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韓国の末期的な人口問題 加速する高齢層の貧困化

2014年02月04日 17時08分35秒 | Weblog

韓国の末期的な人口問題 加速する高齢層の貧困化

片岡英彦 | 企画家/戦略PRプロデューサー

2014年1月27日

隣国、韓国の高齢化の速度は日本より速い。かつ、日本よりも深刻である。韓国人の41.9%が「公的年金」「個人年金」「退職年金」のいずれにも未加入であることが、韓国の国民年金研究院による、「各階層の老後の所得保障に関する研究結果」により昨年4月28日に公表され明らかになっている。

韓国の年金加入状況(国民年金研究院)
韓国の年金加入状況(国民年金研究院)

一方で、増える高齢者の貧困問題が社会問題となっている。

2009年に高齢者のうち貧困層(*注)に属する割合は45%で、日本の22%、アメリカの24%の約2倍となった。65歳以上の高齢者の自殺率は10万人当たり81.9人で、日本(17.9人)、アメリカ(14.5人)をはるかに上回る。原因のひとつに生活苦が挙げられている。だが、社会保障費を増やすことは難しい。

韓国企画財政省と経済協力開発機構(OECD)が、高齢者(65歳以上)の貧困率に関する資料を発表した。この中で、韓国の高齢者の相対的貧困率が加盟国の中でもっとも高く、高齢化のスピードも速いことが公表され、複数の韓国メディアが報じた。

高齢化の速度も韓国がもっとも速い。高齢者の人口比率が7%から14%に達するまでの所要年数は、日本が24年、米国が71年、フランスが115年であるのに対し、韓国は18年。また、14%から21%に達するまでの所要年数は、日本が12年、米国が27年なのに対し、韓国は8年という。

また「都市人口」と「高齢化」という別の調査結果もある。昨年7月12日の中央日報(日本語版)によると、韓国の国土交通部が1960年に調査を開始して以来初めて、韓国の都市人口比率が高齢化の影響で減少に転じたという発表を行った。

国土交通部が11日に発表した「2012年都市計画現況統計」によると、昨年末基準で都市地域の人口は前年比15万1305人増の4638万1918人だった。

人口は増えたが、非都市人口がより大きく増えたため、比率は減少した。

都市地域の人口比率は1960年の39.1%から00年には88.3%に急増したが、05年からは毎年1ポイントずつ増えるなど増加傾向が鈍化した。

非都市地域の人口は前年比1.4%増加した約456万6000人。国土部は帰農・帰村人口の増加や高齢化の影響を受けたとみている。

「全体の人口は増えたが、都市に人口が集まっていない」

このことは韓国の「都市の求心力」が失われつつあるということだろうか?日本の場合だと、(良くも悪くも)主要都市や首都圏に地方から人口が集まってくる。

地方は過疎化が進むが、都市は都市としてのダイナミズムを維持する。

さらに「少子化」という別の視点で、韓国の人口問題にアプローチした統計もある。

ITジャーナリストの趙章恩さんの記事によると、韓国の統計庁によれば、韓国の出産率は1970年には4.53人だったが、1980年には2.63人、1990年には1.60人へと急激に減少しているという。

また同庁のシュミレーションでは、現在5000万人超の韓国の人口は、2040年には4500万人にまで減る。さらに同庁は2050年には4000万人にまで減る可能性が高いと予測している。

出産率が2.1人を超えないと人口は減少するという。統計庁の人口シミュレーションでは、このままだと現在5000万人超の韓国の人口は2040年には4500万人に減る。同庁は2050年には4000万人にまで減る可能性が高いと見ている。

また、韓国銀行(中央銀行)経済研究院の報告書によると、韓国労働者の平均年齢が44歳にまで上昇したことが明らかになった。

労働者の平均年齢は1970年は34.7歳だったが、1980年には37.0歳に延び、1999年には40.1歳と40歳を超え、今年は44.0歳に急上昇した。(略) 労働市場の主軸はすでに40歳以上の中高年に移っている。40歳以上が労働市場に占める割合は1980年の39%から昨年には55%に上昇した。

かねてから、サムスン、LG、現代などの大手財閥への経済依存度が高いと言われている韓国だが、このところのウォン高が財閥企業への影響がすでに出始めている。

テレビ生産で世界2位の韓国LG電子 の昨年10-12月(第4四半期)決算は、市場予想に反して赤字となった。韓国ウォン高やスマートフォン(多機能携帯電話)の上位機種「G2」のマーケティング費用が響いた。

韓国は企業も国民も、すでに疲弊し初めているのではないだろうか。

韓国市場は歴史的に独占/寡占状態の傾向が強い。

このため、国内企業同士の価格競争が起こりにくい。また、市場規模が大きくないため海外資本による新規参入も見込めない。

そこに追い討ちをかけて、現在のウォン高によってサムスンを始めとした財閥経営に陰りが出ている。

その一方で、社会保障制度はまだ未発達である。

韓国で「国民皆年金」が実現したのは1999年だが、まだ歴史が浅い。このため多くの人々が今後、減額支給される可能性がある

年金に頼れない高齢者は働き続けるしかない、企業に再雇用されることは一部の人々以外には非常に困難である。

1月6日の国際在線によると、韓国の民間シンクタンク・現代経済研究院は、2014年の韓国経済は昨年の低迷を脱し、3%以上の成長を実現するとの見通しを発表した。

韓国経済の今年の成長率は3.5~4.0%の間で、“中速発展”の段階に入ったという。

経済発展の主要な動力は製造業と輸出業から内需とサービス業に変わると指摘。

一方で、韓国社会の高齢化、福祉関連の支出の拡大、税収負担増などが韓国経済にマイナスの影響をもたらすとしている。

果たして韓国社会は、進むウォン安の中で、現在抱えている、高齢化(高齢者の貧困化)、労働人口の高齢化、少子化などの諸問題を受け入れつつ、社会保障費を抑えつつ(低負担・低福祉となる可能性が高いが)、国家破綻を回避することができるのだろうか?

また、韓国の国債の多くは「ドル建て」である。このため「ウォン安」が進めば金利の負担は一層重くなる。

国家や財閥の経済的な発展を最優先し、国民の豊かさは後回しにしてきたかのように見える韓国経済の発展のモデルは、韓国などの公的機関が発表する客観的なデータを見る限りだと、すでに、かなり限界に達しつつあるかにも見える。

片岡英彦

企画家/戦略PRプロデューサー



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