井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

冬芽の観察17・ユリノキ1

2015年01月31日 | 日記


ユリノキの冬芽。モクレン科ユリノキ属。
1年生枝はやや太く、葉痕は円形。
冬芽(頂芽)は大きく、烏帽子状~アヒルの嘴状。側芽は小さく何れも無毛。



ユリノキの芽吹き。
モクレン科の樹木は一般的にはっきり分かる托葉があるが、モクレン属の場合は早落性であるのに対して、ユリノキの托葉は宿存性で光合成もするという。托葉の間から二つ折りに畳まれていた葉が展開する。



ユリノキの葉。
モクレン属の葉は皆全縁だが、ユリノキの葉は4~6裂する。
その形が「半纏」に似ているというので「ハンテンボク」の別名がある。
学名の「リリオデンドロン チューリッピフェラ」が「チューリップのようなユリノキ」の意味だというが、何故「ユリノキ」なのかは良く分からない。
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冬芽の観察16・オオヤマレンゲ

2015年01月30日 | 日記


オオヤマレンゲの冬芽。モクレン科モクレン属。
モクレン属の中でホオノキ・グループに属し、冬芽は無毛で皮質。
ホオノキの場合、葉痕が輪生状になるが、オオヤマレンゲの場合は輪生状にはならず、通常の互生。
1年生枝、ホオノキよりは細いが割と太い方。



オオヤマレンゲの花。
花はホオノキと同じで葉の展開後に開花、横向き~下向きに咲く。
花被は普通9枚、外側の3枚は小さく萼状で、内側の6枚は花弁状。
雌しべ群を囲む雄しべの花糸が淡赤色で大変目立つ。紀伊半島の山地などに自生するが、北海道には自生せず庭木として植えられる。



オオヤマレンゲの幼果実。
果実は袋果の集まった集合果で、ホオノキの果実を小型にした形。
雄しべの跡や花弁の落ちた跡なども見られる。
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冬芽の観察15・シデコブシ

2015年01月29日 | 日記


シデコブシの冬芽。モクレン科モクレン属。
シデコブシの冬芽はキタコブシやハクモクレンの冬芽に良く似ていて冬芽だけでの見分けは難しそう。
ただ、キタコブシが樹高20mほどの高木になるのに対して、シデコブシは樹高5mほどの小高木、「ヒメコブシ」の別名がある。



シデコブシの花。
モクレン属は3数性の花で、キタコブシやハクモクレンの花被は9枚だが、シデコブシの花被は12~18枚と多い。
花の色は普通白だが淡紅色を帯びるものもある。
シデコブシの「シデ」は「四手」で、しめ縄や玉串などに垂れ下げるもの。花被をその四手に見立てての命名であるという。



シデコブシの未熟果。
花後、子房群は伸びだす。
子房群の下の褐色地に見える点は雄しべの落ちた跡。その下に花弁の跡や托葉痕が見られる。
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冬芽の観察14・ハクモクレン

2015年01月28日 | 日記


ハクモクレンの小枝。モクレン科モクレン属。
ハクモクレンの花芽はコタコブシによく似ている。冬芽のついている1年生枝、キタコブシは左程太くないがハクモクレンの小枝は割と太く、ややジグザグになる。
蕾は早春の開花時期が近づくと先端が北の方向に向き「コンパス・プラント」と呼ばれる。この時期、よく光の当たる南側の成長がより大きくなるからだという。



ハクモクレンの花。
キタコブシの花は全開するが、ハクモクレンの花は半開きで全開しない。
モクレン科の花は被子植物の中で一番古い形を残しているといわれる。多数の花葉(萼片、花弁、雄しべ、雌しべ)がらせん状に配列されているところなどにそれが表われている。
ハクモクレンは中国原産の栽培種で、公園樹や庭木として多く植えられている。



ハクモクレンの花葉(花の部品)
左上の2枚は芽鱗、ハクモクレンの外花被9枚は大きさに多少の違いはあるが、キタコブシのような大きな違いはない。
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冬芽の観察13・キタコブシ3

2015年01月27日 | 日記


キタコブシの花。
3数性の花で花被は9枚。外側の3枚は小さく萼片、内側の6枚は大きく花弁とされる。(よく似たハクモクレンの場合、9枚の花被に花弁と萼片の区別がなく、同色同大となる。)ハクモクレンの花は半開しかしないがキタコブシの花は全開する。
ホオノキの場合順次開花で、同時に多くの花をつけないが、キタコブシの場合は一斉開花に近い。それでもこの写真のように開花に多少時間差がある。
ホオノキは雌性先熟の花だが、キタコブシは雄性先熟のようで、雌しべ群が雄しべ群に隠されて見えていない。(ただし、確認はできていない。)
蕾を乾燥させたものは鼻炎などに効く生薬となる。



キタコブシの果実。
ホオノキと比べて受粉に成功した子房の数は少ない。雌しべの数自体も少ないが、それ以上に昆虫の活動が少ない春一番に開花することで受粉に失敗するものが多くなるのだと考えられる。
このような果実の形が拳(こぶし)に似るところから「コブシ」の名がついたという説がある。



キタコブシの種子。
果実は袋果の集まった集合果で、熟すと裂開して赤い種子が白い紐状の珠柄の先にぶら下がる。
果実を噛むと辛味がするので「こぶしはじかみ」の別名があるという。
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