井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

北海道の樹木ウォッチング・イワヒゲ

2023年06月09日 | 日記

イワヒゲの群落。ツツジ科イワヒゲ属。
高山帯の礫地~岩場、それも風あたりの強い岩場の隙間に垂れ下がるようにして生育する常緑小低木。
イワヒゲも仲間の少ない植物で、寒帯~亜寒帯に数種分布するが、日本ではイワヒゲ1種のみ。
この株は大雪山・赤岳のもの。
イワヒゲの葉。
イワヒゲ属はジムカデ属と近縁で、茎が細く岩を這う点など共通する。相違点、ジムカデ属の葉は線形で互生するのに対して、イワヒゲ属の葉は鱗片状で対生する。その様子は針葉樹のビャクシン類を連想させる。伸長する茎が岩に生えた「ヒゲ」のように見えるというので「岩ヒゲ」の名がある。
イワヒゲの花。
イワヒゲは前年枝の先から花柄を伸ばし、白い釣り鐘状の花を1個ずつ下向きにつける。
この株は大雪山・旭岳姿見平のもの。
イワヒゲは花の形から「ヒメシャクナゲ属」に分類されていたこともあり、ジムカデ同様分類学者を悩ませたという。
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北海道の樹木ウォッチング・ジムカデ

2023年06月08日 | 日記

ジムカデの群落。ツツジ科ジムカデ属。
高山帯の砂礫地に生育する常緑小低木、枝は分枝を繰り返しながら地を這い、群落をつくる。
北海道・大雪山でも多く見られるが、本州・北アルプスなどのカール地形(かつての氷河が削り取った谷、圏谷(けんこく)とも呼ばれる)にも多く見られるという。
ジムカデ属は1属2種で、日本にはジムカデ1種のみ。
ジムカデの葉。
ジムカデの茎は地を這いながら細かく分枝し、ツガザクラの似るがずっと短い葉をつけ、その姿が「百足(むかで)」に似ろというので「ジムカデ(地百足)」と名付けられる。昆虫にも「ジムカデ」と呼ばれるものもあるが、こちらは「土百足」と書く。
ジムカデの花。
地を這う茎から枝を立ち上げ、その先に横向き~下向きに1花をつける。
花冠は口部が開いた鐘形で5個に深裂し、萼も5裂する。花冠は白く萼は紅色、花柄は太く短い。
ジムカデ属はかつてヒメシャクナゲ属に分類されていたが、後にイワヒゲ属に入れられ、最後にジムカデ属として独立したという。分類の難しい種であったらしい。
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北海道の樹木ウォッチング・ミネズオウ

2023年06月07日 | 日記

ミネズオウの群落。ツツジ科ミネズオウ属。
高山帯の砂礫地~岩地に生育する常緑小低木、茎や枝は地表を這いマット状に広がる。
千島列島やサハリンにも分布するが、ミネズオウ属は1属1種で仲間の多いツツジ属との違いを見せる。
この群落は大雪山・旭岳姿見の池のもの。
ミネズオウの葉。
ミネズオウの葉は狭長楕円形、革質で光沢がある。縁は全縁で裏面に巻きこむ。
ミネズオウは「峰蘇芳」と書く。「植物の世界(週刊朝日百科)」では「蘇芳はイチイのこと。ミネズオウは葉がイチイに似るところからのネーミング」としているが、ミネズオウの葉はイチイの葉に全然似ていない。
ミネズオウの花。
大雪山にはツツジ科の高山植物(小低木)が多く見られるが、その多くはツガザクラの仲間のように壷形の花を下向きにつけるが、ミネズオウは5弁の花を上向きにつける。
「峰蘇芳」の「峰」は高山性を示す。「蘇芳」はイチイのことではなく、赤い染料(「蘇芳色」と言われる)のとれるマメ科の小高木ではないか。ピンク色の花を単純に「蘇芳色」としただけではないか、そう考えられる。ハナズオウという木もそれ(蘇芳色の花)である。
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北海道の樹木ウォッチング・ウラシマツツジ

2023年06月06日 | 日記

ウラシマツツジの群落。ツツジ科ウラシマツツジ属。
本州中部~北海道の高山の礫地~風衝地などに生育する落葉小低木。
地下茎は地表近くを横に這い木化する。上部で分枝し、斜上してやや輪生状に葉をつける。
この株は大雪山・黒岳のもの。
ウラシマツツジの葉と蕾。
ウラシマツツジの葉は倒卵形で細かい鋸歯があり、表面は光沢がある。網状の葉脈が裏側の凹みをつくる。
ウラシマツツジは「裏縞つつじ」と書き、葉の縞模様が裏面にも見えるところからのネーミング。
この葉、秋には鮮やかに紅葉して枯れるが、翌春まで落ちない。
蕾はやがて壷状・クリーム色の下向きの花となる。この株は樽前山(支笏湖の南)のもの。

ウラシマツツジの果実。
ウラシマツツジの果実は液果で、径8~9mmの球形。最初は緑色だが熟すにつれ赤から黒に色を変える。
果実がコケモモより大きいことから「クマコケモモとも言う」((「日本の野生植物(平凡社)」。「クマコケモモ」は
近縁のウワウルシのこととも言われ、一寸はっきりしない。この株は大雪山・赤岳のもの。
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北海道の樹木ウォッチング・アカモノ2

2023年06月04日 | 日記

アカモノの花。ツツジ科シラタマノキ属。
アカモノの花、白い鐘形で下向きに咲く。
花冠の先は5裂して反り返る。多くの花は白だが少し赤みがかるものも。
アカモノの果実2。
アカモノの果実はシラタマノキ同様蒴果で、萼が液質に膨らんで蒴果を包み「液果状」という言い方がされる。シラタマノキと並んで「アカダマノキ」のネーミングもあり得たが、赤い実を「赤桃」と呼んで食べた地方があり、赤桃から「アカモノ」のなった、そういう語源説もある。
アカモノの果実3。
アカモノの果実は5個に割れる。5個の萼片が膨らんで果実を包むというところが見てとれる。甘味と酸味とがあって、シラタマノキのようなサロメチールの匂いがせず昔からよく食べられたという。
果柄に広卵形の小苞が数枚残っているのが見える。
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