「対米黒字減らせ」見えない圧迫…韓国輸出、もう1つの暗礁
2016年05月02日
中央日報
米国政府が韓国に「対米黒字を減らせ」というメッセージを送ってきた。
為替レート政策に関して韓国を「観察対象国(monitoring list)」に指定しながらだ。
米財務省は先月29日(現地時間)、
「主要貿易国の為替レート政策報告書」を通じて韓国や中国・日本・ドイツ・台湾など5カ国を為替レート操作有無の観察対象国に分類した。
今年2月に発効された交易促進法が根拠となった。
基準は3つだ。
▼顕著な対米貿易黒字(年間200億ドル以上)
▼相当規模の経常黒字(GDP3%超過)
▼一方向への持続的な外国為替市場介入(GDP対比2%超の買い越し、12カ月のうち8カ月以上の買い越し)だ。
3つ全てに該当すれば為替操作国にあたる「深層分析対象国」とみなされる。
2つだけ満たせば観察対象国になる。
深層分析対象になれば、米国の調達市場参加から排除されるなどの報復措置が伴う。
米財務省が今回、為替操作国と狙いをつけた国はなかった。
観察対象国には特別な制裁がない。
政府からは胸をなで下ろす声が聞こえる。
柳一鎬(ユ・イルホ)経済副首相は先月30日、記者たちに会って「韓国が『深層分析対象国』から外れたので基本的に為替レート政策に大きな影響はないだろう」と話した。
果たしてそうだろうか。
韓国が観察対象国になった事情を確かめてみればメッセージは明らかになる。
韓国は大規模な貿易黒字と経常黒字の2つが該当した。
2015年の対米貿易黒字は258億ドル、GDP対比の経常黒字比率は7.7%だ。
よく為替レート戦争と貿易報復の糸口になるのは外国為替市場への介入だ。
自国通貨の価値を下げて輸出を支援するのが国際社会の問題のタネになる。
米国は今まで韓国のウォン安のための市場介入(ドル買い)を問題視した。
しかしここ数年間、韓国は正反対に動いていた場合が多かった。
米国もそれを分かっている。
米財務省は報告書で、韓国政府が昨年下半期から今年3月までに260億ドル(約30兆ウォン)の売り介入をしたと推定した。
ウォン高を誘導するために市場に入ったということだ。
中国や日本、ドイツも韓国と同じように莫大な対米貿易黒字がひっかかった。
中国も人民元安を狙った市場介入がまないたに上がったわけではない。
中国はむしろ人民元高を支えるために4800億ドルを持ち出して売ったと推定された。
日本については過去4年以上、外国為替市場に介入しなかったと認定した。
4カ国の共通点は、米国との交易において大規模な黒字を出しているという事実だ。
米国は一定規模以上の対米貿易黒字を容認しがたいという見解を示したのだ。
これは結局のところ対米黒字を減らせということだ。
フィナンシャルタイムズは「米国が貿易不均衡の拡大を憂慮しているということが明らかになった」と評した。
米財務省は「観察対象国の経済の流れと外国為替政策を綿密に観察して評価する」と話した。
韓国政府には、より露骨だ。報告書は「中期的に、ウォン為替の切下げが輸出偏重型の経済構造を変える助けになる」としながら「外国為替の市場介入は市場状況が無秩序になる場合に制限せよ」と明らかにした。
さらにウォン高にせよとの注文だ。「内需活性化のための追加措置を取りなさい」とも述べた。
米財務省の今回の発表は、自由貿易に対する米国内の反感と関係がないみるのは難しい。ドナルド・トランプの極端な保護貿易さえも相当な勢力を確保している。
米国のこのような立場は、外国為替市場でウォン高を促す「見えない圧迫」として作用する見通しだ。
そうでなくても冷めている輸出にとって悪材料に違いない。
ソン・テユン延世(ヨンセ)大学経済学部教授は「為替レート政策に直接的な被害が生まれるとみるのは難しいが、ウォン高が進む可能性が高い」と話した。
政府の「為替レート管理」が試験台に上がった。
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