イラク国際戦犯民衆法廷、ブッシュ・小泉に有罪判決②

2005-03-07 21:14:35 | イラク
2.米英両国軍による対イラク攻撃
(1) 侵略の罪
 2003年3月20日に開始された米英両国軍によるイラク領域への軍事攻撃に関して、本法廷は、それを正当化するために援用されたいかなる理由も、他国に対する先制攻撃を合法化することはできないと考える。自衛権は「武力攻撃が発生した場合」にのみ行使が許されるのであり、実際の武力攻撃が発生する前の仮想上の脅威に対して国家が先制攻撃を行うことを許可する国際法の規則は存在しない。また、安保理決議1441は、イラクに対し、大量破壊兵器(WMD)の査察に関して「その義務違反が継続すれば同国は深刻な結果に直面するであろう」と警告したが、この決議を、加盟国が武力行使を含むあらゆる手段をとることを承認したものと解釈することはできない。イラクにはWMDは存在しなかったという事実は、後に米英両国の専門家による調査で明確に確認され、両国政府によっても認知されている。独裁体制からのイラク国民の解放というもう一つの正当化事由が、WMDの存在という事由と代替的に使われたが、一主権国家の政治体制を他国が武力で転覆することは、到底合法とされえない。こうして、国連安保理決議による授権も、国際法における他の正当な根拠もない対イラク攻撃を遂行したことについて、本法廷は被告人ジョージ・W・ブッシュ及びトニー・ブレアーをICTI規程第2条の侵略の罪[2項;3項(a)他国の領土に対する武力による侵攻または攻撃、 (b)他国の領土に対する武力による空爆、または他国の領土に対する兵器使用、(c)武力行使によって他国の港または沿岸を封鎖すること、(d)武力行使によって他国の陸海空軍または海兵艦隊、航空機隊を攻撃すること]で有罪と認定する。被告人ジョージ・W・ブッシュ及びトニー・ブレアーは、最高指揮官としての権限でこれらの犯罪行為の実行を命令した[第7条2項(b)]のであるから、個人としてその責任を負う。(訴因3)
(2) 戦争犯罪
 民間人及び民間施設を無差別に標的とし、民間人死傷者と民間施設の破壊をもたらした空爆と他の軍事攻撃に関して、本法廷は、被告人ジョージ・W・ブッシュ及びトニー・ブレアーをICTI規程第5条の戦争犯罪[1項(a)故意による殺人、(c)身体または健康に故意によって深刻な苦痛を引き起こすこと、(d)軍事的必要性によっては正当化されず、かつ不法に恣意的に実行された財産の大規模な破壊及び徴発;2項(a)一般住民または敵対行為に直接参加していない民間の個人に対して意図して攻撃を加えること、(b)民用物、すなわち軍事目標ではない目的物に対して意図して攻撃を加えること、(d)攻撃が、予期された具体的かつ直接的な軍事的利点に照らして明らかに過剰となる、民間人の生命の損失もしくは負傷または民用物への損害もしくは自然環境に対する長期的重大な損害を付随的に含むことを知りながら、意図して攻撃を加えること、(e)手段のいかんを問わず、無防備かつ軍事目標となっていない都市、村落、居住地または建物に対する攻撃または爆撃]で有罪と認定する。被告人ジョージ・W・ブッシュ及びトニー・ブレアーは、最高指揮官としての権限でこれらの犯罪行為の実行を命令した[第7条2項(b)]のであるから、個人として責任を負う。(訴因4a) 
2003年に開始された対イラク攻撃の際に使用されたクラスター爆弾は、人に重大な被害をもたらし、不発弾として残れば地雷として機能しうるが、これの使用につき、本法廷は被告人ジョージ・W・ブッシュ及びトニー・ブレアーをICTI規程第5条の戦争犯罪[1項(c)身体または健康に故意によって深刻な苦痛を引き起こすこと、;2項(d) 攻撃が、予期された具体的かつ直接的な軍事的利点に照らして明らかに過剰となる、民間人の生命の損失もしくは負傷または民用物への損害もしくは自然環境に対する長期的重大な損害を付随的に含むことを知りながら、意図して攻撃を加えること、(p)過剰な傷害もしくは不必要な苦痛を生じさせる性質を帯び、または武力紛争に関する国際法に違反してそもそも無差別的な性質を帯びた兵器、投擲物および物質ならびに戦闘手段を使用すること。ただし、このような兵器、投擲物および物質ならびに戦闘手段が包括的な禁止の対象となることを要する。]で有罪と認定する。被告人ジョージ・W・ブッシュ及びトニー・ブレアーは、最高指揮官としての権限でこれらの犯罪行為の実行を命令し[第7条2項(b)]、又は、自らの軍隊の部下によるそのような行為を避けるための必要な措置をとらなかった[第7条4項]という理由で、個人としてその責任を負う。(訴因5a)
 2003年3月に開始された対イラク攻撃の際に米軍が行った、人体及び胎児に極めて深刻な被害をもたらしかつ、人及び環境に何世代にも渡って長期間有害な影響を与え続ける劣化ウラニウム兵器の使用について、本法廷は被告人ジョージ・W・ブッシュをICTI規程第5条の戦争犯罪[1項(c)身体または健康に故意によって深刻な苦痛を引き起こすこと、;2項(d) 攻撃が、予期された具体的かつ直接的な軍事的利点に照らして明らかに過剰となる、民間人の生命の損失もしくは負傷または民用物への損害もしくは自然環境に対する長期的重大な損害を付随的に含むことを知りながら、意図して攻撃を加えること、(p)過剰な傷害もしくは不必要な苦痛を生じさせる性質を帯び、または武力紛争に関する国際法に違反してそもそも無差別的な性質を帯びた兵器、投擲物および物質ならびに戦闘手段を使用すること。ただし、このような兵器、投擲物および物質ならびに戦闘手段が包括的な禁止の対象となることを要する。]で有罪と認定する。被告人ジョージ・W・ブッシュは、最高指揮官としての権限でこれらの犯罪行為の実行を命令し[第7条2項(b)]、又は、自らの軍隊の部下によるそのような行為を避けるための必要な措置をとらなかった[第7条4項]という理由で、個人として責任を負う。(訴因5c)
2003年4月2日イラクのクット市における「デイジーカッター」と称される大量破壊兵器、BL-82爆弾の使用に関する訴因5bについては、十分な立証がなされていないと判断し、無罪とする。(訴因5b)
 多数の外国人ジャーナリストが滞在中で放送センターとなっていたバグダッド市内のホテルに対して米軍が空爆を加え、3名のジャーナリストの死亡を含む多数の死傷者をもたらした件に関して、本法廷は被告人ジョージ・W・ブッシュをICTI規程第5条の戦争犯罪[1項(a)故意による殺人、(c)身体または健康に故意によって深刻な苦痛を引き起こすこと、;2項(a)一般住民または敵対行為に直接参加していない民間の個人に対して意図して攻撃を加えること、(b)民用物、すなわち軍事目標でない目的物に対して意図して攻撃を加えること、(e)手段の如何を問わず、無防備かつ軍事目標となっていない都市、村落、居住地または建物に対する攻撃または爆撃]で有罪と認定する。被告人ジョージ・W・ブッシュは、最高指揮官としての権限でこれらの犯罪行為の実行を命令した[第7条2項(b)]、又は、自らの軍隊の部下によるそのような行為を避けるための必要な措置をとらなかった[第7条4項]という理由で、個人として責任を負う。(訴因4b)
(3)人道に対する罪
 劣化ウラン兵器の使用に関して、本法廷はさらに、被告人ジョージ・W・ブッシュが、武力紛争において民間人を標的として広範囲又は組織的な攻撃の一部として犯された非人道的行為として、人道に対する罪[第4条(i)その他の非人道的な行為]で有罪と認定する。被告人ジョージ・W・ブッシュは、最高指揮官としての権限でこれらの犯罪実行を命令した[第7条2項(b)]、又は、自らの軍隊の部下によるそのような行為を避けるための必要な措置をとらなかった[第7条4項]という理由で、個人としてその犯罪に責任を負う。

3.イラク軍事占領と占領下に犯された犯罪
(1)侵略の罪
2003年4月12日以降の米英軍によるイラク領土の軍事占領に関して、本法廷は、被告人ジョージ・W・ブッシュ及びトニー・ブレアーを、ICTI規程第2条の侵略の罪[2項;3項(a)他国の領土に対する武力による侵攻または攻撃、たとえ一時的なものであっても、当該侵攻から結果として生じた軍事的占領、他国またはその一部の領域の武力行使による併合]で有罪と認定する。被告人ジョージ・W・ブッシュ及びトニー・ブレアーは、最高指揮官としての権限でこれらの犯罪行為の実行を命令し[第7条2項(b)]、又は、自らの軍隊の部下によるそのような行為を避けるための必要な措置をとらなかった[第7条4項]という理由で、個人としてその犯罪に責任がある。
 本法廷はまた、2004年7月1日に安保理決議1546に従ってなされた儀礼的なイラクへの「主権委譲」にもかかわらず、多国籍軍は今なおイラクに駐留し、侵略の罪が今この時点にも犯されていることを認めるものである。他国による領土の軍事占領が主権の存在に影響しないということは国際法における確立した原則である。本法廷は、安保理はイラク人民の意思を反映しないイラク暫定政権への「主権委譲」を宣言した決議1546において、自らの権限の範囲を逸脱し、国際法の下で保護されているイラク人民の自決権を実質的に侵害したと考える。安保理決議の形式的有効性にはこれまでほとんど異論が唱えられてこなかったが、安全保障理事会も国連憲章の原則に拘束されるのは自明の理であり、本法廷は、そのような権限を持たない国連安保理によって決定され占領当局と暫定政府の間で実施された「主権委譲」は、イラク人民の自決権の観点から正当性を有さず、その合法性は承認されるべきではないと考える。(訴因6)
(2)戦争犯罪
 米軍によって2004年4月から11月にかけて繰り返し行われたファルージャ市に対する無差別軍事攻撃は、病院などの民間施設を標的にし、おびただしい数の市民を死亡させたが、本法廷はこれにつき、被告人ジョージ・W・ブッシュはICTI法廷規程第5条における戦争犯罪[1項(a)故意による殺人、(c)身体または健康に故意によって深刻な苦痛を引き起こすこと、;2項(a)一般住民または敵対行為に直接参加していない民間の個人に対して意図して攻撃を加えること、(b)民用物、すなわち軍事目標でない目的物に対して意図して攻撃を加えること、(e)手段の如何を問わず、無防備かつ軍事目標となっていない都市、村落、居住地または建物に対する攻撃または爆撃、(i)宗教、教育、芸術、科学もしくは慈善の目的に使われる建物、歴史的遺跡、病院ならびに病者および傷者を集合させている場所が、軍事目標ではないのに、これに対して意図して攻撃を加えること]で有罪と認定する。被告人ジョージ・W・ブッシュは、最高指揮官としての権限でこれらの犯罪行為の実行を命令し[第7条2項(b)]、又は、自らの軍隊の部下によるそのような行為を避けるための必要な措置をとらなかった[第7条4項]という理由で、個人としてその犯罪の責任を負う。(訴因7-3)
 米軍によって、数ヶ所の捕虜収容所、特にアブ・グレイブ捕虜収容所において実行されたイラク人捕虜に対する拷問と虐待に関して、本法廷は、被告人ジョージ・W・ブッシュをICTI規定第5条[1項(b)拷問ないし非人道的な取り扱い;(c)身体または健康に故意によって深刻な苦痛を引き起こし、または重大な傷害与えること、2項(p)特に屈辱的で侮辱的な取り扱いによって個人の尊厳を侵害すること]の戦争犯罪で有罪であると認定する。被告人ジョージ・W・ブッシュは、自らの部下がそのような犯罪行為をまさに犯そうとしていること、もしくはすでに犯したことを知っていたか、又は知るべき理由があったこと、また、そのような犯罪行為を避けるため、もしくはその実行者を処罰するために必要な方策をとらなかった[第7条4項]ことによって、個人としてその犯罪に責任を負う。(訴因8-2)
 軍事戦略を目的としたアメリカ軍とイギリス軍によるイラクの歴史的な場所や記念物の破壊に関して、本法廷は、被告人ジョージ・W・ブッシュ及びトニー・ブレアーをICTI規程第5条における戦争犯罪[(i)宗教、教育、芸術、科学もしくは慈善の目的に使われる建物、歴史的遺跡、病院ならびに病者および傷者を集合させている場所が、軍事目標ではないのに、これに対して意図して攻撃を加えること]で有罪と認定する。被告人ジョージ・W・ブッシュ及びトニー・ブレアーは、最高指揮官としての権限でこれらの犯罪行為の実行を命令し[第7条2項(b)]、又は、自らの軍隊の部下によるそのような行為を避けるための必要な措置をとらなかった[第7条4項]という理由で、個人としてその犯罪の責任を負う。 (訴因9)
(3)人道に対する罪
 米軍によって2004年8月以降にファルージャにおいて文民たる住民に対して行われた広範なまたは組織的な攻撃に関して、本法廷は、被告人ジョージ・W・ブッシュをICTI法廷規程第4条の人道に対する罪[(a)殺人,(b)殲滅)]で有罪と認定する。被告人ジョージ・W・ブッシュは、部下がそのような犯罪行為をまさに犯そうとしていること、もしくはすでに犯したことを知っていたか、又は知るべき理由があったこと、また、そのような犯罪行為を避けるため、もしくはその実行者を処罰するために必要な方策をとらなかった[第7条4項]ことにより、個人としてその犯罪の責任を負う。(訴因7-2)
(4)ジェノサイド
 米軍によって2004年8月以降にファルージャにおいて行われた大規模な攻撃について、本法廷は、被告人ジョージ・W・ブッシュ及びトニー・ブレアーをICTI法廷規程第3条のジェノサイド(国民的集団の全部または一部を破壊する意図をもって(a)集団の構成員を殺害すること、(c)集団の全部または一部についてその身体の破壊をもたらすことを意図した集団生活の条件を押し付けること)の罪で有罪と認定する。ファルージャを包囲し、人道援助活動を拒否し、さらに水や電気などのライフラインを遮断したうえでの大規模な軍事攻撃は、ファルージャにとどまる相当数のイラク国民を破壊する特別の意図をもって行われたものと認められる。被告人ジョージ・W・ブッシュ及びトニー・ブレアーは、部下がそのような犯罪行為をまさに犯そうとしていること、もしくはすでに犯したことを知っていたか、又は知るべき理由があったこと、また、そのような犯罪行為を避けるため、もしくはその実行者を処罰するために必要な方策をとらなかった[第7条4項]ことにより、個人としてその犯罪に責任を負う。(訴因7-1)

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