イラク南部のイラクへの権限委譲は占領軍撤退の始まりか/アラビア・ニュース

2005-10-05 08:20:43 | イラク
米英イラク軍の幹部は、「イラク南部3都市の管理権のイラク委譲は外国軍の撤退開始を意味する。イラク軍は成熟の段階に達し、軍事面と治安面で任務遂行が可能になった」と声明したが、果たして順調に進むのか?9月30日付のアルジャジーラ・ネットのズィヤード・ターリク・ラシード記者が報告する。
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 今月(九月)軍事統率権が米軍から引き渡されたナジャフに続き、(イラクのシーア派聖都)カルバラーは9月29日、イラク軍が完全に治安の責務を負う第二の都市となったことを祝った。

 またイラク南部の都市、バスラの市民もズバイル基地の管理権が英軍から引き渡されたことに歓声を上げた。これらの都市では祝典や踊り、イラクに主権が戻る日が近づき、恐らく米英両軍を筆頭とする外国軍の撤退も遠くないとの希望を表す特別の催しが行われた。

 米英両軍の幹部、そしてイラク軍の幹部までもが三都市での祝宴の間の声明で、「三都市の権限委譲は外国軍の撤退開始を意味する。イラク軍は成熟の段階に達し、軍事面と治安面で任務遂行が可能になった」と確言した。

 だが米英両国の真意は、実態を反映していないこの声明とは異なる。バスラでは9月18日、イラク人の服を着て変装し、偽造した身分証明書を所持しイラク軍に逮捕された二名の英軍兵士を英軍が解放し、英国のトニー・ブレア首相とジャック・ストロー外相が英軍の即時イラク撤退の可能性を否定したため、市民に激怒の波が起こった。

 しかし、英国のオブザーバー紙は9月25日号で、英軍が2006年5月から撤退を開始すると報じた。この計画は英米両国が作成した計画に基づいており、10月にイラク国会に上程される予定である。また高位の軍事筋からの情報として、多国籍軍を解散する計画があり、今年12月に行われる選挙後に実行される予定と報じた。

 撤退の考えは偶然出てきたものでは無い。バスラの事件以来英国国内で撤退を求める人の割合が今までにないほど高まり、イラク駐留を継続する利益があるのかとの市井の声が上がっている背景がある。

 また、米軍に対する攻撃の激化と最近行われた作戦により米兵の死者数が増えていることで、ジョージ・ブッシュ大統領の人気は最低水準に落ち込んでいる。それに加えて、ヨルダン人アブー・ムスアブ・ザルカーウィー率いる「メソポタミアの聖戦アルカーイダ」を筆頭とするイラクの武装勢力が、継続的な攻撃を強化すると脅迫する未確認の声明がある。

 イラクのどの階層も支持しないイブラーヒーム・ジャーファリー首相を首班とするイラク政府は、それに変わるイラク軍の準備ができていないとして、多国籍軍の撤退を望んでいない。

 また、ジャラール・タラバーニー大統領は何遍も、悪化している「テロ」の被害からの「治安と保護」をイラク人に与える目的で、米軍のイラク駐留継続の重要性を強調してきた。

 情報は錯綜し、各種声明が次々に打ち出され、攻撃が継続する中、生活苦に喘ぐイラク国民は、失われた治安回復を求めて悲痛な叫びを上げている。

http://www.aljazeera.net/NR/exeres/BF464C10-73D9-4346-AF9C-7519583D150A.htm(写真三枚) 上:カルバラー市の権限委譲を喜ぶイラク人兵士 中:9月29日自爆が三回起きたバラド市。ザルカーウィーのグループがさらに爆発が起こると脅迫。 下:イラク人は未だ死者を墓場へと運んでいる

【アラビア・ニュース】  齊藤力二朗  会員以外の転載希望者は個メールで受付http://groups.yahoo.co.jp/group/arabianews/ 

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