井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

北海道の樹木ウォッチング・オオバボダイジュ3

2022年03月31日 | 日記
オオバボダイジュとシナノキの違いを改めて整理しておく。

オオバボダイジュとシナノキの冬芽。シナノキ科シナノキ属。
左:オオバボダイジュ  右:シナノキ
芽鱗が2枚で内側の方が大きい点、冬芽が2列互生について1年生枝がジグザグになる点などは共通。
冬芽はシナノキの方が小さく、丸みが強い。1年生枝はシナノキでは赤みを帯びることが多く、オオバボダイジュでは星状毛の密生で白くなる。
オオバボダイジュとシナノキの冬芽。シナノキ科シナノキ属。
左:オオバボダイジュ  右:シナノキ
芽鱗が2枚で内側の方が大きい点、冬芽が2列互生について1年生枝がジグザグになる点などは共通。
冬芽はシナノキの方が小さく、丸みが強い。1年生枝はシナノキでは赤みを帯びることが多く、オオバボダイジュでは星状毛の密生で白くなる。
オオバボダイジュとシナノキの果実。
左:オオバボダイジュ  右:シナノキ
総苞葉(へら形)の中央から果穂が出て見える点は両者共通。果穂柄はオオバボダイジュは短く(2~6mm)、シナノキは長い(15~20mm)。
果実は球形でオオバボダイジュ(径:10mmほど)の方が若干大きく、5個の稜(隆起線)がつく。


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北海道の樹木ウォッチング・オオバボダイジュ2

2022年03月30日 | 日記

オオバボダイジュの葉(裏)。シナノキ科シナノキ属。
「大葉」の名の通りオオバボダイジュの葉はシナノキより大きくなる。但し夫々に個体差があるから「何cm以上はオオバボダイジュ」という風に決めつけることは出来ない。
両者の一番の違い、オオバボダイジュの葉の裏には星状毛が密生して白く見える点。
中国原産の「ボダイジュ」(輸入され本州の寺院に多く植えられた)にも星状毛が密生し、「ボダイジュ」の名のつくものには星状毛が多いということになる。
オオバボダイジュの花。
葉腋から集散花序をだし、花序の柄に狭長楕円形(へら状)の総苞片がつく点などシナノキに良く似る。
花序全体はオオバボダイジュの方が大きく、総苞片には星状毛がつく。
オオバボダイジュの果実。
オオバボダイジュの果実は堅果で、直径は10mm程でシナノキ(径:5~7mm)より大きく、5個の稜(筋)がつくのが相違点。
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北海道の樹木ウォッチング・オオバボダイジュ1

2022年03月29日 | 日記

オオバボダイジュの樹形。シナノキ科シナノキ属。
関東北部~北海道の山地、林内の生える落葉高木、樹高は10m前後のものが多いが、大きいものは20mを超える。
シナノキ属でシナノキによく似ているが「ボダイジュ」の名がある。本来のボダイジュ(菩提樹)は仏教で大変大事な樹とされているが、クワ科の樹で中国には分布しないことから、葉の形がよく似たシナノキ属の樹にボダイジュの名をつけた。日本へも輸入され寺院などに植えられた。
オオバボダイジュの冬芽。
オオバボダイジュの冬芽、シナノキに良く似て芽鱗葉2枚、内側の方が大きい。ただ、全体としてシナノキより大きい。一番の違いは冬芽のつく1年生枝で、オオバボダイジュには軟毛が密生して白く見える。
オオバボダイジュの樹皮。
オオバボダイジュの樹皮は暗灰色で成木では浅く縦に裂ける。
内皮はシナノキ同様利用されるが、質的にはシナノキより劣る。アイヌたちもシナノキには「本当の、上質の」を意味する言葉で呼び、オオバボダイジュには「只の、質の低い」を意味する言葉で使い分けしていたという。
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北海道の樹木ウォッチング・シナノキ5

2022年03月28日 | 日記

シナノキの果実。シナノキ科シナノキ属。
シナノキの果実は堅果、5~7mm径に熟す。
シナノキの果実は風散布。同じ風散布でもマツの仲間やシンジュの場合は個々の堅果が散布されるが、シナノキ場合は果序全体が散布される。(果序全体が散布体となる)。散布のとき、総苞葉の働きで全体が回転しながら風を受け散布距離を伸ばす。

シナノキの葉を巻くハマキチョッキリ。
オトシブミは植物の葉を巻くゾウムシの仲間。葉を巻き、そこに卵を産みつける。
巻き落とした葉を昔の「落とし文」に見立てて「オトシブミ」と呼ばれるが、その仲間のハマキチョッキリは葉の巻き方が少し下手くそである。
昆虫名は「ドロハマキチョッキリ」で、シナノキやオオイタドリなどいろんな葉を巻く。

シナノキの落葉。
枝に葉柄を残した形の落葉の跡が見られた。普通は葉柄基部に離層をつくり葉柄ごと落葉する。
ツタ等は「単身複葉」といって単葉でありながら複葉と同じように葉身と葉柄とが別々に落葉する。
シナノキが単身複葉という話は聞かないし、このような形の落葉跡もあまり見ない。特別な理由からこのような形になったのかもしれない。
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北海道の樹木ウォッチング・シナノキ4

2022年03月27日 | 日記

シナノキの花序。シナノキ科シナノキ属。
葉腋から集散花序をだし、直径1cm程の花を十数個つける。
シナノキの蕾。
花序柄には狭長楕円形の総苞葉がつき、総苞の上に花序が伸びだすように見える。葉に上につく組織で「葉上生」と呼ばれる。
花序が葉腋に生じるのは普通だが、シナノキの場合、総苞葉の主脈の下半分と花序柄の下部とが合着した形で、総苞葉の中央部から花序が立ち上がるように見える。
シナノキの花。
5数性の花で、萼片、花弁ともに5枚、雄しべは多数。5枚の花弁状の仮雄しべ(形は残っているが退化して花粉を作らなくなった雄しべ(花弁状であるが花弁よりは細い)があって花弁の内側につく。花柱は細く先は浅く5裂。
シナノキは「シナ蜜」と呼ばれる優良な蜂蜜の蜜源植物。養蜂家はナタネ、クローバー、アカシア・・と花を追って鹿児島から北海道まで大移動する。北海道のシナノキは7月下旬~8月上旬で「養蜂ジプシー」の最後を飾ることになるという。
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