井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

樹木ウォッチング冬から夏へ298シンジュ4

2017年09月30日 | 日記


シンジュの幼果実。ニガキ科ニワウルシ属。
子房壁が伸長してできた幼果実は赤みを帯びる。
花自体は緑白色で目立たないが、この時期の幼果実は赤く色づいて目立つようになる。この幼果実の方がむしろ花のように見える。



シンジュの果穂。
果実は熟すにつれ果穂から離れ風に乗って散布されるが、遅くまで枝先に残る果穂もある。
完熟した果実は淡褐色に変わっている。



シンジュの果実と種子。
左:ヤチダモ 右:シンジュ
シンジュの果実は翼果でヤチダモの果実によく似ている。
共に長楕円形であるが、ヤチダモでは種子が端部につくのに対して、シンジュの種子は中央部につく。
シンジュの果実の翼は端部でひねれていて、落ちる時長軸を中心にして回転しながら風に乗る。
ヤチダモの場合は種子を中心にして回転し、回転の方向が異なる。
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樹木ウォッチング冬から夏へ297シンジュ3

2017年09月29日 | 日記


シンジュの雄花。ニガキ科ニワウルシ属。
同科のニガキ同様雌雄異株。
枝先に円錐花序を数個つけ、緑白色の小さな花を多数つける。
花弁、萼片は普通5個、花弁は長楕円形で雄しべは10個。



シンジュの雌花。
花盤の上に1個の」雌しべがつく。
雌しべは1個だが子房は5^6個の離生心皮からなり、花柱部分では合着し先端部分は5~6裂する。



シンジュの花後。
花が終わった後、合着していた花柱は分離し、子房壁が伸長しいく。
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樹木ウォッチング冬から夏へ296シンジュ2

2017年09月28日 | 日記


シンジュの芽ぶき。ニガキ科ニワウルシ属。
冬芽が小さい割に芽吹きはかなりダイナミックである。
赤みを帯びるのは幼葉を紫外線から守るUV対策で、多くの植物で見られる。



シンジュの葉。
奇数羽状複葉で小葉は6~16対で大きいものだと1mにもなる。ウルシの葉に似るが「かぶれ成分」がなく庭にも植えられるというので「庭ウルシ」と呼ばれる。
中国原産で明治初期に持ち込まれ、強い繁殖力で野生化もしている。
「シンジュ」は英語名の「Heaven of Tree(天国の樹)」を「神の樹と訳したもので、北海道ではシンジュの方が通りがいい。
シンジュサンの食樹としても知られており、その養蚕のために栽培されたこともあると言われ、そうしたことからすれば標準和名はニワウルシよりシンジュの方が相応しいとも言える。



シンジュの葉柄基部。
大きい葉なので枝に取り付く部分は大きく、がっちり枝を抱え込む形になり、葉の落ちた跡の葉痕も大きなハート形になる。
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樹木ウォッチング冬から夏へ295シンジュ1

2017年09月27日 | 日記


シンジュの冬芽。ニガキ科ニワウルシ属。
冬芽は扁平な半球形で葉痕に比べて小さい。
葉痕はハート形で維管束痕はゆるくカーブしたV字形に多数並ぶ。
冬芽と葉痕の組み合わせがいろんなものに見立てられるが、シンジュの場合は「野球のアンパイア」である。



シンジュの小枝。
1年生枝は極めて太いが、仮軸分枝で先端部分が細く見えるのと、葉痕部分が若干盛り上がっていることと合わせて独特な枝振りをつくる。



シンジュの樹皮。
全体としてほぼ平滑だが、表面に波型のごく浅い縦方向の裂け目があって皺のように見える。
中国ではシンジュの樹皮や根皮を「樗白皮(ちょはくひ)」と呼び解熱、駆虫に使ったという。
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樹木ウォッチング冬から夏へ294ニガキ3

2017年09月26日 | 日記


ニガキの雌花。ニガキ科ニガキ属。
子房は4~5個の心皮が離生し花盤の上に乗る。花柱は下部で合着し先端は4~5裂する。
花弁は4~5個。



果実1。
果実は核果で2~5個の分果からなる。
この写真では3分果のものが多い。



果実2。
果実は熟すと緑黒色になる。
4~5個の萼片が残り、分果が1個しか成熟しておらず、未発達の分果も見られる。
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