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ウクライナ情勢-ロシア軍第76親衛空挺師団の南部戦線転進とケルチ海峡橋梁破壊による補給難渋

2023-09-15 07:00:14 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 本日の情報はいろいろありまして掲載まで時間がかかっていたものですがウクライナ関連情報です。

 ウクライナ南部戦線で壊滅状態の第7親衛空挺師団支援へ第76親衛空挺師団の戦闘加入が始まった、ISWアメリカ戦争研究所が8月31日付戦況報告において概況を示しました。南部戦線ではウクライナ軍はオリヒフの南約10㎞にあるノヴォダニリフカとノヴォプロコピフカを結ぶ線とオリヒフの南西18kmにあるヴェルボベへ進出中です。

 この地域は第7親衛空挺師団の担当地域となっていましたが、かなりの消耗を強いられており、ここに第76親衛空挺師団が投入されているとのこと。ロシア国内報道では第76親衛空挺師団先遣隊がウクライナ軍偵察部隊と接触しこれを撃破したと主張しており、今後この地域が南部戦線のアゾフ海沿岸までの打通を左右する焦点となるでしょう。

 ISWアメリカ戦争研究所9月1日付情報ではロシア軍が南部戦線で疲弊した第41諸兵科連合軍に代わり新編の第25諸兵科連合軍を配置したとGURウクライナ軍情報部分析を紹介、第25諸兵科連合軍は2023年12月新編予定の部隊を前倒しで戦闘加入させたもので2個自動車化狙撃師団と戦車大隊などから編成される30000名規模の部隊とのこと。
■ケルチ海峡での補給難渋
 ウクライナ海軍は水上部隊の壊滅状態を乗り越えてここまでよく頑張っていると本当に驚く。

 ロシア軍はケルチ海峡での補給難渋に苦慮し閉塞作戦を開始、イギリス国防省ウクライナ戦況報告9月1日付発表でこの点が指摘されました。ウクライナ軍は現在南部戦線においてある程度の主導権を握っており、カホフカダム決壊による被害を受けたザポリージャ州においても顕著ですが、その背景にはロシア軍の補給線状況が強く影響しています。

 ケルチ海峡はクリミア大橋などがウクライナ軍無人艇攻撃により破壊されており、通行量が制限されていることからフェリーによる代替交通を開始しています、しかしこれ以上の喪失を回避するためにとられたのが閉塞作戦でした。具体的にはケルチ海峡に160m感覚で人工的に船舶を沈没させ、無人艇のケルチ海峡浸透を阻止しようとする水上障害だ。

 ケルチ海峡ではロシア軍はポンツーンを設置し防御部隊の足場とする運用や、TDA-3トラック式煙幕装置による煙覆などを実施していますが、効果はあまりなくウクライナ軍は巡航ミサイル、無人機や無人艇による攻撃を成功させています。日露戦争時代の日本が行った旅順港閉塞作戦の現代版は、果たしてどの程度効果を示すのかは未知数といえます。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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