井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

然別湖畔の花2・ヨツバヒヨドリ

2015年08月31日 | 日記


ヨツバヒヨドリ。キク科ヒヨドリバナ属。
ヒヨドリバナ属の仲間、葉を対生させるグループと3枚以上の葉を輪生させるグループとがあり、ヨツバヒヨドリは後者である。
「四つ葉」といっても、輪生させる葉は4枚とは限らず、3枚のものもあれば5枚のものもある。
図鑑によっては「3~4枚輪生」とするものもあるが、5枚の個体は決して少なくない。



6枚葉のヨツバヒヨドリ。
5枚葉のヨツバヒヨドリは珍しくないが、6枚葉のものは珍しい。
同属の仲間にサワヒヨドリは対生する葉が3深裂して6枚葉に見えるとされるが、この個体はサワヒヨドリではない。サワヒヨドリならば葉に3行脈が目立つ筈だし、この個体ははっきり6枚の葉になっている。



ヨツバヒヨドリの花。
キク科の頭花は舌状花と筒状花の2タイプの花で構成され、その構成の仕方で3グループに分けられる。
ヒマワリは両タイプをもつグループ、タンポポは舌状花だけで筒状花をもたないグループ、そしてヒヨドリバナの仲間は筒状花だけで舌状花をもたないグループである。
花序は5個の筒状花からなり、星形に見えているのが花冠で、白く伸びているのは雌しべの柱頭。
雄しべは雌しべの周りを囲んでいて単体で見るには難しい。
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然別湖の花1

2015年08月30日 | 日記


白樺峠の先に然別湖がある。
大雪山国立公園内にあり、オショロコマ、ナキウサギ、氷上の露天風呂などで知られている。
然別湖のオショロコマは「ミヤベイワナ」ともいわれ、他のエリアのものとは違った特徴をもつという。
ナキウサギは天然記念物には指定されていないが、絶滅危惧種に指定され、「氷河時代の生き残り」とか「生きた化石」などといわれる。ナキウサギの生息場所は他にもあるが、然別湖は出会いやすい所として知られている。
冬の然別湖は全面結氷し、その氷の上に露天風呂がつくられ観光客に珍しがられている。
現在の道道85号線は白樺峠から進んで然別湖の手前でトンネルになっているが、トンネルが無かった頃の旧道が残っていて今でも歩くことが出来、結構豊かな植相が楽しめる。「然別湖の花」はそこで見掛けた花である。
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白樺峠の花11・花いろいろ

2015年08月29日 | 日記


チシマフウロ。フウロソウ科フウロソウ属。
フウロソウの仲間、花の小さなグループと大きなグループとに分かれ、ゲンノショウコなどは前者、チシマフウロなどは後者である。
チシマフウロは海岸~亜高山の草地に分布。
良く似たハマフウロやエゾフウロは本州産のハクサンフウロの変種で、花の色はピンク系。チシマフウロの花は青紫系。



ミヤマラッキョウ。ユリ科ネギ属。
山奥に生えるラッキョウの意味。
アサツキに似るが、アサツキの花茎の基部にはシュロ毛はないが、ミヤマラッキョウにはある。



ミソガワソウ。シソ科イヌハッカ属。
亜高山の草地に生える多年草で、草丈は50~100cmとシソ科としては大型の方。葉は対生し殆ど無柄。
属名のイヌハッカ、普通名に「犬」がつくものは「役に立たない」の意味をもつが、イヌハッカには良い香りがありハーブとして利用される。
猫に与えるとマタタビと同じような効果があり、英語では「Catnip(キャットニップ・猫が噛むもの)」と呼ばれる。
仲間のミソガワソウにも同じような効果があるかどうかは不明。
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白樺峠の花10・ネバリノギランなど

2015年08月28日 | 日記


ネバリノギラン。ユリ科ソクシンラン属。
ノギランに似ていて花序や花柄などに腺毛があって粘るので「粘りノギラン」と呼ばれる。
そのノギランはノギラン属で、ネバリノギランはソクシンラン属で属が異なる。花は上部に総状につく。
ノギランの仲間は花被片が離生しているが、ネバリノギランの花被片は大部分が壷形に合着していて平開しない。



ネバリノギランの葉。
ネバリノギランの葉は根元にまとまってつく。
属名になっているソクシンランは「束心蘭」と書き、葉がランの似ていて葉の束の中心から花茎を立ち上げることからの命名だという。
ネバリノギランの葉もランに似ているが、同じくユリ科である。



ヤナギラン。アカバナ科ヤナギラン属。
ヤナギランの葉は柳に似てるので「柳ラン」、花がランに似ているかというと、そうでもない。何故「柳蘭」のながついたのが理由は今一つはっきりしない。
総状花序は下から上へ咲きあがる「無限花序」。
雄性先熟の花で、花序を上から下へ見ていくと、蕾~雄性期の花~雌性期の花~幼果実の順にみることが出来る。
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白樺峠の花9・ナガボノシロワレモコウ

2015年08月27日 | 日記


ナガボノシロワレモコウ。バラ科ワレモコウ属。
「ワレモコウ」は「吾亦紅」と書き、何やら意味ありげである。語源説もいろいろあるようだが決定版は見当たらない。
北海道で普通に見られるのはナガボノシロワレモコウで「長穂白吾亦紅」と書くように、花穂が普通の吾亦紅よりも長い。



ナガボノシロワレモコウの葉。
長い葉が根生し奇数羽状複葉で小葉は5~7対。
写真は茎葉で根生葉と比べると小型。
ナガボノシロワレモコウはコバナノワレモコウの1変種で、基準種より大型になる。



ナガボノシロワレモコウの花。
花弁はなく萼片が4個、雄しべも4個で、5数性の花の多いバラ科の中で、4数性は少数派。
穂状花序は上から咲き始めて下に向かう。こういうのを「有限花序」という。ヤナギランやオカトラノオなどは逆に下から上へ咲きあがり「無限花序」と呼ばれる。
「長穂」には白花も赤花もあるが、普通の吾亦紅には白花はなく紅花ばかり。
そのワレモコウ、全国版の図鑑には「北海道~九州まで分布」と書かれているが、「新・北海道の花」には載っていない。
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