北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

アデン湾における第50回[海賊対処行動第9回]護衛の終了

2009-08-19 23:24:54 | 防衛・安全保障

◆海上自衛隊ソマリア沖海賊対処事案

 第一次派遣部隊が呉基地に帰港し、第二次派遣部隊がソマリア沖アデン湾において、航空部隊と協同し、海賊対処任務を継続中である。

Img_7203  横須賀基地より派遣された護衛艦はるさめ、舞鶴基地から派遣された護衛艦あまぎり、の二隻により編成された第二次派遣部隊であるが、8月18日、第一次派遣部隊より数え、第50回目の護衛任務が無事終了したとのこと。日本船籍の船は0隻、日本の船舶運行事業者が運行する外国船籍のタンカー2隻、その他の外国船籍6隻の計8隻を護衛したとのこと。1~2隻の護衛を行っていたころと比べると、計8隻の護衛というのは、かなり規模が大きくなったようにも思う。

Img_4338  海上保安庁による巡視船でも、大型巡視船を増強すれば対応できるのではないかとの指摘はあるが、海賊対処法の施行に伴い、以前の日本関係船舶だけを護衛していた時に比べ、護衛対象となる船舶の数は増加傾向にあり、海上保安庁の運用するベル212などのヘリコプターには、SH-60シリーズのような対水上レーダーは搭載されておらず、海上保安庁のYS-11にもP-3C程の捜索機器は搭載されていない。しかも、データリンク能力は極めて限定的で、海上保安庁では対応は難しいのではないか、とも考えてしまう。

Img_9446  もっとも、護衛対象の商船一隻一隻に巡視艇を貼りつかせることが出来るよう、かなりの数の巡視船や巡視艇を派遣することが出来ればいいのだが、海上保安庁の巡視船なども、長大な日本の沿岸を警備する必要があり、日本沿岸に海上警備行動命令を発令して、海上保安庁の任務を一部肩代わりさせるでもしなければ、難しいようにも思う。現実的には海上自衛隊が任務を行うのが望ましい。

Img_7458  しかし、本ブログでも繰り返し扱っているように、海上自衛隊のローテーションはかなり厳しいところまで来ているのではないか。恐らく、この状況は10月に行われる自衛隊観艦式において、参加鑑定の陣容等の面で表面化すると思うのだが、隻数が防衛大綱により厳しく上限がある中で、護衛艦は大型化、本来、船団護衛は、フリゲイトやコルベット、つまり満載排水量3000㌧前後の艦艇が当たる任務とも考えられたのだが、派遣するにも数が限られていることから、少数の大型艦を派遣するという状況となっている。

Img_9377  防衛大綱の改訂への報告書が作成中という現在、次期戦闘機の問題、本土防衛のグランドデザインのあり方、他国依存を回避するための防衛産業維持という命題、等など山積する問題が多いものの、アメリカが将来海上権力行使の青写真を描いた2002年のシーパワー2000構想のような、装備体系から部隊大系までを包括した構想を立てなければならない時期に来ているのかな、と考える次第。

HARUNA

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