おはようヘミングウェイ

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ウィーン少年合唱団 2015年日本公演

2015-05-27 | Weblog
来日60周年記念特別公演としてウィーン少年合唱団が北は北海道から南は九州長崎まで全国を縦断して歌声を披露している。戦後10年となる1955年に来日して以来、ウィーンの象徴、音楽大使、天使の歌声など少年合唱団にしては抜きんでた賛辞を欲しいままにし、不動とも言える人気を保っている少年たちの生の姿と声を聴く機会を得た。

公演フライヤーやファンサイトなどから、彼らがどんな合唱団なのかを公演前におさらいしてみよう。

★宮廷礼拝堂少年聖歌隊として1498年に創立し5百年以上の歴史を誇る。

★シューベルトやハイドン、ブルックナーも在籍していた。

★巨匠トスカーナが彼らの合唱を天使の歌声と命名したことで有名。

★団員は10歳から14歳までの約百名。パートはソプラノとアルトのみ。

★ハイドン、モーツァルト、シューベルト、ブルックナーといった合唱団ゆかりの作曲家の名がついた4つのグループに分かれて活動。

★団員は全員がウィーンのアウガルテン宮殿で生活。

★ウィーン国立歌劇場でのオペラへの出演や、ウィーン・フィルやウィーンを代表するオーケストラ、アーティストとの共演多数。

★日本公演では宗教曲のレパートリーの他に日本の楽曲も披露。

★2015年特別公演で来日したのはブルックナー組。グローバル化時代を示すように白人、黒人、黄色人種で構成し、アジア勢では中国人や日本人がいる。

★特別公演では合唱だけでなく、ヴァイオリンやチェロ、リコーダーなどの楽器でミニアンサンブルも披露。

★指揮をするカぺルマイスターはイタリア人。

公演はAプログラム(軌跡―初来日へのオマージュ―)とBプログラム(未来へ―日本への祈り―)の2つが用意され、会場によっていずれかが選ばれる。わたしが出向いた公演ではAプログラムだった。メンデルスゾーンの「主をほめたたえよ」やモーツァルトの「汝により守られ」などの宗教曲をはじめ、シューベルトの「野ばら」、ヨハンシュトラウスの「美しき青きドナウ」などドイツ語の合唱をはじめ、日本語として「ふるさと」「花は咲く」、英語として映画「サウンド・オブ・ミュージック」より「ひとりぼっちの羊飼い」「エーデルワイス」が披露された。全部で20曲ちょっと。

 
本公演は15分間の休憩を挟んでアンコールタイムを含めて約2時間。公演後のおさらいをしておこう。

☆会場には年配のご婦人や合唱団所属かと思われる少女の姿が多勢で、男性陣は少数派。

☆ドイツ語の合唱なので歌詞の意味が不明、不詳だった。

☆天使の歌声に過大な期待をしたせいか、地球人の声だったことに少しばかり落胆した。

☆各地を巡っての長旅公演のためか、あるいは2時間近く立ちっ放しということもあり、やや疲れ気味の表情をちらりと見せる瞬間が何度かあった。

☆曲が終わるごとにお辞儀をするのだが、両腕と首をだらりと下げた変なお辞儀で、疲れた操り人形のようで気の毒だった。

☆有名で、歌い慣れ、声がきれい、舞台慣れしているからといって、すべからく聴く者に鳥肌が立つような感動を与えるとは限らないということが分かった。

☆合唱団にとって楽器演奏は余技以上のものではない。

☆ウィーン少年合唱団以外のもろもろの合唱団のために言えば、「あなたたちもけっこう上手です!」。ウィーン少年合唱団のために言えば、「日本各地でこれほど大勢の人たちを有料で集めることができるのは多分あなたたちだけです!」

後日、ウィーン少年合唱団の公演の感想を知人に尋ねられた。正直に答えることにした。「そうだなあ、少年たちの合唱だったよ」


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