井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

北海道の花・エゾノツガザクラ

2021年01月31日 | 日記

大雪山・赤岳の雪田。

北海道は高緯度で平均気温が低いことから、低山でも高山植物が見られる。

大雪山は最高峰・旭岳でも標高2290mだが本州の3000m峰に匹敵する。日本一長く雪が残る山と言われ、日本一遅くまで高山植物が見られるとも言われる。

このように雪田が多く残り、雪田の周囲に多くの高山植物が見られる。エゾノツガザクラもその一つ。

エゾノツガザクラの葉と花。ツツジ科ツガザクラ属。

東北~北海道の高山帯で適度に湿り気のある岩場や草地に生える常緑小低木。

「ツガザクラ」は「栂桜」と書く。ツガは福島県以南に分布するマツ科ツガ属の針葉樹で、ツガザクラは葉がそのツガに似ていて、花がサクラ色であることからの名であるという。

エゾノツガザクラは北海道産のツガザクラ、花はツボ形で下向きに咲く。

エゾノツガザクラの幼果実。

花後、うなだれていた花柄を起こして幼果実を上向きに変える。花柱が上向きに残っている。

果実は蒴果で、種が熟せば裂開して種子をこぼす。下向きの花から果実を上向きにするのは、種子散布状必要があるということ。

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北海道の花・草本扱いされるツツジ科の花

2021年01月30日 | 日記

大雪山・旭岳の高山植物群。;ツツジ科など。

ツツジ科は大変大きな科で世界に103属3350種が知られているという。

日本には23属約100種、シャクナゲ類、ツツジ類、ドウダンツツジ類など園芸化が進み身近な存在となっているが、これらは木本に属し「日本の野生植物(平凡社)」では木本の方で扱われている。

ツツジ科には草状の小低木も多く、それらは「日本の野生植物(平凡社)」でも草本の方で扱う。

 

ツツジ科は多くの種を擁するだけでなく、熱帯から寒帯まで幅広く分布を広げている。

熱帯起源とも言われ常緑であったものが落葉能力を得て北上し、寒帯にまで進出したものと考えられている。

何れにしてもツツジ科の適応力は大変大きい。

エリカ属の植物はヒースとも呼ばれるが、ヒースとはもともとイギリス北部、アイルランンドの荒れ地のことで僅かな土と砂で耕作不適、牧畜不適と言われるような荒地である。エリカ属のツツジはそんなヒースにも進出している。

ツツジ科の適応力の高さは、小低木類の仲間を北海道の高山帯にも定着させた。

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北海道の花・ヒトツバイチヤクソウ

2021年01月29日 | 日記

ヒトツバイチヤクソウ1。イチヤクソウ科イチヤクソウ属。

山地の林内などに生える多年草。イチヤクソウの1品種で、葉が退化して小さな葉を1~2枚をつける。

花茎が何本もまとめて生えることが多いが、各花茎につく葉がみな1~2枚なのかは確認できない。

ヒトツバイチヤクソウの花茎と蕾。

花茎も蕾・花も赤みを帯びる。

APG分類体系ではツツジ科とされる。DNA的にはそれが正解なのかもしれないが、取り入れる気にはなれない。

ヒトツバイチヤクソウ2。

中には1~2枚の葉というのも怪しげな株もある。「無葉イチヤクソウ」という名を使う人もあるが図鑑などでその名を見ない。

イチヤクソウ科やラン科の種子は「微細種子」といい、イチヤクソウで0.005mg、胚が育っていく栄養分が乏しく、単独では実生は育たず、菌類の助けを必要とする。

実生のときには菌に寄生する形になるが、自前の葉をもつようになって自立生活に入る。

葉が退化するということは、自立から寄生に近づくということで、その極端なケースが同じイチヤクソウ科のギンリョウソウやシャクジョウソウなどの「菌寄生」の種である。

ヒトツバイチヤクソウには「半寄生」から「菌寄生」のものまであるのかもしれない。

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北海道の花・シコタンタンポポ

2021年01月28日 | 日記

シコタンタンポポ。キク科タンポポ属。

海岸の草原に生える多年草。学名(種名)も「シコタネンセ」でシコタン島(色丹島:北方4島の一つ)で発見されことからのネーミング。

道東に多く分布するとされ「ネムロタンポポ」の別名もある。この株も霧多布湿原のものだが、苫小牧の海岸草地にもシコタンタンポポの群落があるという。

シコタンタンポポの葉。

シコタンタンポポの葉にははっきりした切れ込みがある。

日本の在来型タンポポも2タイプに分けられる。一つはエゾタンポポやカントウタンポポのような地方型、もう一つは高山型(タカネタンポポ、クモマタンポポ、ミヤマタンポポなど)でシコタンタンポポもこちらに入る。

シコタンタンポポの頭花。

在来型タンポポの総苞は帰化タンポポ(セイヨウタンポポ)と違って反転しない(反り返らない)。

その中で、エゾタンポポやカントウタンポポなど地方型では緑色で、高山型では黒緑色となる。シコタンタンポポの総苞も高山型の黒緑色となる。

観察した数は少ないが、シコタンタンポポの舌状花の数は少ない印象がある。

タカネタンポポ。キク科タンポポ属。

シコタンタンポポと同じ高山型のタンポポ(総苞が黒緑色)、この株は夕張岳産。「ユウバリタンポポ」の別名で呼ぶ人もいるという。

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北海道の花・エゾタンポポとセイヨウタンポポ

2021年01月27日 | 日記

 

エゾタンポポとセイヨウタンポポ。キク科タンポポ属。  

エゾタンポポとセイヨウタンポポが並ぶ姿は大変稀である。セイヨウタンポポがエゾタンポポの領域に進出したものだが、この後エゾタンポポと置き換わる形には先ずならない。

セイヨウタンポポの領域にエゾタンポポが進出することはない。

セイヨウタンポポは無性生殖するが、花粉もだすことから交雑種を生み出してしまう。

セイヨウタンポポの生命力。

このような石ころばかりの所でもセイヨウタンポポは生きていけるが、エゾタンポポには無理である。日当たりが良くて、水分確保が出来るところならエゾタンポポでも生きていける筈だが、それが出来ないのかもしれない。

セイヨウタンポポの根。

タンポポ類の主根は長くゴボウに似る。その根は再生力が強く、輪切りのしたものを上下を変えずに植えてやれば簡単に再生する。

エゾタンポポが自然破壊の進んだ撹乱地で生きていけないのは、根の力がセイヨウタンポポより劣るということか、何故そうなのか理由は良く分からない。

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