イラク国際戦犯民衆法廷、ブッシュ・小泉に有罪判決①

2005-03-07 21:13:10 | イラク
3月5日、イラク国際戦犯民衆法廷(ICTI)は、最終公判を開き、阿部浩己裁判
長(神奈川大学教授)ら判事団は、ブッシュ大統領、ブレア首相、小泉首相、ア
ロヨ大統領に、侵略の罪とその共同正犯ないし幇助、イラクに対する経済制裁に
つきジェノサイド、ファルージャ虐殺につきジェノサイド、アブグレイブなどの
虐待につき戦争犯罪など、多数の訴因について、一部無罪を除き、有罪を言い渡
しました。

イラク国際戦犯民衆法廷(ICTI)
判 決
2005年3月5日

イラク国際戦犯民衆法廷(ICTI)は、2004年7月17日から18日にかけて京都で、また2004年12月11日から12日、及び2005年3月5日に東京で開廷され、法廷及びこの間日本各地で開催された数多くの公聴会に提出された証拠、証言、見解を審理した。本日下される判決は、ICTI法廷を構成する韓国、インドネシア、日本の判事4名による全員一致の法廷意見である。この判決には、後に、各判事による個別意見が付される。
本法廷の被告人はジョージ・W・ブッシュ米国大統領、トニー・ブレアー英国首相、小泉純一郎日本国首相、及びグロリア・M・アロヨフィリピン大統領である。全て現職の大統領または首相だが、現在の国際法の枠組みの下では、現職の国家元首又は閣僚によって犯された犯罪といえども、2002年7月1日に発足した国際刑事裁判所(ICC)において裁くことができるものとされている。しかし、被告人たちの国籍国が、英国を除きICC規程を締結していないという事実やその他の諸事情により、被告人たちをICCで訴追する道は現実的には閉ざされているにも等しい。だが、たとえ現職の国家元首又は閣僚であっても、法、とりわけ国際法の上に立つことはできない。国際法システムの機能不全によって法の支配の実現が妨げられているならば、遵守されるべき法を明らかにし、共通の価値観と道徳的良心を共有する人類の名において行動することが、世界の市民社会の役割である。こうした趣旨で設置された民衆法廷は長い歴史を持ち、1960年代終盤のベトナム戦犯法廷(ラッセル法廷)以来、たとえばイラクに対する米国の戦争犯罪を裁いた1992年の国際戦犯法廷、2000年の女性国際戦犯法廷、2003年のアフガニスタン国際戦犯民衆法廷、そして本法廷が、世界の世論に支えられ、こうした市民社会の営みを担ってきているのである。こうした世界の世論こそ、国際法の妥当性の不可欠かつ真の基盤を構成するものである。
本判決では、ICTIを日本で開廷する意義を特に強調したい。第二次世界大戦の惨劇を経て、国際社会は国際の平和と安全を維持する主要な組織として国連を設立し、全ての国連加盟国は、国際関係において国際紛争を平和的に解決し、いかなる国家に対しても武力による威嚇もその使用もしないことを厳粛に誓った。そして日本は、侵略戦争によって国際の平和と安全を著しく乱し、数千万もの人々に言語に絶する被害を与えた国家として、1946年に日本国憲法を制定し、その中で平和国家としての基本政策を宣言したのである。日本国憲法前文は次のように宣言している。「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」。憲法9条は国連憲章の原則に沿いつつ、次のように規定している。「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久に放棄する。」本法廷が日本で開催されることは、憲法に記されたこれらの崇高な理念に照らして、とりわけ意義深く、また現政権の政策が憲法の精神を著しく逸脱をしている時にあって、その意義はいっそう深まるものと思料される。
ICTI規程は、ICC規程と同様に、被告の公的な地位が、国家元首であれ、政府高官であれ、刑事責任を軽減するものでないことを明確にしている。こうして、本法廷は、人類としての共通の良心を共有する世界市民を代表し、次のとおり判決を言い渡し、それに基づいて、関心をもつすべての者が、イラクにおける、また国際社会全体における正義と平和の追求のために行動することを促すものである。

? ICTIの意見
 被告人ジョージ・W・ブッシュ、トニー・ブレアー及び小泉純一郎は、2003年3月20日の対イラク攻撃で犯された様々な犯罪の容疑で、2004年7月の公判に提出された起訴状及び同年12月に提出された追記訴状において起訴された。また、追起訴状においては、フィリピン国大統領グロリア・M・アロヨも対イラク攻撃に関連して犯された犯罪の容疑で起訴された。これらの訴因に関して、ICTIは以下の判決を言い渡す。

1 米英両国主導の非軍事的及び軍事的強制措置
(1)侵略の罪
 被告人ジョージ・W・ブッシュ及びトニー・ブレアーがそれぞれ米国大統領及び英国首相に就任した後2003年3月20日までに、国連安保理の許可なくイラク上空に飛行禁止区域を設定し空爆を行ったことについて、本法廷は、ICTI規程第2条の侵略の罪[3項(b)他国の領土に対する武力による空爆、または他国の領土に対する兵器使用、(d)武力行使によって他国の陸海空軍または海兵艦隊、航空機隊を攻撃すること]で有罪と認定する。被告人ジョージ・W・ブッシュ及びトニー・ブレアーは、最高指揮官としての権限でこれらの犯罪行為の実行を命令した[第7条2項(b)]のであるから、個人としてその犯罪に責任を負う。(訴因2)
(2)ジェノサイド
被告人ジョージ・W・ブッシュ及びトニー・ブレアーがそれぞれ米国大統領及び英国首相に就任した後、国連によるイラク経済制裁を終止するために必要な措置をとらなかったことについて、本法廷は、両被告人をICTI規程第3条のジェノサイド(国民的集団の全部または一部を破壊する意図をもって(C)全部または一部の身体的破壊をもたらすことを目的とした生活条件を故意に集団に課すこと)の罪で有罪と認定する。1990年の国連安保理決議661にもとづいて課せられたイラクへの包括的な輸出入禁止措置は本法廷の時間的管轄の発生する1992年2月29日以降も途絶えることなく継続し、これによりイラクの人々に大規模な人的被害がもたらされることになった。とりわけ、空爆により破壊された上下水道など生命維持システムの修復に必要な資材及び医薬品・医療機器等の輸入の禁止がイラク国民に破壊的な損失を生じさせていることが十分に知られていたにもかかわらず、なお制裁措置を是認し続けた事実から、イラク国民の全部または一部を破壊する特別の意図を両被告人が有していたと推認できる。(経済制裁の目的が大量破壊兵器の廃棄にあったとしても、その目的を達成する代償としてイラク国民が破壊され続ける事態を容認したところに、ジェノサイドに不可欠な特別の意図の存在を見て取ることができる。)被告人ジョージ・W・ブッシュ及びトニー・ブレアーは、部下がそのような犯罪行為をまさに犯そうとしていること、もしくはすでに犯したことを知っていたか、又は知るべき理由があったこと、また、そのような犯罪行為を避けるため、もしくはその実行者を処罰するために必要な方策をとらなかった[第7条4項]ことにより、個人としてその犯罪の責任を負う。((訴因1)

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