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戦闘機国産技術存続の道④ F-X計画に続くF-15JMSIP後継機の模索

2009-08-13 23:36:49 | 防衛・安全保障

◆F-35J?/F-3?第五世代機は国内製造可能か?

 F-2の生産を継続しつつ、将来戦闘機の国内ライセンス生産が開始されるまので期間、時間を稼ぐという目的も含め、AV-8ハリアーⅡ+のライセンス生産を行うという、滅茶苦茶な提案をしてみた。

Img_9732_1  日本が、非国内生産航空機航空機(あえて国産とは言わない)に代えて、欧州機や米国製戦闘機の直輸入を行うに適さない理由は、地理的理由で、整備や部品補給により稼働率を高めようとすれば、航空機工場は近傍にあることが望ましい。NATO加盟国であれば、同盟国と協同で整備や補給面の整備を行う事も可能なのだが、今のところ、戦闘機に関しては三菱重工小牧南工場以外に、近隣諸国で整備を行えそうな場所が無い。

Img_2860  また、北緯45度付近には稚内市、旭川市があるが、これは北米大陸ではカナダの首都オタワ市やトロント市。ニューヨーク市が青森市と同緯度。東京は、だいたいコロンビア市と同じくらいであるが、那覇市がフロリダのマイアミ市と同じ緯度。防衛白書では、戦闘機数のみを、日本と韓国や台湾、中国、北朝鮮と数字で比較するのだが、数字以上に日本列島は広大だ。http://blog.goo.ne.jp/harunakurama/d/20081211

Img_9901  稼働率を高めるには、国内で部品を調達する必要はあるのだが、例えばイスラエル空軍のように、極力稼働率を高める整備の努力を重ねつつ、航空自衛隊よりも少ない人員でありながら、F-16だけで300機以上を配備し、F-15も各種80機を運用するなど、とにかく多数の航空機を調達し、イスラエル空軍は戦闘機よりも遥かに多い搭乗員を養成することで、一機当たりの出撃回数を増強しているが、保有数と出撃回数を重視することで稼働率に換える、という選択肢もあるかもしれないが、他方で、あまり多くの航空機を航空自衛隊が保有する、というのは現実的には難しいように思う。

Img_9948  他方、現在選定中のF-X計画による二個飛行隊分の航空機を調達したのち、特に日本が本格的に第五世代戦闘機を調達する場合、日本国内で第五世代機をライセンス生産も含め製造することが許されるのだろうか。第一に予算的な問題が立ちはだかる。第五世代機は、第四世代機と比べ、F-35は、F-16並の低価格を実現するという建前ではあるが、恐らく調達費用は上昇する。生産数を低減させなくてはならなくなるかもしれない。

Img_0495  また、技術的にライセンス生産が認められるのか、という視点も必要になる。武器輸出三原則の観点からF-35の開発に参加できなかったことを負の点として提示する識者や関係者の声があるが、国際共同生産であるF-35に日本が関与してしまえば、共同生産に参加することはできても、ライセンス生産は認められなかった可能性が高い。

Img_3250 F-35へは、戦闘機国産技術の観点からは参加せず正解であった、とも言えるのだが、他方で、第五世代機のライセンス生産には政治的な障壁が高くなることも事実だ。こうした現状を認識したうえで、時間稼ぎの果てに、第五世代機、F-X計画に続くF-15JMSIP後継機の模索は行う必要があるように考える次第。

HARUNA

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コメント (2)
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