井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

タツナミソウ属の仲間

2011年10月31日 | 日記
花冠は筒部が長く、学名はその意味でつけられたものだという。



ナミキソウの群落です。シソ科タツナミソウ属。
地下茎を伸ばし、しばしば群落をつくる。
茎断面は四角で、短い柄の葉を対生させる。ナミキソウは「浪来草」で、海岸に生育するからということで浪来草と命名されたというが、手稲山の中腹にも現れる。



ナミキソウ、花のアップです。
花は上部の葉腋に1個ずつつく。対生する葉の葉腋につく花は同じ向きになるので、2個ずつ並んで見える。
葉は長楕円形、先は丸く鈍い鋸歯縁をもつ。



エゾタツナミソウです。シソ科タツナミソウ属。
茎断面が四角で、地下茎を伸ばして群落をつくる点はナミキソウと同じ。
エゾタツナミソウの葉は長い葉柄があり、卵状三角形で対生する。花は茎頂部に穂状の花序をつくる。花が同じ方向に咲き、その姿が北斎の絵の「波頭」に見えるというので、「立波草」名づけられたという。
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強い香気をもつハッカ属の仲間

2011年10月30日 | 日記
シソ科は全体として香気のあるものが多いが、ハッカ属は別格で特に強い香気をもつ。



ハッカです。シソ科ハッカ属。
古くから栽培され、ハッカ油をとり、更に精製してハッカ脳(メントール)とする。西洋のハーブに対してニホンハッカ、和種ハッカと呼ばれることもある。
花は上部の葉腋に球状にかたまってつく。



ハッカ、花のアップです。
シソ科の花の多くは左右相称の唇形であるが、ハッカ属では花冠裂片がほぼ同大で、放射相称となる。シソ科では例外的な花である。
基本種の英名はペパーミント。



オランダハッカです。シソ科ハッカ属。
ハッカが茎上部の葉腋に球状の花序をつくるのに対して、オランダハッカは、茎上部に穂状の花序をつくる。
江戸時代にオランダから伝来したといい、葉の様子からチリメンハッカの別名もある。
英名はスペアミント。
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可愛い花をつけるのに偽者扱いのイヌゴマ

2011年10月29日 | 日記
植物には名前で損しているものがいろいろある。イヌゴマもその一つ。



イヌゴマです。シソ科イヌゴマ属。
地下茎を伸ばして群落をつくる。茎断面は四角で稜の上に下向きの刺があり、葉は対生。
種子がゴマに似ていて食べられないというので「イヌ」ゴマ。(胡麻はゴマ科ゴマ属で姿も花も似ていない。)
正月料理に使われるチョロギ(同じイヌゴマ属、中国原産)にも似ていて、「チョロギダマシ」の別名もある。



イヌゴマ、花のアップです。
花は輪生状に数段つく。実際には「偽輪生」で、「仮輪(かりん)ともいう。図鑑の「イヌゴマ属」の項には「仮輪は2~多数の花がつく・・」と表現されている。
花は左右相称で上下2唇に別れ、淡紅色で上唇は裂けず、下唇は3裂して紫色の斑紋(蜜標)が多数ある。
下唇側に斑紋があるものは、雄しべが上唇側にあって花粉は昆虫の背につくという。



ヤマハッカです。シソ科ヤマハッカ属。
茎断面が四角で稜の上に下向きの刺があり、葉は対生。この辺のところはイヌゴマと一緒。
花の2唇形も一緒だが、上唇は4裂して立ち上がり、その上唇の側に斑紋(蜜標)がある。雄しべは下唇の舟形に包まれ、花粉は昆虫の腹につく。この点、イヌゴマなどの反対である。
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「ホソバ」と「ツタバ」のウンラン繋がり

2011年10月28日 | 日記
○○の葉に似る、あるいは葉が広い・細い、そういう事でつけられる名前もある。



ホソバウンラン、花のアップです。ゴマノハグサ科ウンラン属。
ウンラン同様2唇形。下唇の濃色の隆起部と長い距が目立つ。ウンランは海岸の砂地を好むが、ホソバウンランはより内陸に多い。原産地はヨーロッパで「セイヨウウンラン」の別名もある。



ツタバウンランの群落です。ゴマノハグサ科ツタバウンラン属。
ホソバウンラン同様、こちらもヨーロッパ原産の帰化種。
茎は地表を這いながら枝を分け拡がっていく。花柄も結構長いが、果期には更に暗所に向けて伸びる性質がある。石垣などの隙間に多いのは、その性質によるという。



ツタバウンラン、花のアップです。
2唇形で上下2唇が雄しべ・雌しべを包む「仮面状花冠」である点はウンランと同じ。茎上部の葉腋に1花をつける。ツタに似た葉をつけるので「ツタバウンラン」と命名される。
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海岸の砂地に生えるウンラン

2011年10月27日 | 日記
ウンラン属は西アジアなど乾燥地に特に多いという。



ウンランの群落です。ゴマノハグサ科ウンラン属。
海岸の砂地を好む多年草、茎は匍匐しまたは斜上する。葉はやや厚手で対生又は3~4輪生、ただし上部のものは互生する。海辺に多く、蘭の花に似るということで「海蘭」、それが「ウンラン」に訛ったという。



ウンラン、花のアップです。
2唇形で、上唇は直立して2裂、下唇は大きく3裂する。上下の唇はピタリと閉じて雄しべ・雌しべを包み、昆虫の訪れがないと雄しべも雌しべも外に現れない。その形から「仮面状花冠」と呼ばれる。



ホソバウンランです。ゴマノハグサ科ウンラン属。
ウンランが「ジャポニカ」の学名をもつ自生種であるのに対して、ホソバウンランは帰化種で、観賞用に輸入されたもののエスケープである。
文字通り「細葉」をもち、茎は直立して茎頂に総状花序をつける。葉はウンランと違ってすべて互生する。
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