おはようヘミングウェイ

インターネット時代の暗夜行路。一灯の前に道はない。足音の後に道ができる。

敵失

2005-03-31 | Weblog
 30日にあったサッカー06年ワールドカップドイツ大会アジア最終予選の日本対バーレーン戦。バーレーンのオウンゴールで1-0で日本が勝ち点を挙げた。
 こういう勝ち方を想定していなかったのか、生中継をしていたテレビ局が試合後のニュース番組で「日本快勝」のタイトルを流していた。
 
 少なくとも快勝はないだろうとの思いだった。翌31日の新聞では辛勝の見出しだった。こちらが的確な表現だ。
 試合前の予想と比較すると、バーレーンは日本と互角のいい試合展開をした。オウンゴールがなければ引き分けだったかもしれない。もっとも、「幸運も実力のうち」という見方もあるので、日本にとって良しとすべきなのだろう。ドイツ大会に日本が出場しなくなると、来年のスポーツ観戦の楽しみが一つ減るというものだ。
 
 敵失。それは、相手の失策、失敗によって、幸運なことが転がり込んでくる「敵に感謝したくなるような現象」。敵失で幸運を得た当事者のその後はどうなっているのだろうか。笑いが止まらないほど幸運の連鎖で万々歳なのか。それとも敵失で運を使い果たして、運の尽きを味わうのか。
 その一例を、サッカー日本代表の今後の展開で検証してみよう。観戦にまたひとつ楽しみが増えた。
 
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クラウンジュエル

2005-03-19 | Weblog
 ニッポン放送株をめぐるホリエモンと日枝フジテレビ会長の「応酬劇」の報道の中で、M&Aにかかわる様々な専門用語が連日登場した。
 TOBは一般的であったが、「クラウンジュエル」「焦土作戦」「ホワイトナイト」などは初耳。しかしながら言い得て妙な表現ばかりだ。ビジネスの世界で文学的な雰囲気をかもし出す言葉が使われているのが面白い。クラウンジュエルやホワイトナイトはミステリー小説の題名にも使えそうだし、焦土作戦は文字通り戦記ものでいける。
 
 報道で流れるホリエモンの発言も、全体の中の一部の文脈という目で見る必要がある。「金がすべて」といった、あえて露悪的な言説をするホリエモンの真意といったものを知りたいと思う。ビジネス社会の一面の真実をついているとは思うが、「金がすべて」のたぐいの話を正面に出してのもの言いには抵抗がある人が多いのも事実ではないか。自らのビジネステンションを高めるためにしては、火に油をそそぎ起爆剤を投げ込むような騒ぎを起こしすぎだ。
 
 ビジネスをやる人間ならば、自らの発言を受け手がどう思うかなど想定できるはずだ。何をどう言えば、どんな反響があり、ビジネスにどう影響が出るかぐらいは、どんな経営者も考えるものだ。とすれば、あえて悪態的な言動をするホリエモンの背景にあるものを取材し、報道してもらいたいと思う。

 ITと株をキーワードにして、アリが象を飲み込もうとするシナリオを書いているのは誰だ?
 
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サイバーエージェント

2005-03-01 | Weblog
 ITビジネスセミナーでサイバーエージェントの藤田晋社長の話を聞いた。アメリカのITバブル崩壊の津波を受け、日本でも1999-2000年のITバブルがはじけた。崩壊の津波を生き抜いた会社のトップだけに、どんな話をするのか興味があった。

 31歳のいわゆるイケメン社長で、服飾関係企業の若社長と言っても通じるくらいに柔らかな雰囲気を持っている。題目は「ネット業界を勝ち抜くサイバーエジェントの戦略とは?」。自社のPRを兼ねた内容だが、当事者じゃないと分からない指摘があった。

 インターネットでの広告代理店業務などを柱とした会社だが、2004年からネットビジネスの上げ潮がやって来て、売り上げが急に上がるような現象が出てきたという。これはブロードバンドの登場、普及が追い風となっているという。ITビジネスのインフラがやっと整備され、ビジネス環境ができたというわけだ。

 さらに興味深いのは、ブロードバンド普及を受けてネット企業が増加したのも2004年に入ってからという。ネットビジネスがマスコミで派手に喧伝されて、競合する企業がたくさんあるように思える業界だが、実際は競合企業が少なく、競合環境はがらがら状態だという。WINNER TAKES ALL(勝った者がすべてを取る、1人勝ち状態)だそうだ。

 この話は、ITバブル崩壊で消滅、撤退した会社が相次いだ中で生き残ったからこそ言えることかもしれない。ことし9月期決算で売り上げ400億円を掲げ、2008年には1000億円とぶち上げた。威勢の良さを示すのも社長の役割でもある。社員を鼓舞し、自らにプレッシャーを掛けるというやつだ。

 サイバーエージェントのホームページに藤田社長のメッセージがあるが、社員向けに書いた内容で「お客さまにきちんとあいさつしよう」といった初歩的な接遇マナーを指摘しているのがあったことに笑ってしまった。企業は人なりは、会社の大小や業界の古い、新しいに関係がないようだ。
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