おはようヘミングウェイ

インターネット時代の暗夜行路。一灯の前に道はない。足音の後に道ができる。

75歳のベストセラー作家誕生

2005-12-30 | Weblog
9・11衆院選の期間中、小泉首相の愛読書として新聞に紹介された時代小説「信長の棺」の著者が、文藝春秋1月号に「75歳ベストセラー作家の誕生」と題してエッセーを書いている。

その作家は加藤廣(ひろし)。「信長の棺」は出版エージェントを通じて日経新聞社に出版企画が持ち込まれて本となった。詳細は省くが、面白いと思った要点だけを列挙してみる。

「日経には名伯楽ともいうべき編集者がいた」。大赤字必至の作品を社内の反対を押し切って出版するような力業を発揮した人物の存在を挙げている。作品を選ぶ編集者は時として憎むべき存在であると同時に、愛せざるをえない存在でもある。作家にとって編集者は、嫌でも接吻しなくてはいけない関係なのかもしれない。

最近の出版界が若手作家嗜好なのを批判している。いわく「明治の文豪も言ったように、個人的には、文学は「老人の仕事」と信じている。長い人生経験と世間の裏表を自分の目で確かめないで、なんで小説が書けるものかと」。

なるほど。吹けば飛ぶような風貌の持ち主が書く小説は、やはり「軽い」のかもしれない。青田刈り文学やコンビニ文学はもういい、ということか。

確かに、大人の文学作品を読んでみたいな。

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冬場を乗り切る勝負色

2005-12-24 | Weblog
寒波襲来による降雪と寒風という、冬らしい冬になった今季。この厳しさを乗り切るための勝負色を選んだ。

クリスマスカラーではないが、これまでは赤や明るい緑のブルゾン、明るい水色のダウンジャケットなどで北風に対峙してきた。

今季はダークグリーンこと深い緑色で統一することにした。

毛糸の帽子や手袋を深緑でまとめ、茶色の防寒コートの下のワークシャツも深緑を基調とした格子縞、靴下も深緑。ジーンズはユニクロのブーツカットタイプで足長を強調、スニーカーはナイキの黄土色とアースカラーで決めてみた。

身に着けるものに意志を吹き込むと、包まれた肉体と精神も強気になる。

暖かい春の到来を頭に描きつつ、深緑色を身に着けた男が一人、肩で寒風を切って歩く。

暖色系の浮わついた思いはなく、「さあ、どこからかかって来てもいいよん」とどっしりとした気分になってくる。


寒い冬場は人に深みをもたらす。それにしても深緑、寒さに耐える針葉樹カラーか。
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中村勘三郎に説教をする

2005-12-21 | Weblog
夢の中で自己嫌悪に陥って目が覚めた。

あまりにも印象的で記憶に鮮明なので記録することにした。

場所はとある和風旅館か料亭。

下足番の青年が玄関口で恭しく出迎える。

小生のいでたちは不鮮明。連れもいない。

身に付けていたもので、一つだけはっきりしているものがあった。

爪先が丸い黒の革靴。ぴかぴかに磨きあげられ黒色が引き立っている。

ここまでが夢の場景1だ。

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場景2は大声が玄関で響くところから始まった。

声の主はどこかで聞いた男の声。耳を澄ます。

なんと小生の声!

下足番の青年に怒鳴っている。

来た時とはまるっきり違う黒靴が玄関に出ている。下足番が小生の靴を誰かに間違って出し、出された当人がそのまま履いて帰ったらしい。

内容を聞けば、小生は手持ちの中で最もお気に入りの靴を履いてきたらしい。その靴がない!

責任者を出せとか言ったのだろう。和服姿の主がやってきて玄関に正座した。

主に向かって小生が文句を言い出した。ピエロみたいな服装の下足番を置いていること自体がけしからんとか、本当の意味でお客様を大事にしていないとか、格式は見かけだけなのかとか、だんだん説教調になってきている。

主は「ごもっともでございます」「まことに相すみません」と、実に申し訳なさそうな表情で謝っている。どこかで見た顔だと思ったら、歌舞伎俳優の中村勘三郎だった。

下足番の青年は元劇団俳優とかで、小生の説教とは真反対の言葉を返してくる。「わたすのもてなしがそんなに良かったですかあ。それは、それは。本当にありがとうございます」。自分が叱られていることをまったく理解していない風情だ。

「もっと従業員教育をしっかりやってもらわないと困るじゃないか。なんだ、この青年は!」。勘三郎は困った表情をしながら説教を聞き、時折、謝罪の言葉を挟んだり、相槌を打つ。

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最終の場景3。

とうとうと説教をしながら、自分がだんだん嫌になってきた。

「あーあ、俺も偉そうにえんえんと人に説教をするようになっちまったか。ほんと、嫌な奴だなー」。夢の中ながら、嫌な感情が脳内を回っているのが分かる。

説教の一方で、主が中村勘三郎ならば、しゃれた文句で締めくくらなくてはとの思いを巡らす。

下足番は相変わらず能天気な反応だ。玄関の外をスキップして回りながら、「あっしは俳優としては開発途上でござんす」などと、反省とは程遠い言動をしている。

下足番はさて置いて、よし。締めの文句だ。天下の中村勘三郎に向かって言い放つ。

「すこしは歌舞伎でも見せて、きちんとした教育をしたらどうなんだ」

どうだ、勘三郎、説教として面白い落ちだろう。そんな自信と粋を込めた文句のつもりだった。

勘三郎がかすかに苦笑いした。

「もっともです」。そんな表情だった。

しゃれが通じたようだな。安心したところで目が覚めた。

寝床で再び思案する。どうも勘三郎に「よいしょ」したような落ちだ。

歌舞伎を見せて客あしらいの教育をせよか。粋じゃないなあ。

夢の中と目覚めの直後に自己嫌悪の連ちゃんか。この程度の器と才気なのかねえ。

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夢の教え。

他人にとうとうと説教するような人間にならないこと。

靴がない時は怒らず、だれかに借りること。

時折、勘三郎の歌舞伎を見に行って気持ちを大きくすること。

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追記  

どうも、あの下足番、小生のもう一人の分身ではなかったか。

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スパイウエア VS ミッションインポッシブル・ガールズ

2005-12-02 | Weblog
お気に入りフォルダに入れているサイトのうち、あるサイトにアクセスしようとクリックすると「スパムトラップされました」という英語表記の画面が出るようになってしまった。

ブログにスパム(迷惑な内容)を送りつけようとしているのでブロックしたんだぞ、といった意味合いのことが書き付けてある。

「何のこと?」と思いつつ、数日間放置しておいても改善の兆しがまったくない。何の措置もしないので当たり前と言えば当たり前なのだが、あるサイトにアクセスできない状態となった。

インストールしているウイルスソフトのトレンドマイクロ社に電話する。長時間待たされるので有名だが、今回は15分程度でつながった。

女性の陽子さん(仮名)が電話口に出た。声からして若い。状況を説明すると、「スパイウエアの可能性がありますね」。てきぱきと状況確認のための操作を指示する。この手がだめなら、あの手で試行とスパイウエア検索のための措置を展開する。

直前に電話したパソコンメーカーのサポートセンターの男性担当者とは大違いだ。「私も同じようなやつにパソコンをやられましてね。苦労しましたよ。結局、リカバリー(初期化)するしかなかったんですよ」。男性担当者はいくつか小細工みたいな対応を示してくれたが、最初から最後の手段しかないといった「白旗先行」だった。

陽子さんは違っていた。「初期化という選択肢もありますが、そういう最後の措置もあると思っておきましょう」。途中、時間のかかる検索が必要となり、受付番号を教えてもらい、いったん電話を切ることになった。

再び電話を入れると、今度は純子さん(仮名)が応対してくれた。陽子さんと同じく若い声だ。陽子さんが対応した後の展開の指示をてきぱきと出してくれる。電話を介して、一つの難題を解決するための時間を共有する。再び、時間のかかる検索、対応が必要となり、電話を置くことになった。

今の状況を、宇宙の彼方で故障した宇宙船の乗員と、地上の支援センターのスタッフがやり取りする光景になぞらえた。最悪の状況にある乗員にとっての希望は、支援スタッフへの信頼だけだ。

対人関係で最も大切にして重要なものは「この人は信頼できる」という概念だと再認識する。信頼できる人間こそが最高だ。恋人、友人、夫婦、仕事、交渉のすべての関係に当てはまる。

陽子さんや純子さんとの会話のやり取りの中で「かしこまりました」という丁寧な言葉が何度も出てきた。久しく聞かなかった言葉。凛々しくさえある。小さな感動を覚えた。意志の強そうな知的な風貌を思い浮かべさえする。

三度目の電話で陽子さんが再び出る。指示を受けながらキーボードを打つ。パソコン画面にフォルダやファイルがいくつも開かれ、閉じるボタンを何度も押す作業が続く。

忙中閑あり。パソコンの次の画面が表示されるまでの間に双方沈黙の時間が何度も訪れる。

沈黙は好みではないので、声を掛けた。

「余談ですが、陽子さんは頭がいいんですね」

「ありがとうございます」。にこりともしないような声。

「パソコンメーカーのサポート担当者とは大違いですね」。もう一声掛ける。

「ウイルス専門ですから」。レベルの違いをちょっぴりにじみだした抑揚。

「こうした知識はコンピューター学校で習ったんですか」。起承転結の「転」で畳み掛ける。

「独学でやりました」。頭の中で次の言葉が出てこない。

「独学ですかぁ」。オウム返しの納得。

次の言葉を探しているうちに、パソコンの画面を見ながらの操作に移ってしまい、プライベートな会話は終わった。

またもや電話を置いて、指示を受けた措置の結果を踏まえてから電話を入れる。純子さんが出る。陽子さんの対応を引き継いでスパイウエアと格闘を繰り広げる。

結局、「調査メールを送るので、調査ファイルを添付して返信してください。対応策を調べます」で、この日のスパイウエア戦は延長戦、TO BE CONTINUEDとなった。

最後の最後まで諦めない彼女たち。その名はミッションインポッシブル・ガールズ。
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