井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

春本番・北海道医療大学1

2015年04月30日 | 日記


カタクリの群落。ユリ科カタクリ属。
カタクリは春植物の代表。
落葉広葉樹林の林床で雪融けのあと上層の樹々が開葉しきるまでに、開花・結実など1年分の作業をやってしまう。スプリング・エフェメラル(春の短命植物)と呼ばれる所以である。
同じ春植物のエゾエンゴサクと群落をつくることが多い。



カタクリ全開。
開花直後は午前の気温上昇で開花し、午後の気温低下で閉花する。
しばらくはそういう開閉を繰り返し、昆虫たちが活発に動き出す18℃ほどに気温が上昇すると花被片を反り返らせて閉花しなくなる。
花被片基部の濃紫色のM字型は昆虫を誘う蜜標である。



カタクリの実生。
カタクリの実生は細長い線状で見分けにくいが、先端に茶褐色の種皮を被っていることでカタクリと判別できる。
種子の発芽は前年の晩秋には始まっていて、雪融けを待って伸びだす。実生が地上に姿を見せる期間は2週間ほどだという。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

春本番へ・手稲山北尾根山麓3

2015年04月29日 | 日記


クルマバソウの越冬葉と新葉。アカネ科クルマバソウ属。
地下茎を伸ばす多年草で群生する。
葉の一部はそのまま越冬して、新葉が展開してから姿を消す。(新旧交代)
雪融け直後には古い葉が光合成をして最後の働きをすると考えられる。



シウリザクラの芽吹き。バラ科サクラ属。
サクラ属にはサクラ亜属とウワミズザクラ亜属とがある。エゾヤマザクラはサクラ亜属でシウリザクラはウワミズザクラ亜属である。
エゾヤマザクラは開花と開葉がほぼ同時だが、シウリザクラの開花は開葉後1か月ほど間があく。
エゾヤマザクラなどは冬芽に花が既にプログラムされているが、シウリザクラは開葉してから花の準備にかかる。
シウリザクラの芽吹きは赤く色づき、「春紅葉」を演出する。



ヒメイチゲ。キンポウゲ科イチリンソウ属。
キクザキイチゲやアズマイチゲと同じく、花茎に1花をつける「イチゲ」。
キクザキイチゲやアズマイチゲは花が大きい(径が3cmほど)、のに対して、ヒメイチゲは花が小さい(径は1cmほど)。
イチゲの仲間は地下茎から花をつける「有花茎」と花をつけない「無花茎」とを立ち上げる。
有花茎につける葉は茎葉とも呼ばれるが「苞葉」とも呼ばれる。
「無花茎」の葉は根出葉と呼ばれるが、ヒメイチゲの場合、茎葉(細い)と根出葉(丸っこい)との形の違いが大きい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

春本番へ・手稲山北尾根山麓2

2015年04月28日 | 日記


キンミズヒキの芽だし。バラ科キンミズヒキ属。
キンミズヒキの葉は奇数羽状複葉だが、側小葉に大小極端な差があって、「変則的羽状複葉」と呼ばれる。



ノブキに芽だし。キク科ノブキ属。
ノブキ属とアキタブキのフキ属とは近縁であるが、相違点もいろいろある。
アキタブキは雌雄異株でノブキは雌雄同株。アキタブキは地下茎を伸ばしてそこから葉や花茎を立ち上げるが、ノブキは地上茎を立ち上げ葉や花をつける。
アキタブキの葉柄(山菜として食べる部分)は筒状だが、ノブキの葉柄には翼がつく。芽だしでも葉柄の翼が見えている。



オドリコソウの芽だし。シソ科オドリコソウ属。
同属のヒメオドリコソウは帰化種の2年草で。オドリコソウは在来種の多年草。
ヒメオドリコソウは目出し後すぐ花をつけるが、オドリコソウは茎を十分に伸ばしたあと花をつる。(芽だし時には蕾を見せない。)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

春本番へ・手稲山北尾根山麓1

2015年04月27日 | 日記


マイヅルソウの芽だし。ユリ科マイヅルソウ属。
地下茎を長く伸ばし繁殖する。
花茎に普通上下2枚の葉をつけるが、芽だし時には下の葉を丸めた形で伸びだす。
最初の葉を拡げたあと2枚目の葉をだし、その葉腋に花序をつける。



ルイヨウボタンの芽だし。メギ科ルイヨウボタン属。
ルイヨウボタンの葉は2~3回3出複葉。
芽だしではその小葉を縦に丸めた形で伸びだす。ルイヨウボタンの花期は早い方で、芽だし時に蕾を用意している。



ルイヨウショウマの芽だし。キンポウゲ科ルイヨウショウマ属。
ルイヨウは「類葉」で、ルイヨウボタンの場合は「牡丹」の葉に似るの意味で、ルイヨウショウマの場合はサラシナショウマの葉に似るということ。
ルイヨウショウマの花期は少し遅れるから、蕾の形成も少し遅れる。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

春本番へ・ひだまり公園3

2015年04月26日 | 日記


ナニワズ。ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属。
春一番に林床で花を咲かせる植物、多くは「春植物」と呼ばれる草本だが、ナニワズは小低木(木本)。
雌雄異株とされるが、雄株でも結実が見られる。
雄花も形は両性花で雌しべは完全には退化しておらず、結実するものもある。
かんぜんな雌雄異株ではなく、雌花の株と両性花の株とが分かれる形で、正式には「雌性両全性異株」と呼ばれる。



ナニワズの雄花(両性花)。
雌花と比べるとやや大型で、萼筒も長い。葯が鮮やかな橙色でしっかり花粉をだす。
雌花も形は両性花で雄しべ(葯)が見られるが、緑色に近く花粉を出さない。



ナニワズ、夏の姿。
ナニワズは夏を前に葉を落とことから「夏坊主」と呼ばれる。
夏は葉を落として休眠し、秋を前に芽吹く。休眠芽は多くの場合「冬芽」であるが、ナニワズでは「夏芽」となる。このような夏芽、他に例を聞かない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする