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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

戦闘機国産技術存続の道⑤ 技術以外の要因で開発出来ない国産第5世代機

2009-08-14 21:50:12 | 防衛・安全保障

◆予算への根本的な理解の相違

 F-15JMSIP機の後継の模索が必要、とした前回の記事であるが、それでは日本独自の次世代戦闘機の模索、つまり戦闘機の国産を模索する必要はどの程度か、本日は、この内容を扱いたい。

Img_1502  しかし、日本は、F-22やF-35にあたるような絶対航空優勢を獲得することに主眼を置いた航空機は、現状では絶対に開発できないと言い切れる。その背景には、開発費の高騰を無視して、最高峰の技術を醸成することよりも、厳しい予算の管理下という枠内で出来得る最高峰の航空機を開発することが、日本では求められ、目的のものの開発には予算の枠をある程度度外視して開発する事への理解が難しいという背景はあるからだ。

Img_7280  同じ予算規模ならば、日本は他の航空工業企業が開発する機体よりも上の機体が開発できるかもしれない。ただ、風洞施設や電子暗室さえ国内に充分になく、先端技術実証機はフランスの電子暗室を利用、こういうところに、日本のこの種の航空機の開発力に限界が滲み出ている。他方、今後十数年間、毎年、戦闘機1~2機分の予算を戦闘機関連技術研究開発に充当させる、技術開発の重要性を認識すれば、多少は変わってくるのだが。

Img_1743  だが、ここで諦めてしまえば、部分的ながら共同開発に対応できる戦闘機国産技術そのものが喪失してしまうことにもなる。従って、可能な限り、各種技術を温存且つ発展させ、相互互恵に中軸を置きつつ、国際共同開発に参加という、一般に国際共同開発で求められる技術向上や価格低減以外の視点からの参加の模索が検討されるべきだ。

Img_7162  加えて国際共同生産からは距離を置きつつ、共同開発機の仕様に、開発遅延につながるような独自要求は共同開発機に盛り込まず、開発には参加しても生産には関与せず、日本仕様機は日本国内で製造する、という理解されにくく、加えてアクロバティックな方式の模索が必要になるのでは、と考える。

Img_9659  なんとなれ、日本の航空防衛産業は、綱渡りの状態。F-Xが、どうなるのかはまだまだ未知数ではあるものの、AV-8ライセンス生産をも念頭に入れ時間を稼ぎつつ、将来、どう足搔いても確実に訪れるF-15JMSIP機の後継が必要になる時期は到来する訳で、将来を見通した技術開発と生産体制、生産基盤の確保を行う必要はあるように思う。

Img_7176  日本仕様のF-35Jをライセンス生産するのか、それとも、フランスがかつてミステールやミラージュを開発した際のように、国策として戦闘機開発を提示し、無理だと思うが、基礎技術開発や情報収集、技術試験、その他予算に糸目をつけずF-22やF-35並の開発費を投じる覚悟でF-3の模索を行うか、選択肢を選ぶにあたって、防衛政策の根本的転換に至るという、ある種の覚悟は必要なように思う次第。

HARUNA

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コメント (4)
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