井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

夏の手稲山北尾根山麓1

2012年08月31日 | 日記
手稲山ハイランドに向かうバス道路は「手稲山麓線」といい、これをショートカットする旧道は「手稲山麓西線」という。



ミズタマソウ。アカバナ科ミズタマソウ属。
朝露に濡れた果実が水玉に見えることから「水玉草」と呼ばれる。
アカバナ科の花の多くは紫系、ピンク系であるが、ミズタマソウは白色である。



ミズタマソウの花と幼果実。
花は萼片が2個、花弁は2個、雄しべが2本、花柱は1個で子房は2室、いわゆる「2数性の花」である。
子房には鉤状の毛が密生して「ひっつき虫」となる。果実には溝があって、この属の仲間の同定の際の一つのポイントとなる。



アカバナ。アカバナ科アカバナ属。
赤い花だから「赤花」かと思うが、和名の由来は花期に下の葉が紅葉を始めるからだという。
茎には腺毛があり、葉には鋸歯があって浅く茎を抱く。花弁は倒卵形で先は2浅裂。
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夏の富丘西公園8

2012年08月30日 | 日記
手稲山とは飛び地になっている富丘西公園、哺乳動物はいないと見られていたが、エゾリスを見かけることがある。



ウマノミツバの果実。セリ科ウマノミツバ属。
複散形花序をつくる「セリ亜科」のミツバに対して、ウマノミツバは単散形花序をつくるので「ウマノミツバ亜科」に分類される。
「ミツバ」の名前をもつが、側小葉は更に2深裂するので「五つ葉」に見える。
果皮がマジック・テープ状になって「ひっつき虫」になる。



キンミズヒキの果実。バラ科キンミズヒキ属。
紅白の水引(タデ科ミズヒキ属)に対して、黄色い花をつけるので「金水引」と呼ばれる。
ミズヒキでは柱頭がフック状になって「ひっつき虫」になるが、キンミズヒキでは、萼筒に鉤状の毛が密生して「ひっつき虫」となる。



ヌスビトハギの果実。マメ科ヌスビトハギ属。
果実は独特な形をしており、2個の種子の間がくびれて節となる。「節果」と呼ばれる。
子の形が忍び足で歩く盗人の足跡に見えるのでえ「盗人萩」と呼ばれる。節果の果皮がマジック・テープになって「ひっつき虫」になる。
札幌周辺で見られるものは大凡「ヤブハギ」だともいわれるが、ヤブハギもヌスビトハギも「マルバヌスビトハギ」の亜種・変種だというから、無理にヤブハギと区別する必要もないのではないか。
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夏の富丘西公園7

2012年08月29日 | 日記
富丘西公園は住宅街の中に飛び地状に残された自然で、小鳥たちが沢山集まる。



コヤブタバコ。キク科ガンクビソウ属。
ガンクビソウ属の仲間は筒状花だけの頭花をつける。昔あったキセルの雁首(がんくび)に似ているというので「ガンクビソウ」と呼ばれる。「藪煙草」と呼ばれるのも同じ理由から。
頭花の大きさは中くらい(1,5㎝ほど)で、ミヤマヤブタバコのようには黄色くならず、緑白色、総苞片は葉状で反り返る。



ヒヨドリバナ。キク科ヒヨドリバナ属。
ヨツバヒヨドリは葉を3~4枚輪生させるが、ヒヨドリバナは対生。
秋の七草のフジバカマは北海道にはないが、それに最も近いのがヒヨドリバナで、北海道の秋の七草では代役をつとめる。葉の裏側に腺点があるのが特徴の一つである。



イチヤクソウの果実。イチヤクソウ科イチヤクソウ属。
古くから止血剤などに使われ、一番良く効く薬草というので「一薬草」と呼ばれた。
萼は5裂して基部は合着し、子房は5室に分かれ果となる。中に収められた種子は「微細種子」と呼ばれるくらい小さく(1000分の5mg)、風に乗って散布される。微細種子による「風散布」はラン科に多い。
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夏の富丘西公園6

2012年08月28日 | 日記
白い花より紫色の花の方が、何故か秋の花らしく見える。



ツリガネニンジンの雄性期。キキョウ科ツリガネニンジン属。
ツリガネニンジンの雄しべ先熟は蕾状態から始まる。
蕾の間に花粉を出し始め、未開の雌しべ柱頭が花粉をつけて、開花と同時にぐんと伸び出し媒介昆虫を待つ。雄性期の花である。



ツリガネニンジンの雌性期。
昆虫により花粉が運び去られた後、柱頭は開く。雌性期の花である。
このような形の雄しべ先熟は、同じキキョウ科のツルニンジンなどにも見られる。



アレチマツヨイグサ。アカバナ科マツヨイグサ属。
メマツヨイグサに良く似るが、花弁の下方(根元)がやや急に狭まるため、花弁同士に隙間が生じる。
ただし、メマツヨイグサとの区別がつきにくい個体も多い。
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夏の富丘西公園5

2012年08月27日 | 日記
春の花というのは割とはっきりしているが、夏の花と秋の花の区別ははっきりしない。



ヤマハハコ。キク科ヤマハハコ属。
ハハコグサ(春の七草の「オギョウ」)に似ていて、山に生育するので「山ハハコ」と呼ばれる。
総苞片が乾膜質で白色、白い花に見える。エーデルワイスと呼ばれる「ウスユキソウ」に近い種である。



ヤマハハコの花アップ。
雌雄異株。白い総苞片は花弁状で、その内側の頭花、5裂する花冠が見えているのは雄株。
形の上では両性花だが、不稔なので機能的には雄花である。
雌性花の花冠は両性花のそれよりずっと細い。



オトコヨモギ。キク科ヨモギ属。
果実が小さくて種子をつくらないと考えられたことから「男ヨモギ」と呼ばれることになったという。
植物は一般に風媒花から虫媒花に進化したといい、キク科は最も進化した花といわれる。
ところが、そういうキク科植物の中に、風媒花に回帰するものが現れる。ヨモギ、ブタクサ、フキなどがそれで、風媒花も言われるほど非効率ではない、というのが植物たちの結論のようだ。
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