井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

木の実として最大級のオニグルミ

2011年02月28日 | 日記
日本に自生するクルミの仲間で食用となるオニグルミ。食べる部分は子葉で、脂肪分を60%も含んでいる。



オニグルミの雌花序です。
花弁はなく、赤い2本の柱頭が目立つ。その下の膨らんだ部分は子房で、萼や苞が合着しているという。
新枝で、葉の展開した後に開花するので、見逃しやすいが中々可愛らしい花である。



オニグルミの葉と若果実です。
葉は奇数羽状複葉で、小葉は5~9対、細かい鋸歯がある。葉柄・葉軸には軟毛や腺毛が密生する。
果実は枝先に房状につく。「核果状の堅果」と図鑑に書かれていたりするが、独特な部分があり、穀果あるいはクルミ果という呼び方もあるという。



オニグルミの果実、発芽の始まりです。
オニグルミの穀果は大変硬く容易に割れないが、発芽の時には、縫合線に添って二つに割れる。
この写真のように、中の子葉も二つに割れてしまって、それぞれに実生が成り立つのか、その辺は不明です。
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果実もおいしく冬芽も人気のオニグルミ

2011年02月27日 | 日記
クルミは漢字で「胡桃」と書く。「胡」は中国西域のことで、胡瓜、胡弓などいろんな所で使われる。「桃」とクルミの関係はどうかというと、同じ核果を持つという以外は、はっきりしない。



オニグルミの冬芽です。クルミ科クルミ属。
裸芽だが最外葉が芽鱗の働きをしていて、冬の間にしばしば剥がれ落ちたりする。これは裸芽から鱗芽へ移行する過程だとも考えられる。
葉痕には3個(3グループ)の維管束痕があって、それが特徴のある形となって、サルの顔に見えたり、ヒツジに見えたりする。
その面白さで、冬芽の人気をオオカメノキと2分している。



オニグルミの芽吹きです。
樹木の芽吹きは、オニグルミに限らずダイナミックなものだが、オニグルミのそれは特にダイナミックである。
葉は、大きいものだと50cmにもなる羽状複葉で、そういう葉が何枚も折り畳まれているのを見ると、不思議な感じもするし、植物のもつエネルギーに感心させられる。



オニグルミの開葉、雄花序です。
雌雄異花で、雄花序は前年枝の葉腋につき、冬芽の時期にも半分(基部を除いて)裸出している。冬芽は開花と共に伸びだし下垂する。雌花序は冬芽の時期には頂芽に収められていて、開葉のあと新枝の枝先につく。
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北海道だけに自生するエゾノウワミズザクラ

2011年02月26日 | 日記
ウワミズザクラは北海道にも自生するが、本州の方が圧倒的に多い。エゾノウワミズザクラは名の示す通り北海道だけに自生する。



エゾノウワミズザクラの冬芽です。バラ科、サクラ属、ウワミズザクラ亜属。
卵状円錐形、大きさはウワミズザクラの2倍ほど。
名前ではウワミズザクラの北海道版というところだが、検索表ではむしろシウリザクラの方が近い。シウリザクラとの共通点は、蜜腺が葉身基部ではなく葉柄上部に付くというところである。



エゾノウワミズザクラの花序です。
総状の花序をつけるところはウワミズザクラと一緒だが、花序の長さはウワミズザクラの半分ほど。ビンブラシの印象からは遠ざかる。



エゾノウワミズザクラの花のアップです。
花の径はウワミズザクラの2倍以上、その代わり花の数はずっと少ない。雄しべが花弁より短いことや、蜜腺が葉柄上部につくことなどから、ウワミズザクラとの見分けがつくという。
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葉柄ではなく、葉身基部に蜜腺をつけるウワミズザクラ

2011年02月25日 | 日記
葉に蜜腺つけることでサクラ属だと見分けがつくが、その多くは葉柄上部につける。葉身基部に蜜腺をつけるのはごく少数派である。



ウワミズザクラの花のアップです。
「花弁より雄しべの方が長く、雄しべより花柱の方が長い。」と図鑑の説明にあるが、雄しべと花柱の長さ比べは微妙です。花柱の基部には蜜腺があって蟻がなめにきている。蟻の場合は花粉の媒介はしてくれないかも知れない。



ウワミズザクラの花弁が散ったあとです。
これを見ると、花柱の方が雄しべより長いというのが納得出来そうです。
萼片5枚は合着して萼筒をつくり、その上縁に多数の雄しべがついている。



ウワミズザクラの果実です。
核果で、赤色から黒色に熟していく。不思議なのは、熟すに従って苦味を増すということです。新潟では、苦味が増す前の若い果実を塩漬けにして「杏仁子(あんにんご、キョウニンシ)」と呼んで食べている。
樹皮や葉にも苦味成分があって、「キハダ」と同様ウワミズザクラにも「ニガキ」の別名があるという。
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昔占いに使われたというウワミズザクラ

2011年02月24日 | 日記
ウワミズザクラは「上溝桜」で、むかし亀甲占いのときにこの樹の上面に溝を彫って使ったからだという。



ウワミズザクラの冬芽です。バラ科サクラ属、ウワミズザクラ亜属。
冬芽は仮頂芽(かちょうが:最上部の側芽が頂芽のようにふるまうもの)である。前年伸びた枝の多くは枯れ落ちる。冬芽の隣に見えているのは、その落枝痕である。(落葉痕ではない。)
樹皮を傷つけると、クマリンの強い香りがするという。



ウワミズザクラの芽吹きです。
冬芽は混芽で、葉の展開の中に花の蕾が見えている。
本州では、常緑樹林でも落葉樹林でも極普通に見掛けられる樹だという。北海道にも自生するとされているが、シウリザクラほどは多くなく、札幌周辺ではあまり見掛けない。



ウワミズザクラの花序です。
ビンブラシのような花序は、シウリザクラに良く似ている。近縁種のイヌザクラは花序をつける側枝に葉をつけないが、北海道に見られるウワミズザクラ、エゾノウワミズザクラ、シウリザクラのいずれも葉をつける。
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