金敏寛(弁護士)「朝鮮学校初の弁護士として」に寄せて/前田 朗@朝鮮大学校非常勤講師

2009-02-21 22:15:07 | 社会
「週刊金曜日」739号(2月20日)の「投書」欄に、金敏寛(弁護士)「朝
鮮学校初の弁護士として」が掲載されています。

冒頭に、「私は2007年9月、幸にも朝鮮大学校の卒業者として初めて司法試
験に合格し、2008年12月より、福岡県北九州市にある小倉南法律事務所で
弁護士として活動しています」と始まり、「在日コリアン3世」としての自分、
コリアン、多くの外国人の「共生」のために法律問題が重要であることや、在日
コリアンの特殊な歴史的背景にも言及した上で、次のようにまとめています。

「半世紀以上の歴史を持つ朝鮮大学校は、いまだ学校教育法一条の定める『大
学』として認められていません。司法試験だけでなく、日本社会の第一線で活躍
する卒業生が数多くいながらも、朝鮮大学校が『大学』として認められていない
という現実は、一日も早い改善がなされるべきだと思っています。私が朝鮮大学
校の卒業生として司法試験に合格し、弁護士として活動するということは、私だ
けではなく、朝鮮大学校や在日同胞社会が日本社会で認められるということに繋
がると思います。」

少しコメント

1)朝鮮大学校政治経済学部に「法律学科」が設置されたのは1999年のこと
で、金敏寛さんは第一期生です。卒業後に日本のロースクールに進み、司法試験
に合格しました。第一期生の合格者は2名です。その後、昨年、後輩が1名合格
しています。

2)朝鮮高級学校卒業生の国立大学受験資格や、看護師試験受験資格が制限され
てきたように、朝鮮大学校も文部科学省から長年イジメられてきました。司法試
験についても、旧司法試験受験が制約を受けていました(一次試験免除の差別な
ど)。しかし、ロースクールができ新司法試験になって、そうした制度的な差別
がいちおうなくなってきました。

3)在日朝鮮人弁護士は何人もいるではないかと思う方もいるでしょうが、それ
は、朝鮮大学校卒業生としてではなく、日本の大学法学部を卒業したり、大検を
受けたりして、そのうえで司法試験に合格した人たちです。そうした人々の挑戦
と苦労の上に、今日、朝鮮大学校法律学科の学生たちが新しい挑戦を試みている
のです。司法試験だけではありません。司法書士、税理士、行政書士を始めとす
る各種資格試験に合格して、日本社会において活躍する若い朝鮮人が徐々に増え
ています。

4)過去も現在も続く、日本政府による政治弾圧や制度的差別、そして日本社会
におけるさまざまな差別を乗り越えて、勉学に励んでいる若者たちにエールを
送ってください。



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