井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

野幌森林公園の花8エゾノコンギク

2014年08月31日 | 日記


エゾノコンギク。キク科シオン属。
キクには黄菊、白菊、紺菊などがあって栽培されるものも多い。紺菊は栽培種でその野生種が野紺菊、その北海道版がエゾノコンギクである。
頭花は黄色の筒状花を淡青色の舌状花が囲む。よく似たユウゼンギクの場合舌状花が20個以上つくが、エゾノコンギクでは20個以下である。



エゾノコンギクの葉。
葉は長楕円形で縁に粗い鋸歯があり、全体に毛が多くザラザラする。よく似たユウゼンギクの葉は線状楕円形で細く、全体に無毛でツルツルする。
ユウゼンギクの葉は茎を半ば抱くが、エゾノコンギクの葉は茎を抱かない。



エゾノコンギクの総苞。
頭花を包む総苞、エゾノコンギクの場合は反り返らないが、ユウゼンギクの場合は外片のみだが反り返る。
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野幌森林公園の花7ムカゴイラクサのムカゴ

2014年08月30日 | 日記


ムカゴイラクサの葉とムカゴ。
イラクサ属エゾイラクサは葉を対生させるが、ムカゴイラクサは葉を互生させる。
ムカゴ(珠芽、零余子)は腋芽の肥大したもので、落下して新しい個体をつくる。(無性生殖)



ムカゴイラクサのムカゴ。
葉腋に出来るムカゴは無性芽で、他花受粉で作る種子と違って親のDNAをそのまま受け継ぐ。
ムカゴイラクやヤマノイモのムカゴは地下につくられる芋と同等のもので「肉芽」と呼ばれる。芽と芽を育てるための栄養分とからなる。



オニユリのムカゴ。ユリ科ユリ属。
オニユリのムカゴはムカゴイラクサのムカゴと働きは全く一緒だが、形が若干異なる。
ムカゴイラクサのムカゴは肉芽で芋と同等だが、オニユリのムカゴは地下の鱗茎同等で、断面を見ると玉ねぎのような鱗茎になっている。「鱗芽」と呼ばれる。
ムカゴイラクサの場合は花による種子生産もするから、ムカゴは予備の働きとなるが、オニユリは3倍体で種子生産を行わないのでムカゴによる子作り一本に絞られる。
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野幌森林公園の花6ムカゴイラクサ

2014年08月29日 | 日記


ムカゴイラクサ。イラクサ科ムカゴイラクサ属。
イラクサ科には刺毛をもつグループともたないグループとがあって、イラクサ属とムカゴイラクサ属は刺毛をもつグループである。
刺毛に触れれば刺による機械的な痛みに加えて蟻酸のためにしばらく痛みが続く。イラクサの漢名が「蕁麻(じんま)」で、アレルギー性の発疹を「蕁麻疹」という。



ムカゴイラクサの雌花序。
エゾイラクサやムカゴイラクサは雌雄同株・雌雄異花で、雌花序は茎頂部につく。
雌しべの柱頭はブラシのような毛の集まりで花粉を受け取る。



ムカゴイラクサの雄花序。
この株の雄花はまだ蕾状態。緑色の花被4に雄しべ4の花となる。
風媒花で、茎頂部に雌花序がつき、下部に雄花序がつくことで自家受粉を回避する。
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野幌森林公園の花5ヤブハギ

2014年08月28日 | 日記


ヤブハギ。マメ科ヌスビトハギ属。
ヌスビトハギはマルバヌスビトハギの亜種で、ヤブハギはそのヌスビトハギの1変種とされる。
ヌスビトハギの葉は茎全体に散生するのに対して、ヤブハギの葉は茎の中央付近に集まってつく。



ヤブハギの花。
ヤブハギに花は白色で花弁の先が薄紅紫色。



ヌスビトハギの花。
ヌスビトハギの花は紅紫色。
ヌスビトハギは札幌周辺では少ないとも言われるが、北方山草の「ヌスビトハギ、ヤブハギの北海道分布」というリポートで、2012年の調査で野幌森林公園にはヤブハギとヌスビトハギの両種が確認出来た、とある。



ヤブハギの果実。
ヤブハギの果実は節果。豆の入った部分が半円形に区切られる。
普通は2節果だが、1節果も3節果もある。この節果には模様が入っているが、模様の入らないものもある。果実の形でヤブハギとヌスビトハギの違いを論じたものは見当たらない。
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野幌森林公園の花4ヤブタバコ

2014年08月27日 | 日記


ヤブタバコ。キク科ガンクビソウ属。
2年草で花時には根出葉は枯れてなくなる。下部の葉が大型でタバコの葉に似るとされるが、葉タバコは北海道では栽培されていない。
茎は太く80cmほどで成長はとまり、茎頂から長い枝を放射状にだして独特な草姿を作る。



ヤブタバコの茎頂部。
ヤブタバコの変わった茎頂部がヤブタバコの独特な草姿を生み出す。
葉脈には更に伸びだす枝の芽が見えている。



ヤブタバコの花穂。
上部から出た枝の各葉腋に1個ずつ頭状花を下向きにつける。
ガンクビソウ属の仲間の頭花には普通柄がつくが、ヤブタバコの頭花には柄がつかないのでここをチェックすることでヤブタバコを見分けることができる。
小花はすべて筒状花で、中心部には両性花、周辺部には雄しべの退化した雌花がつく。何れも子房の下端などに粘液を分泌する腺があって、果実は粘着タイプの「ひっつき虫」になる。
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