと疑われているのが代用乳です。

代用乳というのは、生後7日から約1カ月間、子牛に与えられる人工乳です。脱脂粉乳、動物性油脂、 動物の血漿タンパクなどが調合されています。なぜこのような人工乳を飲ませるかというと、

・母乳(牛乳)は人間用に販売する。
・子牛を早く肥育させる。

という二つの理由からです。

この代用乳の中に含まれている動物性油脂は、先に説明した「レンダリング」によって得られます。現在のところ、油脂そのものがBSEを引き起こすとは考えられていません。しかし、油脂の原料が牛である場合、そしてその牛がBSEであった場合、プリオンが油脂に混入する可能性はないのでしょうか?

この連載(4)の毎日新聞の記事にもありましたが、日本で見つかったBSE牛が飲んでいた「ミルフードAスーパー」という代用乳には、アメリカから輸入した材料が使われていました。それには「豚の血しょう」と「牛の油脂」が含まれていました。そのどちらか、あるいは両方がBSEを引き起こした可能性があります。

同じ記事によりますと、「群馬県宮城村で見つかった国内3頭目の感染牛には「ミルフードAスーパー」は与えられていなかったが、同工場〔科学飼料研究所高崎工場〕で製造された、豚の血しょうたんぱく入りの別の代用乳を飲んでいた」こともわかっています。「豚の血しょうたんぱく」だけでもBSEを引き起こすのでしょうか? それとも、豚の血漿に牛の血漿が混入していたのでしょうか?

血漿タンパクは、牛の血を材料とするものと、豚の血を材料とするものがありますが、どちらにしても、草食動物である牛の子に、牛または豚の血を飲ませているわけです。明らかに自然の摂理を逸脱していますから、そういう成分を含んだ代用乳を飲まされた牛がBSEになる可能性は否定できません。

日本で発生したBSEは、代用乳が原因の可能性が高いのです。以下は昨年12月段階での情報です――

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全農(全国農業協同組合連合会)とその最大組織である「ホクレン」がBSE汚染代用乳(生後直ぐの子牛に与えられる人工乳)を製造・販売し、これが日本のBSE発生の原因だったとの疑惑が強まっている。

これまで厚労省は、英国から輸入された感染牛に由来する肉骨粉による配合飼料への交差汚染が発生源の可能性が高いとして、肉骨粉を原因に仕立て上げてきた。しかし、肉骨粉全面禁止後に生まれ飼育された牛の感染が確認されるなど肉骨粉原因説は大きく後退し、あらためて代用乳原因説が浮上してきた。

日本政府は、日本でのBSE感染経路の解明に蓋をしたまま全頭検査を緩和して、さらに危険な米国産牛肉解禁に踏み切ろうとしている。発生源として敢えて否定されてきた代用乳をめぐる業界団体と農水省の動きを検証する。隠蔽体質に汚染された農水省は市民の命を守るという気などさらさらない。

表は、これまで確認された感染牛の出生・飼育県と出生年月日・生後月齢だ。これに感染源と疑われる代用乳(ミルフードA・ピュアミルクH他)の使用状況を書き加えたものだ。この表から読み取れることは三点。

1 国内でこれまで発見された二〇頭のうち一三頭の誕生が、一九九五年一二月から九六年八月に集中しており、2 これらは、問題の代用乳を一様に摂食している。3 しかしほとんどの感染牛に肉骨粉は与えられていない。

この表を見る限り日本のBSEは、「科学飼料研究所高崎工場」(全農子会社)製造の代用乳によって発生したと考えるのが当然だったのだ。もともとBSEは仔牛の時に感染しやすいと言われており、多くの生産者は、当初から代用乳を疑ってもいたのだから。

しかし「BSE疫学調査報告書」(二〇〇三年九月)は、「代用乳使用とBSE発生は関係があるとはいえない」と結論した。この時点で七頭の感染牛が確認され、その七頭ともが同じ代用乳を給与されていたにもかかわらずである。
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http://www.jimmin.com/doc/0443.htm

こういう代用乳で育て、へたり牛が続出しているアメリカで、BSE牛がわずか2~3頭というのは、本当におかしな数字です。

成牛に対する肉骨粉の投与もやめなければなりませんが、代用乳に動物性油脂や血漿を混入することもやめなければなりません。

(11)隠蔽されているヤコブ病

2006年01月26日 | 食の安全
狂牛病(BSE)と狂鹿病(CWD) (11)

前回、「アメリカでは、病気の牛を、ひょっとするとBSEかもしれない牛を、脊柱などの特定危険部位も除去することなく食用に供していたわけです」と書きましたが、そうするとアメリカではクロイツフェルト・ヤコブ病(以下ではヤコブ病と略称)の患者がかなりいるはずです。ところが、そういう数字はありません。公式発表によれば、

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プリオン病の中でも牛の海綿状脳症(BSE)との関係が指摘されているもので希な疾患に分類されます。イギリスを中心としたヨーロッパ諸国で167例(平成17年1月13日現在)が報告されています。内訳はイギリスが153例、フランスが9例となっており、ヨーロッパ以外のアメリカ、カナダで発生した症例については、イギリスの滞在歴があることがわかっています。
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http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/kenkou/kansensyou/cjd.htm

つまり、イギリスとフランス以外では、全世界で5例しかないというのです。アメリカ人でヤコブ病で死んだ人は1人です。日本人も1名です。

ところが、アメリカではこういう事件が起こっています。先の田中ニュースより――

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 アメリカ東海岸のニュージャージ州に住むフリーランスライターのジャネット・スカーベック(Janet Skarbek)さんが、その「異常さ」に気づいたのは昨年、地元新聞の訃報欄で同じ町に住むキャロル・オリーブ(Carol Olive)という女性が死んだという記事を読んだときだった。

 記事によると死因はクロイツフェルト・ヤコブ病だったが、スカーベックの友人だった別の女性も3年前の2000年に同じ病気で死んでいた。スカーベックは、ヤコブ病は100万人に1人しかかからない病気だと聞いていたので、そんな奇病にしては自分のまわりで起きる確率が高いのではないかと奇異に感じた。

 死亡記事をさらに読み進むと、もっと奇妙なことに気づいた。ヤコブ病で死んだ2人は、同じ職場に勤めていたことがあるのだった。その職場は「ガーデンステート競技場」という地元の陸上競技場で、そこにはスカーベック自身の母親も勤めていたことがあったので、よく知っている場所だった。(ガーデンステートはニュージャージ州の別名)

 100万人に1人の奇病が、同じ職場から3年間に2人も出るのはおかしい。そう感じたスカーベックは、地元新聞の訃報などを使い、地元におけるヤコブ病での死亡を調べてみた。すると、さらに驚くべきことが分かった。ガーデンステート競技場の約100人の職員のうち2人、競技場の会員パス(一定料金で何回でも入れる常連者用の定期券)の保有者1000人のうち7人がヤコブ病で死亡していたのである。このほか、競技場内のレストランで食事したことがあるという人がヤコブ病で死んだケースも見つかり、合計で13人の競技場に出入りしていた人々がヤコブ病で死んだことが分かった。(関連記事)

 こうした事実を突き止めたスカーベックは、競技場内のレストランで出した牛肉に狂牛病に感染したものが混じっており、それを食べた13人がヤコブ病にかかったのではないか、と推測した。13人はいずれも、1988年から92年の間に競技場のレストランで食事した可能性が高かった。
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ヤコブ病には、プリオンが原因で起きる「変異性」のほかに「弧発性」というのがあり、こちらは遺伝などいくつかの原因によって起きるとされています。上記の事件は、弧発性ヤコブ病だとされてしまいました。そんなことがありえないことは、誰にでもわかります。つまり、アメリカで「弧発性ヤコブ病」だとされている病気の中には、「変異性ヤコブ病」が相当数含まれている可能性が高いのです。

次に、変異性であれ、弧発性であれ、ヤコブ病そのものが隠蔽されている可能性があります。2005年7月のニュース――

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 米国で2頭目のBSE(牛海綿状脳症)感染牛が確認され、今秋にも輸入再開が見込まれていた米国産牛肉の安全性に再び疑問が浮上している。
 政府は米国の検査体制や感染状況を再チェックする方針だが、京大医学部付属病院の福島雅典教授は「アルツハイマーや若年性痴(ち)呆(ほう)と診断された患者にもBSE感染で発症する変異型ヤコブ病の患者がいる可能性がある」と衝撃的な指摘を行った。
 先月30日には、感染牛はテキサス州で生まれ育ったことが判明した。
 こうした事態を受け、輸入再開に向けて安全性評価を審議している日本の食品安全委員会プリオン専門調査会は先月末、詳細なデータを米国に要求、感染状況を再審議する方針を固めた。
 変異型ヤコブ病の詳しい症状は意外と知られていないが、京大の福島教授は「人類で最も悲惨な病気。ガンやエイズとは比べものにならない」とし、こう解説する。
 「破壊される脳の場所によって違うが、初めは数カ月にわたる進行性痴呆や視力障害、錯乱、めまい、無感情などの症状が見られ、次第に筋肉のけいれんや運動失調が起こり、最後は廃人となる。若い人が犠牲になるケースも多い。患者の大半は発病から約3~12カ月で死亡する」
 福島教授は、異常プリオンに汚染された硬膜を脳外科手術などで移植して発病した医原性ヤコブ病のケースから、変異型ヤコブ病についても潜伏期間が(1)約4年(2)約10年(3)10数年など数パターンある可能性を示唆。
 その上で、「正確に変異型ヤコブ病と診断するには、脳の生検か死亡後に患者の脳の病理解剖をするしかない。症状としてはアルツハイマーや若年性痴呆、弧発型ヤコブ病と似ており、そう診断された中に変異型ヤコブ病の患者がいる可能性はある」と指摘する。
 実際、民主党の山田正彦衆院議員は今年2月、国会でこんな不気味な質問をしている。
 「昨年10月14日のニューヨーク・タイムズで、NY州のクラスターという町(人口17万7000人)で、『100万人に1人』といわる孤発型ヤコブ症で4人が死亡したという報道があった。昨年はカリフォルニア、オクラホマ、ミネソタ、ミシガン、テキサス州などで集団発生が表面化している」
 米アルツハイマー病協会などの推定では、1975年は約50万人だったアルツハイマー病患者数が、2005年は約450万人、2050年には1100万人から1600万人になると分析。これは高齢化だけで説明できるのか。
 それでも、政府は米国の外圧を受け、輸入再開を急ごうとしているかにみえる。
 福島教授は「食の安全を守るのは政府の義務。米国産牛肉を輸入せざるを得ないなら、輸入した牛肉を日本の責任ですべて検査するしかないのではないか。情報公開と医学的調査体制を徹底すべきだ」と話している。
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http://www.zakzak.co.jp/top/2005_07/t2005070112.html

100万人に1人の孤発型ヤコブ病が特定の地域で集団発生するなどということは考えられません。

アメリカではアルツハイマーが急増しています。アメリカの数字を日本のそれと比較してみます。

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厚生労働省では3年ごとに患者調査を行っており、「患者調査の概況」(2002)の「主要な疾病の総患者数」によると医療機関で継続的に治療を受けているアルツハイマー患者の数は約89000人(男性28000人、女性61000人)で、その数は年々増加している。治療を受けずに放置されている場合もかなりあると考えられ、実際には日本では60万人~70万人がアルツハイマーにかかっていると推定されている。また高齢化の進展に伴い、患者数は今後急速に増加することが予想されている。
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http://pharmacy.client.jp/altzhimer1.html

単純計算をすると、2005年の数字でアメリカ人のほうが日本人よりも4倍ほどアルツハイマーにかかりやすいということになりますが、なぜそんなことになるのでしょう? アメリカのアルツハイマー患者と言われている中には、相当多くのヤコブ病患者が潜んでいることが推測されます。

(10)へたり牛(ダウナー牛)

2006年01月25日 | 食の安全
狂牛病(BSE)と狂鹿病(CWD) (10)

ライブドア事件の陰に隠れてしまいましたが、BSE問題も広がりを見せています。

中央紙のサイトには出ていないようですが、北海道新聞の2006年1月24日の記事です。

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 【オタワ23日共同】カナダ食品検査局は23日、西部アルバータ州の農場で牛海綿状脳症(BSE)に感染した牛が見つかったと発表した。カナダでの感染牛確認は4例目。
 カナダ産牛肉は、2003年5月のBSE発生で日本への輸入が停止されたが、日本政府は昨年12月、米国産とともに輸入を再開したばかり。今月20日に米国産牛肉に特定危険部位の混入が見つかり同国産牛肉が再度輸入停止された後も、日本のカナダ産の輸入は続いてる。
 感染していたのは6歳の牛。人間の食用や動物の飼料用として流通はしていない。
 2003年12月に米国で初めて確認されたBSE感染牛も、カナダから輸入されていた。
 米政府は03年5月、BSE発生を理由にカナダ産の牛の輸入を停止したが、昨年7月、生後30カ月以下の牛に限って輸入を再開した。
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http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20060124&j=0044&k=200601249484

より詳しい情報は「農業情報研究所」のサイト(私の情報源の一つです)にあります。
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/06012401.htm

これを読みますと、BSEの原因はやはりMBM(肉骨粉)のようです。カナダでは「フィードバン」といって、牛の飼料に哺乳動物蛋白質を利用することを禁止する措置をとっているはずなのですが、「フィードバン」が完全に守られていない可能性があります。

カナダ産牛肉は安全なのでしょうか? 日本政府はどのような検証を行なっているのでしょうか?

肉骨粉に関してカナダよりはるかに規制のゆるいアメリカでは、これまで発見されたBSE牛はわずか2~3頭です。
http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber/preview050816.html

これをもってアメリカは自国の牛肉は安全だ、と主張しておりますが、アメリカはまともなBSE検査をしていないから、見つからないだけなのです。

「田中宇の国際ニュース解説」2004年7月6日より――

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 1980年代にイギリスで狂牛病が大発生して以来、米農務省は「アメリカでは狂牛病は発生していない」と主張し続けてきた。だが、農務省は牛肉業界の圧力を受け、米国の狂牛病検査はごく限られた量しか行われてこなかった。狂牛病の確率が比較的高いと考えられる自力で歩けなくなった牛(へたり牛、ダウナー牛)の数の約1割にあたる年間2万頭前後に対してのみ検査が行われていた。全米で年間にされる3500万頭の牛のうち0・05%しか検査していなかったことになる。

 毎年1000万頭が検査されるEUや、毎年120万頭の全頭が検査される日本に比べ、アメリカは検査に消極的だった。特に、大手の屠場の中には全く検査をしていないところもあり、昨年末に狂牛病の牛が確認された西海岸のワシントン州では、州内700カ所の屠場のうち、検査をしているのは100カ所以下しかなかった。米当局がアメリカで狂牛病が発生していないと主張していたのは、検査対象が非常に少なかったことに起因していた可能性がある。
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http://tanakanews.com/e0706BSE.htm

まともに歩けなくなった牛を「へたり牛」「ダウナー牛」と呼びます。BSEを発症すると、牛は歩けなくなります。つまり、「へたり牛」になります。「へたり牛」すべてがBSEとは限りませんが、BSEの可能性はゼロではありません。アメリカでは「へたり牛」が毎年20万頭くらい出るのですが、その1割の2万頭しか検査されていないのです(それも、どの程度の検査なのか疑問があります)。

足を骨折した牛も歩けないから「へたり牛」ですが、外傷は見ればすぐにわかります。「へたり牛」の大部分は何らかの病気だと思われますが、その中にはBSE牛も含まれているに違いありません。

アメリカでBSE牛が発見される2003年まで、「へたり牛」の肉は食用に使われていました。畜産業者にしてみれば、せっかく子牛を購入し、飼料を与えて育てた牛を、へたったからといって廃棄処分すれば大損になりますから、病気の牛の肉でも売りさばいてお金にしたいわけです。アメリカでは、病気の牛を、ひょっとするとBSEかもしれない牛を、脊柱などの特定危険部位も除去することなく食用に供していたわけです。

それが食用禁止になったのは、アメリカでBSEが見つかった2003年の12月30日です。

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 【ワシントン30日共同】米農務省のベネマン長官は30日、米国初の牛海綿状脳症(BSE)感染牛が確認された問題で(1)「へたり牛」(ダウナーカウ)の食用全面禁止(2)BSE検査の結果が判明する前の販売禁止(3)牛の生産履歴などを迅速に把握するための家畜識別番号(ID)制度の導入-などの追加的な安全対策を発表した。
 また米国のBSE対策について客観的な評価を下してもらうため、専門家で構成する国際的な委員会を設置する方針も明らかにした。
 BSE感染牛の発見からわずか1週間後に現時点で実行可能な対応策を素早く示すことで、牛肉への国民の不安や、国際的な「米国牛離れ」を沈静化する狙いがある。ただ今回の対策で最大輸入国の日本などが輸入禁止の解除に応じるかどうかは不透明だ。
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http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=NGK&PG=STORY&NGID=main&NWID=2003123101000316

日本も2003年まで、米国産へたり牛肉を輸入していたことになります。
http://blog.livedoor.jp/manasan/archives/17603520.html

もし日本が米国産牛肉の輸入を再開するつもりならば、少なくともアメリカの業者が「へたり牛」をきちんと排除しているかどうかを確認しなければなりません。アメリカが「きちんとやっています」と言っても、今回の脊柱混入事件でもわかるように、言葉だけでは信用できません。輸入再開に際して消費者から強い反対の声が出されたのに、日本政府はアメリカの言うことを、たいした検証もしないでよくもそのまま信じましたね。

とくに危険なのは、牛を・解体したあとの「くず肉」の回収です。

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 昔懐かしい手回しの洗濯物搾り機を想像してほしい。これと同じ原理に強力な水圧をプラスして、大掛かりな装置にする。そこに、濡れた洗濯物ではなくされた牛を入れる。

 それが先進的食肉回収システム(AMR)の基本的な仕組みだ。この技術を使い、圧力をかけて、処理後の骨に付着している肉をはがし取る。こうした処理は、かつて自動ナイフを操る作業員によって行なわれ、AMRに比べると効率が悪く危険度は高かった。

 AMR(図)を使えば、肉や骨に手で直接触れるのは機械に入れるときだけで済む。この機械は、肉の付着した骨を約15センチほどの長さに切断し、それを水圧室に入れる。水圧室では肉付きの骨が2本の回転シリンダーに挟まれて押しつぶされる。1本のシリンダーが篩(ふるい)のように肉だけを濾し取り、骨と結合組織を反対側に残す。そこで分離された肉は最後にもう一度、より目の細かい篩に通され、残留していた骨片や軟骨が取り除かれる。

 AMRで回収された肉は通常、ソーセージやタコス用トッピングなど加工肉製品に混ぜられる。
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http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20040121303.html

もちろん、脊柱など特定危険部位も「先進的食肉回収システム」にかけられます。もしその牛がBSEだった場合、プリオンが「AMRで回収された肉」に入り込む可能性があります。牛肉だけではなく、「ソーセージやタコス用トッピングなど加工肉製品」、ハンバーグなどもきわめて危険だと言うことがわかります。

特定危険部位の除去はもちろんのこと徹底しなければなりませんが、こうした「先進的食肉回収システム」も中止しなければなりません。そして、根本的には、肉骨粉や代用乳(後述)といったBSEの原因となる飼育方法を改めなければなりません。