おはようヘミングウェイ

インターネット時代の暗夜行路。一灯の前に道はない。足音の後に道ができる。

クリプテックス

2006-11-21 | Weblog
ダ・ヴィンチが考案したというクリプテックス。回転錠式携帯保管筒とでも言おうか。映画「ダ・ヴィンチ・コード」の中で重要にして物珍しいアイテムとして扱われた。ここで商人たちは考えた。商魂、ビジネスチャンス、便乗、ブームの仕掛け、ヒット祈願、景品としてフィッシングと本音の言い方はいろいろながら、ネットで検索するとわんさか出てくる。

まずはプラスチックのミニチュアサイズ。次いで真鍮製で手の平に重量感を感じさせる長さ10センチサイズ。さらに長さ15センチで映画で出てきたものと同じサイズのレプリカタイプ。そんでもって原作者のダン・ブラウンも注文したとかいうオーダータイプのものに至る。



           

アルファベット5文字のパスワードが並んで初めて開錠できる代物だが、中に何を入れて秘するか。遊び、余興、道楽みたいなものだから、土地や建物の権利書、年金手帳などの世間一般で言う重要なものは割愛していって最後に何が残る。100年後の末裔もしくは開錠者に贈るものとした場合、どうなる。

遺髪、臍の緒、写真(結果として遺影)、指輪、生存中に収集したあらゆるデータが入ったパソコンを立ち上げるためのパスワードを書いた紙、好きな女のキスマークを転写した金属板、辞世の和歌100首、口腔から採取したDNAを冷凍保存した特殊容器。どうも真面目すぎる代物ばかりだ。まだまだ遊び心が足りない。


 
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草稿にならない書評

2006-11-11 | Weblog
飼い猫の毛玉が腹や腰付近でいくつもの塊となり、島から半島、陸地になりつつあった。猫も不快だろうと思い、ぺット美容院でばっさりカットしてもらった。バリカンで三分刈り。首から上はバリカン半島スタイルというか、ノーカットで威風堂々のライオン風だが、首から下は丸刈りに近くチワワとなった。コンピュータで作画したような奇怪な、あるいは冗談なような姿。元に戻るには2、3カ月はかかるだろうなと同情を寄せる猫の傍らで、ある本を読んでいる。

どんなのかと言うと、こんな本。

2004年5月30日初版発行  訳者/越前敏弥  製本所/本間製本株式会社 Printed in japan  ISBN4-04-791474-6 C0097 

これだけでピンときた人は相当なディテールマニア。

本文からの言葉拾い。ちょっとピント外し。

フィボナッチ数列 アナグラム GPS追跡用発信機 マニューリンMR型ー93
アナトール・フランス河岸 
 
そして1・618

ピンときた方を前提に書き進める。この作品の魅力は物語運びの面白さだ。この感覚はかつて味わったことがあった。本を読むというまったくもって他に言い表し難い楽しい時間。少年時代に読みふけった「ある本」と同じ魅力。シャーロック・ホームズだ。ワトソン博士みたいな相棒もいる。難問題を鮮やかに、そして万人向けに明晰に解き明かす、あのホームズの推理力と事件解決の妙と同じだ。それに007のジェームズ・ボンドみたいに時折交じる都合のいい展開が味付けとなっている。ベストセラーのハリー・ポッターなんかも取り込んで、しゃれのめす。とにかくページをめくるのが楽しいんです。ご飯は後回しなんです。この章を読まないと寝たくないんです。こんな教養娯楽推理小説の帝王学をしっかり踏まえている。ベストセラーおめでとう、ダン!
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