根無し草のつれづれ

日々の雑感をひたすら書き綴ったエッセイ・コラム。また引用部分を除き、無断掲載の一切を禁ず。

映画『青い鳥』

2008-12-11 05:40:57 | エッセイ、コラム
原作:重松清、監督:中西健二、出演:阿部寛、本郷奏多、伊藤歩、他、の映画『青い鳥』を観てきました。


ストーリーは、臨時教師として村内(阿部寛)という人物がとある中学校に赴任して来る所から始まります。
彼はどういういきさつからかは分かりませんが吃音(きつおん=どもり)の障害を持つ教師です。
村内先生が臨時に受け持つ事になった2年1組は、苛めを受け、自殺未遂をし、転校を余儀なくされた「野口くん」のいたクラスです。
初日、教壇についた村内先生は、まず片付けられていた野口くんの机を再び教室に持ってくるように日直に命じます。
そして毎朝、主(あるじ)がいない野口くんの席に挨拶をする村内先生。
村内先生の意図が掴めず、動揺する生徒と他の教師たち。
さて村内先生の行動はどんな影響をもたらすのでしょうか…そんな内容の作品です。


最近、気軽に使われる言葉に「トラウマ(心的外傷)」というものがあります。
これは一見過去の事として忘れ割り切ったような事象でも、キチンとしたケアをしないと事ある毎に顔をのぞかせその人の行動を束縛するものでもあります。

この作品の中で「野口くんの苛め事件」というものは2年1組全体のトラウマと考えてよいでしょう。
表面上を繕って何事もなかったようにしても、根本原因は解決されていないのです。
寝た子を起こすような村内先生の行動ですが、事件発生当時に学校側が取った世間体だけを考えたような対処法に疑問を投げ掛け、生徒らに今一度問題を提議し正面から向き合わせる事である種の救済を行っているように感じました。

これが精神医学的、教育的にみて適切な処置かは分かりません。
ただ社会生活を営む人間という生物から「苛め」という行為を無くす事は不可能でしょう。
しかし、それが起きた時にどのように対処していくかで、人間を人間たらしめている「理性」というものが育つように私には思えます。


正直重い映画です。
しかし、色々と考えさせられる作品ではありました。

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