平成太平記

日常の出来事を書く

『ウォン高、試練の新政権』=韓国、海外のリスクマネー流入=

2013年01月17日 20時29分07秒 | Weblog

息子たちに読んで欲しい日経記事
日経新聞 2013年1月11日(金)P.2 総合2面
『ウォン高、試練の新政権』=韓国、海外のリスクマネー流入=

韓国の通貨ウォンの上昇基調が鮮明だ。
米国などの量的緩和でリスクマネー(注1)が流入しているのが主因。

安倍晋三首相が日銀に迫る大胆な金融緩和への期待で進んだ円安も、ウォン高を助長している。
韓国は大手財閥企業を中心に輸出で稼ぐ貿易立国。
「行き過ぎたウォン高は競争力低下を招く」と戦々恐々だ(注2)。

『「崖」回避に複雑』
 減税失効と歳出の強制削減が重なる米国の「財政の崖」。

世界が心配した急激な財政引き締めによる混乱は、年明けぎりぎりで回避された。
この時、複雑な表情を見せたのが韓国だ。

「海外からの資本流入で為替相場が特定の方向に傾くのを懸念している。 積極的な対応(=為替介入でウォン高を防ぐ)を検討する」。
朴宰完(パク・ジェワン)企画財政相(財務省に相当)は2日、記者団に語った。
(米国経済の)不透明な要素がなくなり、リスク許容度を増した投資家が「新興市場」である韓国買いに動くのをけん制した発言だ。


 2011年夏以降、ウォン安傾向にあった相場が底を打ったのは昨年5月末。
9月に米国が量的緩和の第3弾に踏み切ってからは上げ足を速め、10月には当局の防衛ラインとされた1ドル=1100ウォンを突破した。
10日の終値は(ウォン高となる)1ドル=1060ウォンだ。

 韓国貿易保険公社が昨年12月に発表した調査では、大企業の輸出採算レートは1ドル=1059ウォン。
中小企業は既に採算割れの状況だ。

国内総生産(GDP)に対する輸出額が5割の韓国(=輸出によって経済が成り立っていることを表す)にとって、ウォン高は減速傾向にある景気の足をさらに引っ張りかねない。

「1ドル=1050ウォン前後で大規模なウォン売り介入がある」。
こんな見方が一部であるのは、そのためだ。

7日には、1ドル=1060ウォンを上回りそうになった相場が、(韓国政府による)介入とみられるウォン売りで1065ウォンまで引き戻される場面があった。


 韓国銀行や企画財政省は、速度調整を目的にした小規模な介入を頻繁にやっている。
(国際市場での)取引量が少なく、国際的な決済通貨と見なされていないウォン市場は、韓国通貨当局の庭先のようなものだ。
「ほぼ思い通りに相場を誘導できる」と金融関係者は口をそろえる。

ただ、中長期的にウォン安に反転させるほどの介入ができるかどうか。
日米欧は金融緩和に動き、韓国は経常黒字が続いている。
08年のリーマン危機や11年の欧州信用不安など、(海外投資家のリスクオフ姿勢から)最近のウォン安には「売られる理由」があった。


 介入とともに取り沙汰されるのが利下げ。
政策金利は年2.7%で、まだ下げ余地がある。
当局は先物取引の持ち高制限など現行の資本流入規制を強化する案も検討している模様だ。

「韓国にとって今回のウォン高は、リーマン危機より厳しいかもしれない」。
サムスン経済研究所の権順旴(クォン・スンウ)常務は指摘する。
円安が同時に進行しているからだ。

最高益を更新し続けるサムスン電子はともかく、日本企業との競争が激しい現代自動車や(大手鉄鋼メーカーの)ポスコなどの経営環境は、一段と厳しくなる。

『「格差是正」の壁』
 朴槿恵(パク・クンヘ)次期大統領の就任を2月に控える政治状況も悩ましい。

ウォン高でも利益を確保するには、下請け企業にコストダウンを求めるのが手っ取り早い。
ところが、格差が争点となった大統領選で、朴氏は「中小企業重視」を繰り返し訴えてきた経緯がある。

新政権で財閥と下請け企業の取引価格が厳しい視線にさらされるのは必至。
ある財閥関係者は「苦しいが、今は取引先に納入価格の引き下げを求めにくい」と漏らす。


 市場には13年中の1ドル=1000ウォン突破を予測する声もある。
そうなれば、当局は介入や規制強化、利下げなど政策を総動員するのをためらわないだろう。

それでも、居心地のよい水準にとどめられるかどうかは分からない。
朴政権には、試練の船出となりそうだ。

(ソウル=内山清行記者)


父さんコメント:
(注1 ):「リスクマネー」米国や欧州連合、日本は自国経済を拡大させる目的でカネを市場に大量に供給する金融緩和政策を実行している。 
本来なら市場に供給されたカネが企業の設備や研究開発、人的投資に結びつき、それが経済規模の拡大につながるのを期待しての政策だが、企業の将来投資に回されずに余ったカネが銀行や生保、年金基金を通じて金融投資に回されているのが現状だ。

先進国の余ったカネが投資される金融市場で、安全を重視した国債など債券投資に回されるか、リスクは高いがリターンも大きい株などリスク商品に投資されるかがその国の経済環境によって変わる。 

国内の金融市場が安定し、投資資産である株式などが値上がりすると、投資家は金融資産が増えてくるので、よりリスクが高い商品に投資しやすくなる。
「リスクマネー」は株式などのハイリスク・ハイリターン商品に投資しようとする投資マネーを指す言葉として使われている。

(注2 ):日経新聞関連記事 2013年1月12日投稿記事参照。
『日経新聞 経営「日韓の生産コスト比較」』(2012年11月1日(木)付)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿